『無限航路 -Infinite Space-』(むげんこうろ)は、2009年6月11日にセガから発売されたニンテンドーDS用ロールプレイングゲーム。プロデュースはプラチナゲームズ。企画・開発はヌードメーカー。ディレクターは河野一二三。
広大な宇宙を舞台とするスペースオペラで、小マゼラン銀河・大マゼラン銀河を中心に壮大なスケールで描かれたSFRPG。少年編、青年編の二部構成となっている。少年編は宇宙の旅による主人公の成長を主に描き、青年編は宇宙全体に関わる大きな流れとなっていく。特に終盤のストーリーは『幼年期の終り』『百億の昼と千億の夜』などといったSF小説の影響も見られる。操作は主にタッチペンで行なわれ、ボタン操作は一部のみである。
敵勢力との戦闘は主に宇宙戦艦による艦隊同士で行われ、プレイヤーは艦船のモジュール構成や人員配置などを自由に行い、自身の艦隊を編成することができる。なお、本作の開発中には、このゲームシステムを同社の人気シリーズ『プロサッカークラブをつくろう!』『プロ野球チームをつくろう!』の流れになぞらえて「宇宙戦艦をつくろう!」という仮タイトルが考案されていた。
作中の文章では、本来漢字で書かれて然るべき文字や単語の一部分が平仮名で書かれ、不自然になっている箇所が多々存在する。これは容量節約のため、使用頻度の低い漢字の使用を抑えている為である。
発売週(2009年6月8日 - 6月14日)で約4万本(店頭消化率は約90%)が販売され、ゲームソフトの週間売上数でランキング1位と報じられた[1][2]。
造船施設のある惑星で艦を造れる。艦船設計社などで設計図を入手することにより、その設計図の艦船が造船できる。
司令艦橋・第二艦橋はおもにコマンドタイムの上昇率に影響があり、 司令艦橋は各国のものがいくつもあり、戦闘・航海画面でのデザインが全て異なる。 航海艦橋は戦闘速度、機動力に影響がある。
整備庫は艦載機の発着の速度などに影響がある。
白兵戦時に活用できるが、沢山載せ過ぎると居住性が悪くなり、疲労もたまりやすくなる。 旗艦にのみ効果がある艦長室・メインクルー食堂もあり、搭載すると名声が一時的に上昇する。
艦船のパラメータについて述べる。
艦船の種類によっては、旗艦に設定することで特殊能力を使用できる。戦闘中にコマンドとして使用するものと、配置するだけで有効なものがある。
各々のクルーを艦内の役職に配属させる。宇宙港のある星ならどこでも可能である。配属したクルーの能力値により、艦隊のステータスに補正がつく。艦長であるユーリは配属変更不可。オペレーターや砲雷長など一部の役職は戦闘中の音声にも影響する。トスカ、チェルシーは専用のボイスが用意されており、それ以外は男女毎に汎用のボイスが再生される。
クルーには各種能力があり、レベルアップ、対応するポストに配置する、訓練モジュールを搭載して航海する、バダックPCMなどで強化する、各種イベントなどで強化されるなどで上昇していく。最大値は99。レベルの最大値も99であるが経験値がオーバーフローしてしまいバグで98にしかならないこともある。
スキルには戦闘用と配置型がある。戦闘型は戦闘時に効果を発揮するもので、こちらは更に艦隊戦用と白兵戦用に分かれる。配置型は対応するポストに配置するとボーナスがかかる。スキルレベルは20の倍数ごとに1ずつ上がり、最大5である。
建造した艦船は艦隊に組み込んでおかなければ使えない。艦隊は3×3マスの任意の場所に設置できる。陣形が前から3段階存在し、前にいくほど命中率は上がるが回避力は下がり、敵の攻撃が当たりやすくなる。逆に後ろにいくほど回避力は上がるが命中率は下がってしまう。
また必ず前の列に最低1隻は設置しないと陣形は有効にならない。例えば最後列に3隻だけ設置しても最前列に3隻いるのと変わらないのである。設置できる艦船数は1隻から最大5隻で、ゲームが進むごとに増えていく。最大設置可能数以下でも戦えるが、各艦船には番号が振られており、旗艦(1番艦)は必ず設置しなければ出港できない。基本的に空母など直接戦闘しない艦船は後列に、戦艦など攻撃力・耐久力・防御力などが高い艦船を前に設置するとよいが、旗艦が撃沈するとゲームオーバーなため慎重に選択する必要がある。
画面には時間と共に上昇するコマンドタイム(CT)が表示され、このCTを消費する事で行動はリアルタイムで行なわれる。兵装によって射程が異なり、自艦の索敵範囲外ではたとえ兵装の射程内であっても命中率が低下するので、敵との間合いを読むことが重要となる。移動は「前進」「後退」「待機」から選択する。マップ左端からさらに後退すると離脱もできるが、失敗する可能性もあり、離脱不可能な敵からは逃げられない。
以下では各コマンドの解説を行う。
艦隊戦中に白兵戦コマンドが発動した場合やダンジョンで敵と遭遇した場合は白兵戦となる。保安長に配属したクルーを指揮官とし、全艦隊の乗組員数がそのままヒットポイントとなる。保安長、保安員の格闘能力、各艦に設置された保安室の格闘能力の総和が攻撃力となる。保安長が居なければユーリが代理として保安長を務める。保安長と保安員にもヒットポイントが定められており、ダメージを受けると低下し、攻撃力が低下する。攻撃は三つのコマンドを用いて行う。コマンド選択は白兵戦開始時とゲージが満タンになったときに選択できる。ゲージが溜まるスピードも格闘能力に比例する。それぞれジャンケンのように三竦みとなっている。強いコマンドが有効となり、弱いコマンドを出した方は相手にダメージを与えることが出来ない。あいこだった場合は互いにダメージを受ける。保安長(ユーリの場合を含む)が格闘用のコマンド型スキルを所持していれば、1回の戦闘につき1度だけコマンドを用いることが出来る。しかしながら相手のコマンドに対し不利であれば通常コマンド同様ダメージを与えられないためタイミングを図って使う必要がある。またスキル「宇宙の戦士」を保安長または保安員は所持していれば1レベルにつき格闘能力が+5される。これは格闘能力が最大値であっても上乗せされる。
マップは各宙域ごとに分けられ、各宙域では多層構造となっており各惑星に航路が結ばれている。他の宙域に移動するには、「ボイドゲート」と呼ばれるワープ場所を通過する必要がある。移動中はクルーの疲労度が上昇し、高いと戦闘中のCT上昇が遅くなってしまう。そのため、疲労度の上昇を抑えるように艦内の福利厚生にも気を配る必要がある。移動中には敵に遭遇する事もある(所謂エンカウント)。その宙域で最強の雑魚艦隊からは逃げられない事が多く、序盤は全滅することもよくあるゲームバランスなのでこまめなセーブはかかせない。遭遇率は巡航速度が関係し、速ければ速いほど敵に遭遇しづらくなる。また、特殊天体を発見する事もあり、その場合は名声が上昇する(ただし、一度発見した特殊天体は記録され、以降そのカートリッジでは発見出来なくなる)。何もない場所(小惑星のような場所)でも資源を発掘して資金が得られることがある。ゲームを一度クリアすると敵の出現率が設定であげられるようになる。各宇宙港の設定で切り替えることが出来るためレベル上げや資金稼ぎで有利である。
惑星では惑星の名前、人口(万人単位、数百億人規模でも珍しくない)、所持金を閲覧できる。惑星に到着すると艦船の耐久力や疲労などが自動で回復するほか、様々な施設が利用できる。以下では各施設を述べる。
一定距離航海すると入港時に資金が手に入るシステム。主計クルーの能力・艦船に搭載された貨物モジュールなどにも比例する。敵が一切登場しない宙域で貨物モジュールを最大まで積み込んだ艦船でひたすら航海しつづける資金稼ぎテクニックがある。
一定距離航海すると入港時に艦船の能力のうちランダムに与えられた3つの中からどれか一つを強化するかどうか選択することができる。強化しない選択もできるが、強化しなかった場合次に入港した時にまた同様の選択肢が現れる。この距離は科学技術クルーの能力や艦船自体に設置した研究室などのモジュールに比例する。耐久力や命中率などを強化することができるが、兵装スロット、最低稼働人数、整備力や居住性などは強化できない。また巡航速度・戦闘速度・CT上昇率はそれぞれ最大まで強化すると他の能力のいずれかが強化できなくなってしまう。最大値は全艦船共通なため、序盤の艦船を強化して最強クラスの艦船にするなども時間さえかければ可能である。また設計図ベースで強化されるため同型艦は全て強化される。
クリア特典であるモード。本編で入手した設計図・クルー全てを最初から使用でき、各宙域ごとに定められたボスを倒していくモード。ただし仲間の能力やスキルは初期値のままであり、少年編と青年編で登場したキャラクター(仲間にならないものも含め)では年齢などの設定は少年編時点のものが優先されている。ただしチェルシーは戦場の女神が使え、ユーリの艦隊指揮レベルは最初から最大である。軌道エレベータは撤去されており地上には降りれないが、宇宙港は機能しており回復はもちろんのこと貨物輸送なども問題なく行える。ラスボスをたおしてもセーブできない。敵からはボス含め離脱可能であるがボスは全て白兵戦不可能。本編で白兵戦ができなかった敵は雑魚でも不可能である。デイジーリップ級は無料で何隻でも建造できる。本編では仲間にならなかったキャラを仲間にできるほか隠し艦載機などもありコンプリートには欠かせない。バグで周回プレイをすると味方や設計図が消えることがある。デイジーリップの司令艦橋をほかの艦船に搭載すると出港時にフリーズすることがある。通信対戦はエクストラモードでも可能である。
艦船のデザインは数人のデザイナーが各国単位で別々に担当するなど、国によってデザインの特色が違っている。 大マゼランのエンディミオン大公国はお洒落などにも先進的な文明国家である事から、エンディミオン製艦船は戦場に似つかわしくない派手な赤いカラーリングで統一され、また他国艦船に比べて外観などにも洗練されたデザインであるなど、文化によってデザインの特色が現れている。 プレイヤーも使える艦船と敵専用の艦船がある。
ステータス画面では「BATTLE SHIP」、戦闘画面では「BB」と表示される。高い火力と耐久力を持つが、全艦種中で最も機動力が低い。また、対空補正が低いものが多く、対空兵装との相性は良くない。
ステータス画面では「CARRIER」、戦闘画面では「CV」と表示される。内装モジュールの設置スペースが広く、格納庫の艦載機積載量も多めに設定されている艦が多いため、他艦種の艦載機運用可能艦船よりも多くの艦載機を搭載しやすい。ネージリッドおよびネージリンス製空母は特殊能力「重力カタパルト」を所持しているので出撃も早い。逆に兵装スロットの数は少なめで、装甲や耐久力、各種命中補正が貧弱であり、敵の攻撃を受けにくい艦隊の後列に配置することが望ましい。
ステータス画面では「CRUISER」、戦闘画面では「CG」と表示される。平均的な性能で、艦載機迎撃能力が高い。
ステータス画面では「DESTROYER」、戦闘画面では「DD」と表示される。小型で機動力に優れ、CTの上昇率が高いが、全体的に性能は低め。
ステータス画面では「OTHER」、戦闘画面では「ETC」と表示される。貨物船や病院船、あるいは特殊装備を施された艦船などが該当する。
多数の銀河を支配し、その勢力圏は全宇宙の25%にも達すると言われる巨大国家[注 2]。始祖マドリア・ファル・ヤッハバッハより現皇帝ガーランド・フェルベベス・クゥム・ヤッハバッハまで117代を数える歴史ある国家でもある。皇帝の座乗する戦艦に巨大な帝国艦が接続されて首都とされる。
数万から数十万隻に上る強力な艦隊[注 3]を各宇宙域に送り込み、次々と征服している(「我々はヤッハバッハである」という言葉で全て語れるとしている)。征服後の統治は公正で、民族優越思想を持たない人たちは素直に従っているうえ、優れた才能の保持者は被征服民であっても要職に抜擢されることがある(ライオス、イネス、メイヨーなど)。
保有艦船は長期に渡る遠征航海を考慮した設計で、長大な航続距離と高い被弾生存率を有している。
ヤッハバッハ人の平均身長は2m、10人以上の子供をもうけるのが平均的な家族とされている。
設定ではトスカやライオスは大小マゼラン銀河以外の銀河系出身。
各国の重要人物(政治家、軍人、経済人、その他ストーリーに深く関わる人物)を各国の項目で、それ以外の一般人(各自治領の長、工場や酒場の従業員など)はその他、0Gドッグとして行動する者はフリーの項目で紹介する。
なお、「仲間になる」と記載があるキャラクターであっても、選択肢や名声値などにより仲間にならないこともあるので、仲間にする方法は各自で確認されたし。
以下の情報は公式サイト(国内版、海外版)、開発者インタビュー、開発者コラム、プロモーションDVDに基づく。
出典:公式サイト(国内版、海外版)、開発者インタビュー、開発者コラム、プロモーションDVD。