この記事には独自研究 が含まれているおそれがあります。 問題箇所を検証 し出典を追加 して、記事の改善にご協力ください。議論はノート を参照してください。(2010年4月 )
様々なライター
色々なライター
使い捨て ライターのバリエーション
ライター (lighter) とは火 をつけるための装置 である。その多くでは何らかの燃料を消費する燃焼 式が主流であるが、電熱 式もある。
近代 以降よりさまざまな創意工夫が凝らされたライターが開発 されてきた。ライターと、燃料 やその他消耗品 を組み合わせることで、簡便な着火 を可能としている。
小型のものは、主にタバコ に着火し喫煙 するために、タバコと共に携帯 して使われる。古くからある携帯機器 であるため、さまざまな意匠 を凝らした製品も多く、利用者の趣味 性に応じてさまざまな製品 が利用されている。
ガスコンロ やストーブ の奥まった場所にあるバーナー や花火 などへの着火を目的とした柄の長いもの、仏壇のろうそく用の小さなもの、風のある戸外の墓参り時における線香着火を目的とした大型の風防を備えたものなど、用途 に応じてさまざまに変化した製品が存在する。こと線香や業務用のコンロなど着火対象が明確な製品に関しては○○着火器 (〜ちゃっかき)などと呼ばれる製品群も存在する。
燃焼式
着火し易い燃料に、点火 機構により瞬間的に高温を発生させるなどして種火とし、目的の可燃物 に炎 を移す。従って燃料切れのライターでも点火機構のみにより、可燃ガス等になら点火できる事もある。
使用する燃料 によってオイルライター やガスライター などの種類がある。燃料および点火機構においてはいくつかの様式が存在するが、それぞれに利点と欠点がある。
燃料による分類
燃料 を安定して供給し安定した着火性能を発揮するために、液体 または気体 の燃料を利用する。固体 燃料の製品は近年では一般に市販されていない。
使い捨て の液化ガス式ライター
オイルライター
オイルライター
燃料としてオイル (主に精製度を高めた灯油 、ナフサ やベンジン など)に火をつけるもの。毛細管現象 によって芯へと上がって来た液体のオイルが揮発 することによって燃料となり、適切な揮発機構を持つオイルライターは、揮発機構内で気化した燃料を適度に含む空気が渦になってとどまるため、強風のなかでも高い着火性を持つ。一方、どうしてもオイルの臭気が伴うことと、オイルが揮発するためこまめな補充を要するのが弱点である。数週間も放置すると、(たとえ使用しなくても)タンクが空になり着火しなくなってしまう。イムコ 、ジッポー 、ロンソン などのブランド が有名。なお、ベンジンを用いる白金触媒式懐炉 と燃料を事実上共用できる場合も多い(ただし推奨されていない)。ジッポーブランドの懐炉も存在し、その指定燃料はジッポーオイルとなっているため、それらの組み合わせにおいては、メーカ保証も受けられる。
パイプ喫煙 用のガスライター。横に炎が出る。
ガスライター
小型ガスボンベ と小型ガスバーナー が一体となった物である。燃料として主にブタン などの可燃性ガス が使用されている。気体 のブタンは密度 が小さく、空気に混じってしまうが、比較的低い圧力 で液体となるため、ライターには利用しやすい物質といえる。液化ガス式ライターには、燃料を補充できるものと、補充できない使い捨てのものがある。後者の製品は燃料補充の手間がかからないことと、非常に安価な製品(いわゆる百円ライター )が1970年代半ば以降[1] 普及したため、現在のライター製品の主流となっている。また、気化したブタンやその燃焼ガス はほぼ無臭であるため、煙草 の香りをそこなわないとしてガスライターを重用する者もいる。このことを理由に葉巻 はガスライターで着火されることが多い。
ガスライターはその燃料の性質上、可燃気体のガス噴出量と周辺空気の混合比率が適切な状態で燃焼 がおこるため、ライター周辺の風 が強いと本来設計された位置で点火用の火花 を散らしても発火点 に達せず、着火しない事がある。ただし、ガスの噴出圧力を利用して強制的に混合気 を点火チャンバー内に供給するターボライター の登場によって今日では強風のなかでも点火が可能になっている。
ターボライターはガスが高温燃焼するために、対象物への着火が早く、また一回あたりの燃焼時間が短くて済み、燃焼効率・燃費がよく、結果一回のガスチャージ(補給 )で使える回数が多くなるという利点もある。しかし、炎の温度が高過ぎ、炎自体も淡く青いためにわかりにくいとされて敬遠されがちだった。このため、現在では燃焼チャンバー にタングステン 等の金属フィラメント を配して、ガスの燃焼にともなう熱で赤熱させて、着火をわかりやすくしている。
また、これらターボライターのフィラメントに、稀少金属 である白金(プラチナ )を使用した場合に、触媒 効果によって、ブタンガス混合気の発火点は、通常の450 - 550 ℃ から190 ℃へと、かなり落ちる。これにより、万が一にも炎が風で吹き消えても、白金フィラメントが十分に加熱 されていれば、自然発火 によって再点火し、炎の持続 性が格段に向上する。この原理 を応用した一般のものより高価な触媒ライター (または白金ライター )もある。
点火機構
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フリントによる点火機構 中央左側 : ヤスリ 状の回転ドラム 中央右側 : フリント(火打石 )
フリントによる点火
ライターの燃料に点火するために最も広く用いられる機構は、オイルライター・ガスライターを問わず、ヤスリ 状の回転ドラムに「フリント 」と呼ばれる、直径2ミリメートル 高さ5ミリメートル程度の小さな消耗品(火打石 )を押し付けて、ドラムを勢い良く回転させ、その摩擦 で火花 を散らして発火 させる物だが、この火花を発生させるために、セリウム 70 %と鉄 30 %の合金 であるフェロセリウム (アウアー合金 。名は発明者カール・ヴェルスバッハ の特許であることから)を使用している。ヤスリの回転の摩擦熱と、合金が削られ微粉末となり増えた表面積が空気にさらされることで発火し、燃料に引火する。
もともと、「フリント(火打石 )」とは鉄よりも硬い自然石 を指す言葉だが、これで鉄片を削って得られる火花よりも、前述のフェロセリウムを鉄のヤスリで削った方が、大量かつ高温の火花を放出できるという性質と、「合金であるために任意の形状 への加工 がたやすい」という性質から、小さなライターにはちょうどよいということで好んで使用され、今日ではライター用のフリントといえばこのフェロセリウムを指す。
フリントを削るヤスリが露出しており、そこが水に濡れると容易に点火できなくなる欠点がある。
火花放電による点火(いわゆる「電子ライター」)
ガスコンロ 等の点火装置と基本的に同じ物が、ガスライターに使われている。1970年代 には昇圧回路 を内蔵したボタン電池 による火花放電 で点火する物もいくつか存在し、集積回路 による静電容量 スイッチングで、ボタンに触れるだけで連続放電をおこなって点火する高度な物も発売されたが、ポケットのなかで誤って発火する等の事故も起こりうるだけに、今日において卓上ライター 以外では、結晶構造を持つセラミック の一種である圧電素子 を使った、ノック式の点火機構が主になっている。圧電素子に衝撃を与えて高電圧を作りスパークさせて燃料に着火する。レバーとバーナーが離れた長い製品も作れる。
今日、電気火花を利用した点火機構を持つライターを「電子式ライター 」ないし「電子ライター 」というが、これは、もともと、前出の昇圧回路を使用した物を指した。
ちなみに、ターボライターはほとんどの製品が電子ライターだが、例外的にジッポーからフリント式のターボライターも発売されていた。
電熱式
電熱線 に通電し赤熱させて、タバコや葉巻を接触して点火する。炎が無いので風 の影響がほぼ無い。
車載用
電熱式の車載用シガーライターはアメリカで1920年代中期以降にアフターパーツとして出現、1950年代には純正装備として普及した。
携帯用
1940 - 1950年代 に流行した。電熱線が赤熱できるだけの電流 を流さねばならず比較的容量の大きな電池 を必要としたため、電池が重く電池の持ちもあまりよくなかったために、今日では一次電池 を用いるものはほとんどない。日本でも、立石電機株式会社(現・オムロン )が1948年 (昭和23年)当時に製造・販売していた[2] 。
現在は、小型軽量でタバコ専用のUSB を電源として用いる充電 型が、日本や中国のメーカーから市販されている。タバコよりも太く硬い葉巻には使えない。
放電式
2015年ごろから、ガス・オイル等の燃料を使わず、二次電池を内蔵する電気式(USB充電式)だが電熱線を用いるのではなく昇圧回路による放電 のみで対象物に着火させる「プラズマ 放電ライター」「アーク放電 ライター」等と称する、中国製 と思われる商品がネット通販 などで販売されはじめている。こちらは、たばこ用だけでなく、アウトドア 用の長めのサイズのものもある。現状、スイッチが二重化されていて誤操作に対する配慮がなされている商品はあるものの、点火スイッチそのものの押下圧は軽く、チャイルド・レジスタンス面では不安がある。
チャイルド・レジスタンス機構
1990年代 、アメリカ合衆国 では幼児 によるライターを使用した火遊び に起因する事故や火災 が問題視されるようになったことから、1994年 7月12日 以降、幼児の誤使用を防ぐためのチャイルド・レジスタンス機構(CR)を備えないライター、幼児が興味を引かれかねない意匠やギミックを備えたライター(ノベルティ・ライター)の製造・輸入が禁止された。後に同様の問題は欧州でも指摘され、EU 圏内でも2002年 以降、同様の規制が敷かれている[3] 。具体的には、幼児の握力を超える強さでないと着火出来ない・着火には押し回しなどの操作を要することとされる(幼児は一度に二つ以上の操作は出来ない)。
日本
2010年 (平成 22年)3月 以降、立て続けにライターの悪戯を原因とする幼児の焼死事故が発生したことから、経済産業省 が中心となって「消費経済審議会製品安全部会ライターワーキンググループ」により、ライターの機構や形状に関する規制 が検討された。
実際に2010年 (平成22年)12月27日 からは、燃料を使うライターが消費生活用製品安全法 の「特別特定製品」に指定され、事業届出、技術基準への適合、登録検査機関による証明書などの義務を履行したうえでPSCマーク を表示することが要求されることになった。チャイルドレジスタンス機能はJIS S 4803:2018あるいは同等なものが要求される。(例えば、42 kN の操作力を要するなど)
2011年 (平成23年)9月27日 より、PSCマークが表示されていない、従来のCR機構を持たない100円ライター、おもちゃ のような形状を備えるライターは販売禁止となった[4] 。電熱式や2年のメーカー保証 を付けた繰り返し利用出来るライターは対象外。2段階式、簡単に着火出来ないライター以外は販売できなくなった(例外規定有り)。
なおこういった機構の採用は複雑化に伴うコスト増加や「使い易さ」の低下が予測されており、握力 の低下した高齢者 では不便になるとも見られている。過去に使い捨てライター大手の東海 はチャイルドレジスタンス機構を採用した製品を150円で「先行販売」したが、売り上げが伸び悩み、製造を中止したこともある[5] 。のちに旭電機化成 で「チャッカマン」用の、女性や高齢者向け補助具が別に考案発売された。
なおこの規制は使い捨てライターや点火棒(喫煙用ではない長い多目的ライター)で保証期間 の短い製品(2年未満)に適用される[6] ため、ライターメーカーの中には逆に道具としての使いやすさを求め高齢者向けとして、敢えてコスト上昇を受け入れ燃料用ガスの再充填が可能な保証期間を2年に設定した、仏壇まわりなどで使いやすい形にした製品を製造・販売しているところもある[7] 。
ファッションとしてのライター
喫煙者 は社会的な風潮から年々減少傾向にあるため、今日ではライターを持ち歩く人も減りつつある。
ライターのノベルティ 例 胴体部分になんちゃらアイドル の銘が入れられている
安価な使い捨てライターは、一般小売店 の店頭販売価格 が4個で税抜き100円程度からあるほか、日本国内においては喫茶店 やバー などのノベルティ グッズとして、また煙草のカートン購入や新製品のプロモーション のための付加価値として、無料で入手する途は多い。
しかし、ファッション という点からみると財布 やハンカチ 以上に絶好の個性主張のできるアイテムにもなりうるため、百貨店 の喫煙具売り場などでは多種多様なライターが販売されている。例えば、オイルライターでは高いブランド 力を持ち着火とは直接関係のない装飾のバリエーションを幅広く展開してコレクターを生んでいる老舗 メーカーがあったり、また男性向け・女性向け装身具 の一種として洗練された装飾 を備えた高級ガスライターもある。
他方、有償のライターの中には、実用性を追求したもの(例:着火性と防風性を高めたターボライター)や多機能化 を図ったもの(例:LEDライト 付き)もある。ちなみに、現在では多数のコレクターがいるジッポー のライターも、その登場時においては実用性を追求した(それ以前のライターに比べて大幅な防風性アップを果たした)製品であった。
歴史
火縄式のライターは古くからあり、広く使われた。
ヨーロッパでは17世紀末にはフリントロック式銃の機構を利用して火口に点火する thinder lighter あるいは tinder pistol と呼ばれるものが発明されていた。18世紀初頭に作られたものは多数が現存する。
近代的なライターの開発は、1903年 にカール・ヴェルスバッハ が、高効率の火打石 の合金を発明 し特許 を取得したことから盛んになった。1913年 には、ロンソン 社が現代のライターの原型 を製造、販売を開始。1932年 にはアメリカでジョージ・ブレイスデルが耐風ライターのジッポー を発明。
1946年 、フランスのフレミネール(FLAMINAIRE)が液化気体燃料を使ったガスライターを発明。着火性の良さと燃料の持ち、臭いの少なさなどのメリットによりライターの主流になった。
1965年 、フランスのBIC 社が樹脂製の燃料槽を持つ安価な使い捨てガスライターを開発。高級ライターが主流だった時代は人前で使うことを嫌う人もいたが、マッチに変わる手軽な点火器として急速に普及した。日本では1977年に消費生活用製品安全法 で携帯用簡易ガスライター として認定され、国産化が進んだ。
日本
最初に実用化されたライターは、1772年 (安永 元年)に平賀源内 の発明した、火打石 にバネ仕掛けの小さなハンマー を打ち付けて点火する、モグサ を燃料として使用した物である。このフリントロック式 銃 の点火機構によく似た「刻みたばこ用点火器 」は広く普及したという記録も無いが、当時の好事家には大変好まれたらしい。1827年 に考案されたマッチ より歴史が古い。
なお鉄砲研究家の澤田平によると鉄砲火打と呼ばれる携帯型ライターが寛永 年間(1624年〜1645年)に日本各地の時計師、鉄砲鍛冶 師によって製作されていた。
近代に入るとマッチ工業が盛んになり、点火器は忘れられていた。ライターの国産化は1914年 (大正3年)日本郵船会社の船員であった本城真玄がアメリカで入手したオイルライターを参考に生産を始めたのが始まりで、魔法燐寸 の名で売り出した。フリントだけは自製できずドイツから輸入したが、その後国産化に成功した。
アメリカではタバコ会社のノベルティとして日本製のオイルライターを使用した(ペンギン製)
1941年 、日本におけるオイルライターの生産は第二次世界大戦の開戦により中止された。フリントに使われるセリウムはサーチライト に使われるアーク灯の電極として使用されている。終戦後、進駐してきた米軍人が使うオイルライターに刺激を受けて生産が再開された。朝鮮戦争期にはピストル型やカメラ型のライターのような変形ライターが駐留軍人に土産物として受け、以降の輸出に繋がった。
1959年 時点で国産ライターの生産量のうち8割が輸出されていた。この頃アメリカでノベルティとしてタバコの柄をデザインしたライターがアメリカで出現し、安価な日本製を使用した。年間600万ダース以上を出荷する一大ブームとなったが1961年頃に収束し、生産体制を拡張していた国内メーカーは大きな打撃を受けた。
主なメーカー
世界的なブランド
日本
東海 - 1975年に100円ライターを開発。他にチャッカマンなども有名。
ライテック - ガスライターや電熱式など。
ウインドミル (企業) - 自社ガスライターの製造、およびロンソン 等の海外ブランドライターの輸入元。
ペンギンライター - 自社製品や輸入製品の取り扱い。
PRINCE(吉永プリンス)-
規格
国際規格 ISO 9994:2002[13]
欧州規格 EN 13869:2002.[14]
JIS S 4801、4802、4803
脚注
出典
望月宗一「ライターの歴史(上)--技術史シリーズ(12)」『発明』第72巻第3号、発明推進協会、1975年3月、25-30頁、NDLJP :3206871/22 “1975a”
望月宗一「ライターの歴史(下)--技術史シリーズ(12)」『発明』第72巻第4号、発明推進協会、1975年4月、27-34頁、NDLJP :3206872/21 “1975b”
北原三郎「使い捨てライターの比較商品学的研究」『商品研究』日本商品学会、1979年3月、11頁。NDLJP :2732645/6 。
関連項目
喫煙
発火法 (携帯発火道具として、日本では内竹や胴火、中国では火折子という道具を使用した。)
外部リンク
総論 品種 スタイル
健康への影響
禁煙 社会 規制 各国・地域
宗教
たばこメーカー その他