最優秀新人選手賞 (さいゆうしゅうしんじんせんしゅしょう、ルーキー・オブ・ザ・イヤー、Rookie of the Year Award) はメジャーリーグベースボール(以下、MLB)において、その年のシーズンで最も活躍した新人選手に贈られる賞。日本の報道では便宜上、日本プロ野球での呼称に合わせて「新人王」と呼ぶこともある。
概要
最優秀新人選手賞は各年のシーズン終了後、全米野球記者協会 (BBWAA) の投票により、アメリカンリーグ・ナショナルリーグからそれぞれ1人が選ばれる。1947年に制定され、1948年まではMLB全体で1人のみ選出、1949年以降は各リーグごとに1人選出となった。最初の受賞者はジャッキー・ロビンソン。これを記念して1987年に「ジャッキー・ロビンソン賞」という別名がつけられた。
フレッド・リン(1975年)とイチロー(2001年)の2人が、最優秀選手賞 (MVP)との同時受賞を果たしている。また、フェルナンド・バレンズエラ(1981年)はサイ・ヤング賞との同時受賞を果たした唯一の選手となっている。
日本人選手では、野茂英雄(1995年)、佐々木主浩(2000年)、イチロー、大谷翔平(2018年)が受賞している。
受賞資格
前年までのMLB通算実績が、以下の両条件を満たす選手のみ受賞資格を持つ[1][2]。必ずしもMLBデビュー1年目のみに限定はされていない。
- 野手/指名打者なら打数130未満、投手なら投球回50イニング未満
- アクティブ・ロースター登録期間が45日未満
資格に関する論争
上記の通り、受賞資格の有無はMLBでの経歴だけで決定されるが、一部から「レベルの高い他国リーグ(特に日本プロ野球)で実績を残してMLBに移籍したスター選手については、受賞対象とすべきでない」との主張がある。
このような考え方が広まったのは、1995年に野茂英雄が受賞、2000年と2001年には佐々木主浩とイチローが2年連続で受賞したことで活発に議論されるようになった。松井秀喜のMLBデビュー年(2003年)には、複数の記者が松井への投票反対運動を行なって影響を及ぼし、論争を呼んだ[3][4]。
2012年には「今季から施行される新労使協定上、日本(NPB)・韓国(KBO)・台湾(CPBL)・キューバ(SNB)の各国トップリーグからMLBに移籍する23歳以上の選手(当時のダルビッシュ有らが該当)は契約上、新人選手としない」との報道がされ[4]、これにBBWAAが「受賞資格自体は失わない」と声明を発表する騒動が起こった[5][6]。
2014年にも、田中将大およびキューバ国内リーグで実績を残しているホセ・アブレイユの受賞資格を巡ってFOX SPORTSが検証記事を発表したほか[6]、FOX専属解説者のゲーブ・キャプラー(元巨人)が「日本とキューバのリーグのレベルが高いのは明らかで、受賞資格の調節が必要」と述べた。
しかし、こうした意見は日米ともにどちらかと言えば少数派であり、MLB機構では条件見直しの動きはない。また、この賞の別名となっているジャッキー・ロビンソンの他、ドン・ニューカムとサム・ジェスロー(英語版)もニグロ・リーグでのプレー実績があるものの新人扱いとされた前例も、現状維持派の根拠となっている[6]。
受賞者一覧
凡例
- 表中の守備の項は選手の守備位置を表し、以下の略記で示す。
- P:投手 C:捕手 1B:一塁手 2B:二塁手 SS:遊撃手 3B:三塁手 OF:外野手 DH:指名打者
脚注
- ^ “Rookie Eligibility” (英語). MLB.com. 2023年7月2日閲覧。
- ^ “Transaction Glossary” (英語). Cot's Baseball Contracts. 2020年11月12日閲覧。
- ^ “新人王逃した03年の松井秀喜氏 ヤ軍オーナー“異例”の記者批判は「正しかった」?”. Full-Count. (2020年5月12日). https://full-count.jp/2020/05/12/post771156/ 2020年11月13日閲覧。
- ^ a b “ダルに新人王資格なし”. 日刊スポーツ. (2012年1月31日). https://www.nikkansports.com/baseball/mlb/news/p-bb-tp2-20120131-897114.html 2020年11月17日閲覧。
- ^ ダルビッシュはこの2012年の最優秀新人選手賞投票でア・リーグ3位だった。
- ^ a b c “論争ふたたび!? 田中に新人王の資格はあるのか”. BASEBALL KING. (2014年7月1日). https://baseballking.jp/ns/3345 2020年11月17日閲覧。
- ^ “大谷が新人王、2位に大差をつける“圧勝””. 産経新聞社. (2018年11月13日). https://www.iza.ne.jp/article/20181113-DTUN43DWBNL2RPB2PMATHYMSHY/ 2021年4月29日閲覧。
関連項目
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