2007年 (平成19年)6月21日 に開かれた株主総会 席上、当時の社長・中鉢良治 は、ソニー製品が一定期間経過後に壊れやすいという批判が根強いことに関連して、「『ソニータイマー』と言われていることは認識している」と述べた。
ソニータイマー (英語 : Sony timer, Sony kill switch )とは、「ソニー 製品は1年間のメーカー保証 期間終了直後に故障 が頻発する」という噂から、「ソニーはその高い技術力を使い、製品の保証期間が過ぎるとすぐ故障が起こるよう、精密に製品寿命 をコントロールしている」というものである。
概要
『ソニータイマー』というのは比喩であり、保証期間 (通常は1年)と少ししか製品が持たずに、故障してしまうとされるソニー製品の壊れやすさを揶揄したものである。多くの日本人 がそれを信じ、漫画 の笑いのネタにしたり、オンライン 掲示板 に書かれたりしている。
マスメディアでも取り上げられたことにより、更に広まった。
イギリスの『Telegraph』誌は、この「ソニータイマー」説は、同社を20年間にわたって悩ませ続けていると報じている[ 1] 。
海外製品との競争が、最も熾烈だった1970年代 後半にソニーユーザーから指摘される様になった。
ただ、こうした不良品 の「仕込み」は、市場を独占している製造企業でない限り、消費者に企業やブランド への毀損・悪印象を植えつけてしまい、他社製品への乗換え・買換えを促してしまうため、「意図的に仕込むこと」は有り得ないと通常は考えられる[ 2] 。しかし、2006年に欠陥のあるソニーのバッテリー を搭載した、アメリカ合衆国 のデル 製ノートパソコン 410万台がリコール となったことから、この噂が真実味を帯び、社会的に意識されるようになった。このリコールではデル以外にレノボ 、富士通 、Apple 製品も含め世界で960万個に上った。爆発の危険性があるバッテリーを原因とするリコールによって、ソニーは大きなダメージを受けた[ 1] 。
また、同2006年 には、本物のソニータイマーかと噂された薄型テレビ の例もある。同年2月にソニーは2005年10月発売の薄型テレビ「ブラビア」のリアプロジェクションテレビ「Eシリーズ」2機種に、視聴時間の累積が約1,200時間を超えると、視聴中に電源が切られないソフトウェア のバグ があると発表した。平均的な使用時間である1日3時間使用したと計算すると、メーカー保証期間の1年がちょうど過ぎたころに1,200時間を超えるため「まさしくソニータイマー」と噂された。これに対しソニーは「不具合は試験を行っている途中で発覚したに過ぎず、不具合が起こるように設計した訳ではない」と弁明した[ 3] 。
ソニーによる言及
2006年 (平成 18年)6月16日 に開かれたジェネシス・ジャパン のユーザカンファレンス「G-Force Japan 2006」において、ソニーのVAIO 向けコンタクトセンター 構築担当者が「不当にソニーの商品イメージが悪いこと」として「“買ってから1年1カ月で壊れる ソニータイマー”など埋め込まれているわけがない。だが、こうしたイメージ はなぜか根強く残っている。マーケティング、アフターサポート、製品開発部門を連携させて、とにかくイメージアップを図りたい」との発言を行った[ 4] 。
2007年 (平成19年)6月21日 に開かれたソニーの株主総会 において、ソニー製品が一定期間経過後に壊れやすいという批判が根強いことに関連して、当時の社長・中鉢良治 は、「品質、価格、供給の3点のバランスがたまたま崩れ、迷惑を掛けることはある。『ソニータイマー』と言われていることは認識している」と述べた。その上で現在は「オペレーション上でも、不良を入れない、作らない、出さないということに力を注いで」品質担当役員の任命や不良品 の出荷防止などを通じて「最終品質保証 のために全力を挙げている」と述べ、株主 に理解を求めた[ 5] 。
マスコミでの言及
ここ20年間に渡り、ソニーは
日本 で「ソニータイマー」という都市伝説に悩まされてきた。それにしても、保証期間が切れた直後に、ソニー製品を故障させるという『
時限爆弾 』は本当にあるのだろうか? 多くの
日本人 は『ある』と純粋に信じている。
ソニーの不良バッテリを組み込んだ、410万台以上のデル 製ノートパソコン が、2006年にリコール された件は、何十年にも渡って囁かれていたタイマーの噂を、一躍広める事になった。1980年 から2006年 にかけて、日本のギーク と技術オタク 達は、ソニータイマーの存在を冗談のネタにし、皮肉めいた漫画を作っては電子掲示板 で鬱憤を晴らしていた。しかしデルのリコールによって、その都市伝説は世間に知られるようになり、ソニー製品の不良に怒った人々は、これぞソニーを叩く好材料とばかりに飛びついた。(中略)
ソニーは、長年に渡って『ソニータイマー説』を払拭しようと、様々な取り組みをしてきたが、メーカー保証期間終了直後にソニー製品が故障するたびに、『ソニータイマー伝説』は、ユーザーにとって揺るぎない物となっていった。(中略)
技術革新を誇りとする
日本 において、燃え上がるノートパソコンと、史上最大の製品リコールは、そう簡単に片付けられるものではない。
— Hunter Skipworth、Telegraph.co.uk
関連文献
脚注
関連項目
外部リンク