木古内駅(きこないえき)は、北海道上磯郡木古内町にある北海道旅客鉄道(JR北海道)・道南いさりび鉄道の駅である。北海道内最南端の駅である。日本国有鉄道・JR北海道における事務管理コードは▲141410[1]。
本項目では、木古内駅場内扱いとなる、北海道新幹線・海峡線の共用区間終点木古内分岐部(きこないぶんきぶ)[2]についても述べる。
木古内町の中心駅であり、北海道新幹線「はやぶさ」「はやて」合計13往復のうち、8往復16本が停車する[広報資料 1][広報資料 2]。また、当駅で上下の貨物列車が交換を行っており、下り貨物列車の大半が当駅に運転停車する。
在来線は道南いさりび鉄道線[3]、新幹線は北海道新幹線を所属線としており、これらに海峡線を加えた3路線が乗り入れる。当駅は線路名称上での道南いさりび鉄道線・海峡線の終点であるが、海峡線は2016年(平成28年)3月21日をもって定期旅客列車の運行を終了しており、以降は貨物列車と団体専用の臨時列車のみの運行となっている。道南いさりび鉄道線の旅客列車は、全て気動車による普通列車として当駅以東でのみ運転される。また、道南いさりび鉄道線にはsh01の駅番号、北海道新幹線 乗換駅の副駅名が導入されている。
海峡線を走行する列車は、当駅で自動列車保安装置をATS-SN形とDS-ATCの間で切り替える。
町名より。アイヌ語に由来し、現在の木古内川が、干満の差が激しく、満潮時に潮が川を逆流することから「リリオナイ(リロナイ)[4]」(波・入れる・川:潮の差し入る川)と呼ばれたためとされる[5]。
北海道新幹線は一部の「はやぶさ」と全ての「はやて」による1日16本が、道南いさりび鉄道は1日9本[6]が発着する。
官設鉄道江差線の終着駅として、1930年(昭和5年)10月25日に開業した[7][8]。1935年(昭和10年)12月10日に江差線が湯ノ岱駅まで延伸されると同線の途中駅となり[7]、1937年(昭和12年)10月12日の松前線開業に伴い、江差線と松前線の分岐駅となった[9]。1980年(昭和55年)9月30日まで運行された江差線の急行「えさし」と松前線の急行「松前」の停車駅であり、一部の列車は当駅で解併結作業を行っていた[10]。
1987年(昭和62年)4月1日の国鉄分割民営化によりJR北海道に承継される[11]。1988年(昭和63年)2月1日には松前線が廃止となったが[9][新聞 1]、同年3月13日に海峡線が開業すると[12]、当駅は東北新幹線連絡特急「はつかり」の停車駅となった。「はつかり」は2002年(平成14年)12月1日から「白鳥」「スーパー白鳥」と改称し[広報資料 3]、2008年(平成20年)3月15日からは全ての「白鳥」「スーパー白鳥」が当駅に停車するようになった[広報資料 4]。
2014年(平成26年)5月12日には、江差線の当駅 - 江差駅間が廃止されたため[広報資料 5][新聞 2]、当駅が再び江差線の終点となった。海峡線が北海道と本州以南との広域輸送に特化した路線であることから、当駅は函館近郊および道内のローカル鉄道輸送という点でも道内最南端の終着駅となった。
2016年(平成28年)3月26日には北海道新幹線の駅が設置され[新聞 3]、新中小国信号場 - 当駅間の82.1 km区間は三線軌条(標準軌 1,435 mm・狭軌 1,067 mm)による新幹線・在来線の共用区間となる[広報資料 6][広報資料 7][広報資料 8]。新幹線開業後、江差線の五稜郭駅 - 当駅間はJR北海道から経営分離され、第三セクター鉄道の道南いさりび鉄道へ移管された[広報資料 9]。
南北にある駅外との出入口と、南側の道南いさりび鉄道駅舎、北側の新幹線駅舎を高架の自由通路(跨線橋)でつなぐ橋上駅。道南いさりび鉄道線ホームとの昇降は階段のみ。他はエレベーター、エスカレーターも併設されている[18][17]。
2面2線の相対式ホームの高架駅。上り線は本線がホームのない通過線となっており、待避線上にホームがある。
直営駅。みどりの窓口、指定席券売機[21]、話せる券売機[21]、自動改札機設置。構内には売店などの設備はない。
新幹線駅舎は在来線駅舎とは反対側の線路北側に設置され、高架下に駅本屋1,850平方メートル、ホーム上屋6,410平方メートルがある。デザインコンセプトは「波と森のプロムナード 〜北の交流発信地〜」で、過去から未来につながる町の歴史と、木古内町が面する津軽海峡から打ち寄せる波のリズムを間隔を変えて垂直性を強調したリブ状の壁面で表現する。壁面は高さ約20メートルで、細長いガラスが間隔を変えてはめ込まれている[新聞 16]。天井や窓枠などに道南スギ材を多用しており、総工費は22億5750万円とされている[広報資料 11][新聞 7]。
1面2線の島式ホームが地上部に、待合室やタッチパネル式自動券売機が自由通路と同じ高架部にある橋上駅である。1 - 3番線にはホームが無く、のりばは4・5番線となっている。
社員配置駅であるが、輸送社員のみのため出札・改札業務などは一切行われておらず、営業上は無人駅である。JR時代に使われていた窓口は閉鎖され、普通乗車券は自動券売機による発売となっているが、定期乗車券については新幹線側の木古内駅で購入可能となっている[26][27]。客扱いをしていない1 - 3番線への階段や通路は、封鎖されたのち2017年(平成29年)末までに全て撤去された。
1 - 3番線には架線が張られているが、北海道新幹線開業に伴い海峡線 - 当駅函館方(交交セクション)まで架線電圧が新幹線と同様の交流25,000 V・50 Hzに昇圧されたため、海峡線直通に対応したEH800形電気機関車とE001形電車以外の電気車は当駅に入線できない。4・5番線には架線が張られていない。
江差方及び松前方の場内信号機(江差線、松前線)は駅からかなり離れており、当駅西方の木古内川橋梁を渡った先の海峡線に合流する手前に設置されていた。江差方面の列車は4・5番線から発車後ポイントを渡り海峡線の下り線を走行後、木古内道道踏切(木古内駅構内扱い)の直前で分岐していた。また、松前線の列車は、4・5番線から発車後ポイントを渡り、現在の海峡線の上り線[注釈 3]を走行後、木古内道道踏切(木古内駅構内扱い)を過ぎたところで分岐していた[注釈 4]。なお、この踏切は江差線当駅・江差駅間廃止後は、所属が江差線から海峡線に変わり、公道と交わる踏切としても道内最南端となった。
旧松前線・江差線分岐部からさらに中小国・新青森方に進んだ地点(新青森起点111.445 km[28]、木古内駅からおよそ2 km)には、青森県側の大平分岐部(新中小国信号場構内扱い)からの82.041 kmにわたる三線軌条(標準軌1,435 mm・狭軌1,067 mm)による新幹線・在来線の共用区間の終端が設けられ、木古内分岐部[28]と称される。分岐部は不転換防止のためスノーシェルターで覆われている。
付近には木古内町による展望台「北海道新幹線ビュースポット」が設けられている。
なお北海道新幹線の列車は、貨物列車との共用区間である新中小国信号場から当駅まで、青函トンネル内を除いた最高速度が140 km/h(青函トンネル内は通常時160 km/h、高速運転実施時260 km/h)に制限されている。
2022年現在、駅弁は販売されていない。
かつては駅前食堂の「伊藤食堂」と「急行食堂」が調製した駅弁が販売されていた。伊藤食堂は構内販売の他に立ち食いそば屋も経営しており、1970年頃に駅構内販売から撤退。急行食堂も1991年に当時の店主の死去に伴い駅売りから撤退。その後店主の妻が駅前食堂を継承したが2017年に死去。その翌年に駅前食堂のファンだった常連客の男性が急行食堂名物であった焼きそばの味を再現し函館駅前で「超特急焼きそば」を開店した[新聞 17]が、後に閉店している。
2002年(平成14年)12月1日のダイヤ改正で快速「海峡」が廃止されてから北海道新幹線が開通する2016年(平成28年)3月25日(22日から旅客列車が運休したため事実上21日)まで、海峡線の蟹田駅[注釈 5] - 当駅間は特急列車のみの運転となり、普通・快速列車が設定されていなかった。そのため、上記区間に含まれる各駅相互間で特急列車の普通車自由席に乗車する場合には、特急料金が不要となる特例が設けられ、「青春18きっぷ」や「北海道&東日本パス」といった普通列車専用の特別企画乗車券でも適用されていた[注釈 6]。
「国土数値情報 駅別乗降客数データ」によると、1日平均乗車人員は以下の通りである。
当駅は、全国の新幹線駅では奥津軽いまべつ駅に次いで平均乗車人員が少ない。
木古内駅前バス停が設置されており、函館バスが「快速松前号」「木古内〜松前線」(JR松前線廃止代替バス)、「江差木古内線」(JR江差線代替バス)および「函館〜知内線」を運行している。鉄道が廃止された福島町、知内町、松前町など道南最南部との交通結節点となっている(一部の路線は、道南いさりび鉄道線とほぼ並走して函館市中心街とも結ぶ)。
なお、2016年1月13日より新バスターミナルに移転し、「道の駅みそぎの郷 きこない」内にバス待合所が設置される[広報資料 16]。