本作のタイトルの由来である「キラー通り」にあるビクタースタジオ。本作のレコーディングはここで行われた。
『キラーストリート 』(英語 : KILLER STREET )は、サザンオールスターズ の14作目のオリジナル・アルバム であり、本作のDisc1の13曲目に収録されている楽曲名でもある。2005年 10月5日 にCD で発売。発売元はタイシタレーベル 。キャッチコピーは“「すごいの、頂戴。」名盤保証!!” 。
同年11月12日 にはレコード として発売され、2008年 12月3日 にはCDとして再発売されている。2014年 12月17日 からはダウンロード配信、2019年 12月20日 からはストリーミング配信が開始されている[ 7] [ 8] 。
背景
オリジナル・アルバムとしては1998年発売の『さくら 』以来、約7年振りとなる作品[ 9] 。ギターの大森隆志 脱退後、5人体制となってから最初の作品でもある。
タイトルは、所属しているレコード会社であるビクターエンタテインメント のレコーディングスタジオ「ビクタースタジオ」沿いにある、外苑西通り の通称「キラー通り 」に由来している[ 9] [ 10] 。ジャケットやタイトルは、ビートルズ の『アビイ・ロード 』のパロディであり、桑田佳祐 は『アビイ・ロード』を引き合いに出し、本作を「総ざらい」的なイメージがあると位置付けていた[ 10] 。ただし、そのような覚悟を述べていた一方で、桑田は本作を引っ提げて開催した『Live Tour 2005 みんなが好きです!』の東京ドーム公演のMCでサザンの活動について「これからもゆっくり、命ある限り続きますんでよろしくお願いします」「また28年目29年目、生きている限り30年目よろしくお願いします」と当初から解散をしない旨を強調する発言をしている[ 11] [ 12] 。2009年 初頭から2013年 夏までサザンは無期限活動休止を選択したが、桑田はその理由の一つに本作品のことに言及し「このアルバムでサザンオールスターズとしてできることを(当時の時点で)すべてやりつくした」旨をラジオで公言している[ 13] 。活動休止をしたこともあり、次作の『葡萄 』まで約9年半もの間アルバムのリリースが途絶えることになり、桑田は次作の発売時に上述した「ラストアルバム」「総ざらい」などといった発言への反省の弁を語っている[ 14] 。
録音
シングル収録曲がカップリング曲 含め12曲収録されている。総レコーディング 時間は前作『さくら』の3,000時間を上回る3,300時間となり、自身のオリジナル・アルバムの中では最も長い時間となった。2003年からレコーディングが開始されているが、一部の収録曲に関しては1999年頃に実験的に制作されていた楽曲や2002年の桑田のソロアルバム『ROCK AND ROLL HERO 』からのアウトテイクも含まれている。シングル曲は「神の島遥か国」以外は一部アレンジが加えられた[ 9] [ 10] [ 15] [ 16] 。
このアルバムではパーカッションの野沢秀行 がヘルニアで休養したため、三沢またろう のサポートを借りてレコーディングされた楽曲が数曲存在する。ベースに関しても関口和之 が演奏した曲や、桑田が演奏した曲、関口が考案したベースラインをシンセベースに打ち込んだ曲が存在しており、曲によって異なったニュアンスを出している[ 17] [ 18] [ 19] 。
本作収録曲の本格的なレコーディングにあたり2005年2月に野沢を含めたメンバー全員で鎌倉市 のリハーサルスタジオで2泊3日の合宿が行われた。桑田が言うにはレコーディングのためのリハーサル合宿は久しぶりだったといい、新鮮さとともにバンドの原風景を思い出して感動したという[ 20] [ 21] 。
リリース
発売形態
初回盤特典は「FILM KILLER STREET」と題されたレコーディング風景を記録したDVD と桑田自身によるセルフライナーノーツ が付属している[ 10] 。DVDではレコーディング風景以外にもメンバーのインタビュー、前述の鎌倉合宿の映像とエピソード、休養を決めた野沢の心境、レコーディングの合間に夜桜 をメンバー・スタッフで酒や食事を囲んで観る姿なども収録された[ 21] 。
2005年11月12日にはレコード 3枚組のアナログ盤も発売された。アナログ盤購入特典として、アルバム・ジャケットとキラー通り歩道橋上で撮影され、プロモーション写真に使用されているサザンのアーティストビジュアルの2種が縦横90センチメートル大の特大ポスターとして封入。公式サイトでも一部掲載されている桑田への発売に関するロングインタビューのブックレットも付属している[ 22] 。
再発売
プロモーション
コマーシャル
2005年4月28日にニューアルバムのリリースの決定が告知され、テレビやサザンのホームページではビクタースタジオで「ごめんよ僕が馬鹿だった」のイントロをメンバー全員で演奏するレコーディング風景の映像を用いている[ 注釈 1] [ 20] 。
同年9月1日にはアルバムのタイトルが発表された。この際にはサザンのメンバー5人がスーツを着て7年間リリースの間隔が空いてしまったことを記者会見で謝罪する内容の広告が制作された[ 23] 。
テレビ披露
既発曲のテレビ出演に関しては、各収録作品の項目を参照のこと。
ごめんよ僕が馬鹿だった
放送日
番組名
放送局
出典
2005年10月7日
ミュージックステーション
テレビ朝日
[ 24]
2006年8月21日
桑田佳祐の音楽寅さん 〜MUSIC TIGER〜 '06夏の思い出作りSP
フジテレビ
ツアー
本作のレコーディングドキュメントと同年末に掛けて行われた『Live Tour 2005 みんなが好きです!』の東京ドーム 公演の模様が、DVD 『FILM KILLER STREET (Director's Cut) & LIVE at TOKYO DOME 』として2006年に発売された。
批評
後年に桑田は、本作の一部の収録曲についてやや否定的な発言をしており、制作当時を「デジタルを過信してしまった」「マニアックにやり過ぎてしまった」「サザンの一八番であるポップス、バラードに対して自信を失いかけていたのかもしれない」と振り返っている。また、桑田は本作について「リリース当時も悪く言ってたんだよな」と振り返り反省をしている[ 26] 。
公式サイトでインタビュアーを務めた鹿野淳 はサザンを象徴する言葉として「そんなことやらなくてもいい」を挙げており、そのうえで二枚組のアルバムの発表、歌唱法、バラード、いわゆるエロ曲を含め「そんなことやらなくてもいいし、誰も想像していなかったことをやる、それがサザンオールスターズの偉大さなのだ」「しかしだからこそみんなを驚かせ、楽しませ、圧倒したのがサザンオールスターズのヒストリーである」とし、このアルバムを「究極の『そんなことやらなくてもいいサザンオールスターズ』の金字塔と呼ぶべきアルバム」と評した[ 27] 。渋谷陽一 は後年に本作を「いいアルバム」としつつも「ちょっと情報量が多すぎてプレッシャーを感じますけれども」とも評しており、桑田もそれを認めている[ 28] 。
THE RAMPAGE from EXILE TRIBE のRIKU は、小学5年生の時に初めて親に買ってもらったCDが本作であり、家ではサザンをよく聴いていたという。また、母親と初めて行ったライブもサザンであり、ライブを見てよりサザンが好きになったことをコメントしている[ 29] 。
受賞歴
チャート成績
2005年10月17日付のオリコン週間ランキングで初週63.3万枚を売り上げて、1位を獲得し[ 31] 、登場6週目である同年11月15日付の同チャートでオリジナルアルバムとしては、『Young Love 』以来9年ぶりのミリオンセラー を達成した[ 32] 。2008年までに累計112.8万枚を売り上げている[ 33] 。
2枚組オリジナルアルバムによるミリオンセラーは、B'z の『The 7th Blues 』以来11年8ヵ月ぶり通算2作目の快挙となった。活動歴が四半世紀以上のアーティストによるミリオン突破は、ベスト・アルバムでは自身の『海のYeah!! 』をはじめ、井上陽水 の『GOLDEN BEST 』や小田和正 の『自己ベスト 』などの例があるものの、オリジナルアルバムでの達成はオリコン史上初である。これまでの記録は、松任谷由実 の『KATHMANDU 』のデビューから23年6ヵ月が最長記録で、今回はそれを遥かに上回る27年と5ヵ月という記録を打ち立てた[ 32] 。
オリコンによる本作の登場回数は48回である[ 3] 。
収録曲
全作曲:桑田佳祐 。初回盤・アナログ盤・通常盤共通収録。既発曲の解説は各収録作品を参照のこと。
Disc 1 # タイトル 作詞 作曲・編曲 編曲 時間 1. 「からっぽのブルース」 桑田佳祐 サザンオールスターズ 4:25 2. 「セイシェル 〜海の聖者〜」 桑田佳祐 サザンオールスターズ 4:23 3. 「彩 〜Aja〜 」 桑田佳祐 サザンオールスターズ 片山敦夫山本拓夫 (管編曲) 5:14 4. 「JUMP」 桑田佳祐 サザンオールスターズ 5:05 5. 「夢と魔法の国」 桑田佳祐 サザンオールスターズ 4:31 6. 「神の島遥か国 」 桑田佳祐 サザンオールスターズ 4:11 7. 「涙の海で抱かれたい 〜SEA OF LOVE〜 」 桑田佳祐 サザンオールスターズ島健 (弦編曲)原由子 (弦編曲) 4:28 8. 「山はありし日のまま」 桑田佳祐 サザンオールスターズ 3:26 9. 「ロックンロール・スーパーマン 〜Rock'n Roll Superman〜」 桑田佳祐 サザンオールスターズ 片山敦夫(弦編曲) 5:01 10. 「BOHBO No.5 」 桑田佳祐 サザンオールスターズ 山本拓夫(管編曲) 4:58 11. 「殺しの接吻 ( キッス ) 〜Kiss Me Good-Bye〜」 桑田佳祐 サザンオールスターズ 島健(弦編曲) 3:38 12. 「LONELY WOMAN 」 桑田佳祐岩本えり子 (英語補作詞) サザンオールスターズ 島健(弦編曲) 5:30 13. 「キラーストリート」 - サザンオールスターズ 1:18 14. 「夢に消えたジュリア 」 桑田佳祐 サザンオールスターズ 島健(弦管編曲) 4:47 15. 「限りなき永遠 ( とわ ) の愛」 桑田佳祐 サザンオールスターズ 島健(弦編曲) 4:39 合計時間:
65:34
Disc 2 # タイトル 作詞 作曲・編曲 編曲 時間 1. 「ごめんよ僕が馬鹿だった」 桑田佳祐 サザンオールスターズ 山本拓夫(管編曲) 4:18 2. 「八月の詩 ( セレナード ) 」 桑田佳祐 サザンオールスターズ 4:56 3. 「DOLL 」 桑田佳祐 サザンオールスターズ 片山敦夫(弦編曲) 4:41 4. 「別離 ( わかれ ) 」 桑田佳祐 サザンオールスターズ 5:04 5. 「愛と欲望の日々 」 桑田佳祐 サザンオールスターズ 山本拓夫(管編曲) 4:26 6. 「Mr.ブラック・ジャック 〜裸の王様〜」 桑田佳祐 サザンオールスターズ 4:02 7. 「君こそスターだ 」 桑田佳祐 サザンオールスターズ 4:23 8. 「リボンの騎士」 桑田佳祐 サザンオールスターズ斎藤誠 (編曲補) 片山敦夫(編曲補) 4:26 9. 「愛と死の輪舞 ( ロンド ) 」 桑田佳祐 サザンオールスターズ 3:59 10. 「恋人は南風 」 桑田佳祐 サザンオールスターズ 4:39 11. 「恋するレスポール」 桑田佳祐 サザンオールスターズ 4:23 12. 「雨上がりにもう一度キスをして 」 桑田佳祐 サザンオールスターズ 山本拓夫(管編曲) 5:16 13. 「The Track for the Japanese Typical Foods called “Karaage” & “Soba” 〜 キラーストリート (Reprise)」 桑田佳祐 サザンオールスターズ 3:55 14. 「FRIENDS 」 桑田佳祐 サザンオールスターズ 8:23 15. 「ひき潮 〜Ebb Tide〜」 桑田佳祐 サザンオールスターズ 島健(弦・コーラス編曲) 4:04 合計時間:
70:55
Disc 1
からっぽのブルース
桑田が言うには、歌詞は壮年期を迎えた桑田自身の縁側における哀しいつぶやきみたいなものであり、一部は五木寛之 の『大河の一滴 』から影響を受けた[ 18] 。楽曲としてはサイケデリックなラーガ 風のロックを目指したという[ 18] 。仮タイトルは「CSN&Y 」[ 18] 。
ベースおよび左チャンネルのギターは桑田、右チャンネルのユニゾンのギターリフは斎藤誠 によるものである。また、ドラムは打ち込みである[ 18] 。
セイシェル 〜海の聖者〜
歌詞のテーマは自然に対する憧憬や畏怖感であるという[ 17] 。
本作の本格的なレコーディング に入る際、最初に製作を始めた曲である[ 9] 。2005年の初めにサザンのメンバーが猫に小判スタジオに集まって実施された[ 17] 。
この曲では関口がベースを弾いており、桑田はBメロのベースラインについて「彼じゃないと絶対に発想できないし、弾けないラインだ」と評価している[ 17] 。
彩 〜Aja〜
2004年に発売された48枚目シングル。
JUMP
政治・社会を風刺した楽曲で、ファンク的な応援歌[ 9] 。
発売年の全国ツアー『みんなが好きです!』では関口がCD音源と異なる激しいベースソロを間奏で披露している[ 11] 。
夢と魔法の国
歌詞の内容は公共のマナーなどがテーマ。エレキギター のサウンドが分厚く重ねられていて、非常にロック色の強い楽曲である。桑田はこの曲の歌詞について「大の大人がヘヴィなギターを鳴らしながら、みんなで汗をかきながら、比較的ささいな事に怒りをぶちまけている」イメージであると述べている[ 34] [ 35] 。
神の島遥か国
2005年に発売された51枚目シングル「BOHBO No.5/神の島遥か国」の2曲目。
涙の海で抱かれたい 〜SEA OF LOVE〜
2003年に発売された47枚目シングル。
山はありし日のまま
原由子 ボーカル曲。
歌詞の内容は制作当時に原が読んでいた本の物語がイメージの基本になった[ 36] 。メンバーは当初はノラ・ジョーンズ やザ・バンド のような方向性を目指していたが、歌詞が載った段階で唱歌 的な方向に進んでいった[ 36] 。
原はハモンドオルガン 、松田はブラシによるドラム 、関口はアリア のアコースティック・ベース を演奏した[ 36] 。斎藤は生ギター、片山敦夫は生ピアノ、三沢はコンガ で参加した[ 36] 。
初回盤特典のDVDでは桑田が自分のキーで仮歌を斎藤と片山に伝える姿や、仮歌[ 注釈 4] を桑田と原の二人で聴く姿、音合わせのために桑田のギター伴奏のもとで原がメロディを歌う姿、原がハモンドオルガンを重ねていく姿が収録された[ 21] 。
ロックンロール・スーパーマン 〜Rock'n Roll Superman〜
トヨタ自動車 『MORE THAN BEST』CMソング。
歌詞の内容は中学・高校時代の桑田自身を歌っているのかもしれないとしており、桑田が影響を受けたグラムロック のサウンドを意識した楽曲となっている[ 37] 。仮タイトルは「電気男」[ 16] [ 37] 。
本楽曲のテンポは制作当初は遅くしていたが、最終的には2段階ほど機械的にアップしている[ 38] 。
シングル曲を除けば、アルバム曲として唯一ミュージック・ビデオ が存在しており、ミュージック・ビデオ集『21世紀の音楽異端児 (21st Century Southern All Stars Music Videos) 』に収録されている。
直後に行われた『Live Tour 2005 みんなが好きです! 』で披露された際には、桑田のアイデアで自身が敬愛するビートルズ の楽曲「エリナー・リグビー 」がイントロに管楽器によって挿入された[ 12] 。
2018年に発売されたベスト・アルバム 『海のOh, Yeah!! 』に収録されている。
BOHBO No.5
シングル「BOHBO No.5/神の島遥か国」の1曲目。
シングルバージョンより、ボーカルとブラス の音量を上げて収録している[ 39] 。
殺しの接吻 ( キッス ) 〜Kiss Me Good-Bye〜
桑田が言うには歌詞は「死に怯える美人妻のエロスをイメージしたサイコサスペンス風」だという[ 40] 。
松田のオールド・ラディックのドラム、関口のマーティン のアコースティック・ベース、斎藤のギター、島健 のピアノを主としたニーナ・シモン をイメージしたマイナー調のジャズ と桑田は語っている[ 40] 。
島健のピアノソロは1テイクで決まった[ 40] 。
LONELY WOMAN
2004年に発売された50枚目シングル「愛と欲望の日々/LONELY WOMAN」の収録曲。
コーラスの入る部分が1小節早まっている[ 41] 。
キラーストリート
インストでありタイトル曲。イタリア映画をイメージした楽曲である。タイトルの由来は前述の通り、外苑西通りの通称「キラー通り」であり、その理由をライナーノーツでは「どこか物悲しさを感じさせるキラーストリートと、イタリア映画が持つ哀愁をおびた悲しさの波長が私の中でピッタリと重なり合って、もしかしたら音楽の神様がこの曲を私に与えてくれたのかもしれない」と述べている[ 42] 。
曲自体は1分18秒と短く、ビクタースタジオにて5分程で作曲してからレコーディングもあっという間に終えたとのこと[ 42] 。
夢に消えたジュリア
2004年に発売された49枚目シングル「君こそスターだ/夢に消えたジュリア」の2曲目。
限りなき永遠 ( とわ ) の愛
ユニクロ 「Life Wear/2024AIRism 肌砂丘のふたり 春篇」CMソング[ 注釈 5] 。
歌詞は内省的なものになっている[ 44] 。
アレンジ面ではビートルズ の影響が語られている[ 44] [ 45] 。
アルバム『海のOh, Yeah!!』にも収録されている。
Disc 2
ごめんよ僕が馬鹿だった
歌詞テーマは彼女に浮気がバレて、言い訳をしている愚かな男である。歌詞に登場する"Love-desperation"という単語は「愛が破綻する」といった意味の桑田の造語である[ 46] 。
前述した鎌倉市 のリハーサルスタジオでの2泊3日の合宿を行うために作られた[ 20] 。この際の映像は初回盤特典のDVDにも収録されており、桑田がコード譜をホワイトボードに書き、歌詞がついていない状態のこの曲のメロディを歌い、それに合わせてメンバーが演奏していき、アレンジを模索していく様子を垣間見ることが出来る[ 21] 。
八月の詩 ( セレナード )
フィル・スペクター 風の曲調をイメージして製作された[ 19] 。歌詞には茅ヶ崎 が登場している。
この曲のベースはシンセベース であるが、関口が書いた譜面に沿って打ち込まれている。桑田が言うには当時のサザンとしては珍しい試みだったことが語られている[ 19] [ 注釈 6] 。
DOLL
49枚目シングル「君こそスターだ/夢に消えたジュリア」のカップリング曲。
別離 ( わかれ )
桑田が言うには歌詞は恋人が亡くなるというストーリーであり、逆に1960年代 の歌謡曲を意識したポップな曲調の楽曲。桑田は製作途中で登場する"彼女"の死にテーマを当てたと語っている。歌詞中には長めのセリフが収録されており、今までに遊び感覚や社会風刺のセリフを入れたことはあったが、曲に関係した言わば“真面目”なセリフは新たな試みである。このセリフ部分に関しては桑田は「恥ずかしながら、初めて正々堂々とセリフを挿入してみた」と語っている[ 48] 。
三沢またろうのアイディアもありAメロの関口のベースは平山三紀 の「真夏の出来事 」のようなフレーズになっている。そのベースには斎藤のギターをユニゾンさせている。これはビートルズ の「オブ・ラ・ディ、オブ・ラ・ダ 」に倣ったものである[ 48] 。
愛と欲望の日々
50枚目シングル「愛と欲望の日々/LONELY WOMAN」の収録曲。
Mr.ブラック・ジャック 〜裸の王様〜
当時の政府首脳・官僚社会・国際情勢を風刺した楽曲[ 注釈 7] [ 49] 。
桑田、ドラムス の松田弘 、サポートメンバーでキーボード の片山敦夫の三人でギターリフとメロディとコード進行のみが決まっている中で、桑田の口での指示の下一度も練習せずにセッションを行った状態の音源を収録しており、その指示の掛け声や途中で松田のドラムのスネアのスナッピーが切れ、音が変わったハプニングが起きた部分もそのまま収録された。セッションの後に桑田がベース、マニピュレーターの角谷仁宣がモノラルシンセを演奏している[ 49] 。
曲作りから後日に行われた歌入れも含めておよそ20分というサザン最短のレコーディング作品である[ 49] 。
君こそスターだ
49枚目シングル「君こそスターだ/夢に消えたジュリア」の1曲目。
シングルには無い桑田のカウントやスタッフのハンドクラップが追加されている[ 16] 。
リボンの騎士
原由子ボーカル曲。原が歌唱する楽曲の中ではエロティックな表現が多い楽曲であり、桑田もこうした作品を作るのは「イロイロのパー」[ 注釈 8] 以来であるとコメントしている[ 50] 。後に原のベストアルバム『ハラッド 』に収録された。
タイトルは手塚治虫 の同名漫画『リボンの騎士 』からの引用である。
桑田はこの曲における成田昭彦のパーカッションのプレイを高く評価している[ 50] 。
愛と死の輪舞 ( ロンド )
コンセプトは桑田の敬愛するビートルズ の『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band 』であり、ジョージ・マーティン の真似事みたいなことをやってみようということがこの曲の制作の発端となった[ 51] 。
歌詞はフランス 語が多用されており、演劇用語や音楽用語のほか、アンデルセン 、ジュペリ 、イソップ 、クロサワ などの芸術家の名が登場する[ 52] 。
この曲では関口が「F#(嬰ヘ長調 )に対して一度下のE(ホ長調 )の音をぶつけて」弾くベースプレイを行っており、当初こそ桑田は反対していたが、結局本人に押し切られている。そのため桑田は「結果すごくカッコイイと思う」「あいつには負けた(笑)」とライナーノーツでコメントした[ 53] 。
松田の息子である松田翔がスネアのロールで参加している[ 53] 。
恋人は南風
47枚目シングル「涙の海で抱かれたい 〜SEA OF LOVE〜」のカップリング曲。
シングルバージョンと異なり、一部ボーカルが省略されている。
恋するレスポール
タイトルのレスポール をはじめ、ギターメーカーや「Kids Alright 」「Hey Joe 」「Gently Weeps 」といった60年代のアメリカやイギリスのミュージシャンの楽曲名が歌詞に使われている[ 15] 。
元々は桑田のソロアルバム『ROCK AND ROLL HERO 』製作時に作っていた曲。そのため製作開始は2002年からとなっている[ 15] 。
雨上がりにもう一度キスをして
47枚目シングル「涙の海で抱かれたい 〜SEA OF LOVE〜」のカップリング曲。
シングルバージョンと異なり、イントロにはドラムスのフィルインが挿入され、アウトロのボーカルは省略されている。
The Track for the Japanese Typical Foods called “Karaage” & “Soba” 〜 キラーストリート (Reprise)
メドレー楽曲。桑田が言うには「とことんバカバカしいまでに遊び半分」「ナンセンスソング」であるという[ 54] 。
メドレー前部の歌詞には「ホープ軒 」「丸屋 」が登場するが、これはキラー通り 付近に存在する店の名前をそのまま引用している。なお、「丸屋」に関しては現在は閉店している。メドレー後部にはインスト曲「キラーストリート」に歌詞をつけたものが収録されているが、はっきりとは聞こえにくく、桑田が言うには「イタリアっぽい感じのメロディーを、どこかの日本人が詠み人知らずの詩をボソボソ歌っているイメージにしてみた」という。歌詞をつけるアイディアはレコーディング当初からあった[ 55] 。
制作当初はメドレー前部を「ワイルド・ハニー・パイ 」(ビートルズの楽曲。『ザ・ビートルズ 』収録)のような曲と桑田は考えており、1分もあればいいと思っていたが、ビルドアップした結果3分となった[ 54] 。
初回盤特典のDVDでは桑田が本楽曲の仮歌[ 注釈 9] を吹き込んだり、片山がキーボードを重ねるなどの姿が収録された[ 21] 。
このアルバムの中で最後に歌入れした曲[ 54] [ 55] 。
FRIENDS
48枚目シングル「彩 〜Aja〜」のカップリング曲。
ひき潮 〜Ebb Tide〜
8分の6拍子のバラード曲で、歌詞は別れていく女性に対して、男が彼女の幸せを願う気持ちを描いたもの[ 56] 。桑田は「今回のサザンの形態で8分の6拍子のこの曲をやると、何となく暑苦しくなりすぎる」「ある意味『栞のテーマ 』は絶対に超えられない」ということを踏まえてボーカルを多重録音することを条件として課したうえで製作したと語っており、この曲で島健に弦とコーラスの編曲を依頼したのはその経緯によるものだった[ 56] 。
曲の最初と最後に波の音が挿入されている。
木村文乃 がこの曲を気に入っていることを述べている[ 57] 。
参加ミュージシャン
サザンオールスターズ
ライブ映像作品
曲名
作品名
備考
からっぽのブルース
FILM KILLER STREET (Director's Cut) & LIVE at TOKYO DOME
セイシェル 〜海の聖者〜
FILM KILLER STREET (Director's Cut) & LIVE at TOKYO DOME
彩 〜Aja〜
JUMP
FILM KILLER STREET (Director's Cut) & LIVE at TOKYO DOME
夢と魔法の国
FILM KILLER STREET (Director's Cut) & LIVE at TOKYO DOME
神の島遥か国
涙の海で抱かれたい 〜SEA OF LOVE〜
山はありし日のまま
未収録
ロックンロール・スーパーマン 〜Rock'n Roll Superman〜
FILM KILLER STREET (Director's Cut) & LIVE at TOKYO DOME
真夏の大感謝祭 LIVE
桑田佳祐の音楽寅さん 〜MUSIC TIGER〜 あいなめBOX
桑田佳祐ソロ名義の作品。DISC 5「♯19 桑田佳祐&SUPER MUSIC TIGERS 野外ライブ In 山中湖 」に収録。
SUPER SUMMER LIVE 2013 「灼熱のマンピー!! G★スポット解禁!!」 胸熱完全版
おいしい葡萄の旅ライブ –at DOME & 日本武道館-
LIVE TOUR 2019 “キミは見てくれが悪いんだから、アホ丸出しでマイクを握ってろ!!” だと!? ふざけるな!!
完全生産限定盤封入のボーナス・ディスクにボーナス・トラックとして収録。
茅ヶ崎ライブ2023
演奏は最終日のみ。
BOHBO No.5
殺しの接吻 〜Kiss Me Good-Bye〜
未収録
LONELY WOMAN
未収録
キラーストリート
FILM KILLER STREET (Director's Cut) & LIVE at TOKYO DOME
夢に消えたジュリア
未収録
限りなき永遠 ( とわ ) の愛
FILM KILLER STREET (Director's Cut) & LIVE at TOKYO DOME
ごめんよ僕が馬鹿だった
FILM KILLER STREET (Director's Cut) & LIVE at TOKYO DOME
真夏の大感謝祭 LIVE
八月の詩 ( セレナード )
未収録
DOLL
未収録
別離 ( わかれ )
FILM KILLER STREET (Director's Cut) & LIVE at TOKYO DOME
愛と欲望の日々
Mr.ブラック・ジャック 〜裸の王様〜
未収録
君こそスターだ
未収録
リボンの騎士
FILM KILLER STREET (Director's Cut) & LIVE at TOKYO DOME
愛と死の輪舞 ( ロンド )
FILM KILLER STREET (Director's Cut) & LIVE at TOKYO DOME
恋人は南風
未収録
恋するレスポール
FILM KILLER STREET (Director's Cut) & LIVE at TOKYO DOME
雨上がりにもう一度キスをして
The Track for the Japanese Typical Foods called “Karaage” & “Soba”〜キラーストリート (Reprise)
未収録
FRIENDS
ひき潮 〜Ebb Tide〜
脚注
注釈
^ ただし、桑田が言うには「レコーディング(もどき)」の映像であり、正式なレコーディング風景ではないことが示唆されている[ 20] 。
^ 放送時、サザンオールスターズが活動休止中であったため、桑田以外のサザンのメンバーは松田と原のみで、他の楽器演奏はサポートメンバーによって行われた。
^ 放送時、サザンオールスターズが活動休止中であったため、サザンのメンバーは桑田のみで、他の楽器演奏はサポートメンバーによって行われた。
^ この時は原のキーに合わせたものを桑田が裏声で歌った[ 21] 。
^ 2024年に使用[ 43] 。
^ この手法は後に「東京VICTORY 」(2014年)でも取り入れられた[ 47] 。
^ 歌詞の内容は、桑田が言うには1番は「歴史に名を残すであろうあの人の事? 」、2番は「○○公団 の天下り問題 」、3番 と4番 は「日本人として絶対に忘れてはならない、私が一番言いたかったこと」[ 49] 。
^ 原のソロアルバム『MOTHER 』収録曲。
^ 歌詞は「我は花嫁」「君に惚れ惚れ」といったもので内容が異なっている[ 21] 。
出典
参考文献
『キラーストリート』桑田佳祐セルフライナーノーツ(VICL-62001〜02)
sas-fan.net 内 桑田佳祐インタビュー[1]
CDでーた 2005年10月号
『葡萄』 初回生産限定盤A・B特典「葡萄白書」
関連項目
外部リンク
桑田佳祐 (ボーカル・ギター) | 原由子 (キーボード・ボーカル) | 関口和之 (ベース) | 松田弘 (ドラム) | 野沢秀行 (パーカッション) 元メンバー : 大森隆志 (リードギター) シングル
オリジナル
1970年代
1980年代
1990年代
90年 91年 92年 93年 95年 96年 97年 98年 99年
2000年代
2010年代
配信
アルバム
楽曲 企画作品 ライブ 出演 関連項目
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