ボー・タカハシ(本名:ロドリゴ・ヒトシ・カイモチ・タカハシ[2]〈Rodrigo Hitoshi Kaimoti "Bo" Takahashi〉、1997年1月23日 - )は、ブラジル・サンパウロ州プレジデンチ・プルデンチ(英語版)出身のプロ野球選手(投手)。右投右打。埼玉西武ライオンズ所属。
KBOリーグ初のブラジル人選手。
経歴
プロ入りとダイヤモンドバックス傘下時代
2013年12月23日、アングロ・プルテンチーノ高校在学中に16歳でアリゾナ・ダイヤモンドバックスとアマチュア・フリーエージェント契約[3]。
2014年5月16日、傘下のルーキー級アリゾナリーグ・ダイヤモンドバックスと契約してプロデビュー。10試合(4先発)の登板で3勝4敗・防御率4.39を記録した[4]。
2015年はパイオニアリーグのルーキー級ミズーラ・オスプレイ(英語版)でプレーし、15試合の先発登板で8勝1敗・防御率4.66を記録した[4]。
2016年はA-級ヒルズボロ・ホップス(英語版)、A級ケーンカウンティ・クーガーズ、A+級バイセイリア・ローハイドでプレー。3球団合計で19試合(17先発)に登板し、6勝4敗・防御率2.81を記録した[4]。オフには第4回WBCのブラジル代表に選出されたが[5]、チームは予選で敗退して本大会進出はならなかった。
2017年はA級ケーンカウンティとA+級バイセイリアでプレー。2球団合計で24試合に先発登板し、7勝12敗・防御率5.14を記録した[4]。
2018年はA+級バイセイリアとAA級ジャクソン・ジェネラルズでプレー。バイセイリアでは47回2/3で53奪三振、ジャクソンでは73回で77奪三振とキャリアで初めてイニング数を上回る三振を奪い、この年は2球団合計で23試合に先発登板し、6勝6敗・防御率4.03を記録した[4]。オフにはアリゾナ・フォールリーグに参加し、ソルトリバー・ラフターズ(英語版)に所属した。オフの11月20日にルール・ファイブ・ドラフトでの流出を防ぐために40人枠入りした[6]。
2019年はAA級ジャクソンでプレーし、23試合の先発登板で9勝7敗・防御率3.72を記録した[4]。なお、8月18日にメジャー初昇格を果たしたが[7]、登板機会が無いまま同20日にAA級ジャクソンへ降格した[8]。
2020年は新型コロナウイルスの影響でマイナーリーグが全試合中止となり[9]、メジャーでの登板も無かった。10月27日にマイナー契約となり、AAA級リノ・エーシズへ送られ[10]、11月2日にFAとなった[4]。
レッズ傘下時代
2020年12月18日にシンシナティ・レッズとマイナー契約を結び、2021年のスプリングトレーニングに招待選手として参加することになった[11]。開幕後はAAA級ルイビル・バッツに所属し、18試合(17先発)の登板で3勝7敗・防御率4.45、89回を投げて89奪三振という成績だった[4]。
起亜時代
2021年8月26日にKBOリーグの起亜タイガースと契約したことが発表され[12]、KBOでは初となるブラジル国籍の選手となった。9月25日のSSGランダース戦でKBO初登板となり、4回無失点と好投すると[13]、続く10月1日のキウム・ヒーローズ戦では6回無失点の好投でKBO初勝利を挙げた[14]。ただ、その後は振るわずに移籍後は6試合の先発登板で1勝2敗・防御率4.18という成績だった。オフに起亜の保留選手リストに載せられたが、再契約が成立せずに退団となった[15]。
西武時代
2021年12月16日、埼玉西武ライオンズへの入団が発表された[16]。推定年俸2000万円の単年契約であり、背番号は42[1]。登録名はボー・タカハシ[注 1]、背ネームの表記はBOとなった。
2022年は新型コロナウイルスの影響で来日が3月13日と遅れ[5]、イースタン・リーグで2試合の登板を経て[17][18]、4月1日に出場選手登録[19]。翌2日の千葉ロッテマリーンズ戦でNPB初登板となり、1イニングを無失点に抑えた[20]。その後は点差が開いた場面での登板が中心だったが、4月8日の福岡ソフトバンクホークス戦で失点を喫して[21]以降、交流戦終了まで11試合に登板して13イニング連続無失点を記録[22]。6月18日のオリックス・バファローズ戦でも1イニングを無失点に抑えたが[23]、続く同22日のロッテ戦では1回1失点で13試合ぶりの失点[24]。中14日で登板した7月7日のオリックス戦では2回3失点(自責点0)と2試合連続の失点となり[25]、翌8日に出場選手登録を抹消された[26]。ただ、公文克彦の発熱を受けて特例2022によってわずか1日で再登録となり[27]、7月23日の東北楽天ゴールデンイーグルス戦でNPB初ホールドを記録した[28]。8月にも特例2022により1日だけ出場選手登録を抹消され[29][30]、復帰後は2試合に登板し、いずれも無失点に抑えていたが[31][32]、離脱者が続々と復帰したチーム事情もあり[33][34]、9月8日に出場選手登録を抹消された[35]。その後の一軍昇格は果たせなかったが、この年はシーズンの多くを一軍で過ごし、27試合の登板で0勝0敗2ホールド・防御率2.56という成績を残した[36]。12月1日に西武との契約を更新したことが発表された[37]。推定年俸は3500万円[38]。
2023年は5月3日に出場選手登録[39]。同5日のオリックス戦でシーズン初登板となり、2回1/3を無失点に抑えた[40]。その後は8月25日に出場選手登録を抹消され[41]、9月13日に再登録[42]。同25日に登録抹消となり[43]、シーズンを終えた。7月に3登板連続で2イニングを投げたことがあったなど[44][45][46]、この年は回跨ぎの登板が多く、28試合の登板で0勝1敗、36イニングを投げて防御率3.00を記録[47]。11月11日には西武との契約を更新したことが発表され、渡辺久信GMはボーの先発転向を明言した[48]。推定年俸は3500万円[49]。
2024年は春先から好投を続け[50][51][52]、開幕ローテーション入りを果たした。4月4日のオリックス戦[53]でNPB初先発となり、3回表に捕逸が絡んで1点を失い[54]、0-1で迎えた6回表は一死二塁の場面で降板。後を受けた水上由伸が適時打を許し[55]、ボーは5回1/3を3安打2四球2奪三振2失点(自責点1)という内容で敗戦投手となった[54]。週5試合が続く変則日程もあって[56]翌5日に出場選手登録を抹消されたが[57]、二軍での調整登板を1試合経て[58]、4月25日のオリックス戦に先発。5回2/3を3安打2四死球3奪三振1失点という内容[59]でNPB初勝利を挙げた[60]。再び登板機会がないことから翌日に登録抹消となったが、5月7日のロッテ戦に先発[61]して以降は先発ローテーションの一角を担った。6月上旬にも登板間隔が空くことによる[62]登録抹消が一度ありながら[63]、交流戦終了時点では7試合に先発登板したが、計38イニング[64]で援護点はわずかに4[注 2]。さらには、記録に残らない外野守備のミスが絡む不運な失点もあり[67][68]、1勝5敗・防御率3.55という成績であった[64]。リーグ戦再開後は週5試合が続く変則日程に加え[69][70]、新型コロナウイルス感染で離脱していた武内夏暉が復帰するチーム事情もあり[71]、6月23日のオリックス戦では3点ビハインドの5回裏からシーズン初のリリーフ登板[72]。味方の失策もあり[73]、2回1失点(自責点0)であった[72]。その後は2試合に先発登板したが、白星は挙げられず[74][75]、7月15日のオリックス戦ではシーズン2度目のリリーフ登板。接戦時の継投に苦しむチーム事情があり[76][77][78]、ボーは1点リードの8回表を任され、1奪三振を含む3者凡退に抑えてシーズン初ホールドを挙げた[79]。その後はシーズン終了まで一軍のブルペンを支え、この年は33試合(9先発)の登板で2勝9敗7ホールド・防御率3.22を記録[80]。
選手としての特徴
左打者の内角にも果敢に攻め込む強気なピッチングが持ち味[81]。球種は最速153km/hを計測したストレート[82]を中心にスライダー・カーブ・フォーク・チェンジアップ・ツーシームを操る[81]。
人物
日本からの移民の祖父母を持つ日系ブラジル人3世である[83]。また、英語やポルトガル語(ブラジルポルトガル語)、スペイン語を話すマルチリンガルであり、日本語も理解することはできる[84]。
なお、西武でのインタビューではスペイン語で答えている。
人懐っこい性格であり、西武入団後はチームのムードメーカーとなっている[85]。
憧れの野球選手は松坂大輔[86]。
詳細情報
年度別投手成績
年
度 |
球
団 |
登
板 |
先
発 |
完
投 |
完
封 |
無 四 球 |
勝
利 |
敗
戦 |
セ 丨 ブ |
ホ 丨 ル ド |
勝
率 |
打
者 |
投 球 回 |
被 安 打 |
被 本 塁 打 |
与 四 球 |
敬
遠 |
与 死 球 |
奪 三 振 |
暴
投 |
ボ 丨 ク |
失
点 |
自 責 点 |
防 御 率 |
W H I P
|
2021
|
KIA
|
6 |
6 |
0 |
0 |
0 |
1 |
2 |
0 |
0 |
.333 |
142 |
32.1 |
36 |
3 |
9 |
0 |
4 |
42 |
3 |
0 |
17 |
15 |
4.18 |
1.39
|
2022
|
西武
|
27 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
2 |
---- |
133 |
31.2 |
19 |
2 |
15 |
0 |
7 |
26 |
1 |
0 |
14 |
9 |
2.56 |
1.07
|
2023
|
28 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
1 |
0 |
0 |
.000 |
151 |
36.0 |
20 |
1 |
19 |
0 |
7 |
27 |
2 |
0 |
12 |
12 |
3.00 |
1.08
|
2024
|
33 |
9 |
0 |
0 |
0 |
2 |
9 |
0 |
7 |
.182 |
315 |
72.2 |
70 |
4 |
27 |
2 |
6 |
48 |
2 |
0 |
31 |
26 |
3.22 |
1.33
|
KBO:1年
|
6 |
6 |
0 |
0 |
0 |
1 |
2 |
0 |
0 |
.333 |
142 |
32.1 |
36 |
3 |
9 |
0 |
4 |
42 |
3 |
0 |
17 |
15 |
4.18 |
1.39
|
NPB:3年
|
88 |
9 |
0 |
0 |
0 |
2 |
10 |
0 |
9 |
.167 |
599 |
140.1 |
109 |
7 |
61 |
1 |
20 |
101 |
5 |
0 |
57 |
47 |
3.01 |
1.21
|
年度別守備成績
年 度 |
球 団 |
投手
|
試
合 |
刺
殺 |
補
殺 |
失
策 |
併
殺 |
守 備 率
|
2021
|
KIA
|
6 |
2 |
2 |
0 |
1 |
1.000
|
2022
|
西武
|
27 |
0 |
7 |
1 |
1 |
.875
|
2023
|
28 |
1 |
2 |
0 |
0 |
1.000
|
2024
|
33 |
2 |
7 |
2 |
1 |
.818
|
KBO
|
6 |
2 |
2 |
0 |
1 |
1.000
|
NPB
|
88 |
3 |
16 |
3 |
2 |
.864
|
記録
NPB
- 初記録
背番号
- 36(2021年途中 - 同年終了)
- 42(2022年 - )
登場曲
- 「Baianá」Bakermat(2022年、2023年途中 - )
- 「Beat Festa em Ipanema - Funk」Sr. Nescau(2022年途中)
- 「兄弟船」鳥羽一郎(2022年途中 - 同年終了)
- 「Hey Brother」Avicii(2023年 - 同年途中)
代表歴
脚注
注釈
- ^ MLB傘下時代や起亜タイガース時代はタカハシの名でプレーしており、本人は「日本に来て、みんなにもっと親近感をもってもらいたくて、ボーっていう名前を選びました。ニックネームですね」と話している[2]。
- ^ 4月25日のオリックス戦で3点[65]、5月7日のロッテ戦で1点[66]、残りの5先発では援護点が無かった。
出典
関連項目
外部リンク