市房山(いちふさやま)は、九州山地の南部にある日本の山。標高は1,720.8m[1]。熊本県水上村・宮崎県椎葉村・西米良村にまたがる。
概要
「米良三山」[注釈 1]のひとつであり、球磨・米良地方における信仰の山である。水上村湯山の市房神社では旧暦3月15日に「お岳参り」が催される。九州本土では数少ない1700mを超える山の一つである。
地形・地質
北部は花崗岩の貫入岩帯を、南部は四万十層群を基盤としており、山頂付近は花崗岩が露出している。花崗岩は約1400万年前(新生代中新世)にマグマが四万十層群に貫入して冷え固まったものであり、約75平方キロメートルの広さに及び、黒雲母を含んでいる。
東側は一ツ瀬川がV字谷を刻んでおり、壮年期地形の山容をみせる。
自然環境
年降水量は約3,200mm、豪雨地帯である。
植生
宮崎県側を中心に開発が進められており、原生林は山頂付近に残されているのみである。かつては山麓から順にシイ・カシ(山麓)、モミ・ツガ(山腹)、ブナ林(山頂付近)がみられたが、現在ではスギ・ヒノキ・アカマツ・カラマツの植林が中心である。
市房山全体には8,000種類以上の植物が生息している。固有種としてはツクシイワシャジン(筑紫岩沙参)やイチブサヒメシャラなどがあり、市房山を南限とする種も30種以上いる。
4月下旬から5月上旬にかけてアケボノツツジが、10月中旬に紅葉が見頃となる。
鳥類
アオバズクやオオルリなどが生息する。
登山
年中登山は可能であるが、積雪のある12月から2月、夏の7・8月を除いた期間がシーズンとなる。日帰りで登山できる。
登山道は3~7合目が木の根、岩等が多く険しい。7~8合目はなだらかである。8~山頂は坂が急ではあるが、木の根、岩等が無く比較的に楽に登れる。
登山道は、水上村の市房神社(12km)、西米良村槙ノ口(8km[2])、西米良村吐合の竹之元川(17km)からの3ルートがある。水上村側からは市房山キャンプ場、市房神社(4合目)を経由するルートが一般的で、登頂までに4時間近く要する。西米良村側からは槙ノ口からのルートが一般的で、上りが4時間20分・下りが3時間10分ほどで合計7時間30分かかる。椎葉村側からは登山できない[3]。
2011年10月現在、心見橋方面の登山道が崩壊しており立ち入り禁止となっている。
交通アクセス
ギャラリー
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西米良村槙ノ口付近からの市房山
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槙ノ口八合目からの市房山
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槙ノ口八合目からの石堂山
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市房山山頂
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心見の橋
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市房山からの二ツ岩
市房山から南西の眺望
脚注
注釈
出典
参考文献