第15ヘリコプター隊(だいじゅうごヘリコプターたい、JGSDF 15th Helicopter unit)は、沖縄県那覇市の航空自衛隊那覇基地(那覇飛行場)に駐屯する陸上自衛隊第15旅団隷下の航空科部隊である。
概要
CH-47ヘリコプターを用いた急患輸送の様子
南西諸島地域における防衛警備の輸送支援を主任務とする。部隊の前身は第1混成団隷下の第101飛行隊であり、2010年3月の第15旅団編成に伴い、第15飛行隊に改編、2013年に第15ヘリコプター隊に再改編された。第101飛行隊は沖縄返還に伴って編成された部隊であり、第1混成団の隷下に、1972年に編成されている。
第15ヘリコプター隊は、隊本部、本部付隊(LR-2装備)、第1飛行隊(UH-60JA装備)及び第2飛行隊(CH-47J/JA装備)の編制となっている。第15飛行隊以前の1個飛行隊編制からCH-47ヘリコプター等の機材増強を受け、2個飛行隊編制となった[1]。
離島が多い地域特性上、災害派遣として航空機を使用した緊急患者輸送も多いものとなっている。緊急患者輸送(急患空輸―きゅうかんくうゆ―と呼ばれている)は、年間250回を超えるものとなっており、2006年度には延べ回数が7,300回を超えている。急患空輸での活動範囲は南西諸島全般と広範囲(ほぼ日本本土が収まる広さ)で、民間運用のドクターヘリでは航続距離が届かない、夜間飛行運用が不十分などの理由のために、本部隊がその任務を担っている。運用には、UH-60JAヘリコプターのみならず、大東諸島など空港がある遠距離飛行には、固定翼機であるLR-2連絡偵察機も使用されている。
急患空輸では、南西諸島各離島で発生した急病患者が、島内での救命治療が困難な場合、役所など行政機関が所管県庁(この場合、沖縄県または鹿児島県)の防災課を通し、各県知事が自衛隊による災害派遣を法根拠に第15旅団へ要請する。離島での地域格差や医療格差などが深刻化する中、第15飛行隊の急患空輸任務は増加の一途をたどっており世界中の軍隊・警察・消防が運用する航空機レスキューの出動回数と比較しても出動回数は多い。民間運用のドクターヘリと違い、24時間体制でスタンバイしているため夜間の出動も多く、またいかなる天候状況でも飛ばなければならない状況にあるため、パイロットや整備、運航管理などを担当する隊員たちの練度と意識は高いといわれている。
しかし、1990年(平成2年)2月と2007年(平成19年)3月に患者輸送任務中に墜落事故を起こしている。両事故とも天候の悪い夜間でのフライトだった。GPSによる地形表示装置を装備しない航空機で、夜間または悪天候下での救難能力の限界を示している。2007年の事故後、防衛省の守屋武昌防衛事務次官は定例記者会見で、事故の原因究明とともに急患輸送の運用体制を見直すことを示した。この事故の捜索救難には航空自衛隊の那覇救難隊が当たった。
沿革
臨時第101飛行隊
第101飛行隊
第15飛行隊
第15ヘリコプター隊
部隊編成
主要幹部
官職名 |
階級 |
氏名 |
補職発令日 |
前職
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第15ヘリコプター隊長 |
1等陸佐 |
小野栄二 |
2022年08月01日 |
中部方面航空隊副隊長
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歴代の第15ヘリコプター隊長
(1等陸佐)
代 |
氏名 |
在職期間 |
前職 |
後職
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01 |
酒瀬川友博 |
2013年03月16日 - 2015年07月31日 |
陸上自衛隊航空学校企画室長 |
陸上自衛隊幹部学校学校教官
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02 |
古賀幹徳 |
2015年08月01日 - 2018年07月31日 |
陸上自衛隊航空学校主任教官 |
札幌駐屯地業務隊長
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03 |
坂本貴宏 |
2018年08月01日 - 2020年11月30日 |
第1ヘリコプター団本部高級幕僚 |
陸上総隊司令部運用部陸上連絡官
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04 |
後村幸治 |
2020年12月01日 - 2022年07月31日 |
陸上自衛隊教育訓練研究本部 |
陸上幕僚監部装備計画部航空機課 航空安全班長
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05 |
小野栄二 |
2022年08月01日 - |
中部方面航空隊副隊長 |
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主要装備
廃止部隊
- 臨時第101飛行隊:1972年(昭和47年)11月20日廃止。
- 第101飛行隊「101飛」:2010年(平成22年)3月25日廃止。
- 第15飛行隊「15飛」:2013年(平成25年)3月25日廃止。
関連項目
脚注
外部リンク
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専用機運航 | |
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防災ヘリの ドクターヘリ的運航 | |
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民間救急ヘリ | |
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