つばさは、東日本旅客鉄道(JR東日本)が主に東京駅 - 山形駅・新庄駅間を山形新幹線(東北新幹線・奥羽本線)[2][3]経由で運行している新幹線・特急列車の愛称である。
本項では奥羽本線(山形線)で運転されていた昼行の優等列車の沿革についても記述する。
「つばさ」は、東京都と山形県・秋田県を結ぶ列車として、1961年(昭和36年)10月から上野駅 - 秋田駅間で特急列車として運転を開始。1982年(昭和57年)11月からは同年6月に暫定開業した東北新幹線が正式に開業したことを受けて、一部の列車が福島駅 - 秋田駅間での運転に変更されたものの、東北新幹線が大宮駅 - 盛岡駅間しか開業していなかったことから、上野駅発着の列車も1992年(平成4年)6月まで残された。
1992年(平成4年)7月の山形新幹線の開業により、新幹線の列車名に「つばさ」の名称が使用されるようになった[1]。
「奥羽本線沿線の発展を祈願するために」という意味合いが列車名の由来とされている。ただし、設定当初に大阪駅 - 青森駅間の特急「白鳥」との間で結合特急券制度が存在し、秋田駅発着に際して上り列車は同時発車を行うなど縁が深かったことから、「白鳥のつばさ」と言う説もある。
2013年(平成25年)10月3日、名称を「つや姫」に変更するよう、山形県がJRに求めていることが山形県議会総務常任委員会にて明らかになった[4]。しかし、JR側は現行の名称が公募で決定されており既に広く定着していること、名称変更には設備改修が必要となることなどを理由に否定的な回答をしており[4][5]、県民からも複数の反対意見を受けている[6]。
2024年7月現在、定期列車は東京駅 - 新庄駅間に下り8本/上り9本、東京駅 - 山形駅間に下り8本/上り7本、山形駅 - 新庄駅間に下り1本の計16.5往復(下り17本/上り16本)が運転されている。
一部の列車は東北新幹線区間(東京駅 - 福島駅間)で「やまびこ」と併結運転を行う。(ただし、下り2本つばさ121号とつばさ129号と上り2本つばさ158号とつばさ160号を除く)上下とも1時間に1往復間隔で、東京駅 - 盛岡駅間で毎時1往復運転されている「やまびこ」とともに、宇都宮駅・郡山駅・福島駅といった沿線主要都市の短距離需要に対応している。
多客期には、定期列車の「つばさ」のほか、臨時の「つばさ」が東京駅 - 山形駅・新庄駅間で運転されている。この臨時の「つばさ」には、東北新幹線区間で「やまびこ」と併結運転しない列車や、途中の宇都宮駅や郡山駅に停車しない列車がある。なお、不定期列車の号数は、「やまびこ」と併結する場合は172 - 196号、単独運転の場合は72 - 96号が付番される。それ以外にも、観光列車として臨時の「とれいゆ つばさ」が土休日を中心に福島駅 - 新庄駅間で運行されていた。[7]
当初、東北新幹線区間で併結する200系「やまびこ」が8両編成だったため「つばさ」は9 - 14号車(のちに7両化されて9 - 15号車)が割り当てられていた。その後、「やまびこ」が10両化された際に11 - 17号車が割り当てられ、併結する「やまびこ」が8両編成のE4系に替わった後も11 - 17号車(9・10号車は欠番)の割り当てとなっていた。しかし、併結する「やまびこ」が10両編成のE2系に替わった後は17両編成となったため、9・10号車は欠番にならなくなった。
なお、奥羽本線内で上り列車が大幅に遅れた場合、あるいは東北新幹線でダイヤが乱れた場合などは、「やまびこ」併結の「つばさ」でも東京駅 - 福島駅間で単独運転することがある。また、下り「つばさ」が奥羽本線内での運転ができない場合は、東京駅 - 福島駅間で併結してきた「やまびこ」との切り離しを行わず、そのまま「やまびこ」の終着駅である仙台駅に向かうことがある。また、「やまびこ」を併結しない臨時列車でも、同様の理由で仙台駅に向かうことがある。
2012年3月17日より、E2系「やまびこ」と併結運転が開始され、愛称としては11年ぶりに「やまびこ・つばさ」が復活した。これにより東北新幹線内の最高速度が275km/hとなり、所要時間が最大で6分短縮された[報道 1]。 2024年3月16日より、E8系による300km/h運転が一部列車で開始され、それと同時に既存のE3系含め東京-福島間における併結相手のやまびこ号は全てE5系へと変わり、E2系は東北新幹線の新青森延伸時に増備された6編成(J70~J75)を除き全て運用を離脱した。[報道 2]
停車駅と運行本数は2024年3月ダイヤ改正に基づく。車両運用は2024年3月ダイヤ改正時点での物とし、必ずしも最新版とは限らない。
E3系もしくはE8系の7両編成で運転されている。在来線規格区間である山形新幹線を走ることから、車体がほかの新幹線車両よりも小さい。グリーン車1両、普通車指定席6両が基本である。かつては自由席が2両設定されていたが、2022年3月12日のダイヤ改正で全車指定席となった[9][報道 3]。
山形新幹線開業直後から400系が使用されていたが、1999年12月にE3系1000番台、2008年12月にE3系2000番台の営業運転を相次いで開始し、400系は2010年4月に営業運転を終了した。
2024年3月16日からはE8系が導入され、現在運用されているE3系は順次置き換えられる予定[報道 4]。2026年春までに全ての列車がE8系に統一される予定である。
1961年10月から上野駅 - 秋田駅間で特急列車として運転を開始した。運行開始当時「はつかり」は常磐線経由であり、同時期に設定の「ひばり」は運行開始が半年遅れとなったため、上野駅発着で宇都宮駅、福島駅を経由する初の昼行特急列車となった。
当初は青森方面との連絡を兼ね、大阪駅発着の特急「白鳥」と接続し、結合料金制度の適用を受けていた。また、上り列車が秋田駅を同時刻で発車するため、「キハ82系気動車の同時発車」は多くに知られた。
1980年9月当時は、定期列車が3往復(485系)、季節列車が1往復(14系客車)設定されていた。なお、14系の臨時「つばさ」は485系電車より全区間で1時間半近く余計に時間がかかっていた。これは客車列車自体の速度が遅い(加減速性能と最高運転速度の差による)ことに加え、山形駅・福島駅・黒磯駅の各駅で機関車の交換に10分前後の停車時間を要していたためである。