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この項目では、富山県と石川県にまたがる山について説明しています。その他の用法については「医王山 (曖昧さ回避)」をご覧ください。 |
医王山(いおうぜん)[注釈 1]は、石川県金沢市と富山県南砺市にまたがる標高939mの山塊である。白兀山、奥医王山及び前医王山などの山塊の総称で、最高点の奥医王山には一等三角点が設置されている[4]。日本三百名山[5]及び新・花の百名山[6]に選定されている。
概要
地形
戸室山・キゴ山と医王山の峰々
1984年、金沢市小立野台地より
金沢市街側から見ると、戸室山の背後に位置するため、なかなか全貌を眺めるのは難しい。
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犀川に架かる桜橋から医王山を望む(石川県金沢市)医王山は古来より火山と称されることが多いが、いわゆる第四紀火山ではなく、大部分が約1500万年前の新第三紀中新世の(おそらく海底での)火山活動で生じた医王山累層からなる。
大門山付近等北陸の山域に広く分布する岩稲累層などと並び、グリーンタフの一部とされる。
医王山累層は、火砕流や火山灰、溶岩流などからなり、夕霧峠には流紋岩溶岩が見られ、黒瀑山周辺には黒曜岩ないし真珠岩の溶岩がみられる。しかし、最も量が多いのは、火山灰や軽石が降り積もった流紋岩質凝灰岩で、夕霧峠から石川県側へ下る林道沿いによく見られる。
医王山累層の厚さは、場所によっては1000m以上あり、現在の医王山山塊を北限として、手取扇頂部を経て、福井県との県境付近の丘陵地まで分布している。またこの層は日本海側へ傾斜しており、金沢市街の下にも広がっていると考えられている。
よって医王山は、地質上は古い火山岩からなるが、侵食等が進み、本来の火山地形は失われていると考えられている。
医王山の鉱石としてはメノウやソロバン石と呼ばれるオパールが採れ、紫水晶や孔雀石もかつて見られた。
見所としては、三蛇ケ滝(さんじゃがたき)、鳶岩(とんびいわ)、大沼(大池)、竜神池などが有名である。
自然
中腹の植生はコナラ主体であり、スギの植林が広く行われている。稜線沿いにはブナ純林が見られ、特に奥医王山周辺のブナ群集の規模が大きい。
花はキクザキイチゲやショウジョウバカマ、イワナシ、エンレイソウ、オオイワカガミなどが見られ、山頂部にはチシマザサが多い。ヒメシャガやササユリも稀に見られる。
眺望
- 東側
八乙女山や牛岳が前山として見え、遠くには立山連峰、白馬岳、穂高連峰などが望める。麓には砺波平野の散居村の景観が広がる。
- 南東側〜南側
人形山、大笠山、笈ヶ岳、白山方面が望める。
歴史
登山
国民体育大会で最初に登山競技が行われた山である[10]。北端の大沼付近には、トンビの頭に似た流紋岩の岩場である鳶岩があるが、最大斜度40度の鎖場であるため、雨天時の登頂は避けるべきである。
登山道
各方面からの登山道が整備されている[9]。
- 石川県側
- 二俣道
- 見上道
- 白兀道
- 小原道
- 栃尾道
- ナカオ新道
- 富山県側
山小屋
- 白兀平ヒュッテ - 夕霧峠の無人小屋
- 国見ヒュッテ - 国見平
地理
峠
河川
以下の源流の河川は日本海へ流れる[4]。
- 石川県側
- 富山県側
施設
- 石川県側
- 富山県側
- イオックス・アローザ
- 国見ヒュッテ
- 三千坊展望台
- 医王権現堂
- 南砺市福光里山体育館
- 南砺市クレー射撃場
その他
- 奥医王山の山頂には「939-16記念事業 福光 標高939.16 郵便番号939-16 設置日1993.9.16」と書かれた記念碑があるが、これは、奥医王山の一等三角点の標高がかつては939.16mであり、富山県側の麓の町・福光町の郵便番号(郵便区番号)が939-16(集配局:福光郵便局)と、一致していたことを記念したものである。
- 兼六園夕顔亭には竹根石という熱帯性ヤシの一種マエダヤシの珪化木が置かれている。この珪化木は医王山層で稀に見られるもので、この層の形成年代である約2000万年前の石川県辺りはヤシ林の生える熱帯環境であったことが分かる[11]。
脚注
注釈
- ^ 「ぜん」と読むのは、育王仙惣海寺と関連があるためとする説がある。
- ^ 森本川とも表記する。
出典
参考文献
- 新版 日本三百名山 登山ガイド(山と溪谷社、2014年)
- 『医王は語る : 医王山文化調査報告書』(富山県福光町、1993年)
関連項目
外部リンク