JRタワー(ジェイアールタワー、JR TOWER)は、北海道札幌市中央区[注 1]に所在する札幌駅の駅ビル型超高層複合商業ビル。本項目では、同施設に入居する「JRタワーホテル日航札幌」についても記載する。
札幌駅の高架化に伴う旧地上駅跡地の再開発事業により建設し[9]、2003年に開業した北海道旅客鉄道(JR北海道)の複合商業施設。JRグループによる駅ビル再開発としては1997年開業の京都駅ビル、1999年開業のJRセントラルタワーズ(名古屋駅)に次ぐ大規模再開発となった。
札幌駅1階の東西にあるコンコースと一体化した形で地上1階と地下1階に大きな通路を設けており、これを境に施設は大きく3つのブロックに分かれている[10]。外観には3代目駅舎のデザインを採り入れて札幌の街と駅の歴史や記憶の継承を意図している[11]。2つのコンコースに挟まれた中央棟(センターブロック)を9層(軒高51m)に抑えて4代目駅舎の水平線のイメージを残しているほか[11][12]、超高層棟を東側奥にセットバックして建築することで駅前広場と調和したヒューマン・スケールに配慮している[11]。高層棟は高さが173mあり、完成時は北日本(東北地方及び北海道)で最も高い建築物であった(2010年竣工の「仙台トラストタワー」が高さ180mと上回った)。
正面(ファサード)中央部には北海道出身の彫刻家・デザイナーである五十嵐威暢による「星の大時計」を配置しており、大時計の外壁下部に貼られたソーラーパネルを動力源にしている[13][14]。
なお、当地はもともと北海道新幹線の駅用地として想定されていた[15]という主張がある。
地下3階には、北海道熱供給公社による地域熱供給施設「札幌駅南口エネルギーセンター」があり、天然ガスや再生可能エネルギー、深夜電力を活用したコジェネレーションにより電気、蒸気、融雪温水、冷水を供給している。「札幌駅南口地区地域熱供給システム」として『第8回新エネ大賞』資源エネルギー庁長官賞[16]、「札幌JRタワーのコージェネレーション」として『第17回電気設備学会賞』技術部門施設賞を受賞している[17]。
ここから見える景色は東西南北とで変わっており、東には石狩川や原始林通があり、昭和37年に噴火した十勝岳も遠くに見え、自然が多い北海道らしい景色が見られる。西は手稲山、三角山、大倉山、と山が連なるのが特徴。南は市役所、警察署、裁判所など文化の中心を担う施設が多い。北は海が見られるのが特徴で、左には小樽も見られる。
札幌駅周辺には、1978年に開業した札幌エスタ、1989年に開業したパセオ、1999年に開業したアピアがあり、それぞれJR北海道の子会社である「札幌ターミナルビル株式会社」、「札幌ステーション開発株式会社」、「札幌駅地下街開発株式会社株式会社」が運営していた。
2005年、JRタワー内の商業施設「札幌ステラプレイス」を運営していた「札幌駅南口開発株式会社」が、上記3会社と合併し、「札幌駅総合開発株式会社」に商号変更した。これに伴い、4施設に共通ブランド「JRタワースクエア」を導入した[10]。4つの商業施設合わせて100,000 m2を超える売場面積となり[10]、北海道最大となるショッピングセンター形成に至った。JRタワーの延床面積も350,644 m2に改訂している[7]。現在は、全エリアを指して「JRタワー」と称されるようになっている。
JR札幌駅の南側に接するように建てられたエリアで、西側と中央部が低層棟、東側が高層棟になっている。
西側が、大丸札幌店の入居する8階建ての「JRタワー ウエスト」、中央部が「ステラプレイス センター」で構成される9階建ての「JRタワー センター」、東側が38階建ての「JRタワー イースト」である。高層棟は、以下の階層利用となっている。
ホテルと展望室はトリップアドバイザーによる「エクセレンス認証」を受賞しているほか[34][35]、展望室は「日本夜景遺産」施設型夜景遺産に認定されている[36]。
東側には10階構造の「イースト立体駐車場」、西棟の地下2階から地下4階には、大丸地下駐車場がある。また、JR札幌駅の屋上を活用する形で、「センター屋外駐車場」が設けられ、センター4階に直結している。
「JRタワースクエア」発足時に、各施設にイメージカラーが導入された。主に、案内図などに用いられるほか、後述の「JRタワースクエアカード」のデザインにも採用されている。ステラプレイスは■水色、パセオは■黄色、アピアは■シルバー、エスタは■ピンクになっている。
2006年に札幌駅総合開発とオリエントコーポレーションによる提携カード「JRタワースクエアカード」の発行を開始した[43]。2010年には、JR北海道とも提携したKitaca一体型多機能カード「JRタワースクエアカード Kitaca」、日本国内初となるiDとQUICPayの2つの電子マネーを搭載した提携カード「JRタワースクエアカード iD QUICPay」の発行を開始した[44]。2011年には、ANAマイレージクラブの機能を追加した「JRタワースクエアカード ANA Kitaca」を発行した[45]。また、中高生限定のポイントカード「JRタワースクエアポイントカード」も発行している。これらのカードを掲示または利用することにより、JRタワーの対象ショップなどで各種特典や割引サービスを受けることができる。