ビスカヤ橋 (びすかやばし,スペイン語:Puente de Vizcaya )はスペイン のネルビオン川 に架かっている世界最古の運搬橋 である[ 1] 。ビスケー湾 に面した港湾都市ビルバオ の河口付近にあり、ポルトゥガレテ 地区とゲチョ 地区を結んでいる。地元では単に「吊り橋」「運搬橋」とも呼ばれ、また左岸の自治体名から「ポルトゥガレテ橋」とも呼ばれている[ 2] 。ビスカヤ橋の周辺ではジャズ、フォーク、合唱、ダンス、水彩画などの国際イベントが開催されることもある[ 2] 。2016年 10月8日 のNHK 「ピタゴラスイッチ 」の「そこで橋は考えた」のコーナーで紹介された。
歴史
ギュスターヴ・エッフェル の弟子の一人、建築家のアルベルト・パラシオによって設計され、1893年にビスカヤ橋が完成・開通した[ 2] 。運搬橋 という形式はビルバオ に向かう海上交通の妨げになることなく、また長い傾斜路をもつ巨大な橋を造らずにすむ解決策だった。吊り下げられたゴンドラ で人や車を運搬するための世界最古の運搬橋であり、ヨーロッパ、アメリカ、アフリカなどの地域で運搬橋のモデルとなった[ 2] 。2011年時点で、ヨーロッパに現存して稼働中の歴史的運搬橋はロシュフォール =マルトゥルの運搬橋(フランス、1900年)、ニューポート 運搬橋(イギリス、1906年)、オステン運搬橋(ドイツ、1909年)、ビスカヤ橋の4橋のみであり、南アメリカではリアチュエーロ 運搬橋(アルゼンチン、1914年)の1橋のみである[ 2] 。スペイン内戦 時には4年間上部構造が爆破されて通行不能になったことがあったが、それ以外は現役である。
運用
ゴンドラ
運搬橋の長さは164m、水面からの高さは45mである[ 2] 。ビスカヤ橋のゴンドラは164mの距離を2分弱かけて渡る。ゴンドラは6台の自動車と300人ほどの人間を運ぶことができる。運行は24時間営業で、8分ごとにゴンドラが行き来している。
運賃はビルバオ都市圏 の交通と一体化しているため、バスや地下鉄と同じクレディトランス という交通カードが使用できる。また、観光用の歩道が上部構造に組み込まれており、50mの高さから港や湾を眺めながら歩いて渡ることができる。
世界遺産
2006年7月13日、ユネスコ の世界遺産 に登録された(ID1217)。軽量鉄ケーブルの使用が画期的であり、産業革命 期の顕著な建築学上の鉄構造物とみなされた[ 2] 。ベルギー のサントル運河のボートリフト などと並んで、近現代の技術進歩の足跡を証する世界遺産である。
登録基準
この世界遺産は世界遺産登録基準 のうち、以下の条件を満たし、登録された(以下の基準は世界遺産センター 公表の登録基準 からの翻訳、引用である)。
(1) 人類の創造的才能を表現する傑作。
(2) ある期間を通じてまたはある文化圏において、建築、技術、記念碑的芸術、都市計画、景観デザインの発展に関し、人類の価値の重要な交流を示すもの。
脚注
^ “デジタル大辞泉の解説 ”. コトバンク. 2018年4月30日 閲覧。
^ a b c d e f g 古田陽久・古田真美『世界遺産ガイド スペイン・ポルトガル編』シンクタンクせとうち総合研究機構、2011年、pp.92-93
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