この項目では、オランダ領の島について説明しています。その他の用法については「アルバ (曖昧さ回避) 」をご覧ください。
アルバ
Land Aruba (オランダ語) Pais Aruba (パピアメント語)
地域の標語:なし
地域の歌:貴い国アルバ (オランダ語)
人口推移(千人)
アルバ (オランダ語 : Aruba [aːˈrubaː, aːˈrybaː] ( 音声ファイル ) 、パピアメント語 : Aruba [aˈruba] 、正式にはオランダ語: Land Aruba 、パピアメント語: Pais Aruba )は、西インド諸島 の南端部、南米 ベネズエラ の北西沖に浮かぶ島。高度な自治が認められたオランダ王国 の構成国 。本土オランダ 、キュラソー 、シント・マールテン と共に対等な立場でオランダ王国を構成している。アルバという名は、スペイン語 のoro hubo(黄金ありき)から来ているという説がある。
歴史
アルバの最初の住民は、アラワク族 のカケティオス・インディアンである。彼らは、カリブ族 による攻撃から逃れて、ベネズエラ からこの地に移住した。最古のインディアン住居跡は、西暦1000年 頃までさかのぼる。他の西インド諸島とも距離もあり、海の高い波はカヌー での航海を困難にしたため、カケティオスたちはカリブ海よりも南米に多く見られた。
スペイン人探検家のアロンソ・デ・オヘーダ (Alonso de Ojeda) は、1499年 頃、最初のヨーロッパ人として同地に到着したと考えられているが、開拓地は建設されなかった。多くのほかの西インド諸島と異なり、プランテーションはアルバでは発達しなかった。その代わりにスペイン人は、多くのカケティオスをイスパニョーラ島へ送り、そこで奴隷 として掘削の仕事を強制した。
1636年 、アルバはオランダに承認され、2世紀近くオランダの植民地支配下にあった。1805年 以降のナポレオン・ボナパルト による戦争の間、イギリス が主に島の植民地支配をしたが、1816年 に再びオランダの植民地支配に戻された。
19世紀 のゴールドラッシュで繁栄した。最初の原油積み替え施設が1924年 に、1928年 には製油所が開設された。これはアメリカ合衆国 のスタンダード・オイル ・オブ・ニュージャージー(現在のエクソンモービル )の100%出資の子会社、ラゴ・オイル&トランスポート株式会社 (Lago Oil & Transport Co. Ltd.) である。
ラゴ製油所は島の東端に位置し、西端にはロイヤル・ダッチ・シェル が小さい「イーグル製油所」を保持していたが、第二次世界大戦 勃発後のオランダのドイツ による占領のすぐ後に閉鎖を余儀なくされた。
第二次世界大戦後の1954年 に、オランダ領アンティル (州 )の一部(県 )に組み込まれたが、1986年 単独の自治領(州 )として分離した。現在に至るまでオランダの統治下にある。
2023年 9月28日 にアルバ国立図書館 (英語版 ) およびアルバ国立公文書館 (英語版 ) は、アメリカの非営利団体であるインターネットアーカイブ の協力により、10万点超の歴史的資料を「Coleccion Aruba[ 2] 」と名付けてデジタルアーカイブとして公開した[ 3] 。費用の多くはインターネットアーカイブが負担することになっており、少ない予算で実現可能なモデルだと評価されているが、歴史的資料が民間団体によって保管されることによる継続性の面で課題が指摘されている[ 4] 。
軍事
自治領であるため自前の軍隊 は持たず、オランダ軍 が沿岸警備などに就いている。
地理
北緯12度03分、西経69度58分、ベネズエラから北の沖合い25kmに位置する、面積193km2 の島。近くにあるキュラソー とボネール と共にABC諸島 とも呼ばれている。ほぼ平坦なサンゴ礁 の島で、最高地点でもジャマノタ山 (英語版 ) (188m)である。年間平均気温が27℃、年間降水量が510mmである。島の大半は砂漠 化しており、降水量が少ないため、植物はサボテン が生えている。島には美しい真っ白なビーチ が幾つかあり、観光客で賑わっている。また、ベアトリクス女王国際空港 の東側にあるスパーンス・ラグーン (英語版 ) は干潟 とマングローブ の湿地 のある狭い入り江 で、ホグフィッシュ (英語版 ) 、クベラスナッパー (英語版 ) 、ターポン 、アルーバガラガラヘビ (英語版 ) などが生息しており、1980年にラムサール条約 登録地となった[ 5] 。また、東岬、南海岸、西岬、西部湿地の4か所も2023年にラムサール条約登録地となった。東岬一帯はハンドウイルカ 、シワハイルカ 、タイセイヨウマダライルカ 、スジイルカ 、ハシナガイルカ 、マダライルカ の6種のイルカ の生息地で、ハセイルカ 、ハナゴンドウ 、オキゴンドウ 、ゴンドウクジラ 、ザトウクジラ 、ミンククジラ 、ジンベエザメ なども見られる[ 6] 。南海岸にはマングローブ 、海草 床、砂浜 、珊瑚礁 などがあり、アジサシ類 、3種のウミガメ (アオウミガメ 、タイマイ 、アカウミガメ )、12種の海獣 、ウミトサカ類 、イシサンゴ類 (Millepora complanata (英語版 ) 、エルクホーンサンゴ (英語版 ) など)、魚類 (マダラトビエイ (英語版 ) 、イタチザメ など)と海綿動物 が生息している[ 7] 。西岬一帯の砂浜はオサガメ 、タイマイ、アカウミガメ、アオウミガメの4種のウミガメの営巣地で、石灰岩 の台地 はアメリカコアジサシ の繁殖地である。水域にはエルクホーンサンゴが生息しており、タートルグラス (英語版 ) の海草床はAliger gigas (英語版 ) とブダイ類 の生息地である。陸上の砂丘 と湿地にはカンムリコリン (英語版 ) 、アナホリフクロウ 、アルーバガラガラヘビ、トウブワタオウサギ 、ベネズエラヨルマウス (英語版 ) などが生息している[ 8] 。西部の湿地は海岸に位置する塩性湿地 で、ミルスベリヒユ 、Sporobolus pyramidatus (スペイン語版 ) などの植物が生えており、昆虫 、甲殻類 、固有種 のCnemidophorus arubensis (英語版 ) などの爬虫類 、鳥類 やソーシュルハナナガコウモリ (英語版 ) などの哺乳類 が生息している[ 9] 。
地図
経済
カリブ海 地域の中では生活水準は非常に高く、失業率 も低い。アルバの国民総生産 の半分は観光関連で、観光客のほとんどがアメリカからであり、最大の貿易相手国でもある。観光業が拡大する一方、アルバにおける有力産業は石油精製で、農業や製造業の規模は小さい。20世紀 の最後の10年間は、観光産業がブームとなり、1985年 にいったん製油所が閉鎖されて以来(1991年 に再開)、アルバの第一の産業となる。観光と島内に多数あるリゾートに注目が集まっていることもあってアルバの失業率は非常に低く、「カリブ海のラスベガス」とも呼ばれている。
アルバは観光産業が盛んな一方で農業・製造業の規模が小さいことから長年財政赤字を計上しており、インフレ率はやや高くなっている。財政政策に注力してはいるものの、オランダ本国から毎年援助を受けている。
通貨
通貨はアルバ・フロリン (アルバ・ギルダーとも)。為替レートは1アルバ・フロリン=1アンティル・ギルダー =1.79米ドル で固定されている。補助単位はセント(100セント=1アルバ・フロリン)。5フロリンおよび50セント硬貨は四角形をしている。
交通
航空
住民
ヨーロッパ 系の白人と黒人、さらに先住民アラワク族 の血が混ざり合った混血 が80%を占める。
宗教
宗教はカトリック が82%、プロテスタント が8%である。
言語
公用語はオランダ語 だが、オランダ語やスペイン語 、ポルトガル語 などが混ざり合った混成語であるパピアメント語 も幅広く使われている。
出身者
脚注
関連項目
外部リンク
ウィキメディア・コモンズには、
アルバ に関連するメディアがあります。
座標 : 北緯12度30分 西経69度58分 / 北緯12.500度 西経69.967度 / 12.500; -69.967