ポイ捨て(ポイすて)とは、ごみの不適切な処理方法のひとつで、対象物が小さい場合の俗称である。適当な処置で、不適当な場所に大型で大量のごみを出す場合は、不法投棄とも呼ばれる。日本国内外でもポイ捨ての半数以上を喫煙者によるたばこの吸い殻が占める[1][2]。
たばこのポイ捨てを行う者らの大多数は喫煙所が付近にあってもすること、対策の中で罰金が最も効果のあることが実証されているため[1]、シンガポール[注 1]やタイ王国では罰金刑を課している。日本においても道徳的、各種法令に抵触する違法行為(廃棄物の処理及び清掃に関する法律、軽犯罪法、道路交通法など)であるが[3]、ポイ捨てそのものを取り締まることを主目的とした法律がないため、ポイ捨てを行う者らに厳しい刑事罰・前科を与える立法が求められている[2]。また、ごみなどの路上投棄が多い地域生活では、ポイ捨てを禁止する条例を定めた自治体がある[1]。
概要
ポイ捨てされるものとしては、チューインガム、たばこの吸殻、空き缶、ペットボトルやレジ袋などの使い捨て容器類、包装紙や新聞・雑誌・集合住宅の郵便受けにポスティングされるチラシなどの紙類・食べ残した食品などがある。
「ポイ捨て」と軽い言葉で表現される傾向があるが、火災や漂流・漂着ごみ、野生動物の殺傷など他の社会問題の要因ともなっている。集合住宅にポスティングされるチラシの散乱においては、ポスティングそのものを諸悪の根源とするポイ捨てを弁護するような声[要出典][誰?]がある。
対象物がたばこの吸殻のように小さいものでも、海のごみのうち約4分の1がたばこの吸殻で最多であったように海洋汚染の原因ともなる[4]。
日本における刑罰・罰則
条例違反
たばこ問題に関連し、歩きたばこ禁止条例とともにポイ捨て禁止条例が制定される自治体もあり、ポイ捨て行為に罰則を課している。
条例違反の摘発事例
道路交通法違反
交通の障害を来たす行為については道路交通法により取り締まりが行われる[6]。
- 道路交通法第76条 左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。
- 第4項 何人も、次の各号に掲げる行為は、してはならない。
- 第4号 石、ガラスびん、金属片その他道路上の人若しくは車両等を損傷するおそれのある物件を投げ、又は発射すること。
- 第5号 前号に掲げるもののほか、道路において進行中の車両等から物件を投げること。
道路交通法違反の摘発事例
軽犯罪法違反
ポイ捨ては軽犯罪法違反により罰せられる[6]。たばこの吸殻などを側溝や路上へ投棄することは、軽犯罪法違反になる。
- 軽犯罪法第1条 左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。
- 第25号 川、みぞその他の水路の流通を妨げるような行為をした者
- 第27号 公共の利益に反してみだりにごみ、鳥獣の死体その他の汚物又は廃物を棄てた者
廃棄物の処理及び清掃に関する法律違反
廃棄物の処理及び清掃に関する法律はポイ捨て行為を罰する法律である[6]。
- 廃棄物の処理及び清掃に関する法律第16条 何人も、みだりに廃棄物を捨ててはならない。
- 廃棄物の処理及び清掃に関する法律第25条
- 第1項 次の各号のいずれかに該当する者は、五年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
- 第14号 第十六条の規定に違反して、廃棄物を捨てた者
- 第2項 前項第十二号、第十四号及び第十五号の罪の未遂は、罰する。
シンガポールの事例
中国の事例
高層ビルからのポイ捨て
中国では、高層ビルなどの高所から物を投げ捨てる行為は犯罪と見なされる。公の安全を脅かすと見なされれば、容疑者は懲役3年から10年の判決を受ける。通行人などが深刻な怪我や死亡した場合などは、終身刑か死刑もあり得る。2010年代に急速に発展し、高層ビルが乱立するようになった現状に住民のマナー改善は追いついておらず、しばしば高層階から故意に投げ捨てられたごみが地上の人間や車両に被害を与えて問題となる。2016年から2018年の間に発生した、高所からの落下物に関する刑事事件は31件で半数は死亡事件となった。さらに1200件の賠償請求を求める民事事件が起きている[10]。
関連項目
脚注
注釈
- ^ 初犯1000シンガポールドル(約8万円)、再犯は2000シンガポールドル(約16万円)と場合によって公共の施設の清掃などのボランティア活動も
出典