熊本 - 人吉間運行時のデータ |
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![快速「SL人吉」(2009年6月)](//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/3/36/SL_hitoyoshi_09sum.jpg/300px-SL_hitoyoshi_09sum.jpg) 快速「SL人吉」(2009年6月) |
路線 |
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起点 |
熊本駅 |
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終点 |
人吉駅 |
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営業距離 |
87.5 km (54.4 mi) |
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運行間隔 |
1往復 |
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使用路線 |
鹿児島本線・肥薩線 |
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技術 |
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車両 |
50系客車 8620形蒸気機関車 (熊本車両センター) |
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軌間 |
1,067 mm |
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電化 |
交流20,000 V・60 Hz(熊本 - 八代間)[注 2] |
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備考 |
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2020年まで。2021年以降との主な違いのみを記述。 |
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SL人吉(SLひとよし)は、かつて九州旅客鉄道(JR九州)が熊本駅 - 人吉駅間を鹿児島本線・肥薩線経由(2009年 - 2020年)、熊本駅 - 鳥栖駅間[注 3]を鹿児島本線経由(2021年 - 2024年)で運行していた、蒸気機関車 (SL) 牽引による臨時快速列車である。
沿革
矢岳駅前の「人吉市SL展示館」で静態保存されていた58654号機(8620形)は、1988年(昭和63年)に動態復元され、同年8月28日に熊本 - 宮地間運行の快速「SLあそBOY」として営業運転を開始した。合わせて、人吉市に保存されていた縁から、同10月9日からは年間数日程度、熊本 - 人吉間の「SL人吉号」として運行された。SL・客車は「SLあそBOY」と共用する形で同じ編成が使用された。
2005年(平成17年)3月の試運転中に、58654号機が車両故障を起こし修復不能と判断されたことから、この年の当初の運行予定日のうち、SLでの運行日は大幅に絞られたうえで、本来の運行日でSLの運用が不可能な日は、DE10形ディーゼル機関車が「SLあそBOY」用客車を牽引する「ディーゼル人吉号」として運行された[注 4]。8月21日をもって58654号機による「SL人吉号」は運行終了となった[注 5]。
その後、58654号機は小倉工場で修復され、肥薩線が開業100周年を迎える2009年(平成21年)4月25日からは、熊本 - 人吉間で58654号機とリニューアルした客車による列車が運行開始された。愛称名は旧来の愛称名から「号」を省いた「SL人吉」とされた[注 6]。
2020年(令和2年)7月に発生した令和2年7月豪雨の影響で八代 - 人吉間の運行が当面の間不可能となった[2]ことで、翌2021年(令和3年)からは列車名は「SL人吉」のまま、運行区間を鹿児島本線熊本 - 鳥栖間に改められて運行された[3]。
機関車の老朽化、部品調達や技術者の確保が難しくなっていることを理由に、2024年(令和6年)3月24日[注 1]で運行を終了し、58654号機の登場から101年の歴史に幕を閉じた[4][5]。
運行終了にあたり、人吉市はJR九州に「SL人吉」の人吉市での保存および展示を要望していたが、営業列車としての運行を終えた翌日の2024年3月24日に、58654号機が人吉市に無償譲渡される方針が伝えられた[6][7]。
年表
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「SL人吉号」用客車(リニューアル前)
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客車の車内(リニューアル前)
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客車の車内(リニューアル後)
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SL文庫(リニューアル後)
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ショーケース(リニューアル後)
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展望ラウンジ(リニューアル後)
運行概況
熊本 - 人吉間を運行していた2009年から2020年までは、概ね3月から11月までの金・土・日曜日・祝日および夏休み期間中に、1日1往復運行されていた。午前中に熊本駅を出発して昼間に人吉駅に到着し、午後に人吉駅を出発して夕方に熊本駅に到着するダイヤとなっていた。全車座席指定席で、乗車には乗車券のほか座席指定券が必要であった。指定席料金は840円(小児半額)[注 9]であった。
2021年(令和3年)5月1日より、「肥薩線沿線応援企画第2弾」と題し、鹿児島本線熊本 - 鳥栖間にて、58654号機とDE10形ディーゼル機関車による「SL人吉」が、土・日曜日・祝日および夏休み期間を基本として1日1往復運行されていた。全車座席指定席で、指定席料金は1,680円(小児半額)であった[3]。
SL+客車3両+DLの合計5両編成。鳥栖駅に転車台がないため、上り熊本発鳥栖行き列車はSLが牽引し、下り鳥栖発熊本行き列車はDLが牽引していた[3]。なお、同編成が鹿児島本線の熊本以北を運行するのは、2020年(令和2年)11月1日から12月27日にかけて、熊本発博多行きで運行された臨時列車「SL鬼滅の刃」以来、約5か月ぶりのことであった[11][12][13]。
2024年3月23日のラストランでは博多駅まで運行され上り熊本発博多行き列車はDLが牽引し、下り博多発熊本行き列車はSLが牽引した[16]。翌24日に招待客向けとして熊本発八代行き列車を運転し、SLが牽引した[16]。
停車駅
- 熊本 - 人吉間運行時代の停車駅(2009年から2020年まで)
※ 2005年まで運行されていた「SL人吉号」「ディーゼル人吉号」は上記の駅のほか川尻駅、宇土駅、松橋駅、有佐駅、瀬戸石駅にも停車していた。
- 熊本 - 鳥栖間運行時代の停車駅(2021年5月1日から)[注 10]
使用車両
58654号機牽引の「SL人吉」(2009年6月)
「SL人吉」に使用される50系客車(2009年4月29日、熊本駅)
SL・客車とも熊本鉄道事業部熊本車両センターに所属する。
牽引機関車
58654号機を使用する。
客車
50系客車700番台3両を使用する。編成内容は以下のとおり。熊本方が1号車[注 11]。
- 1号車 - オハフ50 701
- 2号車 - オハ50 701
- 3号車 - オハフ50 702
1号車の熊本方と3号車の鳥栖方[注 11]に展望ラウンジを、2号車にはビュッフェを備える。
「SL人吉」での運用にあたり、水戸岡鋭治のデザインによるリニューアル工事が実施されている。車体は地色が黒色一色となり、各種のロゴが入れられているほか、両端の先頭車の前面下部に窓が新設され、展望ラウンジの視界が拡大されている。車内は客室中央部にショーケースが設置され、床がフローリングとなり、座席の表地が張り替えられ、一部の座席は表地が本革となった。
58654号機が検査入場中に、客車をDE10形牽引による団体列車等に宛てられることがあった。これまでは、回送を含めて通常では走行しない、鹿児島本線の陣原 - 門司間の貨物線や、筑豊本線などを走行したことがあった。
脚注
注釈
- ^ a b 営業運転では同年3月23日が最終運行日。
- ^ a b ただし、蒸気機関車牽引のため電気動力不使用。
- ^ 起終点の向きは公式サイトの表記に従っている[1]。
- ^ 「SLあそBOY」の代替列車「ディーゼルあそBOY」も同様の形で運行された。
- ^ 「SLあそBOY」の運行終了は8月28日であった。
- ^ 雑誌等で旧来通りの「SL人吉号」と表記しているものもあるが、これは誤記である。
- ^ 八代 - 人吉間の復旧見通しが立たないまま、2023年に運行終了が発表された[5]ため、これをもって熊本 - 人吉間での運行は終了。
- ^ 運転日は概ね土・日曜日・祝日および夏休み期間を基本とする。
- ^ 2014年3月31日までは800円、2014年4月1日から2019年9月30日までは820円(いずれも小児半額)。
- ^ 最終運行日である2024年3月23日のみ熊本 - 博多間で運行された(停車駅は同じ。鳥栖 - 博多間は無停車)[16]。
- ^ a b 2020年までの熊本 - 人吉間運行時代は、1号車が人吉方、3号車が熊本方であった。
出典
関連項目
外部リンク