全国社会人サッカー選手権大会(ぜんこくしゃかいじんサッカーせんしゅけんたいかい)は、日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)と日本フットボールリーグ(JFL)の所属チームを除く(すなわち、地域リーグ以下の)日本サッカー協会第1種登録の社会人チームを対象として毎年10月頃に開催されるオープントーナメント大会である。略して全社と称されることも多い[1][2]。
歴史と概要
実業団チームの全国大会として毎年開催されていた全日本実業団選手権に代わる大会として、日本サッカーリーグ(JSL)と共に1965年に創設された。大会優勝・準優勝チームにJSL下位チームとの入れ替え戦出場権が与えられた為、各地域の社会人チームがJSL参戦を目指し争ったが、次第に各地域リーグが創設・整備されていった事から、入れ替え戦出場の権利は1977年に創設された全国地域リーグ決勝大会(現・全国地域サッカーチャンピオンズリーグ=地域CL)に引き継がれ、本大会は次年度国民スポーツ大会開催地の競技運営リハーサル大会として位置づけられる機会が増えた[注 1]。
プロリーグであるJリーグが誕生し、アマチュアの頂点である日本フットボールリーグ(JFL)、その下の地域リーグとのピラミッド体制が整備されて以降は、単なるアマチュアの一大会である本大会の存在意義は薄れてきていたが[要出典]、2006年大会から、上位進出チーム(2006年・2007年は1チーム、2008年-2011年は2チーム、2012年から3チーム)に地域CLへの出場権が与えられたことにより状況が変化。地域CLへの出場権を獲得できなかった地域リーグ所属クラブによる「JFL昇格へのラストチャンス」[1] となり、熱戦が繰り広げられている。
基本的に1回戦から決勝戦まで試合が無い日はなく、準決勝まで勝ち残った4チームは5日連続で80分間の試合を行うことになる。そのため日本で最も過酷な大会と評するメディアも存在する[4]。
2020年、新型コロナウイルス感染拡大の影響により大会史上初の中止となった。翌年2021年も組み合わせ抽選まで行われたものの、前回と同様の理由で中止となっている。いずれも大会回数にはカウントされている。
開催方式
第60回大会(2024年)の要項は以下の通り[5]。
参加チーム
以下の方式で選考された32チームが出場する。
- 全国9地域の社会人サッカー連盟に対して、1チームの出場枠を割り当てる。(計9チーム)
- 前年度の各地域の全社連登録数により、22チーム分の出場枠を比例配分で割り当てる。
- 各地域では以下の大会を実施して出場チームを決定する。
- 北海道:北海道予選大会(各地区協会代表〔札幌地区は2チーム〕+前年度優勝チーム+開催地区代表を2ブロックに分けたトーナメント)
- 東北:東北予選会(東北リーグ1部10チーム+各県代表6チームを2ブロックに分けたトーナメント)
- 関東:関東予選(関東リーグ1部・2部20チーム+都県代表12チーム〔埼玉・東京は3チーム、その他6県は1チームずつ〕を7ブロックに分けたトーナメント)
- 北信越:北信越大会(前年度北信越1部リーグ優勝チーム+各県代表5チームを2ブロックに分けたトーナメント)
- 東海:東海予選(各県代表16チーム〔静岡7チーム、愛知4チーム、岐阜3チーム、三重2チーム〕を4ブロックに分けたトーナメント)
- 関西:関西大会(関西リーグ1部・2部16チーム+府県代表9チーム〔京都・大阪・兵庫が2チーム、その他3県は1チームずつ〕を5ブロックに分けたトーナメント)
- 中国:中国地域予選会(前年度中国リーグ上位4チーム+各県代表12チーム〔岡山・広島3チーム、その他3県が2チームずつ〕を3ブロックに分けたトーナメント)
- 四国:四国大会(各県代表8チーム〔各県とも2チームずつ〕を2ブロックに分けたトーナメント)
- 九州:九州社会人サッカー選手権大会(九州リーグ前期上位4チーム+各県代表8チームを4ブロックに分けたトーナメント)
- 開催都道府県サッカー協会に1チームの出場枠を割り当てる。
大会形式
32チームによるノックアウトトーナメントで実施される。
- 1回戦から決勝戦・3位決定戦まで5日間連続で試合が行われる(従って、準決勝進出チームは5日間で5連戦となる)。
- 試合は40分ハーフの前後半(80分)。同点の場合は延長戦を行わずにPK戦で勝敗を決定する。
- 交代人数は5名以内。交代回数はハーフタイムを除き3回まで。
全国地域サッカーチャンピオンズリーグの出場権
上位3チームには全国地域サッカーチャンピオンズリーグ(地域CL)の出場権が与えられるが、これらのチームがすでに地域CLへの出場権を獲得済みの場合、4位チームまで出場権が繰り下げられる。
- 第54回大会(2018年)から「全社から地域CLへの出場権付与」について、本大会での成績に加えて「JFLへ入会を希望すること」と下記の条件が追加された。これにより、JFL入会を希望しないクラブ、並びに地域2部リーグおよび各都府県リーグ・北海道ブロックリーグ以下の所属クラブは本大会を勝ち上がっても地域CLへ参戦することが出来なくなった。
- 2018-19年:各地域最上位リーグ3位以内
- 2021年:各地域最上位リーグ4位以内
- 2022年-:各地域最上位リーグ所属(順位要件は撤廃)
結果
- 第12回(1976年)までにおける■枠枠表記は、JSL昇格チーム (大会後に行われる入替戦に勝利)。
- 第42回(2006年)以降における■枠枠表記は、全国地域サッカーチャンピオンズリーグ(2015年までは全国地域サッカーリーグ決勝大会)出場権獲得チーム。※は、地域リーグ優勝もしくはJFA優遇措置により地域決勝出場権獲得済みのチーム。
本大会からJFLへ昇格したチーム
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上位入賞チーム(当初は優勝のみ)に対する全国地域サッカーチャンピオンズリーグ(旧・地域リーグ決勝大会)出場権の制度が取り入れられた2006年・第42回大会以後(本大会前に地域リーグ決勝大会出場権獲得済のチームは除く)。
- FC Mi-O びわこ Kusatsu(現・レイラック滋賀FC) - 2007年・第43回大会優勝後、地域リーグ決勝大会3位。しかしJ2参加チームの発生および北陸電力サッカー部アローズ北陸とYKK APサッカー部の合併によりJFLに空きが発生したためJFLへ自動昇格。
- ホンダロック(現・ミネベアミツミFC) - 2008年・第44回大会3位。しかし優勝したAC長野パルセイロが既に北信越1部リーグで優勝し地域リーグ決勝大会出場権を獲得していた事と、NECトーキンサッカー部が地域リーグ決勝大会参戦を辞退したため、繰上げで地域リーグ決勝大会に出場。そこでも3位に終わったが、J2参加チームが3チーム出たことによりJFLへの自動昇格が認められる。
- 松本山雅FC - 2009年・第45回大会優勝後、地域リーグ決勝大会1位でJFLへ昇格。(その後2012年からJ2リーグへ昇格し、同制度を利用したJリーグ昇格第1号となった)
- ツエーゲン金沢 - 2009年・第45回大会準優勝後、地域リーグ決勝大会3位。その後行われたJFL・地域リーグ入れ替え戦においてFC刈谷を下してJFLへ昇格。(その後、2014年からJ3リーグへ昇格)
- FC大阪 - 2014年・第50回大会優勝後、地域リーグ決勝大会2位でJFLへ昇格。(その後、2023年からJ3リーグへ昇格)
- クラブ・ドラゴンズ(現・流通経済大学ドラゴンズ龍ヶ崎) - 2014年・第50回大会準優勝後、地域リーグ決勝大会3位。J3参加チームの発生によりJFL昇格が認められる。これにより、地域リーグ2部以下所属のチーム(当時関東2部)が全社を経由してJFLへ飛び級昇格した唯一のチームとなった。
- ラインメール青森FC - 2015年・第51回大会4位。しかし優勝したアルテリーヴォ和歌山が既に関西1部リーグで優勝し地域リーグ決勝大会出場権を獲得していたため、繰上げで地域リーグ決勝大会に出場。地域リーグ決勝大会1位でJFLへ昇格。
- ヴィアティン三重 - 2016年・第52回大会3位入賞後、地域CL2位でJFLへ昇格。
- ブリオベッカ浦安 - 2022年・第58回大会優勝後、地域CL1位でJFLへ昇格。
脚注
注釈
- ^ 実際に、1978年の第14回大会以降はすべて翌年の国スポサッカー競技の開催地で行われており、「国体リハーサル大会」と明言されて開催される年も少なくない[3]。
- ^ 浦和クラブは入替戦を辞退
- ^ 翌年新設のJSL2部に田辺製薬他、計10チームが参加
- ^ 次年度のJSL拡大に伴い優勝・準優勝とも自動昇格
- ^ この年の優勝・準優勝チームは地域決勝大会出場権を獲得
- ^ この年のみJFL所属7チームも参加 (横浜FCは不参加)
- ^ 延長戦でのVゴール制はこの年をもって廃止
- ^ 台風のため延長戦は無し
- ^ 決勝戦での引き分け制はこの年をもって廃止
- ^ この年以降、優勝チームは地域決勝大会出場権を獲得
- ^ 地域決勝大会出場権が最大2チームになると共に、3位決定戦が行われる様になった
- ^ a b c 地域決勝大会への出場を辞退。
- ^ 全社からの地域決勝大会出場が1チームとなったため、残り1枠は地域リーグの全国の参加クラブの配分比率でトップの関東リーグで2位だったさいたまSCが繰り上がりで獲得。
- ^ 全社からの地域決勝大会出場が1チームとなったため、残り1枠は関西1部2位のバンディオンセ加古川が繰り上がりで獲得(前年の社会人連盟登録チーム数の多い地域順の巡回で関西に回ったため)。
- ^ 地域決勝大会出場権が上位3チームに拡大
- ^ 全社からの地域決勝大会出場が2チームとなったため、残り1枠は九州2位のFC KAGOSHIMAが繰り上がりで獲得(前年の社会人連盟登録チーム数の多い地域順の巡回で九州に回ったため)。
- ^ 全社からの地域CL出場が2チームとなったため、残り1枠は東海1部2位のFC刈谷が繰り上がりで獲得(前年の社会人連盟登録チーム数の多い地域順の巡回で東海に回ったため)。
- ^ 全社からの地域CL出場が2チームとなったため、残り1枠は北信越1部2位のアルティスタ浅間が繰り上がりで獲得(前年の社会人連盟登録チーム数の多い地域順の巡回と辞退チームの発生により北信越に回ったため)。
- ^ この年から地域CLの出場条件が、全社4位以内に加え地域最上位リーグ順位要件が追加。当時東北2部南リーグに所属していたため地域CL出場不可。
- ^ 全社からの地域CL出場が1チームとなったため、残り2枠は東北1部2位のブランデュー弘前FCと四国2位のFC徳島が繰り上がりで獲得(前年の社会人連盟登録チーム数の多い地域順の巡回で東北と四国に回ったため)。
- ^ 関東1部リーグ10位であるため地域CL出場不可。
- ^ 全社からの地域CL出場が2チームとなったため、残り1枠はJリーグ百年構想クラブかつ関東1部2位の栃木シティFCが獲得。
出典
関連項目
外部リンク