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高速自動車国道(こうそくじどうしゃこくどう)とは、日本の国道かつ自動車専用の道路の一種であり、高規格幹線道路のA路線に該当する。自動車専用道路と共に高速道路である。
高速自動車国道法〈以降「法」と表記〉第4条で規定される。
- 「自動車の高速交通の用に供する道路で、全国的な自動車交通網の枢要部分を構成し、かつ、政治・経済・文化上特に重要な地域を連絡するものその他国の利害に特に重大な関係を有する」道路である。
概要
高速自動車国道は計画および整備中の路線を含め、全国に43路線、延長1万1520キロメートル(km)ある。高速自動車国道に並行する一般国道自動車専用道路や本州四国連絡道路および、都市高速道路などは、高速自動車国道の中には含まれない。一般道路とは異なり、自動車を高速かつ安全に運転できる道路として造られることが特徴で、次の要件を満たすこととなっている。
2019年(令和元年)度末時点供用中の高速自動車国道は、ほとんどが有料道路として供用されている。2010年(平成22年)に民主党(当時)が一部路線を試験的に無料開放したことがあるが、それ以降は新直轄区間および一般国道へ降格された区間を除き、無料開放されたことはない。
高速自動車国道には沿道に商店などを建てることができず、路肩に自動車を停めることもできないことから、休憩施設として概ね50 kmおきにサービスエリア(SA)、15 kmおきにパーキングエリア(PA)が設けられる。
整備
路線は、
のうちから、高速自動車国道の路線を指定する政令で指定される(法第4条)。路線が指定された場合、一義的には国土交通大臣が整備計画を定め、建設、その他の管理まで行う。
しかしながら、料金を徴収してでも道路の整備を促進する趣旨で、別途道路整備特別措置法が1956年(昭和31年)に制定され、建設大臣は日本道路公団に高速自動車国道の新設または改築を行わせ(施行命令)、料金を徴収させることができるものとされた(同法第2条の2)。これを受けて、公団は路線名および工事の区間、工事方法、工事予算、工事の着手および完成の予定年月日を「工事実施計画」として提出する(同第2条の3)。
2005年(平成17年)10月1日施行の道路関係4公団の民営化に伴う法改正により、東日本・中日本・西日本各高速道路会社が日本高速道路保有・債務返済機構との協定に基づき、国土交通大臣の許可を受けて、高速自動車国道を含む高速道路を新設し、または改築して、料金を徴収することができるものと改められた(同第3条)。
連結
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高速自動車国道は、自動車の高速交通の用に供する趣旨から、高速自動車国道法第11条により連結できる施設は以下のものに限られている。
- 道路、一般自動車道または政令で定める一般交通の用に供する通路その他の施設
- インターチェンジやジャンクションで接続する他の路線や一般道路を指す。
- 当該高速自動車国道の通行者の利便に供するための休憩所、給油所その他の施設または利用者のうち相当数の者が当該高速自動車国道を通行すると見込まれる商業施設、レクリエーション施設その他の施設
- 連結利便施設等。このうち前者はSA・PAで道路に面する道路サービス施設を指す。
- 第一号に掲げるものを除くほか、前号の施設と当該高速自動車国道とを連絡する通路その他の施設であつて、専ら同号の施設の利用者の通行の用に供することを目的として設けられるもの
- 連結通路等。かつての高速自動車国道活用施設を含むいわゆるハイウェイオアシス(これらを連結施設という)を連絡するものを指す。
これらの連結には、国土交通大臣の連結許可を要する。連結位置および連結予定施設は、前述の整備計画の必要事項とされており、かつては連結施設を追加的に新設する場合にも、新めて整備計画を経る必要があったが、現在は簡素化されている。
また、法施行令では、本線車道に直接出入りすることができる施設につき、連結位置に関する基準が示されており、本線車道の接続部分が他の施設のそれから、本線車道に沿って2km以上離れていることと定められている。
新直轄方式
公団民営化による新規着工鈍化が必至のなか、地方負担による新たな形の手法が模索され、2003年(平成15年)12月25日に開催された第1回国土開発幹線自動車道建設会議(国幹会議)において、民営化後の新会社による道路整備を補完する手法として、地方にも費用負担させる「新たな直轄事業」が導入された。この場合、建設費償還が不要なため無料となる。これが新直轄方式である。この方式を採用して建設が行われる区間を新直轄区間という。
この第1回国幹会議では、整備計画まで決定している区間のうち27区間699kmが新直轄方式に変更されることが決まった。これを受け、2003年(平成15年)5月12日に改正高速自動車国道法等が施行。国がその4分の3以上で政令で定める割合を、残りを都道府県や政令指定都市が費用負担するものと改正された。実際には、都道府県等の負担分については地方交付税措置の重点配分(県の負担分の9割を地方債で充当し、その元利償還金について地方交付税措置を行う)や高速道路の後進地域に対する補助等によりある程度まで抑えられる見通しとなっている。
なお、新直轄方式の「新」とは従来の直轄事業である高速自動車国道に並行する一般国道自動車専用道路(国と県の建設費負担は2対1)に対するものである。
国内第1号の新直轄方式は、北海道横断自動車道釧路線である。当初この路線は、従来方式での建設で計画されていたが、近隣市町が応分の費用を積極的に負担し完成を急ぐ必要があるという自発的な住民運動によって積極的に新直轄方式に変更した。2007年(平成19年)9月には日本海沿岸東北自動車道の本荘 - 岩城が新直轄方式としては初めて開通した。
路線
道路名
高速自動車国道には、「高速自動車国道の路線を指定する政令」で指定された路線名(正式名)と、NEXCOなど道路管理者が一般公衆向けの案内に使用する道路名(通称名)の二つの路線名がある。開通供用している路線には、以下の道路名がある[6][7]。高速道路としては連続していても、高速自動車国道ではない区間(高速自動車国道に並行する一般国道自動車専用道路=A'路線)は除いてある。なお、起終点は、ここでは道路名ごとの案内上の「下り線」「上り線」の方向に準拠して記述する。
現在、道路名に用いられる名称(通称名)の数は64路線となっている。それぞれの道路名に対応する「高速自動車国道の路線を指定する政令」における路線名(正式名)も併記している。
また、国土交通大臣指定に基づく高規格幹線道路(一般国道の自動車専用道路)=B路線や、地域高規格道路として開通供用している路線の中でも、一部が法的には高速自動車国道に指定されている部分が数か所あるため、これらについても備考欄に合わせて記述している。
高速自動車国道への編入
整備計画の変更により一般国道から高速自動車国道へ昇格された区間が存在する。このような手法がとられた理由は、高速自動車国道を建設するためには多額の建設費を必要とするため、一般国道の有料道路を高規格幹線道路に改修して建設費用となる国の借入金を抑え、少しでも早く高速道路網を完成させるという狙いからである。
また、逆に高速自動車国道から一般国道へ降格された区間として唯一、一般国道116号新潟西バイパスの新潟西IC - 黒埼IC(旧北陸自動車道新潟料金所 - 新潟黒埼IC)が存在する。
料金の額およびその徴収期間
料金の額
高速自動車国道の料金制は対距離制、均一制、区間料金制の3種類あり、区間によって適用される料金制が異なる[10][11][12]。
対距離制
高速自動車国道の多くの区間で適用されている。走行距離に比例して課される可変額部分と利用1回ごとに課される固定額部分(ターミナルチャージ)がある。
可変額部分
普通区間(一部区間を除く)での1kmあたりの料金は以下のように設定されている[10][11][12]。
- 軽自動車等 : 19.68円/km(普通車の0.8倍)
- 普通車 : 24.6円/km
- 中型車 : 29.52円/km(普通車の1.2倍)
- 大型車 : 40.59円/km(普通車の1.65倍)
- 特大車 : 67.65円/km(普通車の2.75倍)
大都市近郊区間、関越特別区間、恵那山特別区間、飛騨特別区間、関門特別区間については1kmあたりの料金が別途定められている。いずれも普通区間より割高に設定されている[10][11][12]。また、普通区間の一部についても1kmあたりの料金が別途定められている。中京圏の各高速道路(東海環状自動車道の内側の対距離制区間)、阪和自動車道の一部区間では普通区間より割高に、逆に沖縄自動車道では普通区間より割安に設定されている[11][12]。
100kmを超え200kmまでの部分の料金は25%割引、200kmを超える部分の料金は30%割引される[10][11][12]。
目的地までに複数の経路を有する場合は、最短経路の2倍を超える経路でない限り最も安い経路の通行料金で計算される。
固定額部分
料金は可変額部分と固定額部分の合計に1.1を乗じることにより消費税および地方消費税を加え、この額が10,000円以下の場合には四捨五入して10円単位とし、10,000円を超える場合には100円未満を切り捨てて計算される。
均一制
渋滞が予想されるなどの理由で入口または出口に料金所が設けられていない路線の一部で採用されている。料金は、平均旅行距離をもとに上記の方法で算出されている。このため、短距離利用の場合は対距離制より割高に、全区間の走行など長距離利用の場合は割安になる。
都市部で採用されていたが、ETCの普及に伴い多くの均一制区間が事業許可上は区間料金制に移行しており、2021年現在、事業許可において均一制とされているのは道央自動車道札幌南IC - 札幌JCT間、札樽自動車道札幌西IC - 札幌JCT間のみである[10]。
区間料金制
事業許可では三角表などによって料金が定められており、入口ICごとまたは入口ICと出口ICの組み合わせごとに料金が設定されている。主に入口または出口に料金所が設けられていない路線で採用されており、かつて均一制を採用していた区間もある。料金所のない出入口においてフリーフローアンテナによって通過を確認できるETC車については多くの区間で走行距離に応じた料金が設定されている一方で、通過を確認できない非ETC車については均一料金や入口ICから利用できる最長区間の料金が設定されている。
料金の徴収期間
東日本・中日本・西日本各高速道路会社とも、2006年(平成18年)4月1日から2060年6月1日。これにはNEXCO各社および本州四国連絡高速道路株式会社の管理する全国路線網の一般有料道路も含まれる[13]。
法定速度
道路交通法施行令に基づいて、法定速度として最高速度および最低速度が定められている。
125cc以下の二輪車である小型自動二輪車、原動機付自転車およびミニカーについては、高速自動車国道の通行可能車両の規定は道路交通法ではなく道路運送車両法に基づき規定され、これらの車両は同法施行規則第1条で「原動機付自転車」とされ、自動車の範疇から外れるため通行することができない。
また、高速自動車国道のうち一部にでも対面通行でない区間(法定最低速度が50km/h)を含む道路の区間は、次の自動車は通行できない(一方、自動車専用道路については、個別の通行止め標識または最低速度規制が無い限りは通行可能である)。
- 小型特殊自動車 - 法律および車両の仕様上速度が出せない
- 大型特殊自動車においては、最低速度基準を満たしている農耕トラクターの一部車種のみ通行可能
最高速度
法定最高速度は車種によって異なり、次のように定められている。
なお、暫定2車線区間は上記の法定速度の適用対象外であり、また道路構造令、天候・障害(工事・故障車・落下物・災害その他)によって50 - 80 km/hで速度規制されることがある。
また、秋田・山形・山梨・京都・奈良・和歌山・鳥取・島根・高知・大分・鹿児島・沖縄の各府県を通る高速自動車国道では、当該府県内の区間における標識による指定最高速度がすべて80 km/h以下となっている。
最低速度
法定最低速度は車種にかかわらず50km/hとしている。基本的に高速自動車国道で道路標識等により最低速度が指定される事はない。
法定最低速度は対面通行でない区間の本線車道のみに適用される。対面通行区間の本線車道、加速車線、減速車線、登坂車線、路側帯、路肩においては適用されない。
交通規制
「高速自動車国道の本線車道のうち対面通行でない区間」とそれ以外の道路(具体的には高速自動車国道の本線車道のうち対面通行の区間(暫定2車線区間等)や登坂車線・自動車専用道路・一般道路)とでは、最高速度や最低速度に関する規制が異なる(詳細は各項目を参照)。
高速自動車国道や自動車専用道路のうち高規格幹線道路のものなど最高速度が80 - 100 km/hとなっている道路については、自然現象や故障車・事故・渋滞等の発生などにより必要に応じて臨時に速度規制が行われている。そのため、最高速度の標識には表示幕方式や電光方式といった可変式のものが採用されている。
通行止め規制やチェーン規制・事故等や渋滞・混雑の発生に関する道路交通情報としては、高速自動車国道のほぼ全区間と一部の自動車専用道路・都市高速道路については日本道路交通情報センターにより道路情報のリアルタイム提供がなされている[15]。
標識による案内
高速自動車国道および自動車専用道路の入口・出口(主にインターチェンジ)には「自動車専用」の道路標識[16]が設置されており、補助標識で高速自動車国道と自動車専用道路のどちらに該当するかが記載されている。ただし補助標識がない場合もあるほか、高速自動車国道であるにも関わらず「自動車専用道路」と記されている場合もある。
通行している高速道路がどちらであるかの区別は、東名・名神・新東名・新名神・東京湾アクアライン連絡道・京滋バイパス・関門橋の例外を除き「自動車道」という道路名でなければ高速自動車国道ではない[注 9]ことや道路の車線数・線形などの常識的な情報以外には走行途中に判断できるような情報がない。
「ここから有料道路」などの案内標識では高速自動車国道入り口では使われないため、高速自動車国道か否かを判断できる可能性はある。なお、最低速度を示す道路標識については必ずしも高速自動車国道か否かを判断する材料にはならないが、「高速自動車国道の本線車道のうち対面通行でない区間」については道路標識を設置せずとも最低速度は50 km/hに規制される事から、「対面通行でない区間」に50 km/hの最低速度の道路標識が設置されている場合、自動車専用道路であると推認する事はできる。
なお、暫定2車線区間であれば高速自動車国道と自動車専用道路で規制に差異は無く、運転上は気にする必要はない(ただし、一般道路と高速道路とでは、規制に差異がある)。
高速自動車国道と自動車専用道路の規制などの差異
ここでは運転上、利用上のものに限る。
- 法定最高速度と法定最低速度の変化、
- 牽引自動車の高速道路等の通行区分(重被牽引車に限る)
- 高速自動車国道の場合、暫定2車線を除いては、道路標識が無くとも第1通行帯通行指定となる。自動車専用道路の場合、道路標識が無ければ適用がない。
- 反対に、「牽引自動車の高速自動車国道通行区分(327の3)」の道路標識がある場合は高速自動車国道、「牽引自動車の自動車専用道路第一通行帯通行指定区間(327の6)」の道路標識がある場合は自動車専用道路である[注 10]。
- 暫定2車線の場合はそもそも適用がない。
- なお、「特定の種類の車両の通行区分(327の2)」の道路標識では判断できない(全ての道路において見られるため)
- ほか、かつてはETC時間帯割引の適用可否に関係していた。
脚注
注釈
出典
参考文献
関連項目
外部リンク
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料金所関連 | |
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高速道路に関する法規 | |
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