美波町(みなみちょう)は、徳島県の南部に位置する町。2006年(平成18年)に日和佐町と由岐町が合併し誕生した[1]。海部郡に属す。
概要
日和佐地区は四国八十八箇所霊場・薬王寺の門前町であり、その境内からの眺望は、四国八十八景(19番)「一望する日和佐の町並み」として選定され、門前の桜町通りには商店が軒を連ね、総じて落ち着いた街並みで新日本観光地100選に選ばれているほか、吹き筒花火などでも知られる赤松地区は、美しい日本のむら景観百選に選ばれている。室戸阿南海岸国定公園の中央部に位置しておりリアス式海岸となっている[1]。海岸部ではウミガメが産卵に訪れる美しい浜辺や海の幸も観光資源となっている。
四国地方のNHKテレビの天気予報では、県南部を代表して「美波」が予報地として報じられる。
鉄道駅と一体となった道の駅日和佐では官民連携の拠点として活性化事業が展開されている[1]。また、日和佐道路の開通で従来不便だった由岐地域との連絡も改善された。
2007年(平成19年)7月、徳島県内では初めて美波町内の商店からレジ袋の有料化を実施し、同年10月には海部郡3町に実施を拡大するなどしている[2]。
同協議会は2007年(平成19年)11月23日、農林水産省による農林水産祭 むらづくり部門の最優秀賞の天皇杯を受賞した。
また、2016年には、美波町に本社を構える株式会社あわえと美波町の地方創生におけるパートナーシップ協定を締結。
現在でも、過疎地域であることを逆手に取った「“にぎやかそ” にぎやかな過疎の町 美波町」のスローガンのもと、官民・住民が一丸となって地域活性化に取り組んでいる。
地理
地形
海部山地の北部にあたり、沿岸は太平洋に面している。
今後発生が予見されている南海トラフ巨大地震の際には、町内に最大14mの津波が到達することが予想されている。これは徳島県下の市町別で最大値となっている[3]。
西部は八郎山、胴切山等の最高峰から赤松川や日和佐川の源流となっている。赤松川は那賀川に注ぐが、川沿いには侵食平野や堆積平野による小規模な耕地や盆地を形成している。日和佐川は山河内谷川や北河内谷川などの支流が東へと合流する。御世山を源流とする北河内谷川と合流し、日和佐湾へと注ぐ。下流には沖積平野があって、耕地となっている。日和佐川の河口は人口密集市街地となっており、漁港も形成されている。奥潟川の下流域は湿田が見られる。[4]
- 山岳
- 河川
- 島嶼
隣接している自治体
人口
合併以来人口減少の一途を辿っていたが、2014年(平成26年)には6人の転入超となった[5]。
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美波町と全国の年齢別人口分布(2005年)
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美波町の年齢・男女別人口分布(2005年)
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■紫色 ― 美波町 ■緑色 ― 日本全国
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■青色 ― 男性 ■赤色 ― 女性
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美波町(に相当する地域)の人口の推移
1970年(昭和45年)
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12,975人
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1975年(昭和50年)
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12,337人
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1980年(昭和55年)
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11,866人
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1985年(昭和60年)
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11,262人
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1990年(平成2年)
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10,507人
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1995年(平成7年)
|
9,928人
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2000年(平成12年)
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9,307人
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2005年(平成17年)
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8,726人
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2010年(平成22年)
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7,765人
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2015年(平成27年)
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7,092人
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2020年(令和2年)
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6,222人
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総務省統計局 国勢調査より
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気候
太平洋側気候に属する。全国でも上位1割に入るほどの降水量を誇る多雨地域である。[6]
徳島県内の気温は沿岸部で高く、剣山を中心とする山間部で低くなる傾向がみられる。
剣山と日和佐の気温差は8月に約12℃、1月に14℃ほど異なり、冬場のほうが暖かいということが言える。[4]
トレワーサの気候区分 (en)では、「月平均気温が10°C以上の月が8ヶ月以上あり、なおかつ熱帯や乾燥帯でない地域」が亜熱帯と定義されており、美波町は亜熱帯に該当する。
美波町日和佐(1976年 - 2024年)の気候
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月 |
1月 |
2月 |
3月 |
4月 |
5月 |
6月 |
7月 |
8月 |
9月 |
10月 |
11月 |
12月 |
年
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最高気温記録 °C (°F)
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21.1 (70)
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23.3 (73.9)
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23.9 (75)
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27.8 (82)
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31.1 (88)
|
33.3 (91.9)
|
37.4 (99.3)
|
37.6 (99.7)
|
35.5 (95.9)
|
31.8 (89.2)
|
26.6 (79.9)
|
23.8 (74.8)
|
37.6 (99.7)
|
平均最高気温 °C (°F)
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12.0 (53.6)
|
12.6 (54.7)
|
15.5 (59.9)
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20.1 (68.2)
|
24.0 (75.2)
|
26.5 (79.7)
|
30.2 (86.4)
|
32.0 (89.6)
|
29.2 (84.6)
|
24.4 (75.9)
|
19.3 (66.7)
|
14.4 (57.9)
|
21.7 (71.1)
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日平均気温 °C (°F)
|
6.9 (44.4)
|
7.5 (45.5)
|
10.5 (50.9)
|
15.1 (59.2)
|
19.2 (66.6)
|
22.4 (72.3)
|
26.1 (79)
|
27.4 (81.3)
|
24.7 (76.5)
|
19.8 (67.6)
|
14.4 (57.9)
|
9.3 (48.7)
|
16.9 (62.4)
|
平均最低気温 °C (°F)
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2.8 (37)
|
3.2 (37.8)
|
5.9 (42.6)
|
10.3 (50.5)
|
14.9 (58.8)
|
19.1 (66.4)
|
23.0 (73.4)
|
24.0 (75.2)
|
21.4 (70.5)
|
16.3 (61.3)
|
10.5 (50.9)
|
5.1 (41.2)
|
13.1 (55.6)
|
最低気温記録 °C (°F)
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−4.9 (23.2)
|
−8.3 (17.1)
|
−4.0 (24.8)
|
0.7 (33.3)
|
4.3 (39.7)
|
10.5 (50.9)
|
15.6 (60.1)
|
17.7 (63.9)
|
12.9 (55.2)
|
5.5 (41.9)
|
−0.3 (31.5)
|
−4.1 (24.6)
|
−8.3 (17.1)
|
降水量 mm (inch)
|
79.7 (3.138)
|
110.8 (4.362)
|
186.0 (7.323)
|
227.2 (8.945)
|
248.7 (9.791)
|
340.8 (13.417)
|
307.0 (12.087)
|
255.7 (10.067)
|
337.6 (13.291)
|
254.8 (10.031)
|
151.4 (5.961)
|
104.4 (4.11)
|
2,604.1 (102.524)
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平均月間日照時間
|
188.7
|
174.6
|
189.3
|
201.4
|
201.1
|
144.0
|
186.8
|
226.1
|
161.1
|
174.3
|
168.2
|
189.9
|
2,205.5
|
出典1:気象庁 [統計 1]
|
出典2:気象庁 [統計 2]
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歴史
原始
古代
- 「阿波国那賀郡中男海藻六斤 和射」[注釈 1]
- 日和佐を中心とする漁村が「和射(わさ)」と呼ばれ、「ワカメ」を献上していた(海部郡は未だ成立していない)。
中世
- 中世に成立していた保として、日和佐保があった。日和佐保は1379年(康暦元年)5月日の記念銘をもつ日和佐八幡神社旧蔵の朱漆足付盤に以下の記述があるだけである。「阿波国海部郡日和佐保八幡宮」
- 中世に成立していた荘園として日輪之荘があった。日輪之荘は現在の美波町木岐地区周辺にあったと考えられる。「阿州日輪之庄岐々之村(1456年(康正2年)旦那願文案/二階堂氏文書/徴古雑抄)」
- 「平家物語」に結城の浦との記述があるが、旧由岐町のことであると考えられる。「阿波国結城の浦より小舟にのり、鳴戸浦をこぎとほり、紀伊路(平家物語 巻一○横笛)
- 1223年(貞応2年)5月 承久の乱で土佐に配流されていた、後鳥羽上皇の第一皇子、土御門上皇が、都に近いところでという配慮で、阿波国に移られることになった途中、薬王寺に滞留されたようである。
- 「太平記」に正平地震津波記事として「雪ノ湊」との記述があるが、旧由岐町のことであると考えられる[8]。「中ニモ阿波ノ雪ノ湊ト云浦ニハ、俄ニ太山ノ如ナル潮漲来テ、在家一千七百余宇、悉ク引塩ニ連テ海底ニ沈シカバ、家々ニ所有ノ僧俗・男女、牛馬・鶏犬、一モ不残底ノ藻屑ト成ニケリ」(太平記 巻三十六)
- 室町時代末期、日和佐氏の日和佐肥前守が日和佐城を築城したとされる。
近世
日和佐肥前守の子孫の濱氏が阿波藩蜂須賀氏諸奉行格80石余を知行。また薬王寺は寺領として十五石を給わった。
近代以降
美波町成立以降
地域
大字
由岐地区
郵便番号 |
大字名
|
779-2101
|
西由岐
|
779-2102
|
港町
|
779-2103
|
西の地
|
779-2104
|
東由岐
|
779-2105
|
志和岐
|
779-2106
|
阿部
|
779-2107
|
伊座利
|
779-2108
|
木岐
|
779-2109
|
田井
|
日和佐地区
行政・議会
町長
代位
|
人
|
市長氏名
|
任期
|
肩書き
|
所属政党
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備考
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就任年月日
|
退任年月日
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- |
- |
中東覚 |
2006年(平成18年)3月31日 |
2006年(平成18年)5月14日 |
|
無所属 |
町長職務代理者
|
初代 |
1 |
藤井格 |
2006年(平成18年)5月14日 |
2009年(平成21年)7月 |
元旧日和佐町長 |
無所属 |
投票率87.35%(1期)
|
- |
- |
中東覚 |
2009年(平成21年)6月11日 |
2009年(平成21年)8月23日 |
美波町副町長 |
無所属 |
町長職務代理者
|
第2代 |
2 |
影治信良 |
2009年(平成21年)8月23日 |
2013年(平成25年)8月22日 |
美波町総務企画課長 |
無所属 |
無投票(1期)
|
第3代 |
2013年(平成25年)8月23日 |
2017年(平成29年)8月22日 |
無投票(2期)
|
第4代 |
2017年(平成29年)8月23日 |
2021年(令和3年)8月22日 |
無投票(3期)
|
第5代 |
2021年(令和3年)8月23日 |
2025年(令和7年)8月22日(予定) |
無投票(4期)
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自治体交流
美波町議会
2022年美波町議会議員選挙
- 選挙区:町全体を1選挙区とする大選挙区制(単記非移譲式)
- 定数:12人
- 投票日:2022年4月24日
- 当日有権者数:5,515人
- 投票率:68.38%
候補者名 |
当落 |
年齢 |
党派名 |
新旧別 |
得票数
|
遊亀聖悟 |
当 |
29 |
無所属 |
新 |
483票
|
向山篤宏 |
当 |
68 |
無所属 |
現 |
364票
|
松本晋児 |
当 |
69 |
無所属 |
現 |
326票
|
片山正敏 |
当 |
68 |
無所属 |
新 |
325票
|
北山朝彦 |
当 |
62 |
無所属 |
現 |
322票
|
岩瀬公 |
当 |
68 |
無所属 |
現 |
305票
|
戎野博 |
当 |
73 |
無所属 |
現 |
275票
|
丸龍孝敏 |
当 |
67 |
無所属 |
現 |
266票
|
中川尚穀 |
当 |
70 |
日本共産党 |
現 |
246票
|
小部博正 |
当 |
56 |
無所属 |
新 |
237票
|
春田裕計 |
当 |
63 |
無所属 |
現 |
167票
|
鈴木健宏 |
当 |
34 |
無所属 |
新 |
162票
|
谷睦尚 |
落 |
51 |
無所属 |
新 |
151票
|
宮原英夫 |
落 |
73 |
無所属 |
現 |
90票
|
衆議院
参議院
2022年参議院議員選挙
時の内閣:第2次岸田内閣
2022年(令和4年)7月10日執行
当日有権者数:人 最終投票率:% (全国投票率:52.05%(3.25%))
教育
中学校
小学校
特別支援養護学校
交通
鉄道路線
町役場の最寄駅は日和佐駅である。特急列車は由岐駅と日和佐駅に停車する。田井ノ浜駅は海水浴シーズンのみ営業する。
バス
- 高速バス
- 由岐停留所、日和佐停留所
- (上記停留所を含む、阿南駅 - 甲浦間相互のみ予約無しでの途中乗降可能、阿南駅 - 浅川間JRの有効な乗車券等で利用可能)
- 路線バス
道路
- 一般国道
- 地域高規格道路
- 県道
- 道の駅
特産品
観光
名所
社寺・史跡
公園
博物館
催事
- 由岐天神祭り(7月日曜)
- 由岐の連続秋祭り(9月中旬)
- 伊勢エビ祭り(10月日曜)
- 赤松地区の吹筒花火(10月)
- うみがめ祭り(7月中旬)
- ひわさうみがめトライアスロン(うみがめ祭りの翌日)
- 八幡神社秋季例祭(秋祭り)日和佐地区(10月)
出身有名人
縁のある人物
ゆかりのある放送
参考文献
脚注
注釈
- ^ 中男とは養老令で17 - 20歳の男子を指し、また海藻はワカメのことである。
出典
統計資料
関連項目
外部リンク
ウィキメディア・コモンズには、
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