シンフォニック・ロック(英語:symphonic rock)は、クラシック音楽の要素を持つロック・バンドや、ロックとオーケストラとの共演などの作品を分類した言葉。
概要
クラシック音楽の交響曲(シンフォニー)のような音響や、曲想の展開等を持つロック。シンセサイザーやメロトロン、あるいは実際のオーケストラを駆使して得られるシンフォニック・サウンドをアレンジに加え、厚みや広がりを持った作品に仕上げるのが主な特徴。
プログレッシブ・ロックと近い位置にあり、実際に、かなりのバンド/作品が重複しているが、イコールではない。シンフォニック・サウンドを有していないプログレッシブ・ロックもあり、また、ハードロックを基調としたバンドがシンフォニック・サウンドを取り入れる場合もある(例:アメリカのバンド「マジェラン」は、プロデューサーのマイク・ヴァーニーが「シンフォニック・ハード・ロック」と呼称している)。ディープ・パープル、ジョニ・ミッチェル、フランク・ザッパらはオーケストラと共演している[1]。
様式
ロックを基本にシンフォニック・サウンドを積み上げていく、というスタイルのバンドには、イエスや初期のキング・クリムゾン、エマーソン・レイク・アンド・パーマー、ムーディー・ブルース、キャメルなどがいる[2]。そのほかにエニドの様に、クラシックそのものに聞こえ、本来ならオーケストラが演奏する方が自然な曲を、ロック・バンド形式で演奏する者も存在する。
オーケストラとの共演
ロック・バンドにシンフォニック・サウンドを取り入れる方法のひとつとして、オーケストラとの共演が挙げられる。1960年代後半に隆盛したアート・ロックや、それに続くプログレッシブ・ロック等に分類されるバンドの幾つかが、その方法論を実践している。また特に1980年代後半以降ではオーケストラ側もロック系アーティストとの共演に取り組むようになり、ドリーム・シアター、スティーヴ・ヴァイやイングヴェイ・マルムスティーンらは、オーケストラとの共演を果たしている。
メロトロンの使用
メロトロンは、通常はオーケストラのストリング・セクションを音階別に録音したテープを再生することによってシンフォニックサウンドを得る構造になっている。具体的に作品でメロトロンによるオーケストラサウンドを使用している例は以下の通り。
電子合成方式キーボードの使用
上記のメロトロンやサンプラーと異なり、管弦楽の音を電子的に作成している楽器(シンセサイザー/ストリングアンサンブル等)を使用している例は無数にあり、以下が代表的な例。
バンド名
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使用した作品例
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特記事項
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レッド・ツェッペリン
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イン・スルー・ジ・アウト・ドア
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ヤマハGX-1が何曲かで使用されている。
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ELP
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ELP四部作
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「庶民のファンファーレ」でヤマハGX-1が使用されている。
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ELO
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ディスカバリー及びそれ以降
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同アルバムではストリングスのレギュラー・メンバーがいなくなり(セッションプレイヤーに降格)、代ってシンセサイザーによるストリングスが大きく導入される様になった。
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カンサス
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永遠の序曲、暗黒への曳航
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この時期のカンサスにはレギュラーのヴァイオリン・プレイヤーが在籍しており、キーボードによるシンセサイザー演奏と組み合わせる事で独特のシンフォニック・サウンドを構築していた。
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ボストン
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ウォーク・オン
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当初ボストンはシンセサイザーを使わないバンドとされていたが、同作でストリングアンサンブルの音を使用した為「No Synthesizers」のクレジットが外され、代わりにクレジットには「Well, No-body's perfect!」と表示された。
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ギズモの使用
ギズモ(The Gizmo)とは、ゴドレイ&クレームが開発したギター用のアタッチメント。ギターの弦に回転するコイルを随時接触させてストリング・サウンドを得る仕組みになっている。
脚注