1972年の野球において、メジャーリーグベースボール(MLB)優勝決定戦の第69回ワールドシリーズ(英語: 69th World Series)は、10月14日から22日にかけて計7試合が開催された。その結果、オークランド・アスレチックス(アメリカンリーグ)がシンシナティ・レッズ(ナショナルリーグ)を4勝3敗で下し、42年ぶり6回目の優勝を果たした。
両チームの対戦はシリーズ史上初めて。アスレチックスのほぼ全選手が髭を蓄えていたのに対し、レッズは選手が髭を伸ばすのを禁止していたため、今回の両チームの対戦は "The Hairs vs. The Squares"(髭面と堅物の戦い)と呼ばれた[注 1][3]。アスレチックスは、1930年の前回優勝時はペンシルベニア州フィラデルフィアを本拠地としており、カリフォルニア州オークランドに移転してからは今回が初優勝である。移転後のアスレチックスのみならず、オークランドを含むサンフランシスコ・ベイエリアの北米4大プロスポーツリーグ全体を通じても、今回が初の優勝だった[注 2][4]。シリーズMVPには、7試合で打率.348・4本塁打・9打点・OPS 1.313という成績を残したアスレチックスのジーン・テナスが選出された。テナスはシリーズ中4試合で先制または勝ち越しの安打を放っており、これは1928年のルー・ゲーリッグ以来史上2人目の記録である[5]。
試合結果
1972年のワールドシリーズは10月14日に開幕し、途中に移動日と雨天順延を挟んで9日間で7試合が行われた。日程・結果は以下の通り。
日付 |
試合 |
ビジター球団(先攻) |
スコア |
ホーム球団(後攻) |
開催球場
|
10月14日(土) |
第1戦 |
オークランド・アスレチックス |
3-2 |
シンシナティ・レッズ |
リバーフロント・スタジアム |
|
10月15日(日) |
第2戦 |
オークランド・アスレチックス |
2-1 |
シンシナティ・レッズ
|
10月16日(月) |
|
移動日 |
|
10月17日(火) |
第3戦 |
雨天順延 |
オークランド・アラメダ・ カウンティ・コロシアム
|
10月18日(水) |
第3戦 |
シンシナティ・レッズ |
1-0 |
オークランド・アスレチックス
|
10月19日(木) |
第4戦 |
シンシナティ・レッズ |
2-3x |
オークランド・アスレチックス
|
10月20日(金) |
第5戦 |
シンシナティ・レッズ |
5-4 |
オークランド・アスレチックス
|
10月21日(土) |
第6戦 |
オークランド・アスレチックス |
1-8 |
シンシナティ・レッズ |
リバーフロント・スタジアム
|
10月22日(日) |
第7戦 |
オークランド・アスレチックス |
3-2 |
シンシナティ・レッズ
|
優勝:オークランド・アスレチックス(4勝3敗 / 42年ぶり6度目)
|
第1戦 10月14日
第2戦 10月15日
第3戦 10月18日
8回表、レッズはアスレチックス2番手ヴァイダ・ブルーから四球と安打で一死一・三塁の好機を作り、4番ジョニー・ベンチに打席をまわした。ここでアスレチックスはブルーを下げ、ローリー・フィンガーズをマウンドへ送った。打席の途中に一塁走者ボビー・トーランが盗塁し、一塁が空いたところでフルカウントとなると、アスレチックス監督のディック・ウィリアムズが出てきて、フィンガーズや捕手のジーン・テナスらとなにやら話し合った。プレイが再開されると、テナスは立ち上がって右腕を広げ、敬遠の素振りを見せた。しかしフィンガーズが投球動作に入ったとたん、テナスがしゃがみこんで捕球体勢をとった。フィンガーズは外角へスライダーを投じ、ベンチはこれを見送って一塁へ歩きかけたが、球審のメル・スタイナーはストライクと判定し、ベンチは見逃し三振となった。
フィンガーズはウィリアムズに敬遠偽装作戦を告げられ「本気で言ってるのか? リトルリーグじゃないんだぞ」と言い返したが、いざ作戦通りに投げてみると「たぶん野球人生で最高のスライダーが投げられた」という[6]。ベンチは「(三塁走者)ジョー・モーガンが注意しろと叫んでたから、何かあるなとは思ったが、対応する準備はできていなかった」「準備できていれば打ちにいったかもしれないが、確かにいい球ではあったよ」と振り返った[7]。アスレチックスはこのあと満塁策を採り、フィンガーズが6番デニス・メンキーを二邪飛に打ち取って危機を脱したが、試合自体はレッズが1-0で勝利を収めている。
MLBでは2017年より、敬遠は審判に申告すれば実際に投球することなく打者を歩かせられるようになった。そのため、このようなフェイクプレイが起きる余地はなくなった[8]。
第4戦 10月19日
第5戦 10月20日
第6戦 10月21日
第7戦 10月22日
脚注
注釈
出典
- ^ "World Series Television Ratings," Baseball Almanac. 2019年9月21日閲覧。
- ^ Paul Lukas, "The greatest moments in baseball hair history," ESPN Page 2, April 4, 2008. 2019年9月21日閲覧。
- ^ Robert Rubino, "Rubino: Bay Area's real sports golden age was 40 years ago," The Press Democrat, July 4, 2015. 2019年9月21日閲覧。
- ^ Gregg Patton, "PATTON: Cardinals Craig made case in World Series," Press Enterprise, January 11, 2012. 2019年9月21日閲覧。
- ^ Craig Calcaterra, "Rollie Fingers, Johnny Bench and the intentional walk that wasn’t," HardballTalk, February 10, 2011. 2019年9月21日閲覧。
- ^ Jim Donaghy, "World Series Without Rose Upsets Bench," News OK, October 19, 1990. 2019年9月21日閲覧。
- ^ Dave Sheinin, "In killing intentional walk, baseball loses a part of history, and gains nothing," The Washington Post, February 23, 2017. 2019年9月21日閲覧。
外部リンク
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