『紫の峡谷』(むらさきのきょうこく、原題:Into the Purple Valley)は、アメリカ合衆国のミュージシャン、ライ・クーダーが1972年に発表した2作目のスタジオ・アルバム。
選曲はアメリカの古い曲が中心で、レッドベリーやウディ・ガスリーのカヴァーに加えて、カリプソの「トリニダードのF.D.R.」、ゴスペルの「デノミ・ブルース」等も取り上げられた[2]。なお、「トリニダードのF.D.R.」は、本作でキーボードを弾いたヴァン・ダイク・パークスのソロ・アルバム『ディスカヴァー・アメリカ』(1972年)でもカヴァーされている[3]。
「ティアドロップス・ウィル・フォール」は、ディッキー・ドゥー&ザ・ドンツが1959年にシングル・ヒットさせた曲のカヴァーだが[4]、クーダー自身は、ウィルソン・ピケットのヴァージョンでこの曲を知ったという[2]。
クーダーは本作で自身初のBillboard 200入りを果たし、最高113位を記録した[1]。ボブ・ゴットリーブはオールミュージックにおいて5点満点中4.5点を付け「ライ・クーダーは、ほぼ総ての弦楽器の巨匠として知られており、この『紫の峡谷』において、様々な楽器の演奏技術を証明した。ここで聴ける音楽は、ダストボウルの時代のアメリカで、社会や音楽において何が起こっていたかということに主たる焦点が当てられている」と評している[5]。