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猿払村(さるふつむら)は、北海道宗谷管内北部に位置する村。オホーツク海に面する日本最北の村である[1]。
村としては北海道で一番広く、総面積の約4割が山林となっている[1]。また、日本有数の天然ほたて貝の水揚地でもある[1]。
アイヌ語の「サㇽプッ (sar-put)」(葦原の・河口)から。もともとは現在の浜猿払地区付近の川口を指した地名であったが、大地名化し後に村名や河川名となったものである[2]。
宗谷管内のオホーツク海側に位置する。東部はオホーツク海に接する海岸が続き、国道238号が南北に縦貫する。西部は丘陵・山岳地帯。村総面積の8割が森林。
奈良県十津川村に次いで日本で2番目に面積の大きい村であり、北海道の村の中では最大、北方領土を含めた場合でも5番目に大きな村となっている。
村の最北端は知来別である。
春は3月中旬ごろから北西の冷たく厳しい吹雪の日が少なくなり、4月には融雪が一気に進み平野部では雪が消える。5月から6月にかけては天候が安定して乾燥する。夏は7月から8月にかけ太平洋高気圧の圏内に入り気温が上がり、30℃近くまで上がることもある。しかし、オホーツク海高気圧が強まり長期間にわたって低温の湿潤な天候が続く年もある。秋は9月中旬ごろから朝夕は急激に涼しくなり山間部では紅葉が始まる。雷が発生し降水量が最も多い時期でもある。10月下旬から11月上旬にかけて初雪が観測される年がある。冬は12月末から2月ごろは猛吹雪が発生する。2月から3月にかけて流氷が接岸すると冷え込みが強くなり、-20℃を下回る日もある[3]。
浜鬼志別にあるアメダスは1978年10月に統計を開始した。最高気温の極値は2000年7月31日の32.7℃、最低気温の極値は1986年2月4日の-27.2℃。平年値で冬日の年間日数は159.8日、真冬日84.7日。夏日13.7日、真夏日0.6日。猛暑日や熱帯夜を観測したことはない。
降水量は7月から11月にかけて多く、10月から2月にかけて雪または雨の降る日が多い。平年値で年間降雪量780 cm、年間の最深積雪(1983年10月統計開始)は75 cm。最深積雪の極値は1998年2月5日の118 cm。日照時間(1987年10月統計開始)は11月から1月にかけて少なくなる。最大風速の極値は2007年1月7日の24 m/s(風向:北)、最大瞬間風速の極値(2008年9月統計開始)は2021年2月16日の33.4 m/s(風向:西南西)。
特記なき場合『村勢要覧資料編2019』による[10]。
2000年9月5日に「北海道市町村合併推進要綱」が策定された。この中で「猿払村・浜頓別町・中頓別町」の合併パターンが示された。
2003年12月1日に稚内市・豊富町との間で「宗谷北部3市町村任意合併協議会」(後の「宗谷北部地域任意合併協議会」、2004年3月13日に礼文町が加入)を設置したが、2004年4月23日に離脱。
2004年4月25日に浜頓別町・中頓別町の法定協議会に加入し、2004年6月に行われた3町村合併に関する住民アンケート(世帯対象)では「積極的に進める」30%、「どちらかといえば進める」38.5%、「どちらかといえば必要ない」9.2%、「必要ない」8.1%、「わからない」13.4%という結果となった。しかし、2004年11月8日に合併協議からの離脱を表明し、2004年11月12日に協議会離脱案を可決。その後、2005年2月28日に協議会が解散。
2006年7月31日に「北海道市町村合併推進構想」が策定された。この中で、構想対象市町村の組み合わせとして「稚内市・猿払村・豊富町」が示された。
漁業と酪農が盛ん。特にホタテの漁獲量は日本一である。古くからホタテの好漁場であり、明治時代にも香港に輸出されるなどしたが、濫獲により資源が消滅。戦後まもなくは天北炭田の採炭と林業によって栄えたが、これが衰退すると村は疲弊、一部の権力者による密漁が横行し、道内管区から目を付けられる事態であった。そこで村の興亡を賭けて、元来の産業であったホタテ漁の再興に取り組み、これが軌道に乗り、加工業も盛んになった。現在も稚貝の放流、害敵の駆除など、徹底した資源管理を行っている。特徴的なのは、船主が乗組員を雇用して船主の基準で儲けを分配するのではなく、漁協の組合員全員が平等に分配を受けるシステムであることで、これによって組合員が高収入を得ることにつながっている[12]。ホタテ漁師は世襲制であり、移住希望者が同職につくことはできない[12]。
ホタテ漁師が高収入を得ていることから、2023年度の村民平均所得は約732万円と日本の平均所得を大きく超えており[12]、村にはホタテ御殿と呼ばれる豪邸が建ち並んでいる[13]。その一方でホタテ加工場の労働者時給は2017年時点で最低賃金の786円であり、人手不足が深刻な問題となっている[14]。
かつて、村内浅茅野地区に日本陸軍浅茅野飛行場が設置された。現在はバス停車場に「飛行場前」の名をとどめている。
前述の通り、村民の平均所得が高く、村の財政状態も比較的健全なことから、道北地方の他の自治体と比較すると人口減は穏やかである。
2015年国勢調査によれば、以下の集落は調査時点で人口0人の消滅集落となっている[16]。
村内を鉄道路線は通っていない。鉄道を利用する場合の最寄り駅は、JR北海道宗谷本線の南稚内駅あるいは音威子府駅。
かつては天北線が通っていたが、1989年に廃止されている。
太字斜体は、振興局所在地。
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