岩永裕貴

岩永 裕貴
いわなが ひろき
内閣府地方創生推進室より公表された肖像
生年月日 (1973-09-03) 1973年9月3日(51歳)
出生地 日本の旗 日本 滋賀県甲賀市信楽町多羅尾
出身校 ウィチタ州立大学国際政治学科[1]
前職 岩永峯一衆議院議員秘書
所属政党日本維新の会→)
維新の党→)
おおさか維新の会→)
無所属
親族 父・岩永峯一
公式サイト 岩永ひろき 公式ホームページ - 合併から12年、今こそ甲賀に新しい風を!

当選回数 3回
在任期間 2016年10月31日 - 現職

選挙区 比例近畿ブロック滋賀4区
当選回数 1回
在任期間 2012年12月18日 - 2014年11月21日
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岩永 裕貴(いわなが ひろき、1973年昭和48年〉9月3日[2] - )は、日本政治家滋賀県甲賀市長(3期)。元衆議院議員(1期)。

農林水産大臣を務めた元衆議院議員岩永峯一は父[3]

来歴

滋賀県甲賀市信楽町多羅尾生まれ。信楽町立多羅尾小学校、信楽町立信楽中学校、比叡山高等学校卒業。高校卒業後、アメリカ合衆国カンザス州ウィチタ州立大学に留学し、国際政治学を専攻。1998年に大学を卒業し、帰国後は広告代理店に勤務。2003年10月から父・岩永峯一衆議院議員の秘書を務める。2005年、父・峯一の農林水産大臣就任に伴い、大臣秘書官に就任した[4]

2009年第45回衆議院議員総選挙に際しては、引退する父の地盤を引き継ぎ、滋賀4区自由民主党の公認を受け、出馬に向けた準備を整えていたが、同年2月13日、父・峯一が地元甲賀市に本拠地を置く宗教法人神慈秀明会」から計6千万円の寄付を受けながら、政治資金収支報告書に記載していなかった問題が発覚。また、兄も神慈秀明会の財団職員として、毎月20万から30万円の給与を十数年間受け取っており、家族ぐるみでの癒着関係が認められた[要出典][5]これを受けて3月15日、立候補辞退を表明した[3][6]。岩永に代わり、8月30日の衆院選には地域政党「対話でつなごう滋賀の会」の滋賀県議会会派の政策スタッフを務めていた武藤貴也が自民党から出馬したが、民主党元職の奥村展三に敗れ、落選した。

2012年大阪維新の会が政治塾「維新政治塾」を設立。岩永は試験に合格し、同年6月に入塾[7]。同年12月の第46回衆議院議員総選挙日本維新の会公認で滋賀4区から出馬し、自民党公認の武藤貴也に敗れたが、重複立候補していた比例近畿ブロックで復活し、初当選した。2014年の日本維新の会分党に際しては、橋下徹大阪市長による新党結成を目指すグループに参加[8]。分党後の日本維新の会を経て維新の党結党に参加した。

同年12月の第47回衆議院議員総選挙は維新の党公認で出馬。滋賀4区は岩永、自民党の武藤貴也、民主党徳永久志日本共産党の新人の4者の争いとなったが、得票数2番目で武藤に敗れ、比例復活もできず議席を失った[9]

2015年10月、野党共闘をめぐって維新の党が分裂[10]。岩永も維新の党を離れ、2016年1月にはおおさか維新の会の支部にあたる滋賀維新の会を設立して代表に就任し、2月9日にはおおさか維新の会衆院滋賀4区支部長就任が発表された[11]。同年5月、10月に実施予定の甲賀市長選挙への出馬が報じられ[12][13]5月26日無所属で出馬する意向を表明した[14]10月16日投開票の甲賀市長選で、自民・公明両党の推薦を受け、4選を目指した現職の中嶋武嗣1,698票の僅差で破り、当選した[15]10月31日、甲賀市役所に初登庁し、正式に甲賀市長に就任した[16]

2020年、無投票で再選。2024年、無投票で3選[17]

政策・主張

市政

市の開票不正事件

2018年2月、甲賀市が前年の第48回衆議院議員総選挙の開票の際、未使用の白票を使って無効票を水増しした上、本来計上されるべき投票用紙を焼却処分していたことが市長への内部通報で判明。同市では開票後に開票数が投票者数より約400票少ないことが判明し、職員らが未開封の投票箱を捜したが見つからず、未使用の投票用紙を白票として加える「つじつま合わせ」を行っていた。さらに、投票日翌日の朝に未集計の約400票が入った投票箱が見つかったが、幹部らは未集計の投票用紙約400枚の処分を部下に命じ、有権者が投じた票は焼却された[20][21]。2019年4月23日、市は不正処理に関わった当時の総務部長ら3人を懲戒免職に、総務部の2人を減給3ヶ月の懲戒処分とした。岩永は「責任の重さを痛感している。市民には改めて深くおわび申し上げ、全職員一丸となって信頼回復に努めていきたい」と謝罪した[22]

小中校への半旗掲揚要請

2022年7月12日に行われた安倍晋三元首相(銃撃事件で死去)の葬儀の前日、甲賀市の教育委員会が市立の全27小中学校に弔意を表す半旗掲揚に協力を求める文書を送っており、当日は小学校6校が半旗掲揚を行った。このことについて学校の「特定政党支持や政治的活動」を禁じる教育基本法に抵触する可能性が指摘され、岩永は9月1日の会見で「庁舎のみの半旗掲揚を指示したが、事務方の連絡ミスで教育現場にまで通知がいってしまった。ガバナンス(組織統治)の不足で混乱を招き、申し訳ない」と謝罪。「確認ミスが重なり、最終的に政治的中立性が求められる教育現場に指示が伝わってしまったのは問題。二度とないように徹底したい」と述べた[23][24]。なお、同年9月27日の故安倍晋三国葬儀には岩永は私費で出席した。元衆院議員であることから案内状が届いたという[25]

その他

  • 2020年5月19日、新型コロナウイルス対策の財源に充てるため、自身と副市長、教育長の6月期末手当を全額カットすると発表した[26]

政治資金

岩永が代表を務める政治団体「岩永ひろき後援会」が、政治資金規正法で毎年の提出が義務付けられている政治資金収支報告書を、2016年から5年間にわたり提出していなかった。また、2年連続で未提出の団体は解散したとみなされ、寄付の受け取りや支出が禁止されるが、同団体は2018年のみなし解散後も岩永の資金管理団体から約50万円の寄付を受けるなどしていた。同団体は岩永の事務所のスタッフが民間企業に勤める傍ら会計責任者を務めており、多忙で提出を怠ったと説明。2021年に未提出分を一括報告しており、岩永は「何かを隠そうとした行為ではなく、事務の体制がずさんになってしまっていた。深くお詫び申し上げる」と謝罪した[27][28]

脚注

  1. ^ 市長プロフィール/甲賀市
  2. ^ 『全国歴代知事・市長総覧』日外アソシエーツ、2022年、266頁。
  3. ^ a b “滋賀4区 岩永裕貴氏が出馬断念”. 滋賀報知新聞. (2009年3月17日). http://www.shigahochi.co.jp/info.php?type=article&id=A0000965 2017年4月30日閲覧。 
  4. ^ 岩永ひろきプロフィール - 岩永ひろし公式ホームページ
  5. ^ “岩永峯一元農相、6000万円献金隠し。宗教法人と親密。”. 朝日新聞. (2009年2月13日) 
  6. ^ “岩永氏三男が出馬断念”. 毎日新聞. (2009年3月15日). http://www.chunichi.co.jp/hold/2009/09_sousenkyo/shiga/CK2009031502100003.html 2009年3月15日閲覧。 
  7. ^ “動き出した衆院選<5> 《 4区 》”. 滋賀報知新聞. (2012年7月19日). http://shigahochi.co.jp/info.php?type=article&id=A0010725 2017年11月30日閲覧。 
  8. ^ “日本維新の会分党 「石原新党」に23人”. ハフィントンポスト. (2014年6月6日). https://www.huffingtonpost.jp/2014/06/05/ishin-breakup_n_5456685.html 2015年4月26日閲覧。 
  9. ^ 滋賀 - 開票速報 - 2014衆院選:朝日新聞デジタル
  10. ^ “橋下氏らが「おおさか維新の会」結党 国会議員19人参加”. 毎日新聞. (2009年3月15日). https://www.sankei.com/article/20151031-B6AYDGX6EZK7ZKQLFTJCPS5DGU/ 2009年3月15日閲覧。 
  11. ^ おおさか維新の会衆議院支部長選任者リスト』(プレスリリース)おおさか維新の会、2016年2月9日https://o-ishin.jp/news/2016/images/3c22506e8e6c1312652f8fcbf6047ff861507e31.pdf 
  12. ^ “甲賀市長選 岩永氏出馬検討/滋賀”. 毎日新聞. (2016年5月16日). https://mainichi.jp/articles/20160516/ddl/k25/010/297000c 2017年4月30日閲覧。 
  13. ^ “滋賀・甲賀市長選 岩永氏が出馬意向”. 京都新聞. (2016年5月15日). http://www.kyoto-np.co.jp/shiga/article/20160515000050 2017年4月30日閲覧。 
  14. ^ “滋賀・甲賀市長選立候補、岩永氏が正式表明”. 京都新聞. (2016年5月26日). http://www.kyoto-np.co.jp/politics/article/20160526000163 2017年4月30日閲覧。 
  15. ^ “甲賀市長選:岩永裕貴氏が初当選”. 毎日新聞. (2016年10月17日). http://mainichi.jp/senkyo/articles/20161017/k00/00m/010/100000c 2017年4月30日閲覧。 
  16. ^ “岩永・甲賀市長:「4年間で結果出す」 初登庁で抱負/滋賀”. 毎日新聞. (2016年11月1日). https://mainichi.jp/articles/20161101/ddl/k25/010/610000c 2017年4月30日閲覧。 
  17. ^ “甲賀市長選挙で無投票3選の岩永裕貴さん「おごることなく謙虚に受け止める」”. 中日新聞. (2024年10月20日). https://www.chunichi.co.jp/article/974618 2024年10月21日閲覧。 
  18. ^ a b c “2014衆院選 滋賀4区 岩永 裕貴”. 毎日新聞. http://senkyo.mainichi.jp/47shu/meikan.html?mid=A25004004004&st=tk 2017年4月30日閲覧。 
  19. ^ 朝日新聞、2014年衆院選、朝日・東大谷口研究室共同調査
  20. ^ “焼き捨てた400票 前回衆院選で開票不正 元甲賀市課長の悔恨”. 毎日新聞. (2021年10月27日). https://mainichi.jp/articles/20211026/k00/00m/040/102000c 2023年7月29日閲覧。 
  21. ^ “白票水増し・投票用紙焼却、前代未聞の不正はなぜ起きた…甲賀市選管のずさん管理態勢”. 産経新聞. (2018年2月26日). https://www.sankei.com/article/20180226-X36KKCVXEZNWXEHW7US55STXEY/ 2023年7月29日閲覧。 
  22. ^ “甲賀選挙不正:事務局長を懲戒免職 市、5人処分 /滋賀”. 毎日新聞. (2019年4月25日). https://mainichi.jp/articles/20190425/ddl/k25/010/388000c 2023年7月29日閲覧。 
  23. ^ “滋賀・甲賀市教委が小中学校に半旗掲揚求める 7月の安倍氏葬儀で”. 毎日新聞. (2022年8月30日). https://mainichi.jp/articles/20220830/k00/00m/040/133000c 2023年7月29日閲覧。 
  24. ^ “安倍元首相葬儀 「連絡ミス」甲賀市長謝罪 学校半旗掲揚で /滋賀”. 毎日新聞. (2022年9月2日). https://mainichi.jp/articles/20220902/ddl/k25/040/247000c 2023年7月29日閲覧。 
  25. ^ “国葬、知事と3市町長が参列 半旗掲揚は県と6市町”. 朝日新聞. (2022年9月28日). https://www.asahi.com/articles/ASQ9W758WQ9WPTJB00F.html 2023年7月29日閲覧。 
  26. ^ “新型コロナ 甲賀・湖南市長、期末手当を返上 副市長らも全額 /滋賀”. 毎日新聞. (2020年5月20日). https://mainichi.jp/articles/20200520/ddl/k25/040/388000c 2020年7月13日閲覧。 
  27. ^ “初当選から5年、政治資金収支報告書出さず 甲賀市長「完璧に失念」”. 朝日新聞. (2023年7月27日). https://www.asahi.com/articles/ASR7V7GWLR7VPTJB00V.html 2023年7月29日閲覧。 
  28. ^ “収支報告書5年間未提出 甲賀市長の政治団体 /滋賀”. 毎日新聞. (2023年7月27日). https://mainichi.jp/articles/20230727/ddl/k25/010/236000c 2023年7月29日閲覧。 

外部リンク

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