桑名駅(くわなえき)は、三重県桑名市大字東方にある、東海旅客鉄道(JR東海)・近畿日本鉄道(近鉄)・養老鉄道の駅である。駅番号はJR東海がCJ07、近鉄がE13。
JR東海の関西本線、近鉄の名古屋線、養老鉄道の養老線の3路線が乗り入れている。養老線は当駅が起点である。また、三岐鉄道北勢線の西桑名駅が近接しており、乗り換えが可能である。
橋上駅舎を持つ地上駅である。JR東海は単式ホーム1面1線と島式ホーム1面2線の合計2面3線のホームを、近鉄は単式ホーム1面1線と島式ホーム1面2線の合計2面3線のホームを、養老鉄道は1面1線のホームを使用する。ホーム番号はJR側から近鉄まで連番で振られており、5番線は欠番扱いとなっている。近鉄名古屋線の下り(伊勢中川方面)は待避線がなく、列車の待避は隣の益生駅で行われる。かつてはJR線と養老線の間で貨車の入れ換え作業が行われていた。
JRホーム・近鉄ホーム・養老鉄道ホーム全てバリアフリー化されておりエレベーターが設置されている。またJRホーム・近鉄ホームにはエスカレーターも設置されている[19][20]。また、JR線2番ホームには煉瓦造りだった痕跡が残っている。
駅長・駅員配置駅(直営駅)で、管理駅として蟹江駅 - 四日市駅間の各駅を管理している。事務管コードは▲530807を使用している[21]。
(出典:JR東海:駅構内図)
特急券は窓口、券売機および名古屋線ホーム上の券売機にて、定期券は定期券自動発売機で購入可能となっている。
特急列車停車駅のため、ホーム有効長は8両編成分となっている。
かつては駅長を配置していて、近鉄長島駅 - 阿倉川駅間を管理していた[22]。また駅長室は営業所を併設していた[23]が、2024年1月21日に廃止された[18][24][25]。
養老鉄道は4番のりばに列車が発着する。ホームは島式で反対側には近鉄線の6番のりばがある。ホームの中央には柵が設置されていて、乗り換え時には連絡口など改札口を経由する必要がある。またホーム上には無人駅から乗車した旅客用の自動精算機が設置されている。無人駅から乗車した場合はこの精算機で精算券を購入し、乗車駅で発行された乗車票と一緒に改札係員に渡し出場する。養老鉄道のりばには改札内、改札外ともトイレがなく、東口にある公衆トイレを利用する必要がある。
桑名駅の4番のりばと6番のりばの間には連絡改札口が設置されている。この連絡改札口は2段階で設置されており、近鉄側は自動改札機(無人改札)、養老鉄道側は有人改札口になっている。この連絡改札口には自動券売機、自動精算機が設置されている。また近鉄の自動改札機付近にはインターホンの設置もある。
なお2020年(令和2年)8月30日、駅舎が分離されたことにより、JR線へ乗換える場合は一旦養老鉄道の改札口を出て橋上部分に上がり自由通路を経てJR線の改札口へ向かう必要がある。
近鉄名古屋線は売店(ファミリーマート)設置駅とされている[23]。また近鉄線改札口横には飲料水・新聞・アイスクリームそれぞれの自動販売機が設置されている。
駅の旧橋上通路には近鉄観光の経営する喫茶店があったが、2010年9月に近鉄リテールサービス(現近鉄リテーリング)に移管され、2011年5月にイートインコーナーを設けたミニコンビニPocket PLATに変更、更に2013年にファミリーマートに変更された[31]。2020年8月30日の新駅舎供用に当たっては東西自由通路内に移転し、継続して営業している[32]。
JR桑名駅の駅舎内にもキヨスクがある。2020年8月30日の新駅舎供用に当たって「ベルマートキヨスク」としてリニューアルした[33]。またJR線ホームには飲料水の自動販売機が設置されている。
狭軌の養老線の車両を重要部・全般検査する際には、当駅北側に位置する桑名台車交換所で標準軌の台車に交換して、塩浜検修車庫に入場する。台車交換所はかつては東方駅と呼ばれる貨物駅であった。
桑名市では、駅西土地区画整理事業に合わせて東西駅前広場を整備し、併せて自由通路の設置と駅舎の移設を計画した[34]。この事業は、鉄道・運輸機構からの助成を受け、2017年 (平成29年) 8月から工事が開始され、工事完了により2020年(令和2年)8月30日から利用開始となった[10][16]。移設に伴い、JRと近鉄、養老鉄道の駅舎は分離され、改札内共用の共同使用駅の形態ではなくなった[10][16]。旧駅舎は東口をJR、西口を近鉄が管理しており、それぞれにJR・近鉄・養老鉄道3社の自動券売機があった。またJR管理の東口にも近鉄の出札窓口があった[35][15]。2015年に設置された近鉄ホームへのエレベーターは新駅舎のエレベーターとして引き続き使用されている[15][16]。
JR関西本線(名古屋 - 亀山間)はTOICA使用可能エリアに、近鉄名古屋線はPiTaPa使用可能エリアであるが、当駅では2013年3月23日の「全国相互利用サービス」開始に合わせて、「IC乗車カード専用乗り換え改札機」が設置された。同一のIC乗車カード(当駅を接続扱いとするIC連絡定期券を含む[36])を利用した両路線の乗り換えに際しては、同改札機にタッチする必要があった[36][37][38]。
2種類のIC乗車カードを使い分ける場合、および磁気式乗車券とIC乗車カードを組み合わせて乗り換える場合は、いったん改札口を出場の上で改めて改札口より再入場しなければならなかった[36][37]。JR東海をIC乗車カードで利用して養老鉄道に乗り継ぐ場合、養老鉄道線中間改札の簡易改札機は桑名駅以外のTOICAエリアの情報が入っていないため、利用できなかった(反対方向への利用は可能であった)[36]。そのため、同様に一旦出場して養老鉄道の乗車券を用意する必要があった。
1959年の近鉄名古屋線改軌前は、4番のりばを伊勢中川方面、6番のりばは名古屋方面の列車が使用しており、ホームの名古屋寄りに切欠き式の5番のりばがあった。5番のりばが欠番であるのはその名残である。また養老線は7番のりばを使用していた。名古屋線改軌とともに現在の使用方法となり、1961年には待避線(8番のりば)が増設された[39]。
さらに前の関西急行鉄道時代は、鉄道省線(後の国鉄線)とは連続せず関西急行鉄道線のみでのりば番号が振られ、後の4番のりばが2番のりば、6番のりばが4番のりばであった。7・8番のりばは当時はなく、切欠き式の3番のりば(後の5番のりば。その後廃止)に養老線が発着していた[40]。
「三重県統計書」によると、1日の平均乗車人員は以下の通りである[41]。近鉄の乗車人員は一部年度において他の路線からの連絡(乗り換え)人員を含んでいる(JRは2003年度 - 2009年度、三岐鉄道は2004年度 - 、養老鉄道は2007年度 - )。養老鉄道の乗車人員は当初年度よりJR・近鉄からの連絡(乗り換え)人員を含んでいる。
当駅の利用状況の変遷を下表に示す。三重県のJR駅では最多。
近年における当駅の1日乗降人員の調査結果は以下の通り。
当駅の利用状況の変遷を下表に示す* 輸送実績(乗車人員)の単位は人/年度である。
2003年(平成15年)4月1日に北勢線が、2007年(平成19年)10月1日に養老線が近鉄から分離された。これ以前のデータでは、同一鉄道事業者(近鉄)運営路線であった名古屋線と北勢線・養老線の乗り継ぎ利用者については当駅の乗車(乗降)人員数にカウントされていないが、当駅で乗車し養老線方面に向かった利用者についてはカウントされている。一方、近鉄からの北勢線・養老線分離以降は、名古屋線と北勢線・養老線の乗り継ぎ利用者は当駅(近鉄桑名駅)の乗車(乗降)人員数にカウントされており、養老鉄道桑名駅で乗車し養老線方面に向かった利用者については当駅(近鉄桑名駅)の乗車(乗降)人員数にカウントされていない[注 5]。
養老鉄道設立後の年度別利用状況は以下の通り[50][51][52]。
桑名市街地の西端に位置しており、東口が表玄関の役割を担う。現在、新駅舎建設と駅前広場整備の為東口前のロータリーは規模が縮小されている。
当駅および近接する駅に乗り入れる路線はそれぞれ軌間が異なっていることから、762mmの三岐鉄道北勢線、1067mmの関西本線、1435mmの近鉄名古屋線と、異なる3種の軌間を渡る踏切がある[53]。
1927年から1944年まで駅前より路面電車の桑名電軌が発着していた。
1994年(平成6年)7月5日、桑名駅開業100周年を記念して『桑名の駅』の詩碑が1番ホームに建立された。