『隠密奉行 朝比奈』(おんみつぶぎょうあさひな)は、フジテレビ系にて1998年6月17日から9月2日、1999年6月30日から10月20日にかけて毎週水曜日20:00 - 20:54に放送されたフジテレビ、東映制作の時代劇シリーズ。萬屋錦之介主演の『日本犯科帳・隠密奉行』の設定をもとにして制作された。
概要
1981年から1982年にかけて全3作が放送された萬屋錦之介主演の『日本犯科帳・隠密奉行』の設定をもとにして制作された。同作で原案・脚本を担当した池田一朗が、小説家としてのペンネーム「隆慶一郎」の名義で原案にクレジットされている。
毎回、舞台となる地域に「実際に」出向いてロケ撮影を行っているのが最大の特徴である。そのため、太秦映画村のオープンセットや京都周辺各地の定番の場所でのものとは一味違うものとなっている。
キャスト
- 大目付。豪快かつ人情深い性格。将軍・老中に代わって諸大名を監察する役目ゆえ、老中・土屋相模守より諸藩で謀反の気配ありと知らされると、その身分を隠し、着流し姿で自ら探索に赴く。オープニングナレーションでは、その権限は大きく、その判断が藩の取り潰しに及ぶことがしばしばである旨が語られるが、作中、実際に藩の取り潰しにまで及んだことはなく、大抵は出世や私腹を肥やすために悪事を働いた家老等を斬り捨てた後に「何事もなかった」と藩自体に咎が及ばないように取り計らうことで幕引きをする。趣味は絵を描くことで、役宅の庭先や旅先でしばしば絵筆を走らせている。思案する時などに耳を触る癖がある。探索中は主に旅の素浪人と称し「朝日林太郎」という偽名を使う。なお「隠密奉行」という呼称は、元々は諸藩からそう呼ばれ恐れられていたものであり、クライマックスで「公儀大目付・朝比奈河内守正清。俗に呼ばれて隠密奉行」と名乗るシーンがある。
- 正清の妻。明るくミーハーな性格で、各地の名産品を記した「諸国名産案内」という冊子を所持しており、正清が探索の旅に出るたびにお土産をねだるので、正清に「物見遊山に行くのではないぞ」と窘められるが、本当は無事に帰還してくれることが最大のお土産ということは心得ており、安全祈願のお守りを持たせてあげるなど夫婦仲は良好である。正清から旅の行き先を口止めされることも多いが、真鍋に乗せられうっかりしゃべってしまったりするように、少々そそっかしいところがある。
- 御小人目付(おこびとめつけ)。りんと共に本作のコメディリリーフ役。渡辺から特別に与えられた任務として極秘に探索に出かけた朝比奈の後を追い、動向を探るよう命じられている。朝比奈の行き先を知るため、家の用事を手伝ったり等、りんのご機嫌を取りながらなんとか聞き出そうとする。そして町人に変装したりしつつ、枕探し等散々な目に遭いながら、やっとの思いで朝比奈を見つけると今度は朝比奈に探索を命じられたりと、元来の人の好さゆえに何かと損な役回りが多い。城内では詰碁をしていたり春画を読み耽っていたりと勤務態度は不真面目であるが、正義感が強いためか朝比奈に命じられた探索においてはまずまずの働きを見せる。また、第2シリーズ7話で見合いの話が出るが、その後については特に触れられていない。なお、クレジットは朝比奈・りんに次ぐ三番目であるが、物語の構成上、朝比奈の次に出番が多く実質的な準主役である。
- 目付筆頭。真鍋の上司にあたる。朝比奈が「隠密奉行」として極秘裏に探索の旅に出ることを「公儀には隠密奉行などという役職はない」「目付筆頭の自分が知らないことがあってはならない」と快く思っておらず、真鍋に朝比奈の後を追い、その動向を詳細に報告するよう命じる。しかし、真鍋が(朝比奈から探索先でのことを口止めされているため)毎回、紙一枚程度の簡単な報告書しか出さないため、業を煮やして自ら朝比奈の後を追うこともあったが、あっという間に巻かれてしまい、真鍋に「あれじゃ出世は無理」と呆れられた。
- 老中。諸藩に不穏な気配があると朝比奈に「隠密奉行」として探索に向かわせる。探索先でその藩の浮沈に関わる事実が判明した場合は、隠密奉行として悪の根を断つも、大目付として将軍に進言するも「すべて(朝比奈の裁量に)任せる」と、全幅の信頼を寄せているとも、単に丸投げしてるだけとも取れる態度をとる。このように食えない人物であるが、賄賂の類は一切受け取らないという清廉さも持ち合わせている。
ゲスト出演者
第1シリーズ
- 第1話
- 第2話
- 第3話
- 第4話
- 第5話
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- 第6話
- 第7話
- 第8話
- 第9話
- 第10話
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第2シリーズ
- 第1話
- 第2話
- 第3話
- 第4話
- 第5話
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- 第6話
- 第7話
- 第8話
- 第9話
- 第10話
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スタッフ
第1シリーズ
- ナレーター:能村太郎
- 企画:西渕憲司、加藤貢
- プロデューサー:河合徹、上阪久和、小嶋雄嗣、塚田英明
- 原案:隆慶一郎
- 脚本:大野靖子(第1話、第7話)、中村勝行(第2話)、ちゃき克彰(第3話、第5話)、志村正浩(第4話)、渡辺善則(第6話)、中村努(第8話)、金子成人(第9話)
- 音楽:渡辺俊幸
- 撮影:木村誠司、北坂清、津田宗幸
- 美術:倉橋利韶、内藤昭
- 照明:増田悦章、伊藤昭、釜田一
- 録音:堀池美夫、田中峯生、芝氏章、中川清、堀池美夫
- 編集:三宅弘、荒木健夫、矢島稔之
- 助監督:長岡鉦司、西垣吉春、南光、藤原敏之
- 記録:谷慶子、平林美夏、中野保子
- 整音:栗山日出登
- 装置:太田正二、野尻裕
- 装飾:渡辺源三、籠尾和人
- 背景:西村三郎
- 小道具:高津商会
- 衣装:森護
- 演技事務:西嶋勇倫
- かつら:山崎かつら
- 美粧・結髪:東和美粧
- 舞踊振付:藤間勘吾(第1話、第3話、第10話)
- 能楽:掛川昭二(第5話)
- 方言指導:紅かおる(第7話)
- 和楽監修:中本哲
- スチール:高瀬和三郎
- VTR編集:高見正和
- 選曲:桜田佳美
- 擬斗:菅原俊夫(東映剣会)
- 広報担当:野村正義(フジテレビ)
- 進行主任:山本吉應、清水光作
- 鹿児島ロケ協力:鹿児島県山川町役場観光課、長崎鼻観光土産品店組合、長崎鼻観光会館、にしき屋、指宿海上ホテル(第1話)
- 山口ロケ協力:萩市、(社)萩市観光協会、秋芳洞、大照院、千春楽 城山(第2話)
- 山形ロケ協力:上山市商工観光課、上山市教育委員会、上山市観光協会、(財)上山城管理公社、旧尾形家住宅、上山温泉 日本の宿 古窯(第3話)
- 福島ロケ協力:棚倉町観光協会、八槻楽人会、八槻御田植祭保存会(第5話)
- 福井ロケ協力:丸岡町、三国町(第6話)
- 島根ロケ協力:出雲大社、松江市観光文化課、松江城、ホテル一畑(第7話)
- 熊本ロケ協力:(社)熊本観光連盟、熊本市教育委員会文化課、熊本市熊本城管理事務所、阿蘇町商工観光課、高森町商工観光課、阿蘇町阿蘇山上事務所、ホテル角萬(第10話)
- 協力:世界文化遺産 国宝 元離宮 二条城(第5話)、国宝 松本城(第4話)、世界文化遺産 国宝 姫路城、国宝 彦根城(第1話、第3話~第6話、第10話)、琵琶製作指導 大笹屋(第1話)、御室 仁和寺(第6話、第7話)、京都 大覚寺(第4話、第5話、第7話~第9話)、東映太秦映画村、東映俳優養成所
- 現像:IMAGICA Lab.のロゴ
- 監督:齋藤光正(第1話、第7話、第8話、第10話)、杉村六郎(第2話、第4話)、蔵原惟繕(第3話、第5話)、上杉尚祺(第6話、第9話)
- 制作:フジテレビ、東映
第2シリーズ
サブタイトルリスト
第1シリーズ
- 桜島に消えた割符
- 萩焼きの女 秋吉台の決闘
- 山形蔵王 世継ぎをさがせ
- 信濃路逃避行 狙われた姫君
- 奥州棚倉 姫様の財政改革
- 越前竹人形の秘密
- 出雲松江 灼熱地獄タタラ
- 京の罠 逃げ出した花嫁
- 近江路 遺書を運ぶ女
- 阿蘇山の死闘 清正公の秘宝(90分スペシャル)
第2シリーズ
- 南国土佐 よみがえる海賊船
- 讃岐丸亀 女のいない町
- 備前岡山でもらった恋文
- 復讐の紋様 唐津絵皿は語る
- 伊予松山 姫さまと無理心中
- 逃げる女 鳥取砂丘の決闘
- 姫路城 吉原から来た側室
- 奈良 金魚になった少女
- 長崎平戸 森に潜む魔人
- 朝比奈暗殺計画
外部リンク