『華麗なる一族』(かれいなるいちぞく)は、山崎豊子原作、山村聡主演のテレビドラマ。毎日放送と東宝テレビ部が制作、NETテレビ系列の「テレビスター劇場」枠で、1974年10月1日から1975年3月25日まで、毎週火曜22:00から全26回放送された。第12回ギャラクシー賞受賞作品[1]。
主人公は、万俵コンツェルンの総帥にして阪神銀行頭取の万俵大介(山村聡)。上流階級と金融業界の内幕を描いて話題となった山崎豊子の長編小説『華麗なる一族』の初のテレビドラマ化作品であり、同年1月に公開された映画版(佐分利信主演)では登場しなかった、万俵家の三女・万俵三子(山添多佳子)、料亭「つる乃家」の若女将・芙佐子(和泉雅子)も原作通り登場する。ドラマのナレーションは、劇中の登場人物である大介の愛人・高須相子(小川真由美)が担当。第三者ではなく、当事者に語らせるという面白い趣向となっている。
モデルとなった山陽特殊製鋼倒産事件の記憶も新しく、同社が会社更生成ったばかりだったことから、番組スポンサーがなかなか決まらなかったという[2]。その一方、重厚な社会派ドラマとして、映画版同様高い評価を受け、第12回ギャラクシー賞を受賞した。
脚本を担当した鈴木尚之にとっては、初めて手掛けた山崎豊子原作作品である。当版の出来映えについて、山崎は概ね満足していたようで、脚本面での鈴木の手腕を信頼しており、1978年にフジテレビが田宮二郎主演で、山崎原作の『白い巨塔』をドラマ化した際は、鈴木の脚本家起用を条件に許可したといわれる。
これまで映像化された『華麗なる一族』で唯一、ソフト発売されていない版であり、長らく再放送される機会もなかったが、2013年1月10日から4月4日まで、CS・ファミリー劇場で再放送された[3]。
2015年9月〜10月には、日本映画専門チャンネルでも再放送されている。
1975年3月31日のいわゆる腸捻転解消によって、毎日放送はTBS系列となったことに伴いテレビスター劇場枠自体はTBS水曜22時枠に移行した。これにより、同枠において毎日放送制作で NET系列では本番組が最後の放送となった。移行後はNET系列での同時間枠は朝日放送制作枠となり『TOKYO DETECTIVE 二人の事件簿』が放送された。
(※)すでに、広島ホームテレビ(HOME=当時UHT)がNETテレビ系単独加盟局として開局していたが、同局は広島テレビ(HTV)の編成から外れた日本テレビ系・フジテレビ系の番組を相当数放送するなど、ニュース以外は事実上トリプルネット編成であった。当時UHTでは、日本テレビ制作『傷だらけの天使』をこの時間に遅れ放送していたことや、スポンサーセールスの関係等の編成上の都合に加え、TBS系列の火曜22:00枠(主に外国テレビ映画)がローカルセールス枠だったこともあり、当時は、テレビに関しては系列外だった[4]中国放送(RCC)へネットされた。このため、当時TBS系のこの時間帯で放送されていた『鬼警部アイアンサイド』はRCCでは深夜枠での遅れネットだった。なお、本番組ネット局のうちFTV・BSN・RCC・OBSは腸捻転解消でMBSと同系列となった[5]。