「ガゼボ」という語はイギリスの建築家ウィリアム・ハーフペニー (William Halfpenny) とジョン・ハーフペニー (John Halfpenny) の1750年の共著『中国風の田園建築』(Rural Architecture in the Chinese Taste) に初出する。図版55は、中国風ガゼボの立面図と題され、「…中国の塔、またはガゼボは、岩の上に立ち、ある程度の高さをもち、眺めを良くするために周囲に回廊がある」とされている。
ガゼボという語の語源は定かでない。民間語源の中には、フランス語の感嘆のことばである « Que c'est beau »(何と美しい)が「ガゼボ」に変化したという説や、マカロニ・ラテン語の “gazebo”(わたしは見るだろう)が「ガゼボ」になったという説などもある。Oxford Dictionariesによると、語源は「18世紀半ばに、おそらく滑稽さを目的として、“gaze”(見つめる)という単語にラテン語の未来形の語尾を模した -ebo を付加したもの」とある[2]。レオナード・リー・ベーコン (Leonard Lee Bacon) は著書の中で、アルジェの城塞周辺のムスリム居住区「カスバ」(Casbah) が「ガゼボ」になったと述べている[3]。ウィリアム・セイヤーズ (William Sayers) は、コルドバの詩人イブン・クズマーン(Ibn Quzman、1160年没)の作品にみられるアル・アンダルス=アラビア語の語句 “qushaybah” からガゼボという名が生まれたと推測している[4]。