この項目では、ローマ神話の女神について説明しています。その他のディアナ、ディアーナについては「ディアナ 」をご覧ください。
フランソワ・ブーシェ の1742年の絵画『ディアーナの水浴 』。ルーヴル美術館 所蔵。
ディアーナ (ラテン語 :Diāna )あるいはディーアーナ (Dīāna )は、ローマ神話 に登場する、狩猟 、貞節 と月 の女神 。ユーピテル とラートーナ の娘で、アポロー の妹とする説がある。新月 の銀の弓 を手にする処女の姿が特徴。
日本語 では長母音 記号を省略してディアナ とも呼ぶ。英語 読みダイアナ (Diana )でも知られる。ギリシア神話 ではアルテミス に相当する。南イタリア のカプア とローマ 付近のネミ湖 湖畔のアリキア を中心に崇拝されていた。
概要
オーガスタス・セント=ゴーデンス によって作られたディアーナ像。メトロポリタン美術館 所蔵。
古くから月神 ルーナ (ギリシア神話ではセレーネー に相当)と同一視されていたが、元は樹木 の神 であったとされ、農民 に信仰されたために特に人間 に対する多産の神となった。アリキアでは森 の神ウィルビウス と共に祭られており、その神官 職はその森の木の枝 を折り取った奴隷 が神官と決闘し、その神官を倒した奴隷に代々受け継がれていた。
また、比較的古くからギリシア神話の処女神アルテミスと同一視されており、セレーネー、ヘカテー とも同一視されるようになった。ヘカテーと同じくトリウィア がディアーナの形容語である。またアリキアで祭られていたディアーナはタウリス で祭られていた人身御供 を求めるアルテミスと同一視され、ウィルビウスはアスクレーピオス に蘇らされたヒッポリュトス がその名を変えたものと解釈されていた。
ウェルギリウス による『アエネーイス 』の中では、ディアーナは三つの顔の名を持ち、天ではルーナ、地上ではディアーナ、地下ではプロセルピナ であるとされている[1] 。またマイケル・ドレイトン の詩歌『The Man in the Moone』では、三つの姿のディアーナを賛美する記述があり、天国では月光を司るポイベー 、地上では貞節を司るディアーナ、地獄では魔術を司るヘカテーとして天国・地上・地獄という三つの世界を支配するとしている[2] 。
ディアーナの神話 は他のローマ神話の神と同じく、ほとんどがアルテミスのものであり、独自の神話は無い。
異教信仰
10世紀 のキリスト教 の法規書では魔女 達の女神はディアーナとヘロディアス であると書かれている[3] 。中世ヨーロッパ の各地で、夜間に異教の女神であるディアーナに導かれて野獣に乗って騎行する女たちの話が伝えられていた。
1889年 にチャールズ・ゴッドフリー・リーランド が発表した『アラディア、あるいは魔女の福音 』ではディアーナが原初の月の女神として登場しており、光の神ルシファー(悪魔のルシファー とは別である)との間に生まれた娘・アラディア を地上に遣わし、受難 する抑圧された者達に、迫害する者に対して魔女術 によって対抗する事を教えたとされている[3] 。
出典
関連項目
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