『劇場版 獣電戦隊キョウリュウジャー ガブリンチョ・オブ・ミュージック』(げきじょうばん じゅうでんせんたいキョウリュウジャー ガブリンチョ オブ ミュージック)は、2013年8月3日より東映系で公開された特撮テレビドラマスーパー戦隊シリーズの『獣電戦隊キョウリュウジャー』の劇場版作品。『劇場版 仮面ライダーウィザード in Magic Land』と同時上映。
本作品では『キョウリュウジャー』のダンスや音楽要素を最大限に発揮するため、スーパー戦隊シリーズとしては初のミュージカル映画に仕立てられた[2][3][4]。
冒頭のコンサートシーンは東京ドームシティアトラクションズのシアターGロッソ[5]で一般公募のエキストラ600人を動員して撮影された[2][6][注釈 1]。また、福井県勝山市の『福井県立恐竜博物館』が撮影ロケ地として使われた[7]。
この他Jリーグから、ベガルタ仙台、鹿島アントラーズ、柏レイソル、FC東京、横浜F・マリノス、湘南ベルマーレ、セレッソ大阪の7クラブとコラボレーションも行っており、エンディングのダンスシーンに各チームの選手が出演している[8]。これら7クラブは、クラブカラーがキョウリュウジャー各メンバーと概ね一致している[注釈 2]。
全国303スクリーンで公開され、2013年8月3日、4日の初日2日間で興収2億5,180万750円 動員21万5,560人になり映画観客動員ランキング(興行通信社調べ)で初登場第5位となった[9]。また、ぴあ初日満足度ランキングでは第2位となっている。
テレビシリーズとの明確な時間関係は設定されていないが[10]、テレビシリーズの第29話では本作品の映像や音楽が一部使用されている他、第39話は本作品を踏まえたエピソードとして制作されるなど、テレビシリーズに組み込まれたつくりになっている。
合成を担当する日本映像クリエイティブは、『劇場版 百獣戦隊ガオレンジャー 火の山、吼える』以降の劇場作品で初めて単独で合成を手掛けた[11][注釈 3]。例年はテレビシリーズと併行しているため10から20のカットが外注に出されていたが、本作品では合成カットが少なめであったことから実現した[11]。
ミュージカル要素は監督の坂本浩一からの提案によるもので、坂本は企画時に例として映画『ストリート・オブ・ファイヤー』[4]や『超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか』などを挙げている[2][12]。企画時には『恐竜戦隊ジュウレンジャー』や『爆竜戦隊アバレンジャー』を登場させる案もあった[13]が、30分では収まらなくなることから次作『獣電戦隊キョウリュウジャーVSゴーバスターズ 恐竜大決戦! さらば永遠の友よ』へ持ち越された[14][15]。また企画段階では、仮面ライダーシリーズの放送開始時期が変更されることから、戦隊単独での興業も構想されていた[16]。
主要なゲスト出演者はいずれも坂本の要望により起用された[2]。デスリュウジャー役の宮野真守やアーシー役の佃井皆美は過去に坂本の監督作品に出演した縁から選ばれている[2]。
億千年の時を越えて復活した機械の体を持つ恐竜・獣電竜に認められた6人の勇者・獣電戦隊キョウリュウジャーは、今日も敵であるデーボス軍とブレイブに戦っていた。見事デーボス軍を撃退し、襲われていた超人気アイドル・Meekoを守りぬいたキョウリュウレッド / 桐生ダイゴはMeekoを見て驚く。ダイゴとMeekoは以前フランスで出会っていたからだ。
そんな時、デーボス軍の幹部・太古の戦騎デスリュウジャーが現れる。デスリュウジャーは自らを「D」と名乗る。立ち向かうキョウリュウジャーだったが、デスリュウジャーの圧倒的な強さに敗れ、Meekoを連れ去られてしまった。どうやらMeekoの歌には「D」が狙う伝説の獣電竜を目覚めさせる力があるようだ。ダイゴはMeekoを救うため、仲間と共に「D」の待つ彼の地へ向かうのだった。
以下、劇場版が初出の登場人物について詳述する。テレビシリーズでの扱いについては当該項目を参照。
振付はパパイヤ鈴木が担当[7]。
劇中、獣電竜に力を与える歌として登場。通常バージョンと古代バージョンの2種類が制作されている。カット割の段階から劇中歌に合わせたかったため、先行して制作されている[44]。
発注時の坂本のリクエストにより、『百獣戦隊ガオレンジャー』の劇中歌「響の調べ」[注釈 14](歌 - テトム(岳美))が意識されている[45]。
「Dino Soul」は、坂本にとって思い出深い曲となり、ドラマ『モブサイコ100』の撮影現場で坂本が「Dino Soul」を口笛で吹いていたら、同現場にいた塩野瑛久が歌い始めたというエピソードも明かしている[45]。
歌い手はMeeko(CV - 中村静香)となっているが、劇中ではキョウリュウジャーの6人も一部のパートを担当している。なお、「Dino Soul(古代Ver.)」はテレビシリーズ第29話[注釈 15]と第39話にて、「Dino Soul」はテレビシリーズ第39話にて使用されている。