『忠臣蔵外伝 四谷怪談』(ちゅうしんぐらがいでん よつやかいだん)は、1994年の日本映画。松竹誕生100周年記念作品で、複数の映画賞を受賞した。監督は深作欣二。主演は佐藤浩市。
解説
深作は1978年に忠臣蔵を題材にした映画『赤穂城断絶』を製作していたが、歌舞伎の『仮名手本忠臣蔵』が昼の部、『東海道四谷怪談』が夜の部で伊右衛門が赤穂浪士であるという繋がりのある設定を活かして映画化した。冒頭に松の廊下の刃傷シーン、中盤にお岩の毒殺と宅悦の殺害が描かれ、終盤に赤穂浪士の吉良邸討ち入りが描かれ、その前夜に自分の私欲によって、主君を裏切り身内を殺した伊右衛門と、主君への忠誠を誓った内蔵助ら赤穂浪士の対比が描かれ、自暴自棄となった伊右衛門が浪士に切り殺される展開へとなる。クライマックスでは幽霊となったお岩が劣勢の状態になっている浪士達を霊術によって手助けをし、浪士たちを助ける『救いの女神』として活躍していく。お岩をヒロインとして描写し、その事にちなんでテーマ曲にオルフの『カルミナ・ブラーナ』の「おお運命の女神よ」がオープニングに、「フォルトゥナのつれなきに」がエンディングに使用されている。
他の映像化作品では武家の子女として描かれているお岩が娼婦として登場すること、悪役の顔に白粉が施されていること、亡霊のお岩が超能力のような力で浪士を手助けをするといった特殊効果の演出が施されている。伊右衛門が赤穂浪士であるのに対して相手のお梅・伊藤喜兵衛・お槇が吉良一門と繋がりがある設定となっている。
『四十七人の刺客』が同じ年に上映されており、東宝・松竹の「忠臣蔵」競作も話題になった。宣伝においては、当時スキャンダルで名を馳せていた羽賀研二が起用され、「誠意大将軍」として四十七士の扮装で刀を振り回すというTVCMが放映された。
あらすじ
元禄14年、江戸城松の廊下で吉良上野介に刃傷を起こした赤穂藩藩主・浅野内匠頭は切腹、赤穂藩は取り潰しとなった。2カ月前に召し抱えられたばかりの民谷伊右衛門はこれがきっかけで再び浪人の身となった。ある日、伊右衛門はひょんな事から湯女宿の湯女であるお岩と知り合い、同居生活を始めることになった。最初は仲睦まじく暮らしていた2人だったが、伊右衛門は吉良家家臣・伊藤喜兵衛の孫娘・お梅に気に入られ、婿入り話がその父親から持ちかけられると、身重のお岩の存在を次第に疎ましく思うようになる。また、主君の仇討ちに一番乗り気だった同僚の高田郡兵衛が脱盟したため、伊右衛門自身の忠誠心も薄れていき、遂に伊右衛門は仇討ちをやめて婿入りし、お岩を手に亡き者にしようと企てる。しかし、その結末に待っていたものとは…。
出演者
スタッフ
受賞
- 第18回日本アカデミー賞
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- 第40回キネマ旬報賞
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- 第19回報知映画賞
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- 第7回日刊スポーツ映画大賞
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- 第37回ブルーリボン賞
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- 第16回ヨコハマ映画祭
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脚注
- ^ 大高宏雄『日本映画逆転のシナリオ』WAVE出版、2000年4月24日、210頁。ISBN 978-4-87290-073-6。https://books.google.co.jp/books?id=JKFtAAAACAAJ&redir_esc=y&hl=ja。
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