アンドリュー・ミラー (野球)

アンドリュー・ミラー
Andrew Miller
クリーブランド・インディアンスでの現役時代
(2018年8月5日)
基本情報
国籍 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
出身地 フロリダ州ゲインズビル
生年月日 (1985-05-21) 1985年5月21日(39歳)
身長
体重
6' 7" =約200.7 cm
210 lb =約95.3 kg
選手情報
投球・打席 左投左打
ポジション 投手
プロ入り 2006年 MLBドラフト1巡目
初出場 2006年8月30日
最終出場 2021年10月1日
経歴(括弧内はプロチーム在籍年度)
国際大会
代表チーム アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
WBC 2017年
獲得メダル
男子 野球
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
ワールド・ベースボール・クラシック
2017 野球

アンドリュー・マーク・ミラーAndrew Mark Miller , 1985年5月21日 - )は、アメリカ合衆国フロリダ州ゲインズビル出身の元プロ野球選手投手)。左投左打。愛称はミラー・タイム[1]

経歴

プロ入り前

2003年MLBドラフト3巡目(全体68位)でタンパベイ・デビルレイズから指名を受けたが、ノースカロライナ大学チャペルヒル校へ進学。

2006年には「ベースボール・アメリカ」選出の大学最優秀選手となり、ロジャー・クレメンス賞も受賞した。

プロ入りとタイガース時代

2007年9月17日

2006年のMLBドラフトでは実力では全体1位の器だったが、契約金の高さで敬遠された[2]。ドラフトではデトロイト・タイガースから1巡目(全体6位)で指名され、8月4日に4年契約を結んだ[3]。契約金はジャスティン・バーランダーを40万ドル上回る球団史上最高額となる355万ドルとなった[4]

入団後、A+級レイクランド・フライングタイガース英語版で3試合に登板し、8月30日のニューヨーク・ヤンキース戦で早くもメジャーデビューを果たした。この年はリリーフとして8試合に登板した。

2007年は先発で13試合に登板したが、制球難が深刻でメジャーに定着できなかった。

マーリンズ時代

フロリダ・マーリンズ時代
(2010年9月13日)

2008年シーズンからマイナーで経験を積み制球力向上を図ることになっていた[5]が、2007年12月5日にドントレル・ウィリスミゲル・カブレラとのトレードキャメロン・メイビンらと共にフロリダ・マーリンズへ移籍した。

レッドソックス時代

ボストン・レッドソックス時代
(2012年5月13日)

2010年11月12日にダスティン・リチャードソン英語版とのトレードで、ボストン・レッドソックスに移籍した[6]。12月3日にFAとなり[7]、16日にマイナー契約で再契約した[8]

2011年はAAA級ポータケット・レッドソックスで開幕を迎え、6月19日にメジャー昇格した[9]。17試合に登板し6勝3敗・防御率5.54だった。

2012年左ハムストリングの故障のため、開幕から故障者リスト入りし、5月6日に復帰した[10]。この年からリリーフに転向し、53試合に登板した。

2013年はレッドソックスに移籍後初となる開幕ロースター入りを果たした[11]。7月6日のロサンゼルス・エンゼルス・オブ・アナハイム戦で左足首を捻挫し、翌日故障者リスト入りした[12]。MRIでリスフランの損傷と診断され、残りのシーズンを欠場した。

2014年2月15日にレッドソックスと1年契約に合意。50試合に登板し、3勝5敗・防御率2.34だった。ポストシーズン初登板を果たし、ディビジョンシリーズチャンピオンシップシリーズ合計で5試合(7.1イニング)に登板し、全試合無失点だった。

オリオールズ時代

ボルチモア・オリオールズ時代
(2014年8月28日)

2014年7月31日にエドゥアルド・ロドリゲスとのトレードで、ボルチモア・オリオールズへ移籍した[13]。移籍後は23試合に登板し、2勝0敗1セーブ・防御率1.35だった。オフの10月30日にFAとなった。

ヤンキース時代

ニューヨーク・ヤンキース時代
(2015年8月6日)

2014年12月5日にヤンキースと総額3600万ドルの4年契約を結んだ[14]

2015年シカゴ・ホワイトソックスに移籍したデービッド・ロバートソンの後釜としてクローザーに定着。60試合でマウンドに登り、防御率2.04・リーグ3位タイとなる36セーブを挙げた。また、61.2イニングで100奪三振を記録、3年連続で14を超える奪三振率をマークした。ポストシーズンでは、10月6日のヒューストン・アストロズとのワイルドカードゲームで1回無失点、無安打、2奪三振と活躍したが、チームは敗れた。

2016年は移籍してきたアロルディス・チャップマンが抑えを務め、ミラーはセットアッパーに配置転換される予定だったが、チャップマンがDVで出場停止となったため、開幕当初は前年に引き続き抑えを務めた。チャップマンが復帰してからは予定通りセットアッパーに配置転換された。チームでは7回を投げるデリン・ベタンテス、セットアッパーのミラー、抑えのチャップマンで勝ちパターンとして起用され、この3人を「スリーヘッディッド・モンスター(三つ頭の怪物)」と呼称されたり、チームが3人の頭文字を取り得点(ラン)を与えないという意味でRun-D.M.C.を真似た「ノー・ランズDMC」Tシャツを販売したりもした[15]。開幕から好調を維持して自身初のオールスターゲームに選出された[16]。オールスター後にチャップマンがトレードでシカゴ・カブスに移籍した[17]後は抑えを務めた。ヤンキースでは44試合の登板で、防御率1.39だった。

インディアンス時代

2016年7月31日にジャスティス・シェフィールドベン・ヘラーJ.P.ファイアライゼンクリント・フレイジャーとのトレードで、クリーブランド・インディアンスへ移籍した[18]。インディアンスではコディ・アレンが抑えを務めていたため、セットアッパーに配置転換された。移籍後は26試合に登板し、4勝3セーブ、防御率1.55と好調を維持した。シーズン通算では70試合登板で10勝1敗12セーブ、防御率1.45と自身初の10勝を挙げた。リーグチャンピオンシップシリーズでは、4試合に登板し723回を投げ14奪三振、無失点に抑えMVPとなった[19]

2017年はシーズン開幕前の2月9日に第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)アメリカ合衆国代表に選出された[20]。3月22日の決勝プエルトリコ戦に勝利し、初優勝を果たした[21]。迎えたシーズンでは、8月に右膝の炎症で故障者リスト入りしたが、[22]、57試合に登板し、4勝3敗2セーブ、防御率1.44の成績を挙げた。

2018年は年間を通じて故障が続き、37試合登板で2勝4敗2セーブ・防御率4.24と成績を落とした。オフの10月29日にFAとなった。

カージナルス時代

2018年12月21日にセントルイス・カージナルスと2年2500万ドルで契約を結んだ[23]。シーズンでは自己最多タイとなる73試合に登板したが、5勝6敗6セーブ・防御率4.45に留まった。ポストシーズンでは計6登板を無失点に抑えた。

2020年新型コロナウイルスの影響で全60試合に短縮される。16試合の登板で1勝1敗4セーブ2ホールド、防御率2.77だった。

2021年オフの11月3日にFAとなった[24]

2022年3月24日に現役引退を表明した[25]

投球スタイル

2メートルを超える長身から投じられる角度のあるスリークォーターが特徴。救援投手としては、最速99mph(159km/h)[26]・平均94mph(約151km/h)を誇る速球フォーシームツーシーム)と、鋭く曲がる平均84mph(約135km/h)スライダーを使用する。2011年以前の先発起用時ではチェンジアップも使用していたが、救援転向以降はほとんど使わなくなった。

高い奪三振能力を持ち、2015年までの通算で投球回数を上回る奪三振を奪っている。特に本格的にリリーバーに転向した2012年以降の奪三振率は14.2を記録している(2016年終了時点)。

詳細情報

年度別投手成績





















































W
H
I
P
2006 DET 8 0 0 0 0 0 1 0 1 .000 51 10.1 8 0 10 0 2 6 1 0 9 7 6.10 1.74
2007 13 13 0 0 0 5 5 0 0 .500 309 64.0 73 8 39 0 7 56 4 1 43 40 5.63 1.75
2008 FLA 29 20 0 0 0 6 10 0 2 .375 492 107.1 120 7 56 4 4 89 4 0 78 70 5.87 1.64
2009 20 14 0 0 0 3 5 0 1 .375 366 80.0 85 7 43 1 2 59 10 0 52 43 4.84 1.60
2010 9 7 0 0 0 1 5 0 0 .167 171 32.2 51 6 26 2 1 28 5 0 34 31 8.54 2.36
2011 BOS 17 12 0 0 0 6 3 0 0 .667 310 65.0 77 8 41 0 3 50 2 1 43 40 5.54 1.82
2012 53 0 0 0 0 3 2 0 13 .600 169 40.1 28 3 20 1 2 51 1 0 15 15 3.35 1.19
2013 37 0 0 0 0 1 2 0 6 .333 135 30.2 25 3 17 0 2 48 2 0 12 9 2.64 1.37
2014 50 0 0 0 0 3 5 0 13 .375 170 42.1 25 2 13 2 4 69 2 0 13 11 2.34 0.89
BAL 23 0 0 0 0 2 0 1 9 1.000 72 20.0 8 1 4 0 1 34 1 0 3 3 1.35 0.60
'14計 73 0 0 0 0 5 5 1 22 .500 242 62.1 33 3 17 2 5 103 3 0 16 14 2.02 0.80
2015 NYY 60 0 0 0 0 3 2 36 0 .600 246 61.2 33 5 20 1 5 100 2 0 16 14 2.04 0.86
2016 44 0 0 0 0 6 1 9 16 .857 172 45.1 28 5 7 0 2 77 2 0 8 7 1.39 0.77
CLE 26 0 0 0 0 4 0 3 9 1.000 103 29.0 14 3 2 0 0 46 1 0 5 5 1.55 0.55
'16計 70 0 0 0 0 10 1 12 25 .909 275 74.1 42 8 9 0 2 123 3 0 13 12 1.45 0.69
2017 57 0 0 0 0 4 3 2 27 .571 244 62.2 31 3 21 0 5 95 1 0 11 10 1.44 0.83
2018 37 0 0 0 0 2 4 2 10 .333 154 34.0 31 3 16 1 5 45 1 0 16 16 4.24 1.38
2019 STL 73 0 0 0 0 5 6 6 28 .455 236 54.2 45 11 27 1 8 70 4 0 32 27 4.45 1.32
2020 16 0 0 0 0 1 1 4 2 .500 55 13.0 9 0 5 0 3 16 2 0 4 4 2.77 1.08
2021 40 0 0 0 0 0 0 0 5 .--- 164 36.0 41 5 16 1 5 40 1 0 19 19 4.75 1.58
MLB:16年 612 66 0 0 0 55 55 63 142 .500 3619 829.0 732 80 383 14 61 979 44 2 413 371 4.03 1.34

年度別守備成績



投手(P)












2006 DET 8 1 0 0 0 1.000
2007 13 2 8 2 1 .833
2008 FLA 29 5 8 1 0 .929
2009 20 6 8 1 1 .933
2010 9 1 4 0 0 1.000
2011 BOS 17 2 9 2 0 .846
2012 53 1 2 1 0 .750
2013 37 2 2 1 0 .800
2014 50 0 8 1 0 .889
BAL 23 0 0 0 0 ----
'14計 73 0 8 1 0 .889
2015 NYY 60 2 2 1 0 .800
2016 44 2 1 0 0 1.000
CLE 26 2 1 0 0 1.000
'16計 70 4 2 0 0 1.000
2017 57 4 1 0 0 1.000
2018 37 0 3 0 0 1.000
2019 STL 73 3 5 0 0 1.000
2020 16 0 1 0 0 1.000
2021 40 1 5 0 2 1.000
MLB 612 34 68 10 4 .911

表彰

記録

背番号

  • 50(2006年 - 2007年途中)
  • 48(2007年途中 - 同年終了、2014年途中 - 2016年途中)
  • 23(2008年 - 2010年)
  • 30(2011年 - 2014年途中)
  • 24(2016年途中 - 2018年)
  • 21(2019年 - )

代表歴

脚注

  1. ^ Explaining Indians Players Weekend names MLB.com (英語) (2017年8月26日) 2017年9月15日閲覧
  2. ^ 「注目のルーキーたち 明日のスターを探せ!」『スラッガー』2007年5月号、日本スポーツ企画出版社、2007年、雑誌15509-5、53頁
  3. ^ "Tigers agree to terms with Andrew Miller" (Press release) (英語). MLB.com (Detroit Tigers). 4 August 2006. 2014年1月11日閲覧
  4. ^ 友成那智、村上雅則『メジャーリーグ・完全データ選手名鑑2007』廣済堂出版、2007年、421頁。ISBN 978-4-331-51213-5 
  5. ^ 友成那智、村上雅則『メジャーリーグ・完全データ選手名鑑2008』廣済堂出版、2008年、308頁。ISBN 978-4-331-51300-2 
  6. ^ "Red Sox Acquire Miller From Marlins For Richardson" (Press release) (英語). MLB.com (Boston Red Sox). 12 November 2010. 2014年1月11日閲覧
  7. ^ "Red Sox do not tender 2011 contracts to right-handed pitcher Taylor Buchholz and left-handed pitchers Andrew Miller and Hideki Okajima" (Press release) (英語). MLB.com (Boston Red Sox). 3 December 2010. 2014年1月11日閲覧
  8. ^ "Red Sox sign six free agents to Minor League contracts" (Press release) (英語). MLB.com (Boston Red Sox). 16 December 2010. 2014年1月11日閲覧
  9. ^ "Red Sox select left-handed pitcher Andrew Miller to active roster; place right-handed pitcher Clay Buchholz on 15-day disabled list" (Press release) (英語). MLB.com (Boston Red Sox). 19 June 2011. 2014年1月11日閲覧
  10. ^ "Red Sox Place Right-Handed Pitcher Aaron Cook on 15-Day Disabled List; Activate Left-Handed Pitcher Andrew Miller From 15-Day Disabled List" (Press release) (英語). MLB.com (Boston Red Sox). 6 May 2012. 2016年10月20日閲覧
  11. ^ "Boston Red Sox Set 2013 Opening Day Roster" (Press release) (英語). MLB.com (Boston Red Sox). 31 March 2013. 2016年10月20日閲覧
  12. ^ "Red Sox place left-hander Andrew Miller on disabled list" (Press release) (英語). MLB.com (Boston Red Sox). 7 July 2013. 2014年1月11日閲覧
  13. ^ "Orioles acquire LHP Andrew Miller from Boston in exchange for Minor League LHP Eduardo Rodriguez" (Press release) (英語). MLB.com (Baltimore Orioles). 31 July 2014. 2016年10月20日閲覧
  14. ^ Bryan Hoch (2014年12月7日). “Yanks reload: Sign Miller, trade for Gregorius”. MLB.com. 2014年12月12日閲覧。
  15. ^ ヤンキースにいる「三つ頭の怪物」は迫力満点ながら、寿命は短いかも(でも、来シーズンに復活するかも) (2016年7月21日) 2017年8月21日閲覧
  16. ^ "2016 All-Star Game rosters announced" (Press release) (英語). MLB.com. 5 July 2016. 2016年8月30日閲覧
  17. ^ Cubs acquire LHP Aroldis Chapman from New York MLB.com Chicago Cubs Press Release (英語) (2016年7月25日) 2016年8月30日閲覧
  18. ^ "Indians acquire LHP Andrew Miller from the New York Yankees" (Press release) (英語). MLB.com (Cleveland Indians). 31 July 2016. 2016年8月30日閲覧
  19. ^ 2016 League Championship Series – CLE vs. TOR” (英語). Baseball-Reference.com. Sports Reference LLC. 2016年10月19日閲覧。
  20. ^ USA Baseball Announces 2017 World Baseball Classic Roster USABaseball.com: The Official Site of USA Baseball (英語) (2017年2月9日) 2017年3月16日閲覧
  21. ^ American Beauty: USA dominates PR in final World Baseball Classic (英語) (2017年3月22日) 2017年3月23日閲覧
  22. ^ インディアンス、救援左腕ミラーがDL入り SANSPO.COM (2017年8月3日) 2017年10月7日閲覧
  23. ^ Cardinals sign Andrew Miller, making good on promise to improve bullpen ESPN (英語) (2018年12月22日) 2017年2月8日閲覧
  24. ^ 160 Players Become XX(B) Free Agents” (英語). mlbplayers.com (November 3, 2021). January 2, 2022閲覧。
  25. ^ Andrew Miller Announces Retirement” (英語). MLB Trade Rumors. 2022年3月25日閲覧。
  26. ^ 先発投手としては2007年に99.7mph(約160km/h)を記録

関連項目

外部リンク

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