キャラバンサライ(ペルシア語: كاروانسرا kārvānsarā、トルコ語: kervansaray)は、ペルシア語で「隊商宿」の意味。隊商のための取り引きや宿泊施設を指す。バザールやスークに隣接して建てられた。アラビア語では、ハーン(khan)、カイサリーヤ、フンドゥク(フランス語版)とも呼ばれた。
概要
一般的には中庭がある2階建ての建築物で、1階は取引所、倉庫、厩、管理人や使用人の住居にあてられ、2階は客人である隊商の商人たちの宿泊施設となっていた。アガと呼ばれる責任者や、荷運びの監督、夜警などの役職が常駐していた。
キャラバンサライは、遠隔地交易の商人の他に、地元の卸売商人の事務所や倉庫にも使われた。イスファハンでは、前者をタージェル、後者をボナクダールと呼んで区別した。地元の卸売商人はティームやティームチェ(ペルシア語版)と呼ぶ取引場や、ダーラーン(通廊)で取引を行った。行商人は、卸売商人から商品を仕入れて近郊の農村や遊牧地をまわった[1]。
現在では宿泊所としての機能は消え、事務所、倉庫、卸売店舗として用いられている。
世界遺産
2023年、イラン全国各地にある54か所のキャラバンサライはユネスコの世界遺産に指定された[2]。
登録基準
この世界遺産は世界遺産登録基準のうち、以下の条件を満たし、登録された(以下の基準は世界遺産センター公表の登録基準からの翻訳、引用である)。
- (2) ある期間を通じてまたはある文化圏において、建築、技術、記念碑的芸術、都市計画、景観デザインの発展に関し、人類の価値の重要な交流を示すもの。
- (3) 現存するまたは消滅した文化的伝統または文明の、唯一のまたは少なくとも稀な証拠。
出典・脚注
参考文献
- イブン・ジュバイル 『イブン・ジュバイルの旅行記』 藤本勝次・池田修監訳、講談社〈講談社学術文庫〉、2009年。 - 12世紀から13世紀のキャラバンサライについての記述がある。
- イブン・バットゥータ 『大旅行記』全8巻 イブン・ジュザイイ編、家島彦一訳、平凡社〈平凡社東洋文庫〉、1996-2002年。 - 14世紀のキャラバンサライについての記述がある。
- 黒田美代子 『商人たちの共和国』 藤原書店、1995年。 - アレッポの事例を中心にキャラバンサライについて解説している。
- 坂本勉「イスラーム都市の市場空間とイスファハーン」(佐藤次高・岸本美緒編 『市場の地域史』 山川出版社、1999年。)
関連文献
関連項目
外部リンク
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様式 |
形成期 | |
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古典期 |
- ペルシャとトルキスタン
- エジプト
- イベリア半島と北アフリカ
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モダニズム | |
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イスラム圏 |
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構造 空間 意匠 部位 |
素材 | |
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アーチ | |
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装飾 | |
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