初期の自動車では、エンジンが駆動輪となる後車軸に近接しておかれたことから、簡素なチェーン駆動やベルト駆動が使用されることが多かった。ガソリン自動車における前方エンジン・後輪駆動のFRレイアウトはパナール・ルバッソール (Panhard et Levassor) 社が1891年に開発し、特許取得したことからシステムパナール (Système Panhard) として知られている。パナール式では差動装置から車輪に至る最終減速をチェーンに頼っていたが、さらにガソリン自動車で差動装置自体を後車軸と一体化し、トランスミッションからシャフトで後車軸と直結する「ダイレクト・シャフトドライブ」としたのは1898年のルイ・ルノーで、こちらも特許を取得し、以後21世紀初頭現在に至るまで主流の方式となっている。もっともこれらガソリン自動車以前に、1878年にアメデー・ボレー(英語版)が開発した蒸気自動車「ラ・マンセル」 (La Mancelle)が、ボイラーこそ後部搭載ながらシリンダーを前方搭載し、シャフトで後輪を駆動する方式を実用化しており、ガソリン自動車発明家たちにとって既知の手法であった可能性もある。