トリニダード・トバゴ共和国
Republic of Trinidad and Tobago
国の標語:Together we aspire, together we achieve (英語: 我ら共に熱望し、我ら共に成し遂げる)
国歌 :Forged from the Love of Liberty (英語) 自由の愛によってつくられし
トリニダード・トバゴ共和国 (トリニダード・トバゴきょうわこく、英語 : Republic of Trinidad and Tobago )、通称トリニダード・トバゴ は、カリブ海 の小アンティル諸島 南部に位置するトリニダード島 とトバゴ島 の2島と属領からなる共和制 国家 で、イギリス連邦 加盟国である。島国 であり、海を隔てて北にグレナダ 、北東にバルバドス 、南にベネズエラ が存在する。首都はポートオブスペイン 。
リンボーダンス やスティールパン で有名。住民の数はアフリカ系とインド系が拮抗する。
国名
正式名称は、Republic of Trinidad and Tobago 。通称、Trinidad and Tobago (/ˌtrɪnɨdæd ænd tɵˈbeɪɡoʊ/ ⓘ トリニダッド・アンド・トベイゴウ)。
日本語の表記は、トリニダード・トバゴ共和国 。通称、トリニダード・トバゴ 。
国名は、主要2島のトリニダード島とトバゴ島を合わせたものである。トリニダード島は、島にある3つの山をキリスト教 の教義の三位一体 (trinidadは、スペイン語 で三位一体のこと)になぞらえて、スペイン人に名付けられた。トバゴ島は、先住民 が吸っていたタバコ から名付けられた。スペイン語での国名は、República de Trinidad y Tobago 。
歴史
政治
国会議事堂
トリニダード・トバゴは、共和制 、議院内閣制 を採る立憲国家である。現行憲法は1976年 8月1日 に施行された[ 3] 。
国家元首 は大統領 であり、大統領は間接選挙 (上下両院議員による投票)で選出される。任期は5年で、3選は禁止。その権限は、元首としての儀礼的・形式的なものに限られる。詳細は「トリニダード・トバゴの大統領 」を参照。
行政権 は首相 率いる内閣 に属する。総選挙の結果を受け、多数派政党の指導者を大統領が首相に任命する。閣僚 は議会議員の中から任命される。
立法府 は上院 、下院 で構成される両院制 の共和国議会 である。上院は31議席で、うち16議席は与党、9議席は大統領、6議席は野党により任命される。任期は最大5年。下院は41議席で、議員は国民による直接選挙 で選出され、任期は5年。
トリニダード・トバゴは複数政党制 が機能している。主要政党は中道左派の人民国家運動 (PNM) 、左派の統一民族会議 (UNC) であり、二大政党制 が機能している。
トバゴ島には独自の議会があり、トバゴ島の内政自治を担う行政府としての役割も果たしている。
国家安全保障
国家安全保障省の下にトリニダード・トバゴ国防軍が存在している。人員は2007年時点で約2700人が所属し、陸軍、沿岸警備隊、航空警備隊などが存在する。
国際関係
近隣諸国やアメリカ との関係が深いほか、旧宗主国 のイギリスとの関係が深く、イギリス連邦 加盟国である。国際連合 に加盟している。
日本
1962年: 独立と同時にトリニダード・トバゴ承認
1964年5月: 外交関係開設
1979年: 日本大使館 開設(トリニダード・トバゴ側は1971年以来、大使館級の在インド高等弁務官事務所 が兼轄)
日本との二国間条約・取極: なし
日本からトリニダード・トバゴへの観光者数は1191人(2015年資料[ 4] )。トリニダード・トバゴから日本への観光者数は624人(2015年資料[ 4] )。
地方行政区分
トリニダード・トバゴの行政区画
トバゴ島 (Tobago) は1987年国内自治権が与えられた。
主要都市
地理・地質
トリニダード・トバゴの地理
地形図
トリニダード島とトバゴ島の2島からなる。トリニダード島は面積4827平方キロメートル の山がちな島で、最高地点はアリポ山 (981メートル ) であり、南米ベネズエラの海岸からわずか15キロメートル の沖合いに位置している。マノス島 (英語版 ) やチャカチャカレ島 などの小島が周囲にある。トバゴ島はトリニダード島から北東約34キロメートルに位置し、面積301平方キロメートルで同じく山がちな島であり、セント・ジルズ島 (英語版 ) やリトル・トバゴ島 (英語版 ) などの小島が周囲にある。首都ポートオブスペインはトリニダード島の西部パリア湾に面した所にある。
トリニダード島の北部山地はジュラ紀と白亜紀の変成岩から成る。その南の北部低地はより新しい地質時代の堆積物から成る。中央山地では白亜紀と第三紀の堆積岩が褶曲・断層作用を受けている。南部低地は新第三紀の砂・粘土・礫から成り、その下に石油・ガス鉱床がある。南部山地は新第三紀の砂岩・頁岩・シルト岩が褶曲しており、オイルサンドや泥火山が見られる。
経済
ポートオブスペイン の港
西インド諸島 で唯一、豊かな石油 と天然ガス の資源があり、それらを利用したメタノール 及びアンモニア 製造が盛んで、国の経済の中心になっている。GDPの40%、輸出の80%を占めるが、雇用は5%しかない。液化天然ガス (LNG)、石油化学、鉄鋼への投資が近年拡大している。石油から天然ガスへのシフトが見られ、米国のLNG輸入先の70%に達する。
トリニダード島のピッチ湖 には、世界最大規模のアスファルト の天然鉱脈がある。トバゴ島は観光 産業が盛んである。柑橘類やココアなどの農産物もあるが、代表的なサトウキビ 産業は2007年に消滅した。
交通
道路
道路網はよく発達している。島内の移動には個人タクシーか小型バスが使われる。このバスは「マクシ・バス」と呼ばれ、どこでも止める事が出来る。
鉄道
鉄道はかつてトリニダード島全域に政府鉄道 があったが、自動車の普及により1968年 末に全て廃止されている[ 5] 。
航空
空港はトリニダード島にピアルコ国際空港 があり、トバゴ島にはクラウン・ポイント空港 がある。カリビアン航空 が近隣諸国やヨーロッパ 、北アメリカ 諸国との間を結んでいる。
国民
人種はアフリカ系 (41%) 、印僑 (41%) 、混血 (16%) 、ヨーロッパ系 (1%) 、その他華人 など (2%)。トバゴ島ではアフリカ系の住民が多い。
言語
公用語は英語である。最も広く話されている言語は、英語系のクレオール言語(混成言語)であり、スペイン語やフランス語、ヒンディー語の影響を強く受けている。
トリニダード島出身の言語学者ジョン・ジェイコブ・トマス (英語版 ) は『クレオール文法の理論と実際』(1869年 )を著し、クレオール言語が独自の体系を持った言語であることを実証した。
宗教
カトリック が26%、ヒンドゥー教 が22%、英国国教会 が8%、イスラム教 が5%、セブンスデー・アドベンチスト教会 が4%である。
文化
国花のチャコニア
トリニダード・トバゴはアフリカ系、インド系、中国系住民の文化が互いに影響し合いながら、世界規模に拡がりのある文化を多数生み出してきた。トリニダード島は東カリブ海諸国の文化的な中心であるといえる。
文学
20世紀になると、ハイチ革命 を描いた『ブラック・ジャコバン (英語版 ) 』(1938年)を著したC・L・R・ジェームズ や、カリブ海地域の黒人による初の歴史書となった『資本主義と奴隷制』(1944年)、『コロンブスからカストロまで』などを著したエリック・ウィリアムズ によって、イギリス資本主義 の形成におけるカリブ海の奴隷の役割が明らかにされた。
現代の作家としては、『ビスワス氏の家 (英語版 ) 』(1961年)などで知られるインド系ノーベル文学賞 作家のV・S・ナイポール が挙げられる。
絵画
著名な画家としては、ミシェル・ジャン・キャサボン が挙げられる。
カーニバル
トリニダード・カーニバル
首都ポートオブスペイン で開催されているカーニバル 「ジュヴェ 」(J'ouvert ) は、世界の三大カーニバルに数えられており、大掛かりな衣装を身にまとった仮面舞踏会 や、大衆歌謡音楽であるカリプソ やソカ 、スティールパンのコンテストであるパノラマなどが有名である。カーニバルの文化は、植民活動をおこなったフランス によってもたらされた。カーニバルの衣装には、ドラゴン のモチーフなど、中国系住民の文化の要素が入っている。
音楽
1920年代にカリプソ が音楽ジャンルとして成立した。
1930年代に石油を貯蔵するためのドラム缶 から生まれた楽器・スティールパン (スティールドラム)は「20世紀最大のアコースティック楽器 発明」と呼ばれており、1992年の独立記念日には正式に「国民楽器」として認められた。スティールパンは、先進国への移民によって世界の音楽に影響を与えており、多くのアーティストによって取り組まれている。
ソカ もこの国の発祥である。ソカは、ペルシア 系の人びとのタッサ (英語版 ) やインド系の人びとのチャトニー (英語版 ) といった音楽の要素を取り込んでおり(チャトニー・ソカ (英語版 ) )、ニューヨーク の移民 社会を通じてヒップホップ と互いに影響を受け合いながら、世界のポピュラー音楽 に影響を与えている。
著名な音楽家としてはアッティラ・ザ・フン 、ロード・キチナー 、エドムンド・ロス が挙げられる。
また、アメリカ で活動するラッパー、シンガーソングライターのニッキー・ミナージュ も首都ポート・オブ・スペイン 生まれである。
祝祭日
日付
日本語表記
英語表記
備考
0 1月0 1日
元日
New Year’s Day
0 2月 - 3月
カーニバル
Carnival
移動祝祭日
復活祭
Easter
0 3月30日
Spiritual Baptist/Shouter Liberation Day
移動祝祭日
Corpus Christi
0 5月30日
インド人到達の日
Indian Arrival Day
0 6月19日
労働者の日
Labour Day
0 8月0 1日
解放記念日
Emancipation Day
0 8月31日
独立記念日
Independence Day
0 9月24日
共和国記念日
Republic Day
移動祝祭日
エイド・ウル・フィトル
Eid‐ul‐Fitr
移動祝祭日
ディーワーリー
Diwali
12月25日
クリスマス
Christmas Day
12月26日
ボクシング・デー
Boxing Day
スポーツ
クリケット
トリニダード・トバゴ出身の名選手だったブライアン・ララ
トリニダード・トバゴではクリケット が最も人気のあるスポーツである[ 6] [ 7] 。他のカリブ海諸国などとの多国籍チームである西インド諸島代表 として国際試合を行っており、過去にはワールドカップ で2度の優勝経験を有する。同国出身のブライアン・ララ は、世界のクリケットにおいて歴代屈指の名選手であった。2013年にカリブ海地域 の6カ国が連合になったトゥエンティ20 形式のプロリーグであるカリビアン・プレミアリーグ が開幕し、トリンバゴ・ナイトライダース (英語版 ) が参加している。
サッカー
トリニダード・トバゴ国内でも、他のラテンアメリカ 諸国と同様にサッカー が人気のスポーツ となっており、1999年 にプロサッカーリーグのTTプロリーグ が創設された。同国の著名な選手には、アストン・ヴィラ やマンチェスター・ユナイテッド などで活躍したドワイト・ヨーク や、バーミンガム やサンダーランド などでプレーしたスターン・ジョン が存在する。
2006年 に、サッカートリニダード・トバゴ代表 がFIFAワールドカップ のドイツ大会 に初出場した際には、国内では大変な盛り上がりをみせた。グループリーグ第1戦でスウェーデン と引き分け、第2戦のイングランド とは終盤まで0-0にまで持ち込むなど健闘し(試合は0-2で敗北)、第3戦ではパラグアイ に敗れてグループ最下位で敗退した。また、カリブ海 地域の王者を決めるカリビアンカップ では、大会最多となる8度の優勝を達成している。
その他
陸上競技 では、ヘイズリー・クロフォード が1976年 のモントリオール五輪 の男子100m で同国史上初の金メダルを獲得した。パラ陸上競技 では、アキーム・スチュワートが砲丸投 ・円盤投 ・やり投 で世界記録を出すなどしている。また、女子ボクシング では世界タイトル9冠を達成し、17戦全勝のまま死亡したジゼール・サランディ を輩出したことでも知られる。
著名な出身者
脚注
参考文献
関連項目
外部リンク
ウィキメディア・コモンズには、
トリニダード・トバゴ に関連する
メディア および
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政府
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観光
その他
加盟国
脱退国
1 1はイギリスの植民地・保護国だったことのない国。