|
この項目では、富山県富山市秋ヶ島にある地方管理空港について説明しています。かつて富山県婦負郡倉垣村にあった飛行場については「富山飛行場」をご覧ください。 |
富山空港(とやまくうこう、Toyama Airport)は、富山県富山市秋ヶ島にある空港法第5条第1項の規定及び富山県富山空港条例に基づき設置される地方管理空港である。愛称は富山きときと空港[1]。
概要
富山県富山市中心部の南約7キロメートルに位置する[2]。立山黒部アルペンルート、世界遺産五箇山に最も近い国際空港。富山市街地や富山IC、国道41号から近くアクセスの利便性が高いため、富山県民のみならず、近隣の新潟県上越地方[3]、岐阜県飛騨地方などからも利用しやすい空港である。制限表面は外側水平表面(航空法:半径24km以下、高さ295m)や円錐表面(半径16.5km以下)が設定されておらず、水平表面(半径4km以下、高さ45m)が半径3kmで設定されている[4]。このため、近接しながらも市街地でのビル建設には影響を与えていない。
日本で唯一河川敷に作られた空港で[5][6]、滑走路やエプロンなどは神通川右岸の河川敷にある。ターミナルビルは河川外にあり、堤防をまたいで建設されたボーディング・ブリッジの長さ(堤防を渡る固定橋約50m、可動橋約39m、合計約89m[7])は日本一である[5][8]。河川敷という立地ゆえ、滑走路南北端にある橋梁のために滑走路の延長や、着陸帯が確保できないために計器着陸装置の完全設置が困難(滑走路の中心を示すローカライザーのみ)である。進入路指示灯なども、神通川の氾濫で河川から流れてきたものが引っ掛かるのを防ぐため撤去または倒伏できるようになっている[7]。
ローカライザーの完全設置が困難であるため、冬場の大雪による視界不良により条件付き運航となりやすい。また、敷地の余裕がなく滑走路の両端まで誘導路が作れない(平行誘導路がなく、離陸機は滑走路末端のターニングパッドでUターンしてから離陸していく)、駐機場が狭いため斜めや水平に駐機しなければならない、マーシャラーも風向きやゲートによっては1機につき2人で誘導する場合があるという物理的制約が厳しい[7]。
1970年度から新空港建設に関する調査を開始し[9]、同年10月、北陸自動車道小杉インターチェンジの南側(庄川と下条川の中間の丘陵地帯)への移転の計画が発表[10]、1971年度には全日空に県内候補地のフライチェックを依頼し[9]、さらに1972年2月11日または2月29日には倉垣地区の富山飛行場跡地に2,000 - 2,500mの滑走路を建設して国際空港とする構想も発表[9][11]されていた。他にも中新川郡立山町の常願寺川右岸なども含め、最終的に富山県内では十数か所が候補に挙がっていて、最終的には常願寺川右岸、射水丘陵、倉垣地区の3箇所に絞られ、最終的に倉垣地区に一本化された[9]。しかし、費用面の問題や地元住民の反対もあった他、北陸新幹線金沢駅延伸後に羽田線の便数維持が難しいこともあり[注 1]、現空港を活用する方針となった[12]。2015年3月に実現した北陸新幹線開業後の富山空港利用者数は羽田線で1月あたり前年比28%[12]、2015年度は前年比40%の減少となった[13]。
航空機の進入路にあたる空港北側の北陸自動車道神通川橋には、ジェット化による滑走路延伸を機に昼間障害標識としてオレンジと白色の塗装が施されている。また、神通川橋両端部には「わき見注意 航空機通過」という注意標識が設置されている[6][14][15]。
年間利用客数は、国内461,639人、国際103,020人(2016年度)[16]。立山黒部アルペンルート のうち、特に20メートル近くにもなる雪の壁「雪の大谷」の人気が高く、ルートが開通する4月から6月まで韓国、台湾からの国際便がチャーター便も含めて増えている。
国内線手荷物受取所の、旅行用トランクなどを運ぶベルトコンベアに、富山県観光課が富山湾鮨の模型を2012年12月より[17] 搭載していて、観光面でアピールしている[18]。
歴史
施設
- ターミナルビル
- 1階
- 交通関係施設:チェックイン・到着ロビー(国内線・国際線)、バスのりば、レンタカーカウンター、団体旅行受付カウンター
- 官公庁:名古屋出入国在留管理局富山出張所、富山県富山南警察署富山空港警備派出所
- 飲食店:廻転とやま鮨
- サービス施設:インフォメーション、有料会議室、両替所(北陸銀行)、海外発行カード対応ATM(北陸銀行)、証明写真機、有料駐車場精算機、コピー機
- 富山県総合体育センターへの連絡通路
- 2階
- 交通関係施設:出発ロビー
- 売店:富山空港ターミナルビル直営売店「まいどはや」、同免税売店「Duty Free Shop」、ANA FESTA富山ゲート店、広貫堂 富山空港店
- 飲食店:喫茶「Wing」、イタリアンレストラン「エアポートキッチン」、ラーメン店「麺家いろは」
- サービス施設:空港ラウンジ「らいちょう」、多目的ホール、有料待合室、フードコート(東側バルコニー)、ビジネスデスク、一人用無料ビジネスブース[57]、マッサージチェア、授乳室、おいしい水コーナー
- 3階:富山空港ターミナルビル、富山県富山空港管理事務所、国際交流コーナー、レセプションルーム
- 4階:展望デッキ
- 自動販売機
1Fにバス券売機(富山駅前)、1F・2F、4Fに飲料水の自販機とガチャガチャ、2F国際線出発ロビー内に菓子パンの自販機が設置
全館でFree WiFiのToyama Free WiFiを利用可能。
- 管制塔
- 貨物ビル
- その他
就航路線
航空会社名が2社以上の場合、最前の航空会社の機材・乗務員で運航する共同運航便。
富山県はANA中興の祖と言われた元運輸次官若狭得治の出身地で、JALが競合参入したとき非協力的でJALは撤退した経緯もあり、歴史的にANA依存空港でもある。
国内線
東京国際空港(羽田)の各便には、コードシェア便として海外航空会社便名が付与される便もある。
- 富山 - 東京(羽田)線 3便/日
- 富山 - 札幌(新千歳)線 1便/日
- 機種:A320neo 146席(プレミアム8席)/737-800 166席(プレミアム8席)/A321neo 194席(プレミアム8席)が多用され、繁忙期には稀に787-8/767-300/777-200が投入される場合がある。北陸新幹線運休中も大型機材が使用された。
- 全日空のA320neo、737-800、A321neoはRNP-ARに対応しており、決心高が他の機材より100ft低い370ft。767の決心高は470ft[59]
- 東京(羽田)発最終のNH321便は富山空港に夜間駐機し、翌日のNH312便に充当
国際線
- 上海便:火・土運航(B737-700)
- 大連便:水・土運航(A320)
- 台北便:水・土運航(B737-800)
休廃止路線
- 国内線[60]
この他にも、運航会社は不明だが、大阪国際空港への定期便も、1964年6月[21]から1966年頃まで運航されていた[61]。
- 国際線
利用状況
旅客数
以下に定期便とチャーター便を合計した各年度の乗降客数を示す[73]。
100,000
200,000
300,000
400,000
500,000
600,000
700,000
800,000
900,000
1,000,000
以下に1985年度以降の定期便とチャーター便を合計した乗降客の概数(国内線と国際線の合計)を示す[74]。
250,000
500,000
750,000
1,000,000
1,250,000
1,500,000
1985年度
1990年度
1995年度
2000年度
2005年度
2010年度
2015年度
交通
本数・所要時間・運賃等の詳細は、該当項目や公式サイトを参照。
路線バス・乗合タクシー
- 2017年4月1日現在、富山駅前、総合運動公園、濃飛バス神岡営業所・平湯バスターミナルをそれぞれ発着する路線がある。また夏季のみ運行する「室堂線」の富山駅行きが乗り入れる(要予約)。このほか、高岡、砺波、魚津へ空港連絡乗合タクシーが運行されている。
- 2018年1月4日から2月末まで、富山駅・富山空港から白馬を結ぶ、高速バスが運行。途中、魚津IC、南小谷駅に停車し、白馬では、白馬樅の木ホテルにバス停設置。1日1往復運行[75]。
タクシー
- 富山駅からはタクシーで20分程度、高岡駅からは35分程度である。
レンタカー
- レンタカー各社のサービスを受けることができる。ターミナルビル1階に各社共同のレンタカーカウンターがある。
- 富山 - 羽田線利用促進のため、羽田発初便又は富山発最終便利用の場合に最初の24時間の料金が割引となるキャンペーンを実施中[76]。
道路
駐車場
- 有料駐車場(127台)、無料駐車場と仮駐車場(1,545台)、迎えの車専用の駐車スペース(22台分。30分以内の駐車に限る)がある。
- 無料駐車場はAからHまであり、E,F,G,H及び仮駐車場は24時間出入庫が可能。また、無料駐車場は原則として、連泊数に制限はない。無料駐車場には身障者用12台分がある。
- 有料駐車場の料金は、1時間100円、6時間以上24時間まで600円、24時間を超えると、1時間ごとに100円加算。30時間以上48時間まで600円加算、これを24時間ごとに繰り返す。
- 有料駐車場の精算機は1,000円札のみ対応。
- 無料駐車場はもちろんであるが、仮駐車場、迎えの車専用の駐車スペースも無料。
冬季就航率対策
| この節には独自研究が含まれているおそれがあります。 問題箇所を検証し出典を追加して、記事の改善にご協力ください。議論はノートを参照してください。(2020年3月) |
富山県は、冬季の就航率改善のため、RNP-AR方式の導入等による決心高の引き下げ、XバンドMPレーダーの運用による高精度な視界の回復予測により、98.0%の便が着陸できたと発表した。
対策がなければ、14便が欠航していたとのこと[59]。
富山県は富山県議会6月議会において、「2018年1月、2月の大雪により、国内定期便の欠航が78便となる一方、・・・改善策によって33便が欠航を回避したと」答弁した。 - 富山新聞 2018年6月16日 3面より引用
・富山県は、平成30年度9月補正予算において、低空域での雲の状況予測システムを開発・導入するための経費を計上[77]。
・全日空は冬ダイヤより、富山 - 東京線において、富山行き最終便及び羽田行き初便の機材をRNP-AR方式に対応した機材に変更。[要出典]
利用促進策
北陸新幹線開業に伴い、富山 - 東京線の利用客が大きく減少したことから、富山きときと空港サポーターズクラブが運営されている。
- 法人会員 入会・継続特典、搭乗回数に応じた特典のほか、ターミナルビル内のレセプションルーム、1F有料会議室、2F有料待合室の無料利用[78]。
- 個人会員 入会で空港で利用できるクーポン券(500円分)の提供、4回搭乗で旅行券2,000円分、10回搭乗で旅行券5,000円分の提供など[79]。
- ウェブサイトからの予約で無料で利用できる、一人用ビジネスブースが2022年5月26日より設置された。国内線の出発ロビーと搭乗待合室に計3室用意され、縦横各1.2mの防音型ブースには、パソコン用モニター、電源、無料Wi-Fiを備え、テレワークにも対応している[57]。
また、富山県と富山市は北陸新幹線の開業前職員に向けて、富山空港利用促進の一環で東京への出張の際には飛行機で利用するようにとの通知をそれぞれ発表している[42][80]。
脚注
注釈
- ^ 対東京都心への所要時間で比較すると、北陸新幹線での富山駅 - 東京駅間の所要時間は空港での搭乗手続きを含めた乗継を含めない所要時間と大差がない。
出典
関連項目
外部リンク
ウィキメディア・コモンズには、
富山空港に関連するカテゴリがあります。
空港情報 (ICAO:RJNT · IATA:TOY) |
---|
空港概要 | |
---|
気象情報 | |
---|
その他 | |
---|
|
---|
拠点空港 |
|
---|
地方管理空港 |
|
---|
共用空港 | |
---|
その他の空港 | |
---|
公共用ヘリポート | |
---|
非公共用飛行場 | |
---|
農道離着陸場 (農道空港) | |
---|
場外離着陸場など | |
---|
▲印は供用廃止となった空港・ヘリポート。+印は定期便が就航していない空港等(無期限運休中・供用休止中を含む)。 C印は関税法上の税関空港、I印は入管法上の出入国港、Q印は検疫法上の検疫飛行場。 |