『ZERO 』(ゼロ)は、日本のシンガーソングライター である吉川晃司 の1作目のライブ・アルバム 。
1988年 6月25日 に東芝EMI のイーストワールドレーベルからリリースされた。SMSレコード からの移籍第一弾としてベスト・アルバム『beat goes on 』(1988年)からおよそ2か月ぶりにリリースされた作品である。
同年5月6日および5月9日に開催された単独公演「武道館スペシャル "BACK TO ZERO"」の模様を収録しており、同年9月10日 には『ZERO -KIKKAWA KOJI HI-VISION LIVE WORLD '88 』のタイトルでライブ・ビデオもリリースされた。ライブ・ビデオとしては『DRASTIC MODERN TIME TOUR TOKYO 8 DAYS LIVE 』(1987年)以来およそ1年半ぶりのリリースとなった。当日演奏された全26曲の内、アルバムには15曲、ビデオには11曲が収録されており、1986年以降にリリースされた楽曲を中心に選曲されている。
アルバムはオリコンアルバムチャート において最高位第5位となった。同公演終了後に吉川は活動休止宣言を行い1年程度の活動休止期間を設けることとなった。同年12月10日には元BOØWY 所属のギタリスト であった布袋寅泰 とともに音楽ユニット であるCOMPLEX を結成するという発表を行った。
背景
芸能事務所である渡辺プロダクション からの独立を望んでいた吉川晃司 は、事務所社長である渡辺晋 からの「インターナショナルで通用する映画を作りたいと思っている。その映画に出たら、独立させてやるから」という言葉を受け、映画『シャタラー 』(1987年)撮影終了後に最後の恩返しが済んだと判断し独立することとなった。しかし周囲の人間は社長と吉川との間で取り交わされた約束を知らず、一番最初に事務所を退所したことから吉川は周囲から「不義理者と思われたかも知れない」と述べ、また後日社長から直接許可を得たことを周囲に説明して事なきを得たとも述べている。同時期に友人であった布袋寅泰 が所属していたBOØWY から脱退すると聞かされた吉川は、布袋とともに活動する方向性を検討するも、契約上の問題から1年間は活動できないためその後に始動させる予定となった。
1988年2月3日にはシングル「プリティ・デイト 」、4月21日にはベストアルバム『beat goes on 』をリリース。結果としてこの2作がSMSレコード所属時代最後のシングルおよびアルバムとなった。同年5月6日および5月9日には日本武道館 において単独公演「武道館スペシャル "BACK TO ZERO"」を実施。同公演を以って吉川は渡辺プロダクションから事務所を独立させることになった。事務所からの独立は当時から遡ること4年前から検討していたことであり、退所の理由は自身が望む方向性と事務所の体制が全く異なっていたことであると吉川は述べている。吉川は渡辺プロダクションを戦艦大和 に例えた上で、「造りはでかいんだけど、弾も底をつきそうな状態で、パワーもない」と指摘、「自分で運転できる巡洋艦のほうが、小回りもきくし、スピードも速い」と述べている。事務所退所については「やめるまでいろいろ苦労もあったけど、やめた瞬間は、解放感と、これで一歩踏み出したなって実感がありました」と述べている。
録音
ライヴでの燃焼感っていうのは、自分自身より高いレヴェルに自分を置ける気がするっていうか、憧れに手が届きそうに思えるところだな。ステージであれだけの熱がもらえるわけだから、すごくパワーがつくよ。
吉川晃司, 月刊カドカワ 1993年3月号
1988年5月6日および5月9日に日本武道館 にて開催された「武道館スペシャル "BACK TO ZERO"」の模様を収録している。当日演奏された全26曲の内[11] 、ライブ・アルバムには15曲、ライブ・ビデオには11曲が収録された。アルバムおよびビデオともに未収録となったのは「MODERN TIME 」、「にくまれそうなNEWフェイス 」、「スリルなモナリザ」、「雨上がりの非常階段」、「BIG BAD BABY BASTARD」、「キャンドルの瞳 」の6曲となっている。
吉川はライブ演奏についてステージに立つことで相当な熱量が得られることから、自身をより高いレベルに昇華させられるとの自説を述べ、また聴衆に対してはライブ時で得たエネルギーが何かの役に立てば良いとも述べている。吉川はライブによる影響を強要したくはないと述べた他、「夢に対してもう一歩勇気をもってくれたりとかっていうことでしかライヴをしたくない」とも述べている。吉川は時折ライブの必要性を自問自答することがあると述べた上で、「その答えは要らないんじゃないかなって」とも述べており、日々の生活が質素であるが故に1年に1回でも「熱くなれる瞬間」を持つことが重用であり、吉川自身もライブ終了後は自宅に帰って現実に戻ることから「現実逃避だよね、結局。俺たちにとってライヴは、幸せな気持ちになれるっていうのがいちばんだな」と結論付けている。
リリースと活動休止
移籍第一弾がライヴだったっていうのは、意図があったわけじゃないんだ。(中略)ただ、バンドをやる前にひとつの区切りとして一枚出しておこうっていうのはあった。
吉川晃司, 月刊カドカワ 1993年3月号
ライブ・アルバムは1988年 6月25日 に東芝EMI のイーストワールドレーベルから2枚組LP およびCT 、CD の3形態でリリースされた。CD盤の初回購入特典として、武道館ライブの模様を収めたCDケースと同サイズの写真集が付属されていた。同写真集には吉川と親交のあった音楽評論家 の吉見佑子 と平山雄一 の寄稿文も収載されている。アルバムはオリコンアルバムチャート において、最高位第5位の登場週数10回で売り上げ枚数は6.7万枚となった。5月9日の公演終了後から吉川はしばらく表立った活動を停止すると宣言、活動休止については元々1985年頃から検討していたことであり1987年から1988年に掛けて実施されたコンサートツアー「QUESTION ~Now thinking with pleasure~」の前に確定させていたという。吉川は当時「もう…きっと、今までのアルバムの歌も絶対歌わないと思うよ」と発言を行い、さらに新たな所属事務所の設立とレコード会社の移籍を発表した。
CD盤はFar Eastern Tribe Records からリリースされた17枚目のアルバム『Double-edged sword 』(2009年)の初回限定盤のDisc3として、またデジタル・リマスタリング 盤として再リリースされた[13] [14] 。ライブ・ビデオは同年9月10日 にVHS 、10月5日にLD にてリリースされた。後にユニバーサルミュージック からリリースされたDVD-BOX 『KIKKAWA KOJI 25th ANNIVERSARY LIVE FILM COLLECTION 『LIVE=LIFE』 』(2009年)に収録される形でDVD にて再リリースされた[15] 。ビデオのライブ映像自体は16:9で収録されているが、各メディアへは4:3の画角およびレターボックス で収録。DVDにおいてもスクイーズ 収録はされなかった。音声はLDおよびDVD共にリニアPCM にて収録。
批評
専門評論家によるレビュー レビュー・スコア 出典 評価 CDジャーナル 否定的[16]
音楽情報サイト『CDジャーナル』ではライブ・アルバムの評価として、本作がベスト・アルバム的な選曲であることを指摘、また音源のみで吉川の姿が見えないことで興味が半減すると述べた他、選曲に関して「手堅いところでまとめすぎたのでは? という心配もなきにしもあらず」と評価した上でアーティストであることへのこだわりよりも「もっとハードなハンパなことやってほしい」と述べ否定的に評価した[16] 。
収録曲
LP
C面 # タイトル 作詞 作曲 編曲 時間 1. 「Mis Fit 」 安藤秀樹 原田真二 後藤次利 6:13 2. 「Little Darlin' 」 吉川晃司 吉川晃司 清水信之 3:45 3. 「恋をしようぜ!! 」 吉川晃司 吉川晃司 清水信之 3:54 4. 「モニカ 」 三浦徳子 NOBODY 大村雅朗 4:42 合計時間:
18:34
D面 # タイトル 作詞 作曲 編曲 時間 1. 「Stranger in Paradise 」 吉川晃司 吉川晃司 後藤次利 4:51 2. 「BACK TO ZERO 」 吉川晃司 吉川晃司 清水信之 5:07 3. 「a day・good night 」 安藤秀樹 佐藤健 大村雅朗 6:50 合計時間:
16:48
CT, CD
SIDE 1 # タイトル 作詞 作曲 編曲 時間 1. 「A-LA-BA・LA-M-BA 」 吉川晃司 吉川晃司 松本晃彦 5:22 2. 「HOT LIPS 」 吉川晃司 吉川晃司 清水信之 4:19 3. 「ナーバス ビーナス 」 吉川晃司 吉川晃司 後藤次利 4:50 4. 「すべてはこの夜に 」 佐野元春 佐野元春 西平彰 3:10 5. 「RAIN-DANCEがきこえる 」 安藤秀樹 佐藤健 後藤次利 4:51 6. 「サイケデリックHIP 」 吉川晃司 吉川晃司 後藤次利 4:32 7. 「終わらないSun Set 」 吉川晃司 吉川晃司 松本晃彦 4:16 8. 「Rainy Lane 」 さがらよしあき・麻生圭子 佐藤健 大村雅朗 6:05 合計時間:
37:25
SIDE 2 # タイトル 作詞 作曲 編曲 時間 9. 「Mis Fit 」 安藤秀樹 原田真二 後藤次利 6:10 10. 「Little Darlin' 」 吉川晃司 吉川晃司 清水信之 3:45 11. 「恋をしようぜ!! 」 吉川晃司 吉川晃司 清水信之 3:54 12. 「モニカ 」 三浦徳子 NOBODY 大村雅朗 4:28 13. 「Stranger in Paradise 」 吉川晃司 吉川晃司 後藤次利 4:42 14. 「BACK TO ZERO 」 吉川晃司 吉川晃司 清水信之 5:07 15. 「a day・good night 」 安藤秀樹 佐藤健 大村雅朗 6:51 合計時間:
34:57
VHS, LD
スタッフ・クレジット
ライブ・アルバム
参加ミュージシャン
スタッフ
川面博(渡辺ミュージック ) – ディレクター
三宅彰(東芝EMI ) – ディレクター
坂元達也 – レコーディング・エンジニア 、ミキシング・エンジニア
徳永“ゴジラ”陽一 (S.C.I.) – アシスタント・エンジニア
伊藤隆司(セディックスタジオ) – アシスタント・エンジニア
樋口和夫(スタジオテラ) – アシスタント・エンジニア
S.C.I. – ライブ・レコーディング・クルー
富樫巧(セブンスエンタープライズ) – マネージメント
河村嚴生(セブンスエンタープライズ) – プロデュース
渡辺ミュージック – プロデュース
原伸一 – アート・ディレクション
RICE – デザイン
岩岡五郎 – 写真撮影
ハービー山口 – 写真撮影
さわいずみ – 写真撮影
リリース日一覧
ライブ・アルバム
ライブ・ビデオ
脚注
参考文献
外部リンク
シングル
CD リミックス コラボレート 配信
1.NOW
2.光と影 〜SEMPO LIVE ver.〜
3.あの夏を忘れない
4.SAMURAI ROCK 〜義風堂々!! ver.
5.The Sliders
6.せつなさを殺せない2014
7.Over The Rainbow
8.The Last Letter
9.Lucky man
10.Brave Arrow / 焚き火
11.BLOODY BLACK
アルバム
オリジナル ミニ ベスト セルフカバー ライブ BOX サウンドトラック 参加作品
映像作品
1.KIKKAWA KOJI '84 FLYING PARACHUTE TOUR
2.'85吉川晃司 LIVE for Rockfeeling Kids in BUDOKAN
3.'85 JAPAN TOUR FINAL IN 東京昭和記念公園
4.DRASTIC MODERN TIME Tour Tokyo 8Days live
5.ZERO -KIKKAWA KOJI HI-VISION LIVE WORLD '88
6.VOICE OF MOON
7.Lunatic LUNACY
8.ACTIVE OVERDRIVE
9.SHYNESS OVERDRIVE 1992
10.Cloudy Heart's
11.CONCERT TOUR 1994 My Dear Cloudy Heart
12.LIVE GOLDEN YEARS EXPANDED 0015 GIGANTIC 2DAYS LIVE Vol.1
13.LIVE GOLDEN YEARS EXPANDED 0015 GIGANTIC 2DAYS LIVE Vol.2
14.HOT ROD MAN LIVE
15.HOT ROD MAN DOCUMENT
16.SOLID SOUL 2001
17.SMASH THE PANDORA FINAL! TOKYO CIRCUS
18.The Gundogs Perfect DVD Plus!
19.LIVE JELLYFISH
20.LIVE GOLDEN YEARS 20th Anniversary PRELUDE at BUDOKAN
21.LIVE GOLDEN YEARS Thanks0201 at BUDOKAN
22.THE FIRST SESSION KIKKAWA KOJI LIVE 2005 “エンジェルチャイムが鳴る夜に”
23.KIKKAWA KOJI LIVE 2006 ROLL OVER the DISCOTHEQUE! From Club Jungle
24.THE STORY OF TARZAN 〜2007 TOUR FINAL & DOUBLE TV DOCUMENTS〜
25.THE SECOND SESSION KIKKAWA KOJI LIVE 2007 CLUB JUNGLE EXTRA TARZAN RETURN
26.LIVE archives 25
27.KIKKAWA KOJI 25th ANNIVERSARY LIVE FILM COLLECTION 『LIVE=LIFE』
28.25th ANNIVERSARYLIVE GOLDEN YEARS TOUR FINAL at 日本武道館
29.KIKKAWA KOJI LIVE 2011 KEEP ON KICKIN' & SINGIN'!!!!! 〜日本一心〜
30.KIKKAWA KOJI 2013 SAMURAI ROCK -BEGINNING- at 日本武道館
31.KIKKAWA KOJI 30th Anniversary Live "SINGLES+" & Birthday Night "B-SIDE+" 【3DAYS武道館】
32.KIKKAWA KOJI 30th Anniversary Live "SINGLES+ RETURNS"
33.KIKKAWA KOJI Live 2016 "WILD LIPS" TOUR at 東京体育館
34.KIKKAWA KOJI LIVE 2018 "Live is Life"
35.KIKKAWA KOJI 35th Anniversary Live TOUR
36.LIVE archives 35
37.KIKKAWA KOJI LIVE TOUR 2021 BELLING CAT
テレビドラマ 関連人物 関連項目