呉 柏毅(う ぼい、1996年1月26日 - )は、関西棋院所属の囲碁棋士。六段。台湾出身、王立誠九段門下。
経歴
台湾出身。8歳の時に渡日して東京都の公立小学校に入学[1]。囲碁の勉強のため、中国や韓国にも研修に向かった[1]。小学6年生の時、台湾のアマチュア棋戦の栄三杯全国学生棋王トーナメントで4位[1]。永大杯では七段戦で全勝優勝し、台湾に22人しかいなかったアマ七段に最年少の12歳で昇段した[1]。
2009年、13歳の時に改めて渡日[2]。日本棋院の院生となり、王立誠に弟子入り[1]。同年から日本棋院の棋士採用試験に挑んだが、なかなかプロ入りは果たせなかった[3]。2012年10-11月の冬季棋士採用試験の本戦は呉を含む七者が9勝6敗で並ぶ混戦となったが、順列規定により呉は4位(入段は14勝1敗の許家元と9勝6敗の藤村洋輔)[4]。この後、17歳の年齢制限により日本棋院院生を退会[2]。
2013年、朝日アマ名人戦で全国大会優勝。17歳での優勝は最年少記録となった[2]。洪奭義アマ名人への挑戦は0勝2敗で敗退[5]。また、外来として日本棋院冬季棋士採用試験に臨み、10-11月の本戦は11勝4敗で三者が並んだが、順列規定で呉は4位となり、入段を逃す(入段は13勝2敗の外柳是聞と11勝4敗の張瑞傑)[6]。しかしながら、2014年に関西棋院で入段を決め、足掛け5年、10度目の試験挑戦でプロ入りを果たした[3]。合格に際し、タイトル獲得多数の台湾出身棋士、謝依旻のように活躍したいと抱負を語った[3]。同年4月1日、18歳で入段。
2015年には関西棋院賞新人賞を受賞。2016年、第3回ゆうちょ杯(非公式戦)の本戦で大西研也・許家元・谷口徹・芝野虎丸に勝利し優勝[7]。また、第42期碁聖戦で自身初となる七大棋戦本戦進出(2017年1月26日、2回戦で山下敬吾に敗退)[8]。2016年は19連勝を記録するなど活躍し、関西棋院賞の連勝賞・永井賞を受賞[1]。
2017年にはNHK杯初出場(第65回、2回戦で本木克弥に敗退)[9]。2018年、第44期天元戦本戦で2勝を挙げる[10]。第43期棋聖戦Cリーグ4勝1敗でBリーグに昇格[11]。2019年の第44期棋聖戦Bリーグは2勝5敗で陥落したが[12]、2020年の第45期Cリーグは4勝1敗で再び昇格[13]。
2021年、第46期棋聖戦Bリーグは2勝5敗で陥落[14]。関西囲碁オープン2021(非公式戦)のAクラスで優勝[15]。2022年、第47期棋聖戦Cリーグ4勝1敗で三度目のBリーグ昇格を果たすと[16]、2023年、第48期棋聖戦のBリーグ2組を6勝1敗で制して初のAリーグ昇格[17]。プレーオフでは1組1位の安達利昌に敗れ、挑戦者決定トーナメント進出はならず[17]。また、関西囲碁オープンのAクラスで自身二度目の優勝も決めた[18]。
人物・エピソード
- 日本に渡ってから、プロ入りを決めるまでは1日10時間以上を囲碁に費やした。この頃の心境について、「囲碁は私の人生だから、どんなにつらくても続ける」と台湾のインタビューで語っている[3]。東京での修業時代は洪清泉が主宰する洪道場にも所属しており、研鑽を重ねた[19]。
- 2013年の第8回朝日アマ名人戦では、全国大会決勝戦で大表拓都(2016年に日本棋院で入段)と対戦。結果は呉が勝利し、前身の朝日アマ囲碁十傑戦を含み史上最年少(17歳)での優勝となったが、大表も当時17歳だったためどちらが優勝しても史上最年少記録だった[2]。
棋歴
良績
- ゆうちょ杯(非公式戦) 優勝(2016年・第3回)
受賞歴
- 関西棋院賞
- 永井賞 1回(2016年)
- 連勝賞 1回(2016年)
- 新人賞(2015年)
昇段履歴
- 2014年4月 入段
- 2016年1月 二段
- 2017年1月 三段
- 2018年1月 四段
- 2019年1月 五段
- 2024年1月 六段
脚注
外部リンク