前から見た軽トラック (スズキ・キャリイ :フロント)
後ろから見た軽トラック (スズキ・キャリイ:リア)
軽トラック (けいトラック)とは、日本 の軽自動車 区分に該当する小型トラック 。名称のとおり、軽自動車の規格に合わせて作られたトラックで、一般に「軽トラ 」と略される。最大積載量 は350kg以下である。
概要
軽自動車であるため、通常のトラックと比べると車両価格や維持費(年間の軽自動車税 〔5,000円[ 注 1] 〕や2年毎の重量税 を含む車検 費用)、自賠責保険 ・任意保険 などが格段に安く、個人 や零細事業者による保有・維持が容易である。全体の寸法とホイールベース が小さい点から、狭い農道 や建て込んだ住宅街 の道路などの狭隘路 でも取り回しが容易、という長所もある。
1960年 (昭和 35年)頃まではオート三輪 が主流だったが、1960年代 前期頃から四輪モデルが発展し、市場の主流となった。また1960年代まで荷台は低床式の後方一方開きが主流であったが、1960年代後期以降は、特装車両 を除けば、より汎用性の高い高床式の三方開きが一般化し、後輪のホイールハウスを荷台から排除して、荷台の面積を有効に使えるようになった。
軽トラックを含む軽自動車は、車両の全高が2.0 mを超えてはならないと道路運送車両法 で定められているが、赤帽 用など幌 付きで高さが2.0 mを超えた個体を見ることがある。これに関しては、例えば蝶ねじにより取り付けられる幌などは「自動車部品を装着した場合の構造等変更検査等における取扱いについて(依命通達)[ 1] 」に規定される「簡易的取付による指定外部品」の扱いになり、幌は地面から3.8 mまでの高さで設置が可能である。よって幌の高さが2.0 mを超えても問題はない。ただし、軽トラックに載せる荷物の高さは、道路交通法 で2.5 mまでに制限されるため注意が必要である。例えば、幌付き全高3.8 mの軽トラックでも、荷物の高さが地面から2.5 m以上になった状態で走行すると道路交通法違反となる。
デザイン
セダンピックアップ型軽トラック(スズキ・マイティボーイ )
現行車種はすべて並列2座キャビンを持つキャブオーバー 式(フルキャブ)ないしセミキャブオーバー 式(セミキャブ)である。
かつてはポータートラック やマイティボーイ などボンネット式(ピックアップ )、ミゼットII のような1人乗り(マニュアル・トランスミッション車のみ)のコミューター 的な軽トラックも存在した。1990年代 からは衝突安全基準を満たすためにクラッシャブルゾーン を広く取れるセミキャブを採用する車種が一時増えたものの、ホイールベースが必然的に伸び、車内足先を前輪ホイールハウスが占有して居住性・乗降性に難が生じる欠点も見られた。さらに狭隘な農道などでの小回り性能や荷台長などではフルキャブに利があることから、電気自動車 の三菱・ミニキャブMiEVトラック が2017年(平成29年)5月いっぱいで生産が終了した後は、フルキャブのみとなっている。
駆動方式
駆動方式は縦置きエンジン のフロントエンジン・リヤドライブ (以下FR)が一般的で、前述のボンネット式ピックアップを除いては、エンジンの搭載位置はキャビンのシート若しくは荷台の真下に配置されるアンダーフロアエンジン 形式である。このようなアンダーフロア形式のFR車はサスペンション は前輪のみがマクファーソンストラット などの独立懸架 、後輪はリーフ式サスペンション による車軸懸架 である場合がほとんどである。
メーカーの都合で横置きエンジン となっている車種もあり、1961年 (昭和 36年)から2012年 (平成 24年)まで自社製造されていたサンバートラック は、パワートレインをスバル・360 と共通としたことから横置きリヤエンジン・リヤドライブ (RR)であり、同社の乗用車が前置きエンジン・前輪駆動 (FF)となった後もサンバー専用の水平シリンダー型エンジンをリヤオーバーハング に横置きしていた。ホンダ はTN360 時代から横置き水平シリンダーのミッドシップエンジン・リアドライブ (MR)であるが、その後のアクティでは四輪駆動 モデルのみに縦置きを採用した。これらのエンジンレイアウトは後軸荷重を増加させることで空荷のときでも十分な後輪トラクションを得られる長所があるが、FF車と同様にドライブシャフト の定期メンテナンスの必要性(ゴム製のダストブーツの交換)が生じる欠点が存在する。ただしFF車のドライブシャフト用ダストブーツのように伸縮・曲がりは生じないため10万キロ以上経過しても問題ない場合が多い。
軽トラックは悪路で使用されることも多いため、ほとんどのメーカーで後輪駆動モデルと四輪駆動 モデルが併売されており、切り換え方式はパートタイム方式が主流である。当初はレバー式が多かったが現行型はプッシュボタンが主流となっている。また、副変速機 を用いて悪路走行に対応した車両も存在し、同時にリアデフロック (またはリミテッド・スリップ・デフ )の設定がなされたグレードを用意する車種も多い。タイヤ も悪路向けのマッドテレーンタイヤ が農業用軽トラック向けにラインナップされている。ちなみにデフロックが標準装備で用意されるのは、あくまで軽トラック特有の小径タイヤの不利をカバーするためであって、これを持たない大径タイヤを装備する本格四輪駆動車(スズキ・ジムニー など)より駆動力や走破性で勝っていると考えるのは早計である。
2023年 (令和 5年)10月現在、現行モデル(新車)として生産・販売中の軽トラックのエンジンは全車、弁機構にDOHC が用いられた直列3気筒 ・4サイクル のガソリンエンジン となっており、縦置きであっても同じメーカーの乗用モデルと基本設計を共通化したものが多いが、同じ自然吸気 のガソリンエンジンを搭載した一連の軽乗用車に比べて最高出力が抑えられている反面、低〜中回転域におけるトルク 特性を充実させたセッティング(チューニング )が施されており、燃費 などの経済性を重視した自然吸気のものが全車に搭載されている。乗用軽自動車において燃料噴射装置 の装着が一般的となった後も、販売価格を抑えるためにキャブレター を採用していた車種も多く、平成12年排出ガス規制 の施行まで燃料噴射装置への完全移行は成されていなかった。半ば低速・高負荷走行に特化した出力特性を持たせられる場合が多いためか、高速道路 などでの高速巡航 を意識したターボ を始めとする過給機 の装着は一般的ではなく、アンダーフロア形式による搭載スペースの制約[ 注 2] によりインタークーラー が純正装着された例は皆無で、サンバートラックのスーパーチャージャー 車を除いては長期間生産ラインナップに過給機付き車が残った例も少ない。
変速機はエンジンと同じく低速・高負荷走行に強いローギアード のマニュアルトランスミッション (MT)が一般的で、かつては用途に応じて変速段数の異なるMTが選択できる場合も多かった。デファレンシャル の最終減速比も特に低めに設定されていることが多い。1998年 (平成10年)の660 cc新規格の発表まではオートマチックトランスミッション (AT)はあまり普及してはいなかったが、今日では全社の軽トラック[ 注 3] にAT車、またはCVT 車が設定されている。
2023年10月現在、新車として購入可能な軽トラックとしてはパワーステアリング ・カーエアコン を省いたものがスズキ・キャリイの最廉価グレードとして設定されている。ただし、FR車のみの設定であり、受注生産扱いとなる。
用途
阪神・淡路大震災 により道路事情の悪化した状況下で物資の輸送を行うスバル・サンバー
農山村部 [ 注 4] や漁村 ・漁港 では、仕事と生活の両方に使われている。農業機械 などの道具、収穫した農作物 、水揚げした海産物 を運搬するための必需品であるとともに、耐候性のある2座席の車室を持つことから、日常の短距離移動の道具としての「下駄 代わり」にも重宝されている。その普及ぶりから、軽トラックは日本の農村風景における点景の一つにすらなっている。都市部においても、商店・飲食店主や建築関連の職人 といった自営業 者が軽トラックを保有し、仕事道具や資材、商品を自ら運ぶ場合が珍しくない。日本の交通インフラ にマッチし、日本の風土 、日本人の日常生活 に大きく関わっている自動車ジャンルである。
貨物自動車による運送業を営むには貨物自動車運送事業法 により5台以上を必要とするが、軽自動車のみを使用する場合は「貨物軽自動車運送事業」として1台から許可が下りるため、軽トラック1台で事業をスタートできる。また「赤帽 」など、軽トラックを使った小口輸送専門の運送業者 もある。
軽自動車ならではの機動性に着目した使用例も多い。オートバイ のトランスポーター として用いられることもある他、道路の狭隘な集落や古い市街地向けの特殊車両(ごみ収集車 、消防車 、ダンプトラック 、タンクローリー 、冷凍車など)のベース車として改装して利用される。更に近年では軽自動車向けの小型キャンピングカー のベースにされることも多く、所有者の自作(DIY)で制作し利用されることもある。
移動販売車 としても広く使われ、軽トラックに農作物などを積み、広場や車両を一時通行止めにした公道上でこれらの即席販売を行う「軽トラック市(軽トラ市)」が日本全国各地で行われている[ 2] 。他にも食品関係では石焼き芋 を筆頭に焼きそば などの焼き物系屋台経営、買い物難民 対策(に伴う需要の拾い上げ )としての移動スーパー/コンビニのベース車両にも用いられる。
ホームセンター や家具 店など大型の商品を取り扱う店舗の場合、客が大型商品を持ち帰るために軽トラックや現行の普通免許 で運転可能な小型トラック(2023年現在の現行車種での例:ダイハツ・グランマックストラック /トヨタ・タウンエーストラック /マツダ・ボンゴトラック 、およびトヨタ・ダイナ の1トン積ガソリン車が該当)を一定時間無料で貸し出しているケースも多い。貸し出す軽トラックは顧客のオートマチック限定免許 を考慮してAT仕様(ただし、10代目後期型ハイゼットトラック/2代目後期型ピクシストラック/8代目後期型サンバートラックはCVT仕様も存在)が圧倒的であるが、冬季に積雪の多い寒冷地 (主に北海道 ・東北 ・甲信越 ではMT またはATの4WD 仕様車がほとんどである。
前述の赤帽仕様と同じような高さ2m超の幌付き個体をキャンピングカー として使用する個人ユーザーもいる。この場合はキャビン上部まで幌を拡大することにより、荷物置きのスペースとして有効活用することができる。
日本国外における軽トラック
軽自動車規格が日本独自のものであるため、日本国内での利用が大半であるが、日本国外の一部にも輸出されている。
海外ではマイクロバン(マイクロトラック) に分類されるが、Keitora、Kei truck、Kei class truck、mini truckなどの呼称もある。
北米
カナダで使用されるDC51T型キャリイトラック。
飛行場で使用されるU1*T型ミニキャブトラック(アメリカ沿岸警備隊 の格納庫 )。
アメリカ合衆国 においては、1960年代にアメリカの基準に合わせた車両を輸出していた(マルコム・ブリックリン (英語版 ) によるスバル・サンバートラックの輸入などが著名)。1968年に衝突安全基準などが厳格化されたことから公道走行車両としては販売されなくなり、その後は農場などで使用する作業車として販売されていたが、売上減少により1990年代 には撤退した[ 注 5] 。現在は業者によって並行輸入 されたものが牧場 作業や狩猟 に使うオフロード 専用の作業車(ATV の代用品)、公園や大学構内などの管理作業用(ゴルフカート の代用品)としての利用が主流である。また軍や沿岸警備隊などの公的機関でも、駐屯地や飛行場で使用する小型作業車として導入例がある。
アメリカの保安基準により、右ハンドル車は保安基準に抵触するため基本的に公道 での走行が認められていないが、2015年頃から輸入車の25年ルール[ 注 6] が適用される車両が出てきたため、サイド・バイ・サイド・ビークル より装備が充実し、ピックアップトラックよりも安価で取り回しが良い軽トラックが農家に人気となっている[ 3] 。これに目を付けた日本車の輸入業者が、日本で中古車を仕入れ規制に合わせた改造を施して販売する動きもある[ 4] [ 5] 。ニューヨークなどの都市部でも狭い路地に入れることから赤帽 のような個人向けの引っ越しビジネスに利用されている[ 6] 。他にもアメリカ合衆国環境保護庁 (EPA)による自動車排出ガス規制 と、アメリカ合衆国運輸省 (DOT)による衝突安全基準が存在するが、EPA規制は生産から21年、DOT規制は25年ルールにより回避可能である。このことから25年落ち以上の年式 の旧規格の軽トラックが輸入対象として人気があるが、それより新しい車両でも州によっては一定の速度制限や、自宅からの最大走行距離の制限、州間高速道路 への乗り入れ規制といった一定の制限の下、軽トラックの公道走行を許容する州法が定められている場合もあり、2018年現在、全米21州でこのような「ミニトラック州法」が制定されている。2023年時点では走行距離2万3千kmの中古車が4500ドル程度で入手できるが、正規ディーラーがないため補修部品が高価になり、窓ガラスなど規制対象の部品もあるため維持は困難だという[ 6] 。
日本中古車輸出業協同組合によれば、2023年にアメリカに輸出された軽トラックは約7500台である[ 7] 。
ライトトラックと軽トラック
アメリカの自動車分類でライトトラック というものがあるが、これは「車両総重量8,500ポンド (3855.5kg) 未満・最大積載量4000ポンド (1815kg) 未満の車両」と定義されている。
つまり積載量や車両重量から日本車にあてはめると軽トラックではなくいすゞ・エルフ 、三菱ふそう・キャンター など所詮「2t車」「小型トラック」の「1.75t積車」が該当し、例えばトヨタ・ダイナ の1.75tディーゼルターボの場合はAT車が3745kg、MT車で3885kg[ 注 7] であり、ほぼ「ライトトラック」のフルサイズとなる数値になる。
つまり、フルサイズの大型トラックと比べて「Light」な車両であり、トヨタ・ハイラックス よりも遥かに大型(上述の通り「1.75t車」並み)のピックアップトラック を指すこととなるのである。なお、北米向けピックアップトラック(フォード・Fシリーズ 、ダッジ・ラム 、トヨタ・タンドラ など)の中には、日本では普通自動車免許(2017年以降)で運転できない仕様が存在する。
アジア
デーウ・ラボ
キョンチャ(경차/輕車 )と呼ばれる日本の軽自動車に似た小型車の規格が存在する韓国 においては、大宇 ・ラボ/ダマス(=キャリイ /エブリイ )、アジア /キア ・タウナー(=ハイゼット )など現地生産された軽トラ/軽ワンボックスが存在する。ただし、日本の軽自動車と韓国の軽自動車との規格の違い(韓国の方が排気量上限が大きいなど)から来る差異や、LPG車 が存在する[ 注 8] ことなど日本の一般的な軽トラックとは異なる点もある。
中華民国 を始め、東南アジア 諸国やオセアニア にて、日本の軽トラックがノックダウン生産 または輸出されている例もあったが、排気量の制約が法令で存在しない現地事情に則して、エンジンの排気量が700ccから1000cc前後にボアアップされて販売されている。
ヨーロッパ
クワドリシクル(quadricycle )と呼ばれる独自のミニカー規格を持つフランス では、エグザム やリジェ などのメーカーが軽トラックに似た小型トラックを製造している。規格は50cc以下の火花点火機関 または4キロワット以下の原動機を有する軽量車(Quadricycle léger à moteur)と、最大出力15キロワット以下の原動機を有する重量車(Quadricycle lourd à moteur)の二区分が存在している。クワドリシクル規格の小型トラックは、日本の軽トラックに比較して排気量や最高速度の面では見劣りするものの、今日の軽量車では50ccの排気量制限の対象外である400cc/4kw以下のディーゼルエンジン や電気モーターが主流であり、最大積載量の面においては引けを取らない車両も存在している。
沿革
ダイハツ・ミゼット (画像は1959年発売のDSA型)
ホンダ・T360 (1963年 - 1967年)
ダイハツ・ハイゼット (2代目1964年-1968年)
スズキ・キャリイ (3代目、1966年 - 1969年 )
マツダ・ポーターキャブ (1969年 - 1989年)
スバル・サンバー (5代目、1990年 - 1999年)
三菱・ミニキャブトラック (6代目、1999年 - 2014年 )
ホンダ・アクティトラック (4代目、2009年 - 2021年 )
スズキ・キャリイ (12代目、2013年 - )
ダイハツ・ハイゼットトラック (10代目、2014年 - 、画像は2021年12月改良型の最上級グレード「ジャンボエクストラ 」)
1950年代
1960年代
1960年
ヤンマーディーゼル(現:ヤンマーホールディングス)、「KT型」をベースに更に開発を進め、空冷V型2気筒358ccのOHVディーゼルエンジン「2A2形」を搭載したキャブオーバートラック「ポニー(KTY型)」を発売[ 9] 。軽自動車史上初のディーゼルエンジン搭載市販車となるが、エンジンの出力があまりにも低すぎるため短命に終わる。
ダイハツ工業、ハイゼット 発売。登場時はボンネットトラックで登場。
1961年 :富士重工業(現・SUBARU )、サンバー 発売。
鈴木自動車工業(現・スズキ )、キャリイ 発売。上記のハイゼット同様、こちらも登場時はボンネットトラックで登場しており主な軽自動車メーカーから軽四輪トラックがほぼ出揃い、先駆となった軽オート三輪に引き続き、農家や個人商店を主とした市場を開拓して行く。
1963年 8月:本田技研工業 、T360 発売。一連の軽トラックとしては最初で最後の4連キャブレターを用いた4気筒DOHC エンジンを搭載。セミ・キャブオーバー。
1966年 :三菱自動車工業 (当時・三菱重工業 )、キャブオーバー車のミニキャブ 発売。
ハイゼット、キャリイ(ただしエンジンはシート下)はボンネットトラックで発売され、のちにフル・キャブオーバーボディへ移行した。ホンダ、三菱も当初はボンネット車やセミキャブオーバー車で参入し、後からフル・キャブオーバー車を投入している。全体寸法の制約が厳しい軽四輪トラックでは荷台面積を広く取れるフル・キャブオーバーへの志向が強かった。
1967年 :本田技研工業、T360の後継となる4サイクル空冷2気筒SOHC エンジンを搭載したフル・キャブオーバー車のTN360 発売。
1969年 :東洋工業(現・マツダ )、ポーターキャブ 発売。同社初の軽キャブオーバートラックだった。
1970年代
この時期の初頭までに、ダイハツを最後として軽オート三輪の製造・販売は終了。軽トラックの市場は4輪キャブオーバー型に収斂。
1976年 :規格改定。550ccモデルが登場、360ccボディのまま550ccエンジンを搭載したメーカーや暫定的に500ccエンジン搭載などメーカーにより対応が異なった。
1977年
本田技研工業、TN7 の後継となる4サイクル水冷2気筒SOHCエンジンを搭載した550ccモデルのTNアクティ(後のアクティトラック) 発売。
ポーターキャブ、三菱自動車工業製4サイクル水冷2気筒SOHCエンジンを搭載した550ccモデルにモデルチェンジ。
1980年代
1980年 :サンバートラックにパートタイム四輪駆動モデルが追加。一般的な軽トラックとしては初めての試みで、以後他社にも普及。四輪駆動軽トラックは駆動力向上の効果が著しいため、悪路や農地、積雪路などの不整道路を走行する農林業関係者を中心に好まれるようになる。
1981年 :ハイゼットトラックのうち、生産継続されていた360ccモデルが生産終了し、軽自動車運転免許対応自動車の販売が終了した。
1983年 :ハイゼットトラックに大型キャビン・短尺荷台の「ジャンボ 」シリーズが追加。
1987年 :ハイゼットトラック、ミニキャブトラック、キャリイにスーパーチャージャー追加。軽自動車初のスーパーチャージャー搭載事例となるが、エアコンコンプレッサー とは排他装着となった関係で、短期間のオプション設定で終わった。
1988年
1989年 :マツダ、スクラムトラック をスズキから(キャリイ)のOEMで発売。ポーターキャブの後継車種にあたる。
1990年代
1990年
1996年 :ハイゼットトラックのAT車全て(ただしMT車は「天晴」および「iS」のみ)にDOHCエンジンが搭載 。例外的先例のホンダ・T360以来の事例。この後、メーカー内でエンジンを共用化してコストダウンを図る目的で、軽トラックでも軽乗用車と同型のDOHCエンジンをチューニング変更で共用する事例が生じるようになる。
1997年 :キャリイにターボ追加。軽トラック初のターボチャージャー搭載事例。
1998年 :規格改定[ 注 9] 。現行660ccモデルが登場。キャリイ、ミニキャブトラック、アクティトラックがセミキャブ化された。ただしハイゼットトラックおよびサンバートラックはフルキャブを継続。
2000年代
2010年代
2011年 :トヨタ自動車 、ピクシストラック をダイハツから(ハイゼットトラック)のOEMで発売[ 10] 。
2012年
富士重工業、サンバートラックの自主生産分の販売を終了。自主生産モデルのサンバートラックとしては6代51年の歴史に幕を下ろした。それ以後はダイハツから(ハイゼットトラック)のOEMで発売[ 11] 。
日産自動車、クリッパートラックのマイナーチェンジに伴い、クリッパートラックからNT100クリッパーに名称を変更。
2013年
三菱自動車工業、ミニキャブMiEVトラックを発売開始[ 12] 。国産の軽トラックとしては史上初の電気自動車 となる。
キャリイがフルモデルチェンジに伴い2005年から設定されていたフルキャブ仕様へ統合。フルキャブ仕様の設定がないOEMのスクラムトラックはフルモデルチェンジに伴いフルキャブ化する。
日産自動車、NT100クリッパーのOEM元を三菱自動車工業からスズキに変更。
2014年
キャリイに、MTをベースにクラッチ 及びシフト 操作を自動操作する電動油圧式アクチュエーター を採用したAMT (オートメイティッドマニュアルトランスミッション )である「オートギヤシフト (略・AGS)」を一部グレードのセットオプション装着車に設定。なお、軽自動車全体でも初のAMT搭載となった。
三菱自動車工業、MiEVを除くミニキャブトラックの自主生産分の販売を終了。ガソリンエンジン搭載車としての自主生産モデルのミニキャブトラックとしては6代48年の歴史に幕を下ろす事となった。それ以後はスズキから(キャリイ)のOEMで発売となった。これによりガソリン車の軽トラックにおけるセミキャブ仕様が消滅。
2017年
同年4月現在の時点において軽トラック唯一の電気自動車だったミニキャブMiEVトラックが販売不振のため翌月 を以って販売終了。これにより一連の軽トラックにおけるセミキャブ仕様が名実共に消滅した。
2018年
近年において非常に重大な問題となっている60代以上の高齢 の運転者を中心とした運転・操作ミスなどによる自動車事故の背景を発端とした事例に併せ、運転者が誤ってブレーキペダルを踏むつもりでアクセルペダルを踏むことなどにより起きる誤発進 を抑制する誤発進抑制機能と後方誤発進抑制機能といった安全装備がキャリイ(OEMのNT100クリッパーとスクラムトラック、ミニキャブトラック含む)、およびハイゼットトラック(OEMのサンバートラックとピクシストラック含む)に順次設定されるようになる。
2020年代
2021年 4月28日 、本田技研工業、アクティトラックの生産を終了、2022年 12月末までに新車登録(新車販売)を全て完了した。これにより1963年登場のT360以降続いてきた同社の軽トラックの生産・販売から通算59年の歴史に幕を下ろすこととなり、それ以後、OEMを除く軽トラック自主生産メーカーはダイハツ工業とスズキの2社を残すのみ となった。
2021年12月20日 、10代目ハイゼットトラック(OEMのピクシストラックとサンバートラック含む)のマイナーチェンジでアイドリングストップ 機構やトランスミッションに5代目サンバートラック(1995年8月製造分までのKS3/KS4型系)以来となるCVTが採用された。 また、「エクストラ」(ピクシストラックは同一名グレード、サンバーは「TC」)と「ジャンボエクストラ」(サンバーは「グランドキャブ」、ピクシストラックは該当なし)のグレードにのみスマートキー(プッシュ式スタート)が標準装備される(軽トラック史上初)。
2022年4月7日 、キャリイ(スーパーキャリイおよびOEMのスクラムトラック、NT100クリッパー、ミニキャブトラック含む)が全車3速ATから4速ATに多段化された。4速ATの軽トラックはハイゼットトラック(OEM含む)のマイナーチェンジ以来3ヶ月半ぶりとなる(キャリイの特別仕様車の「60周年記念車」を除く)[ 注 10] 。
車種
現行車種
2023年10月現在。
過去の車種
脚注
注釈
^ 2015年4月1日以降に新車で登録・購入した場合。ただし2015年3月31日以前に新車登録された車両(中古車を含む)は4,000円の税額となる。
^ 軽トラックとシャーシ を共用する軽ワンボックス でインタークーラーが採用されている例はあるが、エンジンの直上にエアスクープ 付きボンネット と共に横置きするか、エンジン前方にラジエーター と共に前置きするなど短い吸気経路でインタークーラーを配置できる前輪駆動の軽トールワゴン と比較して吸気経路や冷却効率で不利な面が多く、アクセルレスポンスも含めた全ての条件を満足する配置を実現することが難しい[1] 。
^ ホンダではエンジンおよびギアボックスを搭載するスペースの都合上、初代モデルを除く4WD仕様にはATを設定していない。
^ 車種によっては、農家向けの装備を追加した、農業協同組合 限定の特別仕様車 が用意されている。(スバル・サンバー の「営農サンバー」→「JAサンバー」、三菱・ミニキャブ の「ミニキャブ営農用」→「JAミニキャブ」、スズキ・キャリイ の「農繁スペシャル・JAパッケージ」→「JAキャリイ」)
^ 最後の事例は1990年から1995年まで "Mighty Mits" の名称で販売された三菱・ミニキャブトラックである。
^ クラシックカー を合法化するための法律で、輸入車であっても特例措置として、生産から25年を経た車両は保安基準に適合しなくても公道走行が可能となる。
^ GDY231-TQMKC(1.75t 2.8ディーゼルターボ )の数値[ 8]
^ 日本国内でもハイゼット やサンバー にはLPG仕様が存在する。
^ ただし、軽トラックと軽ワンボックスバン/ワゴンは翌年(1999年 )に規格改定。
^ キャリイの「60周年記念車」は2021年8月発売当初から4速ATとして採用された
出典
関連項目
ウィキメディア・コモンズには、
軽トラック に関連するカテゴリがあります。