『蒼藍の誓い ブルーオース』(そうらんのちかい ブルーオース、英語:Blue Oath / 簡体字中文:苍蓝誓约)は、中華人民共和国に本社を置く北京巴別時代科技股份有限公司(Babeltime)が開発し、2019年7月16日に同国内でリリースしたスマートフォン/PC用アクションRPG[1]。中華圏での主な略称は艦S(簡体字:舰S)[注 1]。
日本では香港に本社を置くZephyrus Gamesの運営により、2020年4月7日にリリースされた[5]。
概要
2013年にサービスを開始した日本のブラウザゲーム『艦隊これくしょん -艦これ-』のヒットに端を発し、中華圏で数多く企画・作成された艦船擬人化を題材とするゲームの1作。中国製で日本に進出した艦船擬人化ゲームとしては、6タイトル目となる[7]。
中国製のいわゆる「日式遊戯」ではサービス対象地域に関わらず日本の声優をキャスティングして日本語で音声を収録するのが通例になっており、本作でもその例に漏れず大勢の声優が出演している。同時にスタッフ面でも「日式」カラーを強く打ち出しているのが特徴で、ゲーム内のBGMでは藤澤慶昌を始め日本のアニメで劇伴を手掛けている複数の作曲家が参加しており[8]、キャラクターデザインでも呉マサヒロやTonyら日本の原画家をスタート当初から起用している[9]。
登場キャラクターの造形には3Dモデリングが使用されており[2]、ゲームジャンルは「3D戦姫リアルタイム海戦RPG」とされている。動作環境ではスマートフォン(iOS/Android)のみならず、PC(Windows 7以上)を公式に含めている[10]。
2022年10月26日には世界観を同じくする放置ゲーム「誓約少女 〜祝砲の元に集いし戦姫たち〜」がリリースされた。
リリース
中国大陸では2018年に「誓约之海」の仮題で製作が発表された後、同年秋から翌年春にかけて断続的にβテストを実施し、2019年7月16日に開発元のBabeltime直営で正式リリースされた[1]。
日本版は翌2020年2月に公式サイトとTwitterアカウントが開設され、2月27日からの事前登録を経て4月7日より正式サービスを開始[5]。日本版独自のβテストは開催されなかったが、リリース初週からApp Store・Google Playの両ランキングでデイリー30位以内に入り、20万ダウンロードを突破した[11]。
また、台湾・香港・マカオをサービス範囲とする繁体字中文版が香港商熊猫遊戯(Panda Games)の運営で同年6月24日にリリースされたが、同年12月31日を以て終了した。中国大陸版は2022年3月10日を以てサービス終了[4]、最後に残った日本版も2023年8月31日15時をもってサービスを終了した[6]。
世界観
ブルースフィアと呼ばれる世界で繰り広げられた戦争が終わり、その傷が癒えない中で犠牲者たちの思念は「オースエネルギー」と呼ばれる未知のパワーとなって海に集積した。やがて、このエネルギーを開発・運用する技術が確立され「戦姫」たちが誕生する。
そして時は流れ、遠く離れたアンブラ星からの侵略者・ムーバーがブルースフィアの海に蓄積されたオースエネルギーに目を付け、世界の各地に開いた一方通行の「ゲート」を経由して侵略を開始する。ブルースフィアの人々は突如として出現した侵略者によるオースエネルギー簒奪に為す術もなく辛酸を舐め続けたが、やがて通常のゲートとは異なり2つの世界を往来する「ソロモンゲート」が開くタイミングを狙い、戦姫たちが反撃する作戦が立案される。
こうして、ブルースフィアの運命は戦姫と彼女らを率いる指揮官の手に委ねられたのであった。
ゲームシステム
PCクライアントを起動する場合、タイトル画面でQRコードを表示してスマートフォン(iOS/Android)上のアプリで読み取る必要がある。また、課金アイテムの購入はスマートフォン上からのみ対応。
戦闘
3Dレンダリング形式を使用しており[5]、最大6隻までの出撃が可能。前衛・後衛による配置艦種の制約はない。
敵艦との距離順に近距離(駆逐艦の艦砲射程)・中距離(魚雷攻撃および、巡洋艦の艦砲射程)・遠距離(戦艦の艦砲射程)・特殊距離(空母の艦載機のみ攻撃可能)の4段階があり、特殊距離以外は緑色の円で射程範囲が表示される。
開始時点で敵艦の配置が不明な索敵マップの場合、艦隊に空母が編成されていると索敵機を飛ばして敵艦の配置を特定するモードに切り替わる。敵艦にも空母が含まれている場合は艦載機同士で制空権を争い、その結果によって決まる制空権の割合で艦載機攻撃の与・被ダメージが変化する。
基地
各種の補給や回復を行う施設。
登場艦船・キャスト
キャストは原則として中国大陸版・日本版とも共通だが、寧海級のみ中国大陸版では中国語(普通話)音声のローカルキャストを起用している[12]。
戦姫
第二次世界大戦当時の艦船を基にした擬人化キャラクター。図鑑などでは架空の陣営名が設定されているが、ストーリー上で重要な意味は持っておらず自己紹介などでは実在の国名を挙げている。
桐桜
- 桐桜(とうおう)、中国大陸版の名称は「樱落」。大日本帝国海軍が基になっている[注 2]。
ソサエティ
- ソサエティ(Society)、中国大陸版の名称は「合众」。アメリカ海軍が基になっている。
インペリアル
- インペリアル(Imperial)、中国大陸版の名称は「狮心」。イギリス海軍が基になっている。
琥珀
- 琥珀(こはく、Amber)、中国大陸版の名称は「来茵」。ドイツ海軍が基になっている。
リリウム
- リリウム(Lilium)、中国大陸版の名称は「塞纳」。フランス海軍が基になっている。
キューリア
- キューリア(Curia)、中国大陸版の名称は「教廷」。イタリア海軍が基になっている。
ノースライン
- ノースライン(North Line)、中国大陸版の名称は「北境」。ソ連海軍が基になっている。
青龍
- 青龍(せいりゅう)、中国大陸版の名称は「神州」。大戦期の中華民国海軍が基になっており、日本版と中国大陸版でキャストが異なっている[12]。
艦種 |
艦級 |
艦名 |
声優 |
備考
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軽巡洋艦 |
寧海級 |
寧海 |
ふじたまみ |
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平海 |
成海瑠奈 |
|
アナトリア
- アナトリア(Anatolia)、中国大陸版の名称は「安纳托利亚」。トルコ海軍が基になっている。
コラボレーション
以下は他作品を初出とするコラボレーションイベントのキャラクターである。
フェニー
ブルースフィア側の戦姫とムーバー側の戦鬼のどちらにも属さない赤の戦禽(せんき)と呼ばれる存在。第1部のストーリーパートをクリア後に期間非限定の探索で入手可能[注 7]。
艦種 |
艦級 |
艦名 |
声優 |
備考
|
軽巡洋艦 |
- |
赤 |
浅倉杏美 |
|
ムーバー
ブルースフィアに存在するオースエネルギーを略奪するため、アンブラ星から「ゲート」を通じて出現した侵略者たち。幹部以上の高い知能を戦闘力を持つ個体は、ブルースフィア側の戦姫との対比で戦鬼(せんき)と呼ばれる。太字はプレイアブル追加。
艦種 |
艦名 |
ムーバー名 |
声優 |
備考
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戦艦 |
ミュー(アンノウンΜ) |
武蔵 |
咲谷怜奈 |
|
空母 |
ゼータ(アンノウンΖ) |
瑞鶴 |
大森日雅 |
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巡洋戦艦 |
イータ(アンノウンΗ) |
フッド |
高野麻里佳 |
|
軽巡洋艦 |
オミクロン(アンノウンΟ) |
オークランド |
浅倉杏美 |
非プレイアブル
|
駆逐艦 |
ラムダ(アンノウンΛ) |
ラフィー |
村上奈津実 |
|
不明 |
(アンノウンΓ) |
モーリエ |
- |
非プレイアブル
|
用語
- オースエネルギー
- ブルースフィアの特定海域で採取可能な未知のエネルギー源。このエネルギーの採取・加工および活用技術が確立されたことにより、ブルースフィアの科学力は急速な発展を遂げたがムーバーの侵略により各地の採掘プラントが占領され、危機に瀕している。
- 戦姫(せんき)
- オースエネルギーを動力源とする人造人間のような存在で、艤装を身に着けた戦闘形態では通常の人間よりも高い身体能力を発揮する。艤装の形態はかつてブルースフィア全土で繰り広げられた大戦で海を駆け巡った艦船が基になっている。ムーバーの侵略が開始されて以降は、各陣営が団結する形でオースエネルギー採掘プラントの護衛とムーバーの侵攻拠点になっている「ゲート」の位置を特定し、迎撃するのが主な任務。
- ゲート
- ブルースフィアと遥かに遠く離れたアンブラ星を繋ぐワープルートの出入口で、ムーバーは何らかの方法によりゲートを開閉して侵攻拠点としている。開閉には一定の法則性があると考えられているが、南太平洋上のソロモン基地付近で常設的に開かれたままの「ソロモンゲート」が発見されたことにより、戦局に変化が生じ始める。
ブルースフィアの基地
- パールベイ基地
- 主人公たちが所属する北太平洋上の基地。当初は暫定拠点として運用されていたため他の基地に比べると設備が貧弱で予算も少ないため、管理責任者の朝日はいつも司令部への愚痴をこぼしている。
- 横津加基地
- 太平洋西部および、ソロモン基地の陥落後にインド洋を管轄に加えた大規模基地。赤城と加賀の一航戦コンビらが所属している。
- サンディアブロ基地
- 太平洋東部を管轄する大規模基地。ポートランドが移籍前に所属していた。
- ソロモン基地
- ストーリーの冒頭でムーバーの襲撃を受けて陥落した基地で、南太平洋とインド洋を管轄していた。陥落後はムーバーの攻撃拠点として運用されており、付近に常時開放されたままアンブラ星と接続されている「ソロモンゲート」が存在する。
- カイル基地
- ヨーロッパ北西部を管轄する基地。多国籍の寄り合い所帯で明確な指揮系統が確立させておらず、アドミラル・ヒッパーが管理責任者を代行している。
楽曲
日本版のスタート前から、開発元のBabeltimeによりYouTubeやiTunes Store他のサイトでサウンドトラック『蒼藍誓約-出征原声集』が配信されている[14]。
- テーマ曲『紺碧の誓い』
- 作曲:藤澤慶昌
宣伝活動
日本版リリース直後の2020年4月11日にニコニコ生放送とYouTubeで実施したのを始め、不定期に公式番組の配信を行っている。
配信年 |
月日 |
MC |
ゲスト
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2020年 |
4月11日[15] |
マフィア梶田 |
本渡楓、森永千才、しょーとく
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4月24日 |
一ノ瀬翠 |
戸田めぐみ、大森日雅、大田奈々美(広報)
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5月23日 |
マフィア梶田 |
浅倉杏美、小清水亜美、しょーとく
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8月22日 |
浅倉杏美、高野麻里佳
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2021年 |
3月20日 |
喜多村英梨、古賀葵、諏訪彩花
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注釈、出典
脚注
- ^ 「誓約」のピンイン"shiyue"から。
- ^ 中国大陸版では同ジャンルの他のゲームの大半に倣い、この陣営の艦船は変名(河蟹)とされている。
- ^ ストーリー上は開始当初からNPCとして登場していた。
- ^ ゲーム内の分類による。通常は大型巡洋艦に分類され、作中でも「大型巡洋艦」を自称している。
- ^ ゲーム内の分類による。通常は護衛駆逐艦に分類される。
- ^ 登場時に「妹の名前を受け継いだ」と述べているため1940年にパッセロ岬沖海戦で戦没した初代ではなく「カミチア・ネーラ」から改称し、戦後にソ連海軍へ引き渡されて「ロヴキイ」となった2代目の方が該当する。
- ^ 赤が1回当たると探索は自動的に終了し、探索のラインナップから削除される。
出典
外部リンク
日本国外版