アンジャッシュは、プロダクション人力舎に所属する児嶋一哉と渡部建からなる日本のお笑いコンビ、司会者。1994年デビュー。略称は「アンジャ」。『爆笑オンエアバトル』(NHK総合)第5代目チャンピオン。ともに東京都八王子市出身。
コンビ名の由来はJoy(喜)、Angry(怒)、Sad(哀)、Happy(楽)の頭文字を並べた「JASH」に否定を表す接頭辞の「UN」をつけた物で、「喜怒哀楽がない」といった意味である[1]。
メンバー
- 児嶋 一哉(こじま かずや、1972年7月16日(52歳) - )
- 黒沢清監督の映画『トウキョウソナタ』で役者デビューした[2]。
- 渡部 建(わたべ けん、1972年9月23日(52歳) - )
- 基本的にボケとツッコミは分かれていないが、一部のコントで児嶋がボケ、渡部がツッコミを担当している。
来歴
ヒロミの妹の同級生だった児嶋がヒロミに弟子入りを希望したもののヒロミが独立直後であったことと、その元所属事務所に養成所ができることになったことを理由に断られ、かわりにその養成所に入学することを薦められたのが児嶋個人の芸能界入りのきっかけである。そこで1993年、渡部は大学2年時に東京都立日野高等学校の同級生だった児嶋から「一緒にお笑いをやらないか」「お前しかいない」と誘われ、大学の遊びも落ち着いていた時期だったこともあり面白そうだと考えて快諾、現在のコンビを結成する(しかし、後に児嶋から「実は5人目に(渡部を)誘っていた」ことを打ち明けられている)。
初舞台はブッチャーブラザーズ主催の「アーバン寄席」。スクールJCA出身コンビ第1号ということもあり出世が早く[3]、同世代の芸人たちよりもテレビへの露出は結成当初から多かった[4]。
1999年から開催された『爆笑オンエアバトル』では常連出演者であり、『爆笑オンエアバトル チャンピオン大会』には第1回から出場、2003年に第5回チャンピオンとなる。しかし『オンバト』時代は他の出演番組がなくライブではいつもウケるのに借金は膨らんでゆくという状況で、一時は解散も過ぎったほどの苦しい時期だった[5]。2003年放送開始の『エンタの神様(日本テレビ)への出演をきっかけに仕事が安定するようになる[6]。
2020年6月9日、渡部が自身のスキャンダルを理由に芸能活動の自粛を申し入れた[7]ため、コンビ活動は事実上休止となったが児嶋や関係者は解散について「ない」と否定した[8]。
2022年2月、渡部が芸能活動を再開。『白黒アンジャッシュ』(千葉テレビ)の2月15日放送回がコンビ活動再開後初のコンビでのテレビ出演となった[9]。
2022年2月22日放送の『白黒アンジャッシュ』にて、立ち位置を今までと逆の渡部が左、児嶋が右にすること、大久保佳代子(オアシズ)に考案してもらった決めポーズを毎回すること、「大島さん」「児嶋だよ!」のいじりの流れの後には「スケベさん」「渡部だよ!」といじり返すことなどを決め「新生アンジャッシュ」として活動することが決まった[10]。しかし、児嶋は引き続きピンで地上波テレビへの出演はあるものの、コンビでの出演と渡部のピンによる出演は再開されていない。
芸風
コント専門で、「すれ違いコント」もしくは「勘違いコント」と呼ばれる手法を十八番としている[11][注 1]。これは互いに何らかの誤解を抱えたまま会話が進行し、話がかみ合わないままエスカレートするというものであり、この手法について太田光(爆笑問題)は「シェイクスピアの喜劇のような、勘違い、誤解、言葉遊びだ」「よく出来ていて、初めて見た時はこれほど達者だったのか、と驚いた」「実にスマートなコントだった」、立川談志は「うん、これは見事ですよ。実にいい」といずれも高く評価している[12]。児嶋曰くこの手法は、「アーバン寄席」でかつて名倉潤(ネプチューン)が在籍していた『ジュンカッツ』が演じていた、それぞれ別々に電話している二人の発話が変にかみ合ってしまうというネタを参考にしたものだという[13]。
ボケが不在のコントを得意としていることもあって、脚本を邪魔しない個性(デブやハゲなどの普段からのキャラに依存しない中肉中背の印象がある二人の組み合わせ)が二人の強みと言われることが多い。また、脚本の9割がたが完成してからどちらの役をどちらが演じるかを決めることも多い(渡部と児嶋が入れ替わっても成立するネタとなっていることが多かったため)。ただ、活動自粛前までの長い年月をかけて次第に「いつも飯食ってるグルメ気取り」と「すべりキャラ」のコンビという分類の先入観で見られるようになっていった、と渡部は自虐している。
アンタッチャブル山崎が児嶋をいじりすぎて、児嶋に舞台の緞帳が下がった瞬間に殴られる事件などもあり、かつて渡部は児嶋をいじらないように周囲に本気で依頼していた。その後、隠していた児嶋が天然で切れやすいというキャラが世間の脚光を浴びるにあたって、一時期は渡部は「じゃないほう芸人」のような扱いを受けるようになった(このころのことを、正確には渡部が先にキャラが売れたこともあり、「じゃないほう”じゃないほう”芸人」だったと渡部は自称している)。
ネタによっては2人以外の脇役が起用される集団劇になることもある。過去には事務所の後輩であるいけだてつや、早出明弘、コメディユニット『山田ジャパン』の女優・羽鳥由記などが参加した[14]。
「すれ違いコント」は彼らの代名詞とも言える芸風となっており、渡部の活動自粛中に児嶋が出演した2020年8月19日放送の『水曜日のダウンタウン』(TBSテレビ)では「すれ違いコント、今ならしれっと自分のものに出来る説」として3組のコンビが新ネタの「すれ違いコント」を用意して披露する『キングオブすれ違いコント』が開催された[注 2][15]。
爆笑オンエアバトル
- 初オンエアは499KBでトップ通過であった。このときはバケツの計量に誤差があったためか[注 3]、オーバー500を達成できなかった。この記録は歴代で彼らと坂道コロンブスのみしか達成していないが偶然にも坂道コロンブスもアンジャッシュが初オンエアを果たした回に出場して499KBを獲得し、一度に499KBが2組出た非常に珍しい回となった。
- 17回のオンエア中8回がオーバー500、10回がトップ通過、3回連続トップ通過を2度経験しオンバト挑戦者の中では無類の強さを誇っていた。また、2000年度と2002年度は共に自己最高となる529KBを記録しており、どちらの年度も年間最高KBとなっている。
- 1999年10月30日放送回にて彼らの中で最低KBの345KB以外のオンエアでは、440KB以下を下回ったことは一度もなかった。なお、この回が彼らにとって唯一の5位通過でのオンエアとなる。
- 歴代チャンピオンの中でコントを披露しての優勝は彼らのみであり、ファイナルにて850KBでの優勝は歴代で最も少ないKB数での王者である[注 4]。なお、この記録は審査員が200人制となった第4回チャンピオン大会以降においては、セミファイナル・ファイナル両方含めても歴代最少得点のトップ通過である[注 5]。
記録
- 戦績17勝3敗 最高529KB 5代目チャンピオン・ゴールドバトラー認定
- 第1回チャンピオン大会 決勝3位
- 第2回チャンピオン大会 予選6位敗退
- 第3回チャンピオン大会 決勝4位
- 第5回チャンピオン大会 ファイナル1位(チャンピオン)
- 第6回チャンピオン大会 ファイナル4位
DVD
- アンジャッシュベストネタライブ「キンネンベスト」
- アンジャッシュ〜クラダシ〜
- アンジャッシュ単独ライブ〜THIRD EYE:開〜
- アンジャッシュネタベスト
- アンジャッシュ「五月晴れ」
- 爆笑オンエアバトル(アンジャッシュ9ネタ収録)
- 白黒アンジャッシュ1〜5
- アンジャッシュのタイツくん〜男のたしなみ〜ON盤
- アンジャッシュのタイツくん〜男のたしなみ〜OFF盤
出演
バラエティ番組
現在のレギュラー番組
過去のレギュラー番組
その他出演番組
CM
ドラマ
劇場アニメ
ミュージックビデオ
- Sowelu 『I Wonder』(2007年1月)※顔全体はほとんど映っていない。
ライブ
単独ライブ
- 1997年
- 7月15日 - 「Joy! Angry! Sad! Happy!」
- 1998年
- 8月7日 - 「Fashionable and Nice」
- 1999年
- 7月18日 - 「Are we cool?」
- 12月21日 - 「2000年問題」
- 2000年
- 2001年
- 7月10日 - 「21世紀のJoy! Angry! Sad! Happy!」
- 1997年の「Joy! Angry! Sad! Happy!」のリバイバルライブ。同じコントを21世紀のアンジャッシュが演じたらどうなるかというコンセプト。
- 2002年
- 8月15日 - 「アンジャッシュのおかえりなさい」
- 開催時期がお盆なので、帰省したような感覚で見られるライブというコンセプト。
- 2003年
- 8月25日、8月26日 - 「THIRD EYE:開」
- 9月30日 - 「Have a good time with you and me!」
- 2004年
- 10月30日 - 「柿くへば鐘が鳴るなりアンジャッシュ」
- 秋に単独ライブをしたことが無かったので秋に開催した。秋っぽいコントをテーマに開催。
- 2005年
- 3月30日 - 「卒業おめでとう」
- 2005年卒業の高校生のみを招待してライブを行った。学園コントをテーマに開催。
- 4月5日 - 「入学おめでとう」
- 2005年入学の高校生のみを招待してライブを行った。学園コントをテーマに開催。
- 2006年
- 2007年
- 6月15日 - 「5人目の渡部」
- 児嶋がコンビを組む人物を探していて渡部に声をかけたのが5人目だったため、このタイトルになった。児嶋へのサプライズとして1人目に声をかけた同級生が出演した。
- 2008年
- 1月8日 - 「あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。」
- 2人は紋付袴で登場、正月という事で冒頭に漫才を披露した。漫才を披露したのは初めて。
- 2009年
- 6月27日 - 「キンネンベスト」
- 今までに演じたことがあるネタの中からベストなネタを選び、再演した。
- 8月18日 - 「トウキョウアンジャッシュ」
- 児嶋が『トウキョウソナタ』に出演したためこのタイトルになった。俳優・映画をテーマに開催。
- 2011年
著書
脚注
注釈
- ^ 井山弘幸の『笑いの方程式』や武田砂鉄の『わかりやすさの罪』において、アンジャッシュのすれ違いコントはフランスの哲学者アンリ・ベルクソンが『笑い』の中で説いた笑いの三分類中の「交叉」であるとしている。
- ^ 優勝はさらば青春の光。他の出場コンビは空気階段(後に本家のキングオブコントで2021年に優勝)、野性爆弾。
- ^ 当時はKBが現在の様に定まっておらず数字の1の位がバラバラであり、現在は奇数のみであるが当時は偶数も出ていた。また1KB差は誤差と見なされ、同点と判断されていた。
- ^ なお、翌年にシードとして出場した第6回チャンピオン大会ファイナルにおいては前年よりも高いKB(862KB)を記録したものの4位敗退となった。
- ^ 2番目に低いのは、第4回チャンピオン大会セミファイナルBブロックにおいて886KBでトップ通過したいつもここから。
- ^ 渡部の活動自粛により、2020年6月9日の放送をもって一時休止。当面は別番組に差し替えたが同月30日より児嶋のみをMCとし、放送を再開した[16]。その後、2022年2月15日よりコンビでの出演を再開している。
出典
外部リンク
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関連項目 | |
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サマースペシャル2004にて認定 | |
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第7回チャンピオン大会ファイナルにて認定 | |
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第8回チャンピオン大会ファイナルにて認定 | |
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第9回チャンピオン大会ファイナルにて認定 | |
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2007年度 | |
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2008年度 | |
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2009年度 | |
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註:太字はプラチナバトラー認定 |