パチンコとは、ガラス板で覆った多数の釘が打たれた盤面上に小さな鋼球を盤面左下から弾き出し、釘に従って落ちる玉が特定の入賞口に入ると、得点あるいは賞球が得られる日本特有の遊技である。漢字表記は「自動球遊器」。最も一般的な営業形態は風俗営業として、客が遊技の結果得た鋼球をパチンコ店が指定する特殊景品と交換し、景品買取業者(古物商)が運営する景品交換所がそれを買い取る形で現金と交換するシステムとなっている。日本においては風俗営業に分類される。規制が年々強化され、2023年12月末時点でパチンコホール経営企業数は、前2022年同月末比で228社減少し1,825社[2]。2024年12月末時点で、全日本遊技事業協同組合連合会加盟のパチンコホール店舗数は6,022店舗[3][4]。公益財団法人・日本生産性本部の余暇創研が2021年に発表した『レジャー白書2021』によると、日本のパチンコ・パチスロの市場規模(ホールでの貸し玉料の総計)は14兆6000億円[5]。ただしパチンコは客への還元率が85%程度と言われているので、ホールの実際の売上はこの15%程度である[6]。ダイコク電機が、2023年に発表した「DK SIS白書2023版」によると、パチンコの市場規模に相当する粗利規模は2.38兆円である[7]。
パチンコ遊技機(ゲーム機)そのものは「パチンコ台」と呼ばれる。ただし、「パチンコ」は通称であって、風営法上では「ぱちんこ遊技機」とひらがなで名称されている。パチンコ設備を設けた遊技施設は、施設設立前に警察に営業許可を事前に求めなくてはならない。呼称で最も一般的には「パチンコ店」または「パチンコ屋」と呼ばれるが、パチンコ業界やパチンコ雑誌などでは「パーラー」・「ホール」と呼ぶ場合もある。店名にパーラーが入っている店舗も多数存在する。このような遊技施設は、1930年に最初の店舗が開店し、その後第二次世界大戦時は不要不急の産業として一時は全面禁止となったが、終戦後に復活した。
2009年現在、日本以外ではアメリカのグアムなどにパチンコ店が存在しているが、賭博(カジノ)として位置づけられ、規制を受けている。また中華民国(台湾)では、法律上で禁止されている(ただし実際には多数の非合法店が営業を行っている[8])。大韓民国では在日韓国人によってパチンコが持ち込まれ流行していたが、「人間を怠惰にして、人生を狂わせる」として[9]、2006年からはパチンコにおいてそれまで利用されていた商品券の換金が停止、事実上の法規制となった[10][注 1](メダルチギも参照)。また、北朝鮮の平壌にもパチンコ店が存在している[11]。
日本国内のパチンコ店で行われる営業(以下「パチンコ営業」)は、法的には風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(以下「風営法」)[注 2]同法は1948年(昭和23年)7月10日に「風俗営業取締法」という題名で公布された(昭和23年法律第122号)。2回改題されており、施行済み最終改正は2005年11月7日公布、翌年10月1日までに施行(2008年8月1日現在)。改題を伴った改正は次の通り。
第2条第1項第4号で「設備を設けて客に射幸心をそそるおそれのある遊技をさせる営業」として定める風俗営業[注 3]で、遊技の結果で得た鋼球を賞品と交換され、パチンコ店から現金が持ち込まれている景品交換所[12][13]で現金と交換される営業が行われる。このような遊技施設は、18歳未満の者は営業所に立ち入ってはならない旨を入り口に表示するよう義務づけられる(風営法第18条)とともに、客として立ち入らせることを禁じられている(風営法第22条第1項第5号)。
パチンコ遊技施設は、現在ではギャンブル的要素を持つが庶民の身近な娯楽施設として、都市や地方を問わず国内各地にくまなく存在している。このために、多くの社会的問題を抱えている(→パチンコ#パチンコの問題点参照)。変わったところでは、2017年2月1日、九州で「P-ZONE」を展開する株式会社パラダイスが経営する複合型リゾートホテル「ザ パラダイスガーデン サセボ」(佐世保市)にて、パチンコホール「パラダイス」がオープンした。この店舗は日本人でも利用可能だが外国人宿泊客をターゲットとしており、4ヵ国語(英語、中国語、朝鮮語、台湾語)で書かれた遊技台や機種の説明書を設置しているほか、営業時間はホテルのチェックインに揃えた16時から22時40分まで、また宿泊客に外国人がいない日は休業とするなど独特な営業形態を採っている[14]。
パチンコ店以外では、ゲームセンターや露店などにてもパチンコ台が設置・運営されるが、この場合は鋼球と景品との交換は行われない。以前は一定数の得点に到達すると景品が払い出されるマシンが多数存在したが、風営法の規制強化に伴い全て禁止となった[注 4]。コンシューマ分野においては、中古のパチンコ台、パチスロ台を個人向けに売買する市場があり[注 5]、また、このようなパチンコ台の特徴を模した玩具や、シミュレーションゲームとしてのビデオゲームも存在する。 近年、スマホやPCといった端末を使用し、スマホアプリやブラウザからインターネットにアクセスすることでネット上のバーチャル店舗型オンラインパチンコにおいて、ビデオゲームパチンコの遊戯が可能となっている。
パチンコ店としての風俗営業は、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の第二条第一項第四号[15](いわゆる「第4号」)に基づいて運営される。パチンコ台を設置するゲームセンターは同法においていわゆる「5号営業」に該当する(運営に関する詳細は「ゲームセンター」を参照)。
日本国内のパチンコ店で行われる営業(以下「パチンコ営業」)は、遊技の結果によって賞品を提供している。この根拠となる法令は、風営法第4条(許可の基準)、同法施行令第7条(政令で定める営業)、同第10条(遊技機の種類)、同第11条(政令で定める営業が遊技の結果に応じ客に賞品を提供させる営業であることを明記)、風適法施行規則第36条(遊技料金等の基準)である。
これら法令に基づく営業において景品を提供する事自体は合法であるが、現金や有価証券を提供することは禁止している。しかし、客が獲得した景品を古物商に売却して現金化(換金行為)する事例が多く、客から古物商が受け取った景品は景品問屋を通じてパチンコ店に卸されており、これを事実上の賭博行為として問題視する意見もあるなど、多くの社会的問題を抱えている(→パチンコ#パチンコの問題点参照)。
『レジャー白書2023』によれば、2022年のパチンコの参加人口は前年比50万人増の770万人、パチンコホールの貸玉量は14兆6000億円であった[22]。なお『レジャー白書2015』で市場規模が過去に遡って修正されたことで、市場規模のピークは1995年の30兆9000億円から2005年の34兆8620億円に修正された[25]。ただし出玉により客に還元される分があり、店舗平均の還元率が85%程度だといわれているので、パチンコホールの実際の売り上げは貸玉料の15%程度ということに留意する必要がある[6]。また参加人口は、娯楽の多様化、古臭くて不健康・不健全なイメージによる若者離れ、法改正によるギャンブル性の低下による客離れ、社会問題視されたパチンコ依存症などが指摘され、年々減少し、現在過去最低水準にある。
パチンコチェーンストア協会によると、2016年8月のパチンコホール企業の就業人口だけで約24万人であった[26](メーカーなどは含まず)。産業界においては、パチンコ台のハイテク化が進んでICチップや液晶モニターなどが多用されるようになった結果、ハイテク産業に関連する大手企業の業績をも左右するほどの重要な市場となっている[27]。
パチンコの売上は、客への払い戻しを考慮しておらず、パチンコの市場規模は売上の15%程度である。売上から払い戻し額を差し引いたものを粗利規模[18]と呼び、実際のパチンコの市場規模を表す指標として使用されている。海外のカジノ・ゲーミング産業では、プレイヤーが投じた金額から獲得した金額を引いたものを売上(Gross Gaming Revenue)として計上するのが一般的である。ネバダ州全体やネバダ州ラスベガス・ストリップ地区、マカオ、シンガポールのカジノの市場規模が各々、155億USドル(約2兆1855億円、1USドル141円、2023年)[28]、89億USドル(約1兆2549億円、1USドル141円、2023年)[28]、約1831億マカオパタカ(約3兆1976億円、1マカオパタカ約17円、2023年)[29]、52.5億シンガポールドル(約5618億円、1シンガポールドル107円、2023年)[30]であるが、それは上記の会計処理基準であるためである。日本のギャンブル産業では、プレイヤーが投じた金額を売上と呼んでいるため、日本と海外で、ギャンブルの売上を比較する場合、注意が必要である。日本の他のギャンブルの市場規模を粗利規模で表すと以下の通りである。なお、中央競馬(JRA)の売上10%は政府への国庫納付金として納められる[31][32]。
ちなみに、アメリカ・ゲーミング協会(AGA)によるとアメリカのカジノ・ゲーミング産業の売上(市場規模)は、655億USドル(約9兆2355億円、1USドル141円、2023年)[41]である。2021年は、530億USドル(6兆950億円、1USドル115円、2021年)[42]、また、宝くじ(Lottery)の市場規模は、269億USドル(約3兆935億円、1USドル115円、2021年)[43]、競馬(Horse racing)の市場規模は、35.2億USドル(約4048億円、1USドル115円、2021年)[44]である。これらのギャンブルを合わせた、アメリカのギャンブル産業全体の市場規模は、834億USドル(約9兆5910億円、1USドル115円、2021年)と推定される。アメリカの名目GDPは、23.3兆USドル(2021年)[45]であるから、アメリカのギャンブル産業全体の市場規模は、GDP比0.36%(2021年)と推定される。同様に、中国のGDPは、126兆元(2023年)[46]、国営宝くじの市場規模は、5797億元(2023年)[47]、 マカオのカジノの市場規模は、約1650億元(1元1.11マカオパタカ、2023年)[29]、中国のギャンブル産業の市場規模は、7445億元(2023年)、GDP比0.59%(2023年)と推定される。シンガポールのGDPは、6506億シンガポールドル(推定、2023年)[48][49]。カジノの市場規模は、52.5億シンガポールドル(2023年)[30]、GDP比0.82%(2023年)と推定される。グレートブリテン(イギリス) のGDPは、2.28兆GBポンド(2023年)[50]、ギャンブルの市場規模は、151億GBポンド(2023年)[51]、GDP比0.61%(2023年)と推定される。
日本では、公営ギャンブルとパチンコを合わせた、日本のギャンブル産業全体の市場規模は、4.59兆円と推定される。日本の名目GDPは、559兆円(2022年)[52]であるから、日本のギャンブル産業全体の市場規模は、GDP比0.82%(2022年)と推定される。
2021年と2022年のデータの比較であるが、日本はアメリカに比べてGDP当たり2.28倍のギャンブル産業の市場規模があり、日本はアメリカに比べて、ギャンブルが盛んであると言える。
以下に各国のGDPとGDP比のギャンブル市場規模の表を記す。
ヨーロッパ、英米、中国、シンガポール、日本の中で、日本は、ギャンブルが盛んな国であると言える。
2004年7月に改正された遊技規則の影響を受け、2004年6月以前に保安通信協会(保通協。当時の名称は「保安電子通信技術協会」)の検定を通過したパチンコ遊技機やその他の遊技機は、遅くとも2007年9月末までに全て撤去することが義務付けられた。また大当たりの連チャンが人気だった4号機パチスロ機も同時に撤去対象となっており、これに伴いパチンコホールは入替のために多額の費用負担を強いられた上、射幸心をあおる遊技機の規制により大幅な客離れが見込まれたため、金融機関もパチンコ業界へのファイナンスに対し非常に慎重になった。そうしたあおりを受け、2007年4月27日には業界第6位のダイエー(本社・会津若松市)が東京地方裁判所に民事再生法の適用を申請したことを代表に、2007年度のパチンコ店倒産件数は前年比37.1%増の大幅増加となった[62]。
パチンコ台は、多くは木製の板(現在はアクリル製が多い)に多数の真鍮製の釘が打ち込まれた盤をほぼ垂直に立て、前面をアクリル板で覆い、ここに直径11ミリメートル、重さ5グラムのパチンコ球と呼ばれる鋼球を据え付けられている発射装置によって弾き入れる。弾かれた球は、盤面上の釘や羽根、回転体などの構造物に当たりながら複雑な軌跡で盤面を落ちて行き、この間に球が入賞穴と呼ばれる入賞口に入ると、15個以内の規定数の入賞球を獲得することができる。盤面には、遊技の妙味を増すために、「役物(ヤクモノ)」と呼ばれる特別な入賞口や仕掛けが施されている。役物は機械仕掛け・電気仕掛けにとどまらず、近年ではデジタル部品を駆使したデジパチと呼ばれるハイテク度の強い機種が主流である。
パチンコの遊技料金は、国家公安委員会規則である風営法施行規則で規定されている。1978年12月12日に3円から4円への値上げが認められて[74]以降、長い間玉1個につき4円以下と定められていたが、2014年4月に「貸し玉料金に消費税相当分の上乗せを認める」旨の改正が行われ、玉1個につき消費税込みで4.4円以下(2019年10月現在)となっている。ただし上限いっぱいの4.4円貸しでは、一般的な貸玉1回の単位である500円で割り切れないため、実際には貸玉カードの精算機を1円単位で返金できるようにして4.4円貸しとするか、500円で割り切れる単位の貸玉料金とする(例:500円あたり114個貸し=1個につき約4.38円)等の対応が求められる[75]。
以前は、ほぼすべての店舗が貸玉料金1玉4円で営業していたが、2006年頃から1玉1円での営業スタイルが広がり始め、現在では貸玉料金を1玉0.5円、0.2円、0.1円、2円等に下げ、低資金で長時間の遊技が可能である事を稼働率回復の特効薬とする店舗が多数存在する。これらを4円パチンコは「よんぱち」[76]、1円パチンコは「わんぱち」[77]「いちぱち」[78]、2円パチンコは「にぱち」[79]「にこぱち」[80]等の名称で宣伝、呼称している業者が存在する。
また、2014年4月以降貸玉料金に消費税相当分の上乗せが出来るようになったことから、低貸玉営業においても一部の店舗では貸玉料金に消費税分を上乗せ(1円パチンコの場合1.02円から1.25円程度)するようになった[81]。
風俗営業としてのパチンコ営業では、客が遊技の結果で得た玉などを賞品と交換する[注 6]。風営法は営業者に、現金や有価証券を賞品として提供することや客に提供した賞品を買い取ることを禁じたり(23条1項)[注 7]、賞品の価格の最高限度に関する基準(国家公安委員会規則で定める。2014年4月現在、最大賞品価格は9,600円で消費税込み10,368円[82])に従った営業を義務づけ(19条)たりして、パチンコの射幸性を抑制している。
なお、2012年頃から警察庁ではパチンコ玉・メダルと景品の交換率を店舗単位で統一することを求めるようになったが(いわゆる「一物一価」)、地域によって取り組みはばらついており、2014年現在は必ずしも徹底されていない。
提供される賞品は、一般的に「一般景品」と「特殊景品」の2種類に大別される。
風営法施行規則35条2項2号では景品として「客が一般に日常生活の用に供すると考えられる物品のうちから、できる限り多くの種類のものを取りそろえておくこと」を店舗に求めている。そのため、タバコや菓子のほか、店によってネクタイ・ハンカチ・靴下などの洋装小物、電気製品、化粧品、大衆薬、アクセサリー、CDやDVD、食料品など様々で、大型のパチンコ店内の景品交換コーナーはコンビニエンスストアや小型のスーパーマーケットにも似る。
警察庁では2006年12月に、パチンコ景品として最低500種類以上(ホールの設置台数が500台以上の場合はその台数と同数以上の種類。うち最低200種類は実物を展示)、品目としては家庭用品・衣料品・食料品・教養娯楽用品・嗜好品・身の回り品・その他の7品目中5品目以上を取り揃えるよう求める通達を出している[83]。
特殊景品とは、パチンコ店外に設置されている、各都道府県の公安委員会に古物商の許可を受けた景品買取所に売却することを前提とする景品を指す。これによりパチンコはギャンブル的な要素を持つとされている[84]。しかし、前出した風営法23条1項の禁止規定があるので、パチンコ店が景品交換所を経営することはできない。そのため、パチンコ業界はパチンコがギャンブルではないという建前で、三店方式(もしくは四店方式)と呼ばれる方法を採っている。
1970年代後半頃までのパチンコ台には現在のようなハンドルはなく、玉を弾くスプリングを戻す強さの加減をレバーを使って手動で行いながら一発一発打つようになっていた(参考画像)。この微妙な力加減もパチンコ遊技の醍醐味であり、1952年公開の日本映画『生きる』では、そうした手動のパチンコ台が描写されている場面がある。 現在のパチンコ台は玉の自動射出機構を備えており、ハンドルに手を添えるだけで玉を打つことができる。玉の射出頻度は、パチンコで0.6秒に1発、アレパチでは0.5秒に1発以内と規定されており、またハンドルに手を添えている間は永続的に玉が射出されるため、射出を一時的に停止させるストッパーの機能を持った押しボタンがパチンコ台に搭載されている。この押しボタンはハンドルの右手親指で押せる位置に取り付けられているものが殆どだが、中には2005年から2007年にかけて京楽が採用していた台枠「ビッグ バン」のように、ハンドルではなくハンドル真上の右手人差し指で押せる位置に取り付けていたものもあった[85]。また、大都技研の台では、ハンドルに自動で玉の射出が最大出力となるボタンを搭載しており、大当たりで右打ちする際にハンドルを右に回さなくても右打ちできる機能を搭載している。なお、パチンコ遊技には最低限の技術介入が求められるため、ハンドルを硬貨や器具などで固定して遊技することは風営法施行規則で禁じられており[注 8]、それを防止する目的として、ハンドルには素手で触れていることを検知するセンサーが取り付けられている(手袋をはめたままでは玉が射出されず、遊技できない)。
このように、現在のパチンコ台ではハンドルが当たり前となっている中で、パチンコ台メーカーの業界団体である日本遊技機工業組合に2015年に組合員として新たに加盟したA-gon[注 9]が、およそ40年ぶりとなる手動レバーを採用した新台「CRA-gon昭和物語」を発表、同年12月よりホールに設置した[87]。
かつてのパチンコ台では、アタッカーは台中央の一番下の部分に取り付けられていた。また、抽選を開始する始動入賞口(以下、ヘソ)は中央部の液晶画面真下に設けられているのが一般的で、左打ち・右打ちいずれでもヘソに玉が入るようになっていた。だが、現在のパチンコ台では液晶画面が大型化したことや動く役物(ヤクモノ)が搭載されているため、ヘソは台中央より下部に移動し、また大当たり時の出玉の消化を早めるために最速でアタッカーへ届くよう、アタッカーは右端下部に取り付けられているものが殆どである。そのため、現在では通常時は左打ち、確変時は右打ち(ハンドルを右に目いっぱい回して最大出力)、としている台が主流である。また、電動チューリップ(以下、電チュー)もかつてはヘソに搭載されていた[注 10]が、現在の台では電チューは右端のアタッカーの手前に設けられており、確変時またはチャンスタイム時の抽選のスピードアップに用いられるのみとなっている。
玉を貸し出すために所定のプリペイドカードを読み取らせる機器が付いたパチンコ機であるCR機の導入以降、1回の大当たり(特賞)の入賞球を増やしたり、確率変動(確変)を導入して大当たりの確率を高める代わりに特賞以外の入賞球を減らすなど、射幸心をあおる傾向にある。本来の風営法では客に射幸心をそそるおそれのある遊技機を禁止しているのにもかかわらず、脱税対策を建前としたCR機の普及のために、射幸心をあおる傾向にある遊技機を認可したことが原因であると言われる[88]。
現在のパチンコ台ではタイアップ機と呼ばれる、映画・ドラマ・漫画・アニメ・特撮ドラマなど、いわゆるフィクション作品を題材にしたもの、あるいは著名芸能人が監修またはモチーフとするものが殆どである(詳細は後述)。
2000年代に入ってからは、音楽業界がCDの売り上げが落ち込む中で、モチーフとするタレントの肖像権料に加え、リーチや大当たり演出中の楽曲使用による版権収入が(更に台の売り上げが伸びればインセンティブ収入も)見込めることから、パチンコ市場に大いに注目するようになった。実際に、2007年度のJASRAC賞で銀賞を受賞した「エヴァンゲリオンBGM」においては、パチンコ・パチスロでの著作権使用料が同楽曲の使用料全体の44%を占めており、パチンコ機から得られる版権収入がカラオケ・着うた等と並んで音楽業界において無視できない金額となってきたことを示した[89]。
既に述べた通り、現在の遊技機はデジタル部品を駆使したデジパチが主流であり、ハイテクの塊でもある。本体内部のROMの性能向上と容量の増加により、モチーフとなったアニメやドラマなどの映像をほぼオリジナルのままリーチ演出や大当たり演出に組み込んだりできるようになったほか、LEDを使用したカラフルな演出や、盤面にある「役物(ヤクモノ)」も仕掛けが大型化・派手なものになるなど、進化を遂げている。中には牙狼シリーズのように台枠から役物が飛び出すものも登場している。ただ、その一方で、ハイテク化や装置の複雑化、チャンスボタンの代わりとなるギミックの搭載、サブ画面としての小型液晶モニターの搭載などもあり、1台あたりの販売価格が以前より高騰している[90]。例えば2015年10月発売の「CRぱちんこ 仮面ライダーフルスロットル」の販売価格は発売当時史上最高額となる1台52万円であった[注 11]。また、2017年5月発売の「CR必殺仕事人Ⅴ」は1台49万5000円であった[92]。
インターネット上では、近年のパチンコ台をゲームにしたパチンコゲームと呼ばれるものも人気を集めている。
遊技機は国家公安委員会の指定試験機関である保安通信協会によって規定上の条件を満たしているか試験が行われ、その後各都道府県の公安委員会の検定を受け、その後ホールに設置され、所轄警察署が試験を行う。全ての試験を合格して初めて客が遊技することが可能となる。
検定の有効期間は3年間とされ、有効期間を過ぎた遊技機(いわゆる「みなし機」)は現行法下の遊技機については引き続きの設置は可能だが(一度店舗から撤去した遊技機の再設置は不可)、検定が満了しているため変更が一切認められない。そのため故障などの場合は、部品などの交換や修理が出来ないことから、故障のまま放置するか、新しい遊技機と入れ替える必要がある(故障したまま稼動を続けることは出来ない)。なお、過去に数度行われた「みなし機」撤去は、法が改正され遊技機の基準を満たさなくなったために行われたものであり、現行法が改正されない限り、現行法下での検定を合格した遊技機(以下「現行機」)は、検定期間が満了した際に撤去しなければならない、ということではない。
現行機については、検定の有効期間内に業界の自主規制基準である「中古遊技機流通健全化要綱」に基づいた認定を受けることで、認定日からさらに3年間設置運用(部品交換等の変更可)が認められるが、認定切れ時の再認定は事実上認められていないため(法的には不可能ではない[93])、最長でも検定合格から6年間経過するとほぼ強制的に「みなし機」扱いとなる。ちなみに再認定が困難なのは、型式要件を満たしていること保証するための書類等を遊技場が作成する必要があるためである(初回認定時は製造業者発行の検定書類などで対応できる)。
2015年11月以降に設置している遊技機においては、概ね以下の基準に沿って作られている。
また、2018年2月より以下の新基準が施行された。初当たり時における大当たり確率の下限は1/320で変更ないものの、
このほか、2018年2月1日以前に検定を通過した機種は、検定期間満了まで設置可能(最長3年間)とされたことや、カードユニットとの接続仕様を明確にし、カードユニットが遊技球等貸出装置接続端子板に接続されていない場合に遊技球を発射できないことや、遊技球等貸出装置接続端子板を有さないものに確率変動機能は搭載できないことが明記された。また、型式名については種類ごとに判別できるように基本記号を型式名の最初に付与することとし、接頭辞はそれまでの「CR」に代わり、パチンコは「P」(第1号機種は、2018年8月より設置されたSANKYO「Pフィーバー革命機ヴァルヴレイヴ」)、アレンジボールは「R」、じゃん球は「J」、ちょいパチは「Pちょいパチ」(現金機・その他は接頭辞なし)。さらに、のめり込み対策の強化を目的に注意喚起の統一フレーズの液晶表示も明記しており、表示契機は「大当たり後」と「客待ち中」の2ヶ所とし、表示時間は2秒以上、「パチンコ・パチスロは適度に楽しむ遊びです。」と「のめり込みに注意しましょう。」の2つの統一フレーズを挿入することになっている。ほかにも、主基板のセキュリティ性能や周辺基板に関する取り決め等も明記されており、演出表示器に使用するデータ用ロムの記憶容量については総じて64ギガビットを上限とすることなどが挙げられている。
2023年4月からは、筐体の中にパチンコ球が封入され、プレイヤーが球を触る必要がない「スマパチ」(スマートパチンコ)の導入が始まった。スマパチは、筐体に上皿・下皿がないなどの特徴を持つ他、大当り確率や出玉性能の面でも既存のP機との差別化が図られている[94]。型式名の接頭辞はパチンコでは「P」に対して、スマパチでは「e」となる。
現在のパチンコ・パチスロには、児童向けの漫画、アニメ、特撮、ハリウッド映画といったキャラクター・版権ものから、歌手、俳優、女優などの芸能人まで起用したタイアップが多数展開されている。特にキャラクター・版権ものについては、かつてそれらの作品に慣れ親しんだファン層をパチンコへの新規ユーザーとして取り組む宣伝効果を狙ったものと考えられる。また、タイアップ機種によっては版権等の問題から複数のメーカーから機種が販売されたケースが存在する。ただ、中にはゲーム性が合わなかったり、世の中のトレンドが変わったりして、結局パチンコ化できずにお蔵入りする版権も少なくなく、他にもコンテンツのイメージを崩したくない権利者が色々とつける注文に応えたために却ってつまらない遊技台になってしまったケースもある[90]。
なお、パチンコ機やパチスロ機の大ヒットにより、パチンコ・パチスロユーザーがそのモチーフとなった作品に興味を持つことで新規ファンを獲得し、その作品の人気復活に大きな貢献を果たしたことに加え、資金面に目途が立ち新作の製作に繋がるなど関連ビジネスが活性化したという側面も見せるようになった。例えば、2003年に発売された「北斗の拳」(パチスロ)や2004年に発売された「新世紀エヴァンゲリオン」(パチンコ)のように、人気機種となり空前の大ヒットとなったことで、それまで原作に馴染みのなかったパチンコ・パチスロを打ったユーザーが新たに原作コミックスや愛蔵版、アニメDVDなどを買い求めることで、新たなファンを獲得するといったケースも生まれている[90][注 12]。
一方で、権利者(特に現在も少年誌等で作品を執筆中の者など)によっては「作品の性質上ギャンブルには似つかわしくない」「自分たちが創り出してきた大切な作品の数々をギャンブルに使われたくない」「子供やファンの夢を壊すことになる(ギャンブル自体を嫌うファンもいる)」といった理由により、「ギャンブル(その他児童に提供できない商品・サービス)に対しキャラクター(およびその作品)の使用は許可しない」とするケースも見られる[90][95]。例えば、『ドラゴンボール』は大ヒットが見込める優良コンテンツとしてメーカー各社が版権獲得に動いたが、原作者の鳥山明が首を縦に振らなかったと言われており[90]、また『キャプテン翼』の原作者である高橋陽一も、2000年頃から同作品のパチンコ化へのオファーはあったが「子供向け作品だから」という理由で当初は断っていたことを明かしている[95]。
近年は、タイアップしたアニメやドラマで新作が製作された場合はパチンコ機メーカーが番組スポンサーに就くケースも多く見られるようになっている(「『牙狼〈GARO〉』シリーズ(途中より)」、『おそ松さん』、『ルパン三世』(TV第4シリーズ)、『地獄少女 宵伽』などが例)。
風俗営業としてのパチンコには、さまざまな社会問題の存在が指摘されている。以下に問題点とされる事例・要因とパチンコを支持する側のそれに対する反論[96]を挙げる。
パチンコは前述の通り「特殊景品」を景品交換所に持ち込むことで現金に交換することが可能である(三店方式)。客が獲得した景品を買い取り現金化する「買人(バイニン)が出現するのは1952年頃で、関西の反社会的集団によってはじめられたと言われている[97]。このような換金するための景品を還流させるシステムから反社会的集団を排除できる、よりましな手段として、1961年に大阪で導入されて全国に拡大した経緯がある[98]。これが法律違反に当たるかどうかについて、1968年の福岡高等裁判所では、「交換所が顧客から買い上げた特殊景品が景品問屋でシャッフルされる形で複数のホールに卸されているため、ホールの特殊景品が交換所や景品問屋を経てそのままストレートに最初のホールに戻ってくると特定できない」として「三店方式が風俗営業法条例違反に当たらない」として無罪判決が下されている[99]。
賭博(ギャンブル)とは刑法においては、「金品などを賭け、偶然性の要素を含む勝負を行い、その結果によって賭けた金品の再分配を行うもの」をいい、このような「賭博」は、賭博罪として刑法185条によって禁じられている。ここで「金品」には景品も含まれるため賭博罪の正否が問題となる。パチンコでは現金や有価証券ではなく賞品を景品として出すことが風俗営業法で認められているため、刑法第35条の「法令又は正当な業務による行為」として刑事罰の対象にはならない。
なお、日本国内における、海外の賭博場であるカジノを模した遊技場は、風俗営業適正化法では5号営業としており、風俗営業適正化法第13条は、その5号営業では遊技の結果に応じて賞品を提供することが禁じている[注 13]。そのため、そのようなカジノを模した遊技場が三店方式を模倣した場合、遊技の結果による賞品の提供がこれに抵触するので、違法行為となる。
これらの状況については、警察・検察のパチンコ業界との癒着が指摘されている[100][101]。産経新聞は景品交換所での現金化は「事実上の賭博」に該当しており、警察が黙認しているとしている[102]。
警察庁はパチンコ業界の監督官庁として、その外郭団体である保安通信協会で遊技機の仕様が適正であるかどうかを調べる試験を行ったり、さらに、試験に通過した機種を実際に営業に供して良いかどうかの検定を各都道府県の公安委員会で行ったり、あるいは店舗営業の許可を与えたりするなどの権限を握る立場にあるため、癒着が発生しやすい関係にある。例えば、遊技機の型式試験を行う保安電子通信技術協会の前会長は元警察庁長官であった山本鎮彦であり、職員の1/3を警察出身者が占めることや、パチンコメーカー・アルゼでは元警視総監である前田健治を常勤顧問として迎え入れていたなど、関連団体や企業への天下りとも解釈できる例が見られる[88]。
パチンコ業者の団体である東京商業流通協同組合、東京ユニオンサーキュレーションなどに、多くの警察官が天下りしている[100]。また、貸金業のクレディセゾンの連結会社であるパチンコ業界大手のコンサートホールは、各店舗ごとに警察官1名の天下りを受け入れることを警察への求人で表明している[100]。このようなことから、ジャーナリストの寺澤有は「日本全国でパチンコの違法状態が放置されている理由は、他でもない警察が換金業務を牛耳っているからである」と問題視している[100]。
2007年から、インターネットイニシアティブ(IIJ)の連結子会社であるトラストネットワークス[103][104]によってパチンコ店へのATM設置が行われるようになり、2010年にはトラストネットワークスが投資家に「今後4~5年間程度で約8,000台のATMを導入していく」とATMの設置をさらに推し進めることを表明。一方で「パチンコ店内のATM設置は依存症が強いパチンコの利用を煽らせて金銭の浪費を容易化させる」としてジャーナリストや日本共産党によって積極的にATMの設置問題が取り上げられるようになった[105][106]。
パチンコ内でのATM設置自体は違法ではなく、風俗営業法第9条では警察に届け出をすることしか規定されていない。しかし、パチンコのATM設置を問題視する立場からは、ジャーナリストの小出康成はパチンコ店内におけるATMの設置に関する届け出は警察の実質的な許可となっている構造であること、日本共産党はATM設置届け出に対して何らかの手だてをとることができたということを前提にした上で警察が規制を一切行っていないことをそれぞれ問題視し、パチンコ店へのATM設置及びパチンコ業界の規制官庁である警察について批判的な言論を展開した[107][105]。
このため、トラストネットワークスと提携してATM設置をすすめていた農林中央金庫や地方銀行が新規の設置を中止することやパチンコ店内ATM事業に協力しないよう傘下の団体に通知するなどの動きが生じたため、パチンコ店への新規のATMの設置が取りやめになるなどの影響が出ている[106]。トラストネットワークスはATMで1日に引き出せる上限を3万円までとし、ATMからの現金引き出しに歯止めをかける仕組みを提示している。
精神医学においては行動嗜癖であり、国際疾病分類ICD-10の「精神および行動の障害」の「成人の習慣と衝動の障害」という項目にある、「病的賭博(pathological gambling)」の一つとされる。一般的には「ギャンブル依存症」とも呼ばれる。パチンコの場合気楽に行けるためカジノより危険であると考えられており、カジノの問題より最優先でパチンコへの対策が喫緊の課題として浮上している[108]。
パチンコの大当たり時には、脳から大量のβ-エンドルフィン、ドーパミンなどの神経伝達物質(脳内麻薬とも呼ばれる)が分泌される[88]。このため一種の薬物依存に近い状態に陥り、パチンコに依存する恐れがある(『報酬系』)。心理学者のバラス・スキナーによるネズミを使った実験(スキナー箱)では「ボタンを押すと"必ず"エサが出る」仕組みより、「ボタンを何回か押していると、"ランダムに"エサが出ることがある」仕組み(「間欠強化」)の方が、急にエサを出さなくなった場合であっても、ネズミは長い時間に渡ってボタンを押し続けることが判明しており、多くのパチンコ客が『ハマリ』に陥った場合でもパチンコを続けるのは、この仕組みで説明できる[109]。
このパチンコ依存症は性癖や意思の問題として扱われたため、「治療できる」病気であることが理解されず放置され、治療行為が行われなかったために勉学や勤労への意欲を喪失した例や、さらに借金をしてまでパチンコにのめり込み多重債務や自殺といった悪循環に陥る例もある。多重債務に付けいる消費者金融や闇金融のありさまと併せて社会問題視(クレサラ問題)された。このことから、2005年頃から東京都遊技業協同組合などの業界団体でもパチンコ依存症に対する注意の呼びかけや問題解消のためのカウンセリングの紹介といった事業が始められている。2006年からは日本全体の業界団体である全日本遊技事業協同組合連合会でも同様の取り組みを開始しており、パチンコ依存症は治療を要する「病気」であると共に、業界団体としても救済を必要とする問題と位置付けて[110]5年間分の運営費1億円を負担、同依存症に対する研究を進めるほか、専門相談員の育成を行うとアナウンスしている。
また民間では女性用回復施設の「ヌジュミ」が活動を始めている。パチンコ業界主導の依存症対策には疑問を投げかけている。回復者本人で精神保健福祉士が運営する相談カウンセリングセンター「横浜メンタルヘルスサポートセンター」[111]も活動し効果を上げている。
元臨床心理士・タレントで作家の松岡圭祐は、小説『催眠』や『千里眼の教室』の中で、パチンコ依存症を以下のように表現している。
乳幼児を駐車場の自動車内へを放置し、そのまま熱中症や脱水症状などで死亡させる事故(→ネグレクト)や、北関東連続幼女誘拐殺人事件(足利事件)のように、親がパチンコに興じていた隙に乳幼児が誘拐される事件が発生した事例もある。
そのため、全日本遊技事業協同組合連合会は子供の車内放置は児童虐待の防止等に関する法律の児童虐待にあたるとして車内放置根絶を目指し注意を喚起するキャンペーンを行っている[112]。対策として、加盟店内の一角に壁で仕切られた遊び場を設けて子供を預かったり、あるいは駐車場を店のスタッフが巡回して注意を呼び掛けている。同会の報告によると、巡回などで見つかった車内放置のケースは2006年度で37件、56人であった[113]。年度によるブレが大きく2013年から4年間は40人程度であったが2017年は104人であった[114]。
託児設備のあるパチンコ店も一部にはあるが、全国的にみても地方郊外店以外では導入に積極的ではない面もある。これについては、2006年5月から施行された改正風営法により、明らかに18歳未満と分かる者を入場させたホールに対して罰則規定が盛り込まれた。これにより立ち入り規制の徹底がされた店もあるが、以前と比べても立ち入り規制が取り締まられていない店も少なくない。ただし、取締りの強度は所轄の方針に左右され、大阪府などのように乳幼児まで含め完全に規制が徹底されているケースもある。
CR機導入以降は減少してはいるものの、依然として脱税が多く、業界全体として、国税庁の2004年度の調査では不正発見割合でみると、50.3%と約半数で脱税の疑いがあり、「不正発見割合の高い業種」「不正申告1件当たりの不正脱漏所得金額の大きな業種」では4206万2000円と、ともにパチンコがワースト2位にランクされている[115]。現金の流れが不透明な中小ホールでは、未だに脱税体質に変化がないものの、近年、一部の大手ホールでは決算において監査法人を受け入れるなど、ある程度の改善傾向もある。しかし2012年までに、日本全国に存在する40に及ぶパチンコ店グループが、租税回避目的で企業再編税制を導入することをコンサルティング会社から勧められ、これを導入した結果、税務当局から一斉に多額の申告漏れを指摘された事が判明している[116]。
業界各団体の健全化推進の努力が、継続的に行われているにもかかわらず、暴力団や海外マフィアが関わるコンピュータプログラムの内容を書き換えた違法改造ROM[117]、パチンコ店による不正基板への換装[118][117]、パチンコ店によるパソコンを利用した遠隔操作など[118][119]、風営法で禁じられている無承認構造変更や、玉貸機や計数機を改造して不当な利益を上げようとする、詐欺罪に相当する不正[120]などの、業界の信頼を失う不正行為が根絶できていない。[119]
韓国では、外見上はパチンコに類似した「メダルチギ」といわれる遊技機を置く店舗が1万5000店存在し、売上高は日本円にして約3兆円にのぼっていたが、2006年秋に換金行為・営業が禁止され、メダルチギ設置店舗は激減した(なお、POKKA吉田による解説も参照[96])。
プロサッカークラブ「大分トリニータ」に、2005年以降、大手パチンコ店チェーン「マルハン」がメインスポンサーとして支援してきたが、2007年にJリーグ側がパチンコ店のスポンサーを認めなくなったことから、2009年をもって撤退を余儀なくされた[135]。その結果、球団の収入が激減して経営が悪化し、Jリーグに対して緊急融資を要請する事態に陥った。
また、上記のような不透明性があるためか、パチンコ台や関連機器メーカーの上場(株式公開)企業はあるものの、パチンコ店(ホール)の上場は申請した企業はあったものの長年にわたって認められず、上場企業は1社もない状態が続いていた[注 14]。この背景には証券取引所のパチンコ店業界に対する厳しい姿勢[136]がある。しかし、2012年8月6日、大手パチンコ店のダイナム(正式には持株会社のダイナムジャパンホールディングス)が香港証券取引所に上場を果たし、これがホール企業初の上場例となった。その後、2015年4月にニラクが、2017年5月にはオークラがそれぞれパチンコホール運営会社として香港証券取引所で株式公開をしている。
パチンコ産業は在日韓国・朝鮮人の割合が高く[注 15]、韓国の中央日報によれば、日本に約1万6000〜7000店ほど存在するパチンコ店の経営者に占める割合は90%という指摘がある[138](2020年現在の店舗数は9000店程度に減少している)。『AERA』(2006年2月13日号)では全国のパチンコ店オーナーの国籍は「朝鮮籍の人が30〜40%、韓国籍が約50%を占め、あとは日本国籍、華僑系が各5%」だという[139]。また、2008年1月10日のハンギョレの記事ではパチンコ業界の6割が在日韓国・朝鮮系としている[140]。これらの数値は具体的な集計方法が不明であり、紙面によって数値が大きく変動していることや大手チェーン店をどのように扱っているかも不明であることに留意を要する。
民団傘下の「在日韓国商工会議所」では、所属する1万社のうち約7割がパチンコ業に係わっており[141]、韓国民団、朝鮮総連の幹部、団員に多数のパチンコ店経営者、関係者が存在するため、外事警察ではパチンコ業界が韓国民団、朝鮮総連の資金源と見ている[142]。
自民党の武藤嘉文元外務大臣は1993年の国会答弁にて、「パチンコの金が何千億と北朝鮮に行っている」と述べている[143][要ページ番号]。各メディアにおいても、北朝鮮送金問題に関して北朝鮮の資金源として、朝鮮総連に関係するパチンコ業界があるのではないかと言われる[88]。AP通信は2006年にパチンコで負けた損失が北朝鮮の核開発に流用されている可能性を危惧するパチンコファンの声や、「ドラッグとともにパチンコの収益が北朝鮮政府や軍の手に渡っている」という宮塚利雄の推測を伝えた[144]。『読売新聞』2012年4月15日によると、日本から北朝鮮への送金は現在はほとんど無く、持ち出し額も「年間約5億円」という。
『朝日新聞』2011年6月7日朝刊15面記事によると、90年代半ばに売り上げ30兆円・店舗数1万8000店は、2010年までに売り上げ20兆円・店舗数1万2000店の3分の2に激減しており、2011年現在のパチンコ店経営者の国籍は、韓国が5割、日本が3割、中国・台湾が1割、朝鮮(北朝鮮)籍が1割であるとされる。
パチンコは日本のみならずハワイや台湾など数カ国で営業している。日本で使われた中古台を活用し、スペックや連荘システムなどは現地仕様に改造してある。また、日本のように貸玉サンドに現金を投入するスタイルは少なく、カウンターで玉を購入するスタイルが多い。
韓国では日本のパチンコように玉を打ってプレイするスタイルではなく、メダルを入れ抽選後に当落を判断。技術介入要素は無いカジノのスロットマシーンのようなシステムであり、ダブルアップも存在する。当たったあとに商品券等が出て換金や商品と交換するシステムとなっている。射幸心の煽りなどのギャンブル性の問題が噴出し2005年に非合法化されたが、看板を変えて営業しているとされている。
韓国でパチンコが再び復活する可能性は非常に低いとされている。韓国政府は過去にパチンコがもたらした社会的な問題を重く見ている。2006年にパチンコが禁止された背景には、ギャンブル依存症の増加や経済的な損失が社会問題化したことがあげられる。政府はこれらの問題を再び引き起こすことを避けるため、厳格なギャンブル規制を維持している[145]。
また、韓国ではカジノ産業が一部合法化されているが、これは主に外国人観光客を対象としたものであり、国内のパチンコ店の復活とは異なる。さらに、パチンコ自体が日本文化に深く根付いたものであるため、韓国での再導入には文化的な違和感や反発が伴っていることがいえる。このような背景から、韓国でパチンコが復活する可能性が低いといえる。
台湾では、日本と異なり、当たった数字や再抽選後に出た数字によって連荘数が決定。また、ハンドルは固定手を離しても良い。目が届く範囲内での掛け持ち遊技も容認されている。
基本的に日本のシステムと似ているが、カウンターで玉を買う・手を離してのハンドル固定可能・全店禁煙などの差異がある。
パチンコ業界と関係の深い自民党国会議員らによって時代に適した風営法を求める議員連盟が結成されており、パチンコへの課税、換金合法化などを提言している。また業界団体パチンコチェーンストア協会には政治分野アドバイザーとして多数の政治家が挙げられている[146][147]。
2008年、在日本大韓民国民団の代表団が、韓国の李明博次期大統領当選を祝うために訪韓し、「パチンコ産業への規制による経営の苦しさ」を訴えた。李は、小沢一郎民主党代表との会談の際、民団から聞いたこととして、この話を小沢に伝え、「関心を持ってほしい」と要望した。小沢は「後日民団から聞く」と応じた[148][149]。後日、民団と在日韓国商工会議所が母体の「レジャー産業健全化推進協会」の協会幹部たちが「遊技業業界の規制緩和を訴える陳情書」を小沢へ提出することとなった[150]。上記と同様の陳情が2007年12月、泉信也国家公安委員長、森喜朗日韓議員連盟会長に対しても行われている[150]。
2010年、パチンコの換金合法化とカジノの解禁を目標とした超党派の議員連盟、国際観光産業振興議員連盟が発足した[102]。
2019年、秋元司前衆議院議員がパチンコ関連団体である全日本遊技産業政治連盟のパチンコ・パチスロ産業21世紀会を訪れ、参院選に対する自民党への協力を依頼している[151]。
マルハンはIT企業であるソフトバンク、人材派遣会社であるパソナと同じく、 大阪維新の会、その関連団体である日本維新の会の大口支援者という説がある[152]。[独自研究?]
パチンコ遊技機等製造会社の組合として、1960年設立の日本遊技機工業組合(日工組)がある。
◎ : 2017年時点で過去1年以内に新機種を供給しているメーカー ○ : 2017年時点で過去2年以内に新機種を供給しているメーカー × : 2017年時点で過去2年以上新機種を供給していないメーカー
パチンコについて歌った歌の一覧
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