イギリスに定着した庭めぐり (ガーデンツアー) には個人宅の庭やふだんは非公開の庭園めぐりがふくまれ、通称「イエローブック」 (the 'Yellow Book') と呼ばれる『イギリスとウェールズの公開庭園と募金』 (Gardens of England and Wales Open for Charity) は、公開庭園の一覧に加えて見学を受け付ける期間ほかの情報を網羅したイギリスとウェールズの庭めぐりのガイドブックである[1]。この案内書はイギリスの雑誌「カントリーライフ」が最初に1931年に発行し、ある公益活動の団体が始めた「ナショナル・ガーデンズ・スキーム」という企画に沿ったガーデンツアーを取上げたものである[2]。
看護協会の呼びかけた「手入れの行き届いた魅力的で個性のある庭を見学者に紹介し、なおかつ公共の利益に役立てる」という事業に賛同すると、庭の持ち主は自慢の園芸の成果を公開、ひとりにつき1シリングの見学料を集めて団体に寄付したのである。ガーデンツアーが動き出したのは1927年、その年は609カ所の庭園が賛同して8000英国ポンドを集め、翌年の1928年に「王妃の地域看護協会」The Queen's Institute of District Nursing (英語版)と改称、1931年には最初のイエローブックが出たこともあり、協力する庭の数は1000を超えた。やがて助成金の交付団体として創設以来、21世紀初頭にわたる募金をもとに累計4500万英国ポンドを支給するまでに基金が充実していく[4]。それと並行して、個人の庭の持ち主はそれぞれが希望する寄付先に400万英国ポンドを支払ってきたのである[2]。
第二次世界大戦後の1948年以降、ガーデンツアーは新しい段階へと発展。協会の募金活動はナショナルトラスト運動と連携、見学地にトラストが保全を進めた貴重な庭園を加えたことから見学者が大幅に増える[1]。トラストは活動に対して協会から補助金を受け、歴史的に貴重な庭園の修復をさらに進めていく。庭園や庭が見学者の期待にこたえるかどうかをめぐっては地域の調整役から認定を受ける体系を設けて、庭の持ち主が公認を名乗る水準を保ってきた (『イエローガイドを片手にイギリスとスコットランドのすばらしい庭園めぐりを――ナショナル・ガーデン・スキームおよびスコットランドのガーデン・スキームの募金事業に協力する個人の庭』より[5])。2013年に公開した庭園や個人の庭は合計3700カ所を超え[2]、「イエローブック」の名称は2015年に「Gardens To Visit」に変更している[2]。
^モンテーニュ (1533-1592) の紀行文は初版についでイタリアのアレッサンドロ・ダンコナ Alessandro D'Ancona (1835-1914) の監修版ほか『Journal de voyage de Michel de Montaigne en Italie, par la Suisse et l'Allemagne en 1580 et 1581』という題名で数回、出版されてきた[6]。1774年の初版は電子書籍があり[7]、日本語訳が出版されている[8]。
^1887年にビクトリア女王が「即位10周年婦人会基金」Women’s Jubilee Fund から7万英国ポンドを寄付した活動は、1889年に慈善団体「ビクトリア女王即位10周年記念看護協会」 'Queen Victoria's Jubilee Institute for Nurses' として公の活動を開始“The History of the QNI”. The Queen's Nursing Institute. 2016年3月16日閲覧。。
^1999年から2014年の15年間の助成金は累計2700万英国ポンドで対象は看護と庭園の事業。2014年度の募金250万英国ポンドはナショナルトラスト研修事業をふくむ10団体・組織に助成“The National Gardens Scheme”. About IW&I. Investec Wealth and Investment. 2016年8月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年3月16日閲覧。。
^“特集記事”. Follow the yellow guide road to great British gardens: Private gardens open for charity under the National Gardens Scheme and Scotland's Gardens Scheme. The Christian Science Monitor (2002年4月24日). 2013年11月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年3月15日閲覧。 HighBeam Researchを参照。内容の閲覧は会員のみ。
^Lewis, Rhodri (2007年). “Journal of British Studies” (英語). Review of John Evelyn: Living for Ingenuity. ケンブリッジ大学出版局; North American Conference on British Studies. pp. 939–940. doi:10.1086/522720. 2016年3月15日閲覧。