北極 側の氷河 の再拡大域。
更新世の地層 、Scarboro Cliffs (カナダ 、オンタリオ州 、トロント )
更新世 (こうしんせい、英:Pleistocene)は、約258万年前から約1万1700年前までを指す、第四紀 の第一世 にあたる地質時代。後期更新世 、チバニアン 、カラブリアン 、ジェラシアン の4つの期に区分される。
かつては洪積世 (こうせきせい、Diluvium)[ 注 1] ともいい、そのほとんどは氷河時代 であった。
この前の鮮新世 (せんしんせい、Pliocene)と合わせて鮮新・更新世 (Plio-Pleistocene )として扱われることもある。
分類
更新世は、前期、中期、後期 に分けられ、前期はさらにジェラシアン 及びカラブリアン に分けられている。
後期更新世 (0.126 - 0.0117 Mya[ 注 2] 、12万6000年〜(西暦2000年から数えて)1万1700年前)[ 1] - 現在、タランティアン (Tarantian) の名称がIUGS -ICSで検討されている[ 2] 。
チバニアン (0.781 - 0.126 Mya、78万1000年〜12万6000年前) - 名称について、2017年6月に日本の1チームがチバニアン (Chibanian)[ 注 3] 、イタリアの2チームがイオニアン (Ionian) を申請。審査の結果2020年1月、「チバニアン」と命名された。
カラブリアン(1.806 - 0.781 Mya、180万6000年〜78万1000年前)[ 1]
ジェラシアン(2.588 - 1.806 Mya、258万8000年〜180万6000年前)[ 1]
大陸
大陸 の形は現在とほとんど変わらないが、氷期 ・間氷期 の氷床の拡大・縮小による海水準変動 に伴って、海岸線 の位置が移動した。更新世の後期では海水準にして百数十メートルの変動があった。海水準が低下した時期は、現在浅い海である海域の多くが陸地となっている。
気候
氷期と間氷期を繰り返した[ 注 4] 。総計で15回の氷期があった。その主たる要因は地球の回転軌道の性質からもたらされる変化のために生じる太陽放射量の周期的な変動である(ミランコヴィッチ周期 )[ 3] 。
更新世における気候
200万年前 - ヒーバー氷期、ヒーバー-ドナウ間氷期
100万年前 - ドナウ氷期、ドナウ-ギュンツ間氷期
80万年前 - ギュンツ氷期(ネブラスカ)
50万年前 - ギュンツ-ミンデル間氷期(アフトニア)、ミンデル氷期(カンザス)
40万年前 - ミンデル-リス間氷期(イリノイ)、リス間氷期
25万年前 - 12万年前 リス氷期、
7万年前 - ヴュルム氷期(ウィスコンシン)(最終氷期 )、リス-ヴュルム間氷期(サンガモン) - 北半球に巨大な氷床が発達しはじめた。カナダおよび米国北部、北西ヨーロッパの大部分を覆い、別の氷床がアルプス山脈とシベリアの一部を覆った。南半球ではそれほどでもなかったと考えられている。南極大陸は第四紀を通じて棚氷 に覆われていた。[ 4] 。
2〜1.8万年前 - 最寒冷期
1.4〜1.2万年前 - 古ドリアス期(小寒冷期)
完新世における気候
1.2万年前 - アレレード期(温暖期)
1.1万年前 - 新ドリアス期
生物
ヒト属 が進化(原人 ほか)。現生人類(ホモ・サピエンス 種)も中期に出現。更新世の間にヒト亜族 の大半が絶滅。中国科学院 などはアフリカ の10集団を含む50集団の遺伝子情報を解析し、更新世の人類の集団規模を推定。その結果、およそ93万年前に集団の個体数が激減するボトルネック を経験していたことがわかった[ 5] [ 6] 。この時期は急激な寒冷化により、人類の数は1,280人ほどにまで減っており、この絶滅寸前の状態が12万年ほど続いたようである。これは実際に人類の化石がほとんど発見されていない時代と一致する[ 5] 。80万年前ほどになると、気候の回復や火の利用などにより、人口は急激に増加したとされる[ 6] 。最終的に現生人類のみが生き残った。
更新世の終わり頃から、大型の哺乳類 の絶滅が始まる(特に北米大陸で顕著だったという)。これは完新世 まで続く。
脚注
注釈
^ 洪積世の名は地質学 に時期区分が導入された17世紀 にこの時代の地層がノアの洪水 の反映と信じられたことによる。現在では神話 に結びつけることは望ましくないため、この区分名は使われなくなった。
^ mya、m.y.a.とは million years ago の略で、百万年前のこと。英語版Wikipedia参照 ⇒ mya (unit)
^ 千葉県 市原市 の養老川 沿いに、この時期に発生した地磁気逆転 の痕跡の残る露頭 があることから。 小湊鉄道 公式ウェブサイト. “市原のパワースポット(地球磁場逆転地層)のご案内 ”. 2017年11月16日 閲覧。
^ 地域によって異なった名称が与えられている。以下の名称はアルプス地域名(北アメリカ)(リチャード・サウスウッド 著、垂水雄二訳 『生命進化の物語』 八坂書房 2007年 301ページ)より。
出典
参考文献
関連項目
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外部リンク
仲田崇志 (2009年10月29日). “地質年代表 ”. きまぐれ生物学 . 2011年2月14日 閲覧。