和歌山バス株式会社(わかやまバス)は、和歌山県和歌山市に本社を置く日本のバス会社である。略称は和バス。和歌山県北西部を運行エリアとし、地域子会社として100%子会社の和歌山バス那賀がある。南海グループに属し、スルッとKANSAI協議会に加盟している。
1975年(昭和50年)12月15日に資本金2億円で会社設立[3]。翌1976年(昭和51年)4月1日、南海電気鉄道のバス部門(現:南海バス)のうち、和歌山県内に営業所がある路線(高野山営業所・橋本営業所を除く)を引き継いで営業開始した[4]。高野山営業所・橋本営業所の路線は1993年に南海りんかんバスへ分社化された。1991年(平成3年)8月に那賀営業所を和歌山バス那賀として分社化した。
本社所在地(最寄り停留所は「和歌浦口」)には、かつて南海和歌山軌道線の電留線があった。跡地を本社およびバス車庫として転用している。
長年に渡り磁気バスカードを発売していたが、2020年4月1日より和歌山バス那賀とともに、独自のICカード「kinoca」を導入し[15]、同時に「ICOCA」などの全国相互利用サービスに対応した交通系ICカードが利用可能となった[16]。スルっとKANSAI磁気カードは2017年末をもって販売終了、同カードの使用も2018年には終了した。インバウンド旅行者及び関西圏外旅行者向けの「KANSAI THRU PASS」は使用可能であったが、2020年9月1日より自社磁気式バスカードの使用が終了したため、これも降車時に提示する方式に変更された。
2016年7月時点では、スルっとKANSAI協議会加盟各社のうち、PiTaPaなどのICカード類が一切使用不可であった事業者は、和歌山バスグループおよび南海りんかんバスの他は、大阪シティバスのUSJ直行バスとIKEA発着便(大阪市営バス民営化以前からの直営路線)を残すのみとなっていた。鉄道事業者を含めると他に比叡山鉄道(坂本ケーブル)がある。
自社ICカード「kinoca」(キノカ)を発売している。サイバネ規格に準拠し、カード裏面の右下に記載の番号は「WK」である。名称は「紀の川」に由来する。2020年3月23日に窓口発売を開始し、4月1日より使用開始した。
販売最低価格は2000円である。うち500円はデポジット料で、2000円で購入した場合は1500円分が利用可能額である。和歌山バス及び和歌山バス那賀の窓口(各営業所と定期券発売所)、JR和歌山駅西口及び南海和歌山市駅のチャージ機、または車内でチャージできる。チャージ上限額は20000円である。車内でのチャージは、1000円札支払いのみでチャージ可能額は3000円まで。「特割」と「福祉乗車券」以外の乗車券は、バス車内で1000円支払うことで1日乗車券化することができる。
利用額に応じたポイント加算があり、全日(基本ポイント)は5%、休日及び平日昼間(10時から16時までに乗車)した場合は7%(基本ポイントに2%加算)、ポイント還元される。また月間乗車額に応じ、2000円以上の利用で100ポイント、5000円以上で300ポイント、8000円以上で500ポイントのボーナスポイントが付与される。ポイントは毎月ごとに自動付与される。還元ポイントが乗車運賃を超過していた場合は自動的に使用される。ポイントによる精算ではポイントは付与されない。
IC乗車券による定期券は従来の区間式から、金額式定期に変更された。同額区間であればどの路線と停留所間でも無料で乗降車が可能となる。乗り越した場合は定期券金額との差額をチャージ残高から支払うこととなるが、差額が100円以下の場合は、1乗車100円が差し引かれる。なお紙式定期券での環境定期券制度(休日の1乗車100円)は廃止された。
その他、磁気式バスカードの高齢者用「元気70パス」(げんきななまるぱす)と障がい者用「福祉バスカード」もIC化されている。「元気70パス」は普通のkinoca同様にチャージ機能があり、1乗車ごとに100円引かれる。チャージがされていない場合はエラーとなるが、100円を毎回現金として支払う。「福祉バスカード」にチャージ機能はない。これ以外の条件は以前の磁気式バスカードと同様である。
2020年3月31日まで和歌山バス・和歌山バス那賀共通で利用できる降車時の運賃払いで小銭不要のバスカードを発売していた。
バスカードの購入は、バス車内、JR和歌山駅、紀伊駅、南海和歌山市駅定期券うりば、和歌山営業所、那賀営業所などで可能である。バス車内では数に限りがあるため、一度に大量購入する場合や全線フリー1日乗車券の小児券は各定期券うりば、各営業所での購入となる。
普通バスカード・昼間バスカードは小児券が設定されていないため、降車時に小児運賃で支払う場合はカード読み取り機器に通す前に運転士に申し出て、運転士が機器に小児運賃を設定してから、カードを機器に通して運賃を支払う。また、障がい者運賃や介護人運賃を支払う場合は手帳が必要。このほか、2人以上の運賃を1枚のカードで支払う場合も同様である。
なお、和歌山バスで磁気カードが初めて導入された路線は本町線「和歌山シャトル」であり、市内均一運賃区間が1997年にゾーン制運賃に移行するまで専用カードリーダーを搭載したり、シャトル専用カードが発売されていた。
優待用バスカードとして、和歌山市が発行する1か月間に2日間無料で乗車できる「障がい者福祉カード」(本人用・介護者用)と、1乗車毎に100円で乗車できる70歳以上の高齢者用「元気70パス」(げんきななまるぱす)がある。いずれも和歌山市に住民票を在籍・居住していることが条件であり、使用者本人による和歌山市役所への申請が必要がある。本人以外の使用は禁止されており一般には入手不可能である。尚、和歌山市外に跨って乗車した場合は、「障がい者福祉カード」「元気70パス」対象区域外乗車分の普通運賃を別途支払う必要がある。また、「元気70パス」を使用した時の運賃100円は、現金での支払いのみで普通バスカードや昼間バスカードでの支払いはできない。
現在運行されている路線はない。
始発・終着ターミナルにより、方向幕の系統番号を下記のように色分け表示している。しかし、和歌山営業所・市駅出張所所属車両の方向幕の大半が単色LEDに換装されたため、色による区別は看板や時刻表、路線図などの印刷物などに限られる。
2025年4月1日改正時点[24]。
同社の看板路線となっているシャトルバスであり、和歌山シャトルの愛称で呼ばれている。専用車も存在していたが、老朽化に伴い一般車両に置き換えられた。かつては本町線のみで日中毎時10往復運転されていたが、減便と紀三井寺線・塩屋線52系統の本町通り経由への変更により、南海和歌山市駅 - JR和歌山駅間の日中は毎時5往復、本町線の単独運転に限れば毎時2往復になっている。
南海和歌山市駅、JR和歌山駅から中央通り(国道42号)を南下する路線。南海和歌山市駅前発着の系統は、本町通り(系統番号1桁)を経由する系統とこれをショートカットする城北橋経由(系統番号10番台)の系統が存在する。本町通り経由系統は和歌山軌道線の代替ルートであり、また繁華街ぶらくり丁へのアクセス手段として、1990年代半ばまではラッシュ時の一部便を除いた全便が本町通り経由であった。しかし近年はぶらくり丁の凋落が著しく城北橋経由に移行される傾向にあり、2014年4月改正で本町通り経由便(市内雑賀崎循環線を含む)より城北橋経由便の本数の方が多くなった[25][26]。またかつては南海和歌山市駅・JR和歌山駅 - 旧車庫前(紀三井寺線は北出島)間は均一料金区間であった。
マリーナシティへの路線は1994年の世界リゾート博開幕時に開設された路線で、当時は和歌浦口 - マリーナシティ間はノンストップだった(和歌川付近のバス専用短絡線(今は市道、通称シーサイドロード)を走っていた)。その後も布引南で分岐してシーサイドロードを走る系統があったが、2019年に廃止されている[27]。
過去には智辯学園(和歌山小・中・高校)、紀三井寺団地(2009年廃止)、藤白浜(2017年廃止[28])まで運転する系統も存在していた。
和歌山市内線から分岐し、和歌山市南西部の雑賀崎を循環する路線。車両は中型車に限定される。34系統は2023年10月1日のダイヤ改正[29]で新設された。かつては市駅 - 雑賀崎 - 市駅、和駅 - 雑賀崎 - 和駅の循環運転を実施していたほか、南海和歌山市駅発雑賀崎経由水軒口ゆき(系統番号制移行後は31系統を名乗っていた)や、長路発雑賀崎経由南海和歌山市駅ゆき(32系統)が存在した。
南海和歌山市駅から北大通り、大浦街道(和歌山県道15号新和歌浦梅原線)を南下する路線。2014年 - 2017年には城北橋・土佐町3丁目経由の36系統も運行されていた[30][31][32][33]。
紀三井寺線は国体道路(和歌山県道135号和歌山海南線)を経由する。このために和歌山市内線(中央通り経由)よりも走行距離は短いが、交通量が多いために所要時間が長くかかることがある。かつての42系統とJR和歌山駅発着43系統は浜の宮海水浴場前を経由していたが40系統の減少に伴う代替措置として琴の浦経由となった。2012年4月に南海和歌山市駅 - JR和歌山駅間の経路がブラクリ丁経由から本町経由に変更されている[34]。
この路線は1994年の世界リゾート博開幕時に開設された路線で、開設当初はマリーナシティまでノンストップで運転されていた。現在は117・121系統の運転開始により本数は激減している[34]。
中央通りと国体道路の間にある和歌山市道本町和歌浦線を南下する路線。
かつては「屋形線」として、JR和歌山駅を経由しない屋形町経由の系統のみが運行されていたが、2002年4月にJR和歌山駅を経由する系統として雄松町経由と和歌川大橋経由が新設された[37]。雄松町経由は同改正で廃止された環状線の一部経路を引き継いでいる。和歌川大橋経由(50系統・51系統)は南中島停留所まで紀三井寺線と同じ経路で運行されており、2012年に紀三井寺線同様ブラクリ丁経由から本町経由に変更されたが[34]、2014年4月改正で廃止されている[30]。また南側の終点はかつては新和歌浦であったが、和歌山県立医科大学附属病院の移転とともに医大病院発着が新設され[38]、残った便(54系統)は2009年1月に和歌浦口発着に変更された。
JR和歌山駅からは三年坂通り(和歌山県道138号和歌山野上線・和歌山県道16号和歌山港線)、南海和歌山市駅からは寺町通りを経由して和歌山市西部の築港、湊地区に向かう路線。一部区間で南海和歌山港線と並走しており、廃駅となった築地橋駅、築港町駅付近にも停留所がある。
60・61(2022年7月廃止)・62系統は、2002年に廃止された環状線の南西部分と築港線を引き継いだ系統。この際に和歌山港への乗り入れを取りやめていたものの[37]、2009年1月に築港線65系統として乗り入れが復活、2012年4月に60系統との統合により160系統として湊線に組み込まれた[34]。
2017年4月に、和歌山大学線71・171系統を置き換え新設された路線[31][32][33]。2002年に廃止された環状線の北部分を引き継いでいるが、本数は極めて少ない。
和歌山市駅または和歌山駅と和歌山市北西部の和歌山大学栄谷キャンパスを結ぶ路線。加えて百の位が1の系統は和歌山大学前駅経由でふじと台の東二番丁北停留所まで、百の位が2の系統は和歌山大学前駅まで向かっている。途中の経由地として、72・172・272系統は和歌山県道752号和歌山阪南線(旧国道26号)を経由する。73・273系統は北島橋を経由する。現在は廃止されているが、70系統は南海和歌山市駅発着で県道752号線経由、71・171系統はJR和歌山駅発着で貝柄町・南海和歌山市駅・県道752号線経由、77系統は南海和歌山市駅発着で北島橋経由であり、経由地のバリエーションが5通り存在していた。
和歌山大学線は元々は和歌山市駅発着便のみだったが、2001年にJR和歌山駅まで延伸されている。和歌山大学前駅の開業にともない、南海和歌山市駅発着の系統、和歌山大学発着の系統は運行本数が激減している。
和歌山市駅または和歌山駅からふじと台に向かう路線のうち、和歌山大学を経由しない系統が分類される。和歌山大学線との区別のため、系統番号の百の位は3となっている。
和歌山市駅から、和歌山市北西部に向かう路線。
かつては深山線(みやません)74系統として、南海加太線のすぐ北の和歌山県道7号粉河加太線を経由し、加太駅のさらに北にある深山まで向かっていた。のちに一本北のバイパスを通る75系統が新設された。74系統は2016年4月に廃止された一方[39]、75系統は和歌山労災病院の移転に伴い2009年1月の路線改編で大幅に増発され、現在まで存続している。
175系統は2014年4月に新設された系統である[30]。
和歌山市駅から、北島橋、紀の川駅前経由で平井まで北上し、その後東に向きを変え紀伊駅の南にある川永団地まで向かう路線。
85系統は、2023年10月1日のダイヤ改正[29]より新設された。
和歌山市北部、南海本線と阪和線の中間に位置する鳴滝団地を両鉄道路線と結ぶ路線。南海和歌山市駅 - 鳴滝団地間は北島橋経由で運転される。JR和歌山駅 - 鳴滝団地間は2003年の紀の国大橋(国道26号和歌山北バイパス)開通に伴い新設された区間であり、紀の国大橋経由で運転される。
和歌山大学前駅開業に合わせて2012年4月に新設された、同駅と鳴滝団地を結ぶ路線[34]。
JR和歌山駅から東に向かい、阪和自動車道をくぐった先にある紀伊風土紀の丘まで向かう路線である。他路線の廃止により、一般路線では唯一JR和歌山駅東口を発着し、きのくに線の東側に向かう路線となっている。
ふじと台住民のために開設された、全国的に珍しい民間事業者がバス事業者に委託するコミュニティバスである。
かつて、定期観光バス「紀州徳川めぐり」号を運行していた。観光シーズン(2006年の場合、3/20 - 5/31、9/10 - 11/30)の土・日・祝日に、和歌山市駅前とJR和歌山駅を発車し、市内の観光名所(紀州東照宮 、養翠園、紀三井寺 、和歌山マリーナシティ、和歌山城)を巡っていたが、2009年2月に事業廃止が公表された(実質的に2008年度秋が最終運行となった)[41]。
定期観光バスで使用していた車両は、2022年1月現在も在籍しており、主に和歌山看護学校の学生輸送に使用している。
かつて和歌山市からの運行委託により、ぶらくり丁商店街を循環する無料シャトルバス「ぶらくり丁ループバス」を運行していた。また地元商店会や和歌山市との協力により、ぶらくり丁での中心市街地活性化の取り組みに参加していた。
国内3メーカー(日野・いすゞ・三菱ふそう)の車両[42]および「ふじと台バス」専用のトヨタ・ハイエースコミューターを保有し、車種も大型から小型車までバラエティに富んでいる。
近年では、一般路線車に自社発注の新型低床車の他、かつて関西空港交通(KATE)や南海バスで活躍していた大型長尺車が入っている。2010年代以降は南海グループ外からも中古車を多数導入し(供給元については#移籍車の供給元を参照)低床車への置き換えを図っている。また大阪府内への自動車排出ガス規制に対応するため高速車を一斉更新している。
通常の始業検査・交番検査や小規模な修繕は営業所内に併設されている検修施設で行われるが、国土交通省が定める車検と車体更新等の大規模修繕については、特殊な場合を除きすべて大阪府泉佐野市にある南海車両工業まで回送され検査が行われる。そのため、通常は乗り入れすることのない車両を大阪府内で見かけることもごく稀にある(大阪府生活環境の保全等に関する条例適用外車両であっても特例で和歌山営業所・和歌山市駅詰所 - 南海車両工業間の走行が認められている[要出典])。また、営業所内に併設されている検修作業が輻輳しているときは、熊野御坊南海バス御坊営業所まで回送し、検修業務が委託される[要出典]。
2023年3月31日現在、86台のバス車両を保有する。うちノンステップバスは57台、低床バス(ここではノンステップバス、ワンステップバス、スロープ付きバスを指す)は7台[10]。
2023年3月に13年ぶりとなる自社発注による新車(和歌山200か832:いすゞ・エルガ)を導入し4月7日より運行を開始した。同時期に導入した中古車(和歌山200か833:日野・レインボー)とは異なる新たなデザインの塗装となった[43][44]。
2019年4月1日よりバスロケーションシステムが開始され、利用者がバスの位置情報を把握することが可能となった。この情報を活用してスマートフォンアプリに運行情報が配信され、液晶型案内機器(LCD)がJR和歌山駅西口構内、医大病院前(中央入口内ロビー)、和歌山マリーナシティ(黒潮市場内)に設置されている。日本語のほか、英語、簡体字中国語と韓国語に対応している。また各バス停に表示されたQRコードを読み込みサイトにアクセスすることが可能である。
以下の3タイプのバス塗装がある。
かつては以下の塗装も見られた。
高速バス、リムジンバスを除いた一般路線の年間輸送人員は下記の通りである[45]。
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