湯の山線(ゆのやません)は、三重県四日市市の近鉄四日市駅から三重県三重郡菰野町の湯の山温泉駅までを結ぶ近畿日本鉄道(近鉄)の鉄道路線。
鈴鹿山脈の麓にある湯の山温泉や御在所山への観光路線であるが、かつての宿場など比較的住宅の密集した地域を結んでおり、また沿線には近鉄グループや三交グループによって開発された大規模団地や県立の高校が集まっているため、地域住民の通勤・通学などの生活路線としての役割も担う。
ローカル線の加算運賃が適用されている。2007年4月1日より各駅に簡易改札機を設置し、PiTaPaおよびICOCAの利用が可能となった(2013年3月23日にはTOICA、manacaなどとの全国相互利用サービスを開始)。2012年11月に中川原駅 - 菰野駅間の各駅に自動改札機が導入され、同時に近鉄四日市駅、桜駅、湯の山温泉駅を除く全ての駅が無人化された。
湯の山線ではワンマン列車であっても、ホーム側のすべてのドアが開く。ただし中菰野駅と大羽根園駅は簡易改札機による対応であるため、乗車券利用の場合は一番前のドアから下車する必要がある。
かつては特急が定期運行されていたため、一部の駅は一線スルーに対応し、高角駅 - 桜駅間では特急の続行運転ができるよう駅間で閉塞区間が分割されている。
全線、名古屋統括部(旧名古屋営業局)の管轄である。
現在は線内折り返しでワンマン運転の普通列車が主に朝夕15 - 20分、昼間約30分に1本の間隔で運行されているのみで、定期列車としては特急などの通過駅を伴う列車は運転されていない。
1990年代後半までは近鉄名古屋駅発着の臨時急行列車の直通運転もあった。また1970年代初めまでは近鉄名古屋駅発着の直通準急も定期列車で設定されていた。直通運転開始時の1964年時点では湯の山線内も準急が設定され、伊勢松本駅・桜駅・菰野駅に停車していた[2]。
かつては湯の山特急が近鉄難波駅(現在の大阪難波駅)・近鉄名古屋駅 - 湯の山温泉駅間で直通運転されていたが、後に近鉄四日市駅 - 湯の山温泉駅間だけの運転(近鉄四日市駅で大阪・名古屋方面からの特急に接続)となり、さらに土休日のみの運転に縮小され、2004年3月のダイヤ変更で全廃された。しかし現在でも、特急車両の方向幕には「湯の山温泉」あるいは「名古屋 湯の山温泉」の表示が残っており、前者は後述する臨時の復活運転時に使われている。この名残から、湯の山温泉駅では特急券の発行設備が2018年3月17日現在でも残されている[3]。
2008年以降、毎年夏(7月下旬 - 8月上旬の土曜・休日、2012年は7月14日 - 8月25日の土曜、2013年は7月20日 - 8月24日の土曜、2014年は7月19日 - 8月23日の土曜と8月17日、2015年は7月18日 - 8月22日の土曜と8月16日)に近鉄名古屋駅 - 湯の山温泉駅間の特急が1往復臨時運行されている。2008年は御在所ロープウェイ開通50年および鈴鹿国定公園指定40周年を記念し、初めて臨時運行された[4]。2009年以降は「湯の山温泉サマーライナー」の愛称が付けられ2017年夏期まで運行された[5][6][7][8][9][10]。地元提供の特製ヘッドマークが掲出されていたほか、近鉄名古屋駅での出発式や、湯の山温泉における指定施設での特典が受けられる乗車記念証の配布などのイベントも行われた。
なお、大晦日から元日にかけての終夜運転は、湯の山線では現在は実施されていないが、2019年と2020年の元日4時台に普通列車を1本増発して「初日の出号」として御在所岳へのアクセスを図った[11][12]。
四日市鉄道が1913年に軌間762mm(ナローゲージ)の軽便鉄道として開業させた。後に国鉄の四日市駅まで延伸されるが、現在の近鉄名古屋線の前身である伊勢電気鉄道の桑名延伸に伴い、四日市駅 - 諏訪駅(現在の近鉄四日市駅)間を1927年度に廃止した。
以後、三重鉄道への合併を経て、さらに三重県下の交通事業者統合で三重交通になり、内部線・八王子線とあわせて三重線と称し、湯の山 - 四日市 - 内部間で直通運転していた。1964年に三重電気鉄道へと分社、標準軌に改軌、架線電圧を直流750Vから直流1,500Vに昇圧し、内部線・八王子線との直通運転をやめて近鉄名古屋線と直通運転を開始。1965年に近畿日本鉄道の路線となった。
廃止区間の駅は次節を参照。
四日市市駅 - 諏訪駅 - 堀木駅