佐世保港(させぼこう)は、九州の西北部、長崎県北地域の中央に位置する港湾。港湾管理者は長崎県佐世保市。港湾法上の重要港湾、港則法上の特定港に指定されている。美称は葉港[注釈 1]。
古くから軍港として栄え、国防の要の港として、県北地区の物流の拠点としての商港としての役割を担っている。
国道384号は当港から新上五島町有川港までが海上区間となる。
概要
港湾法による佐世保港としての区域面積は佐世保市内の相浦から九十九島海域、早岐水道まで含めた約57,781,800平方メートル[1]。
港の主な区域を占める佐世保湾は外海との出入口が1ヶ所しかなく、湾内は水深が深い「廻れば七里」と謳われた日本最大の天然の良港である[注釈 2]。この地勢に着目した旧日本海軍(以下「海軍」)が1889年に佐世保鎮守府を設置して以来軍港として発展してきた。第二次世界大戦後はアメリカ海軍(第7艦隊)と海上自衛隊(佐世保地方隊)の基地が置かれている。米軍施設水域の協定により、佐世保港施設水域の錨地は米海軍佐世保基地司令官が管理している。その影響で佐世保港区水域の約80.5%が制限水域となっている。
防衛上西日本、南西諸島の主力拠点の一つであり、令和2年7月時点では海上自衛隊の護衛艦15隻(地方隊含む)と米海軍の揚陸艦及び掃海艇等9隻が本港を母港としている。さらに、平成29年度に水陸起動団が相浦駐屯地に設置され[2]、佐世保港内の崎辺地区においても自衛隊の利活用のための整備が進められてきている[3]。詳細は佐世保基地、「令和3年度 基地読本」参照。
防衛上の拠点港だけでなく商港としての開発も行っている。「ポートルネッサンス21計画[4]」による再開発等で港湾機能の活性化を目指している。ポートルネッサンス21計画については下記を参照。
また、俵ケ浦半島の北側から平戸までの約25キロメートルの海上に、「九十九島」と呼ばれている大小の島々が浮かび、その景観のすばらしさから西海国立公園となっている[5]。
施設
立神・平瀬地区
三浦・倉島地区
干尽・前畑・崎辺地区
- 前畑造船
- 米海運佐世保基地
- 海上自衛隊
- 陸上自衛隊崎辺分屯地
森・東浜・新沖地区
浦頭地区
- 浦頭埠頭クルーズターミナル[9][10]
- 埠頭国際ターミナル
- 佐世保クルーズセンター
浅子•相浦地区
大崎・下船越・鹿子前地区
庵ノ浦・本船・赤崎地区
航路
現在運航している航路
廃止または休止している航路
旧運営会社
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航路
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廃止・休止日
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五島産業汽船
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佐世保 - 有川
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2018年10月2日[19]
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美咲海送
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佐世保 - 有川
佐世保 - 宇久平 - 小値賀
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2013年5月31日
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歴史
佐世保港の開発「ポートルネッサンス21計画」
港湾の開発整備の拠点となる地区の整備を推進するため、港湾管理者が運輸省の指導・助言を得つつ、関係者の意見を聴いて総合的な地区整備のマスタープランとして基本計画を策定をしている。この計画のもとに、港湾整備事業、民間事業等を実施し、高度化し多様化する港湾への要請に対応した港湾の整備を推進することとしている。
佐世保における活用 三浦地区みなとまちづくり計画[23]
佐世保の海の玄関口としてふさわしい街づくりを目指し、周囲を山や海に囲まれ歴史や文化を感じられる地区整備を目標として行われており、多目的国際ターミナルの整備や鯨瀬ターミナルの再編計画など三浦地区の関連する事業とともに、佐世保らしい一体的なまちづくりを進めていた。
これまでの経緯
1989年(平成元年)ー鯨瀬ターミナル完成
1992年(平成3年) ー佐世保シーサイドパーク完成
2002年(平成14年)ー全国豊かな海づくり大会開催
2003年(平成15年)ー新みなとターミナル完成
2013年(平成25年)ーさせぼ五番街開業
2014年(平成26年)ー三浦岸壁暫定供用開始(国際クルーズ船初寄港)
2015年(平成26年)ー佐世保国際ターミナルビル共用開始
佐世保港の港勢
年次
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総数(隻)
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内航船(隻)[注釈 4]
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外航船(隻)[注釈 5]
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平成28年度
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20,510
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20,380
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121
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平成29年度
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19,994
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19,850
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144
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平成30年度
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19,103
|
18,927
|
176
|
令和元年度
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17,751
|
17,610
|
141
|
令和2年度
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17,579
|
17,509
|
70
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年次
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総数(t)
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平成28年度
|
1,061,204
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平成29年度
|
995,514
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平成30年度
|
911,637
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令和元年度
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1,005,001
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令和2年度
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955,188
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名所など
脚注
注釈
- ^ 佐世保湾のヤツデの葉のような形状と佐世保の字からきている(サセボのサが草冠、佐世保の世、木という漢字をくずしてホ、三つを組み合わせて葉になる)。
- ^ 長崎港の11倍、横浜港の3倍の規模を誇った。
- ^ 西海市に属する。
- ^ 自衛艦を含む。
- ^ 外国船には、米海軍を含めない。
出典
- ^ “佐世保港の港湾区域”. 佐世保市. 2022年9月18日閲覧。
- ^ 『令和3年度 基地読本』佐世保市、2021年、43頁。
- ^ 『令和3年度 基地読本』佐世保市、2021年、45頁。
- ^ “これまでの経緯”. 佐世保市. 2022年9月18日閲覧。
- ^ “佐世保港の概要”. 佐世保市. 2022年8月19日閲覧。
- ^ a b c d e “025新みなとターミナル”. 佐世保市. 2022年9月18日閲覧。
- ^ “佐世保海上保安部”. 佐世保海上保安部. 2022年9月18日閲覧。
- ^ “前畑弾薬庫の移転・変換に関する現況報告について”. 佐世保市. 2022年9月18日閲覧。
- ^ “九州最大 クルーズ船拠点完成 佐世保浦頭 コロナで供用開始は未定”. 長崎新聞社. 2022年9月18日閲覧。
- ^ “佐世保港 国際クルーズ拠点整備事業”. 国土交通省. 2022年9月18日閲覧。
- ^ “横瀬貯油所”. 長崎県警. 2022年9月18日閲覧。
- ^ a b c “220市営相浦桟橋待合所”. 佐世保市. 2022年9月18日閲覧。
- ^ a b 『令和3年度版 基地読本』佐世保市、2021年、58頁。
- ^ “運航ダイヤ・運賃”. 九州商船株式会社. 2022年9月18日閲覧。
- ^ “路線”. 崎戸商船 株式会社. 2022年9月18日閲覧。
- ^ “西海沿岸商船”. 西海市. 2022年9月18日閲覧。
- ^ “船舶紹介”. 野母商船グループ. 2022年9月18日閲覧。
- ^ “フェリー時刻表・運賃”. 黒島観光協会. 2022年9月18日閲覧。
- ^ “五島産業汽船が運休 経営上の問題か”. 長崎新聞社. 2022年9月18日閲覧。
- ^ (2014年4月5日). “大型クルーズ船:外国籍、佐世保に 国際航路開設へ初入港”. 毎日新聞 (毎日新聞社)
- ^ “官民連携による国際クルーズ拠点の選定結果について”. 佐世保市. 2022年9月18日閲覧。
- ^ “2 港湾整備における民間活力の活用”. 2022年9月18日閲覧。
- ^ “三浦地区みなとまちづくり計画について”. 佐世保市. 2022年9月18日閲覧。
- ^ “01_佐世保港入港船舶”. 佐世保市. 2022年9月18日閲覧。
- ^ “03_佐世保港移入貨物推移(年別)”. 佐世保市. 2022年9月18日閲覧。
関連項目
外部リンク