PocketStation(ポケットステーション)は、1999年1月23日に発売された小型の携帯型ゲーム機。発売元はソニー・コンピュータエンタテインメント (SCE) (現・ソニー・インタラクティブエンタテインメント (SIE) )。型番は SCPH-4000 。通称「ポケステ」。
開発
ビジネス用ではない個人用のPDAとして[2]、ゲーム面ではPlayStationと連携する携帯型ゲーム機として[3]開発され、周辺機器として販売された。
開発意図はプレイステーションで培ったソフトを携帯型ゲーム機でどのように共有していくかであり、開発時のイメージは任天堂のゲームボーイに近かった[3]。
第三者からは開発当時人気を博していた『たまごっち』を意識したデザインと性能になっている[4]と評価されるが、開発担当者の岡本伸一はそれを否定している[3]。
ボディカラーはホワイトとスケルトンの2色で、開発当初はどのようなゲームが本機に対応するか予想つかなかったため、無機質な色が選ばれた[3]。
沿革
ハードウェア
詳細は公式サイト[11]を参照。
- CPU
- PlayStation用メモリーカードとほぼ同じ大きさのボディに、32ビット RISC CPUを内蔵する。
- 画面
- 画面は32ドット四方の反射型モノクロ液晶ディスプレイで、PlayStationのロゴタイプがうっすらと浮かび上がっている。
- 操作系
- 操作ボタンは上・下・左・右の4つの方向ボタンと決定ボタンがひとつ付いているのみである。
- 通信
- 上部には赤外線通信ポートを搭載し、PocketStation同士での通信が可能となっている。一部のサード製PSソフトでは、任天堂のゲームボーイカラーやバンダイのワンダースワンと本機を介した赤外線通信ができるものがある。ワンダースワンのソフトの中にもWonderWaveと呼ばれる赤外線通信機能を本体に増設することで、本器とデータの送受信が可能となるソフトがある。「デジタルパートナー」などが代表的である[12]。注意点は2000年代までに生産されたテレビのリモコンなど、旧式の規格の赤外線発生装置にしか反応しない。
- 電源
- 電源としてコイン型リチウム電池を1個必要とする。使用環境にもよるが電池の消耗が早く、頻繁に交換する必要があった[8]ため、電池のフタのネジを外せるドライバーと予備の電池が収納できるポケットドライバーが発売されていた[8]。
スペック
- CPU:32ビット RISC CPU ARM7T
- メモリ:SRAM 2キロバイト、フラッシュメモリ 128キロバイト(PS1専用メモリーカード領域と兼用)
- 画面:32×32ドット 反射型モノクロ液晶ディスプレイ
- サウンド:小型スピーカー(10ビットPCM)
- 通信:赤外線方式(双方向・IrDA準拠)
- 電源:ボタン型電池(CR2032)×1
- 付属品:ストラップ
発売モデル
発売当初は光沢のあるホワイトモデル (SCPH-4000) のみだったが、後にスケルトンボディのクリスタルモデル (SCPH-4000C) も発売された。また、『遊☆戯☆王 真デュエルモンスターズ 封印されし記憶』の限定版にはクリスタルブラック、『ときめきメモリアル2』の限定版にはクリアピンクのPocketStationが同梱された。
使用方法
主にPlayStationのゲーム本編に付随するミニゲームを遊ぶために使用された。
モバイルコンピュータとして動作するデータをPlayStationから転送する前の状態で搭載されている機能は、カレンダーと時計機能とメモリーカードとしてセーブデータを保存する機能のみ。赤外線通信を行う時に光るLEDは、PlayStationがメモリーカードにアクセスしている時にも光る[13]。
PocketStation上でゲームをプレイするためには、まずゲームデータをPlayStationから転送する必要がある。そのためPocketStation単体での使用はできない。操作パネルを上に90度持ち上げ、PlayStation本体のメモリーカードスロットへ挿入する。挿入すると赤外線通信ポートに内蔵されたLEDが赤く光るとともに、電子メロディが鳴る。システム上、ミニゲームは通常のセーブデータと同じ扱いであり、最低1ブロックを利用してセーブを行う形式となる。当然ではあるが通常のPlayStation用メモリーカードとしての使用も可能。また、メモリーカードとしてセーブデータを記録している場合、PS上で表示されるセーブデータアイコンを表示できるのだが、タイトルによってはPocketStationでの表示用に用意されたアイコンが表示される。
また、ミニゲームはセーブ用の領域が許す限り、いくつでも導入することができる。メニューでプレイしたいゲームを選ぶ事で自由に変更することが出来た。
本体には時計が内蔵されておりアラーム機能付きの時計として利用できるほか、カードスロット経由でプレイステーションから時刻を参照することもできた。一部のソフトではゲーム内で時刻を連動させたり特定の日時にイベントを発生させるのに使用されている。
非公式に、インターネット上でPocketStation用ゲームソフトの開発ツールが出回っており、一部では自主制作ソフトも公開されていた。パソコン上で開発したゲームソフトをPocketStationに転送するためには、PlayStation用メモリカードのリーダー・ライターが必要となる。
次世代ゲーム機での対応
反響
開発者の岡本伸一は「"身につけられるコンピューター”をコンセプトに、わずか30グラムのボディーに機能を詰め込みました。さわるすべての人にエンターテイメントとは何かということを教えてくれるマシンです」と述べた[14]。しかし『どこでもいっしょ』以降は目立ったヒット作も生まれず、ほとんどはPlayStationのおまけミニゲーム程度だった。
荒すぎたドットがユーザーの不評を買ったこともあり、やがて対応ソフトの開発も減少、発売から約3年半で生産終了となった。ゲームハードとして使わなくなってからはメモリーカードとして使用するプレーヤーもいた[8]。
対応ゲームソフト一覧
50音順に記載。
PlayStation ソフト
PlayStation 2ソフト
関連項目
脚注
- ^ “約490万台を売り上げた「ポケステ」再び!? 謎の動画が緊急公開!”. GAME Watch. インプレス (2013年11月1日). 2019年5月12日閲覧。
- ^ a b 『プレイステーションのメモリーカードを発展させた超小型PDAを開発』(プレスリリース)ソニー・コンピュータエンタテインメント、1998年2月19日。https://www.sie.com/content/dam/corporate/jp/corporate/release/pdf/980219.pdf。2021年8月1日閲覧。
- ^ a b c d 岡本伸一(インタビュアー:西川ゆずこ)「開発者インタビュー『プレイステーションと連携して楽しむ携帯ゲーム機です。』」『ascii.jp』、1998年11月11日。http://ascii.jp/elem/000/000/313/313620/。2012年10月27日閲覧。
- ^ 株式会社QBQ編 『プレイステーションクソゲー番付』マイウェイ出版発行、2018年。ISBN 9784865118346 p57
- ^ 『プレイステーションの楽しみをさらに広げるPocketStation12月23日に発売』(プレスリリース)ソニー・コンピュータエンタテインメント、1998年10月8日。https://www.sie.com/content/dam/corporate/jp/corporate/release/pdf/981008_1.pdf。2021年8月1日閲覧。
- ^ 『超小型PDA「PocketStation」1月23日に発売延期』(プレスリリース)ソニー・コンピュータエンタテインメント、1998年12月9日。https://www.sie.com/content/dam/corporate/jp/corporate/release/pdf/981209.pdf。2021年8月1日閲覧。
- ^ a b c 『ファミ通 No.581』アスキー、2000年2月4日、189,190,191,頁。
- ^ a b c d e M.B.MOOK『懐かしゲームボーイパーフェクトガイド』 (ISBN 9784866400259)、54ページ
- ^ 北村孝和 (2002年7月19日). “SCEI、ポケットステーションの生産を終了”. GAME Watch. インプレス. 2021年3月13日閲覧。
- ^ SCEJA、PS Vitaで動作するポケットステーションアプリを配信へ - 2013年11月5日 Cnet JAPAN
- ^ “PocketStation”. ソニー・インタラクティブエンタテインメント. 2021年8月1日閲覧。
- ^ 『電撃王』通巻107号、メディアワークス、2000年6月1日、155頁。
- ^ 『HYPERプレイステーション』ソニー・マガジンズ、1999年1月1日、48,49,頁。
- ^ 週刊ファミ通 No.515. 株式会社アスキー. (1998年10月30日). p. 10
外部リンク
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