『フリクリ』(FLCL)は、ガイナックス、Production I.Gにより製作された日本のOVAシリーズおよびメディアミックス。
本編であるOVAは全6巻(全6話)。その本編を補完した小説は全3巻、漫画単行本は全2巻とそれぞれ発売されている。また、本編が2005年にDVD-BOX化、漫画単行本が2007年に新装判、2012年に文庫版として再版された。2010年8月にBlu-Ray Boxが発売された。
続編が4シーズン制作されており、第2・第3シーズンの「オルタナ」・「プログレ」(各6話)は日本では劇場版として2018年に公開された。第4・第5シーズンの「グランジ」・「シューゲイズ」(各3話)は2023年にアメリカのアダルトスイムで放送されたが、2025年2月現在も日本では公開されていない。
『フリクリ』は、2000年から2001年にかけて全6巻のOVAとしてリリースされた日本のアニメ作品である。『新世紀エヴァンゲリオン』の次作品である『彼氏彼女の事情』以降は、原作付のアニメ化しか制作していなかったガイナックスによる1年振りのオリジナル作品[1]。また、『フリクリ』は『新世紀エヴァンゲリオン』で副監督を務めていた鶴巻和哉の初監督作品である。 一般的にビデオ・DVDのパッケージには作品解説・あらすじなどが記載されるものであるが、『フリクリ』のパッケージはそれらを徹底して排したデザインになっており、同様にテレビコマーシャルでも内容に関する言及は全く無かった。
本作品の大きな特徴として、非常に凝った演出が挙げられる。唐突に全く異なる絵柄に切り替わるシーンや、本編途中から数分間にわたり漫画雑誌風の画面構成で進行する回があるなど、随所に実験的ともいえる演出が盛り込まれている。またアクションシーンでのテンポの良いカット割り、デザインやアニメーションの質の高さなど、映像面での評価も高い。TSUTAYAの「映画監督が選ぶ良作」として岩井俊二監督他から評価を得ている。 その一方で本作品はOVAのみのリリースであったため、同じガイナックスが製作に携わった『新世紀エヴァンゲリオン』と比較すると日本国内での知名度は低い(ただしこれは『新世紀エヴァンゲリオン』が稀有な大ヒット作品である点を考慮する必要がある)。しかし日本国外の市場ではかなりの成功を収めており、特にアメリカなどでは人気・知名度共に高いアニメ作品の一つである。アメリカのアニメ専門チャンネル、カートゥーンネットワークでは、英語吹き替え版がシリーズ放送(2003年8月)され、その後も再放送されている[2][3][4]。また、カナダのモントリオールで開催される国際映画祭、ファンタジア国際映画祭において2003年度アニメーション部門で銅賞を受賞している[5][6]、また国内でも東京アニメアワード2002オリジナルビデオ部門奨励賞を受賞した[7]。
『フリクリ』には挿入歌が多くあり、かつ印象的、効果的な使い方がされていることも特徴。これら挿入歌とテーマ曲は一部を除き全て日本出身のロックバンドthe pillowsが担当した。このアニメ曲の人気にあやかり、the pillowsは、米テキサス州オースティン市のSXSWフェスティヴァルにおいて米国コンサートデビューを果たすなどしている[8]。北米版およびオーストラリア版DVDでは副音声で監督を務めた鶴巻和哉とアメリカ人スタッフによる日本語の音声解説が収録されている。作品制作における裏話や、場面ごとの解説が語られている。
『フリクリ』は2006年5月15日からバンダイチャンネルにおいて有料配信もされている他、2025年2月8日と15日には発売25周年を記念してYouTubeのKING AMUSEMENT CREATIVE公式チャンネルで期間限定の3話ずつ一挙プレミア公開された。
また『フリクリ』で登場する機関名フラタニティは、同じ鶴巻和哉監督作品である『トップをねらえ2!』にも登場している。さらに『トップをねらえ2!』でエキゾチックマニューバという言葉が登場するが、それと似たシステムが『フリクリ』にもあり、両作品の設定には若干の共通点が見られる。
キングレコードからDVDとVHSで同時リリースされた。各巻1話25分(最終巻のみ31分)収録で全6話。DVDの初回盤は紙製パッケージにパッケージ色に合わせたジュエルケースに入ったDVDと解説書が同梱されていた(通常版はプラスチック製のトールケース)。
2003年のファンタジア国際映画祭において、観客投票部門でベストアニメーション映画賞の銅賞を受賞[5][6]。
いずれもキングレコードから発売。
角川スニーカー文庫(角川書店)から全3巻が刊行された。企画・原作:GAINAX、著:榎戸洋司、イラスト:鶴巻和哉・今石洋之。アニメでは明かされなかった設定が披露されている。例えば、ナオ太の母がハル子の同僚であるといった点である。また、アニメの特殊な描写がないため、大人たちの不完全さが明確に書かれている。ニナモリの風呂をのぞく場面で、不審者そのものの発言をするカモン。マミ美に嫌味を言うシゲクニ。忘れ物をして泣き出した子供を噓泣きと断じ、はやし立てるような歌を歌う担任のミヤジ。部下へのセクハラが明確に表現されるアマラオ。特殊入国管理官になったのはただ本物の武器を扱いたかっただけのミリオタで、いざカンチを目の前にすると失禁してしまったキツルバミなどである。
「月刊マガジンZ」(講談社)に連載された後、マガジンZKCから全2巻が刊行された。原作:GAINAX、漫画:ウエダハジメ。アニメとは設定やストーリーが異なる上、雑誌掲載時とも内容が異なる。2007年には新装版が講談社BOXから、2012年には文庫版が星海社文庫から発売。新装版および文庫版には、DVD-BOXに収録された書下ろしである“The Fourth Studio”が収められている。
2016年3月25日、『フリクリ』の続編をProduction I.Gと米国アダルトスイムが共同制作すると発表された[10]。スーパーバイザー:鶴巻和哉、キャラクター原案:貞本義行、総監督:本広克行、脚本:岩井秀人、米国では放送を2018年6月にプログレ、9月にオルタナが放送。それぞれ全6話。日本では劇場用アニメとして2018年9月7日から9月27日まで『フリクリ オルタナ』、同年9月28日から10月18日まで『フリクリ プログレ』の2作品が上映された。[11][12]。なお、本作の原作権は2015年にガイナックスからProduction I.Gに譲渡されている[13]。
放課後のプレアデス共