AD(エーディー)は、日産車体が製造、日産自動車が発売する商用車である。かつてはOEM供給モデルとして、三菱・ランサーカーゴ、マツダ・ファミリアバンとスバル・レオーネバンも存在した。
「AD」は「ADVANCE」の略語で、先進、前進、進歩の意味から「先進性」「進歩性」を表現している[1]。また、コマーシャル(CM)の別名である「ADMISSON」からも由来している。なお、「AD」の名前はかつて、910型とU11型ブルーバードのワゴン・バンに使われていた(ブルーバードADワゴン・ADバン)。
初代の型式はVB11となっており、サニーの派生車であることが伺える。また、初期の頃は販売店ごとにペットネームが異なっていた(後述)が、後にADバンに統一した。2代目からは独立した系譜となっているが、日産車における型式指定の慣例とは異なり、車両型式の十の位の数字が奇数となっている。これは主に乗用車に当てられるもの(E12, R34, Y51など)だが、同時に本車種が乗用車の派生車であることの証拠にもなっている。
2代目の乗用車登録仕様はADワゴンとして別枠で設定されたが、しばらくしてサニーカリフォルニアと統合して誕生したウイングロードに一本化された。併せて、型式も共有している。
2006年12月に発売された4代目では単にADとして名前をあらため、上級モデルとしてADエキスパートが設定された。その後商用車のブランド戦略に則り、2016年11月からはNV150 AD(エヌブイイチゴーマル エーディー)となった[2]。「NV」は「日産(Nissan)のバン(Van)」、「150」は「車両総重量1,500kgクラス」を表している。しかし2021年5月には、元のADに戻された。
サニーバン、パルサーバン、バイオレットバン、オースターバンの後継車と位置付けられ、取扱販売会社ごとに、サニー系販社が「サニーADバン」、チェリー系販社(後にスカイライン系販社に統合)が「パルサーADバン」、ブルーバード系販社が「ダットサンADバン」と車名が区分されていて、車名を示すエンブレムや、ラジエーターグリルの塗装やメッキの有無により差別化を計った。
B11型系サニーをベースとしており、駆動方式はFF(前輪駆動)。「サニーカリフォルニア」とは、B310型系同様、積載能力を考慮して、リアドアより後ろならびルーフパネルといった車体外板やリアサスペンションが異なっている。ADバンは積載のためにリアサスペンションがリジッドアクスル + リーフスプリングであり、同じ商用車でも先代のパルサーバン(初代プレーリーやエスカルゴのベースになった)が横置きトーションバー・スプリングを使ったフルトレーリングアーム式独立サスペンションを使っていたのとは対照的に、酷使を想定した堅実な設計が採用されている。なお、B11サニーカリフォルニアより車両外寸が150 mm程短く100 mm程高い。登場時は丸型2灯式ヘッドランプ(SAE規格のシールドビーム)であった。搭載するエンジンE13S型、E15S型ガソリンエンジンと、CD17型ディーゼルエンジンの三種類。当初はサニーADバンにのみ2ドア車が設定されていたが、1983年(昭和58年)7月まで旧型のサニーバン(VB312型)が継続生産・販売されていた。
300kg(1.2L) 400kg(1.6L 4WD)
フルモデルチェンジに伴って車種名がADに改められ、同時にエキスパート後継となる上級仕様の派生車種であるADエキスパートが新設された。3代目ウイングロード(Y12型)と基本構造を共有するが、リヤサスペンションは、同方式ながらスペース効率を高めるためよりコンパクトなものに変更されている。当初はガソリンエンジン搭載の2WD車のみのラインナップであり、エンジンはCR12DE型、HR15DE型、MR18DE型(ADエキスパートのみ)を設定している。採用されるトランスミッションは、4速オートマチックのみであった[7]が、後のマイナーチェンジで1.5L車はCVTに変更された。
最大積載量はADのみに設定される1200cc車が300kg、1500cc車以上では450kgとなっている。また、上級仕様の派生車種であるADエキスパートは全車カラードバンパーが装備される。
インパネは商用車としての利便性を考慮した専用設計となっている。インストアッパーボックスのフタには、自動車では世界初のホワイトボードが標準装備され、助手席シートバックには可倒式テーブルも装備されている。また、燃料給油口の位置がプラットフォームの関係上、初代同様の右側に移された。生産拠点は日産車体湘南工場に戻っている。
2025年3月現在、発売開始から18年を越える同社の現行車種としては最長寿車種となっている。ベルコグループではADエキスパートをベースとしたセンターストレッチ仕様の洋型霊柩車を導入している。